団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

後片付け

2018年04月24日 | Weblog

 先週の週末は3回宴を持った。そのうちの一回は私の大好きなお呼ばれだった。宴などと気取った言い方をするだが、友人を招いたり、招かれて、食事を共にするのを私はそう呼ぶ。単調な生活の中で、気の合う友人との共に時間を過ごすのは、至福の時間となる。また会っている時間だけでなく、前と後の作業にも楽しみがある。

①     献立、食材確保、調理、食器選び、ワイン選び

②     宴

③     後片付け

①      私が家に人を招いて食事をするなどと言うことをできるようになったのは、妻の海外赴任に同行してからだ。仕事を辞めて、妻の配偶者としての身分だった。時間があった。だから現地の人、妻の職場の同僚、在留邦人、他国から赴任していた人たちを招いた。赴任地のどこでもその土地独特の食材がある。もともと私は海外旅行で動物園と市場を回るのが好きだった。役に立ったのは、カナダへ留学していた時、学校の食堂で一日2時間奉仕活動として働いた経験である。また週末、学校近郊から寮に入っていた同級生の一時帰宅に招待されることも多かった。私が珍しい日本人ということで、招かれた家庭で日本の食べ物(鮨やすき焼き)を作ってくれと頼まれた。だんだん腕をあげた。料理に興味がわき、日本からレシピ本を送ってもらい勉強もした。日本の食材は、近くの大都市の日系移民の店で買うことができた。

 食べてもらう人達が決まったら、その人たちに喜んでもらえる献立を考える。食材を調達する。手に入るか否かで献立は、コロコロ変わった。妻の海外赴任中、6か国で暮らした。設宴は、ほぼ毎週数回あった。招いた人々に喜んでもらえるよう無い頭をフル回転させた。喜んでもらえると嬉しかった。ほめられると天狗になった。そしてますます努力した。①に費やす時間は、2日から2週間である。

②      宴で一番楽しいのは、客からいろいろな情報が集まることである。特に食材に関するものは、その地での買い物に役に立った。食べている時、人の口は軽くなる。私は聞き上手になった。日本語だけでなく英語を話す客も多かった。カナダで学んでいた時と同じくらい英語を使えた。言葉は使わないと、すぐにさび付く。招いた客に私の料理を喜んでもらえれば面白い話を更にたくさん聞ける。料理の腕以上に聞き上手になった。宴は3時間から5時間続く。

③      正直、後片付けは大変である。客が帰った後の静けさが気をふさぐ。汚れた食器の山にため息をつく。でもカナダの学校で2千人分の食器洗いをした。それと比べると「なんのこれしき」と思える。海外ではお手伝いさんを雇えた。それでもなるべく妻と二人で夜中まで片づけた。日本に帰国してからは、常に妻と二人だけである。でも食器の山を妻と酔った二人で片づけ終わった時は、まるで高い山の頂に上ったような達成感を味わう。私は皿を洗いながらその上にのせた私の料理のできと客の反応を反芻する。きれいに片付いた後、もう次の宴を模索し始める。

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