団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

板金塗装

2024年08月01日 | Weblog

  英国車のジャガーに乗っている友人がいる。先日、ジャガーを狭いすれ違いができない道路を運転していた。厄介なことにその道路に何故か道路にポールが立てられている。聞いた話では、道路の一部が個人の土地で市と個人間で土地の所有権の決着がついていないらしい。それで個人土地所有者が大型車両を通さないようにポールを立てているらしい。その日友人は年配女性が運転する白い軽自動車がポールのある道路を向こうからやって来た。友人は路肩に車を寄せた。あろうことか軽自動車が友人の車めがけて突進してきた。どうやら年配女性がアクセルとブレーキを踏み違えたらしい。友人は向かってくる軽自動車を避けようと急発進してハンドルを切った。運悪く左側に寺の石垣があった。友人は車の左側を石垣にぶつけてしまった。友人は、パニック状態だった。軽自動車は、止まることなく行ってしまった。友人が我に返った時、すでに軽自動車は走り去っていた。ジャガーは左側が大きく凹んでいた。ドア2枚ダメ。ドア以外の車体にも大きな凹みと傷。サイドミラーは割れてブル下がっていた。

 私は友人にその話を聞いた時、閃いた。大丈夫。今はドライブレコーダーという優れた機器が自動車には付いている。走り去った失礼な年配女性は、すぐに警察が特定してくれるだろう。友人に進言した。「ドライブレコーダーのフロッピーを持ってすぐに警察に行きましょう。すぐに相手の車を特定できますよ」 友人が「私の車にドライブレコーダー付いていないんですよ」 えっジャガーにドライブレコーダー付いていないの。さらに衝撃の事実を知った。掛けている保険は、対人対物の無制限の保険だけで自己車両には掛けていないという。私の閃いた解決策が儚くも消えてしまった。

 友人がジャガーの販売店に修理の見積もりを取ると160万円だったそうだ。そこでお節介虫が私の中で騒ぎだした。近くの私の知り合いの板金塗装屋に車を見てもらった。完璧に直すのではなく、傷を失くして凹みも気にならないくらいに直していくらかかるかと尋ねた。だいたい30万円だという。160万円と30万円、大きな違いだ。日本の板金塗装の技術は凄い。4日間で出来上がった。確かに凹みはあるが、塗装は見事。友人は、仕上がりに満足したが、結局車を買い替えることにした。

 私は海外で暮らしていた時、2度車を板金塗装の修理に出した経験があった。1度は、ネパールだった。車は三菱のパジェロ。日本からの客人を案内して犀や象がいるチトワンへ行く途中、雇っていた運転手がカーブで事故を起こした。パジェロは大破した。結局客人を乗り合いバスでカトマンズに帰した。事故車を運転手と私でカトマンズに戻した。客人に怪我がなく良かった。車をカトマンズの板金塗装の修理店に出した。期間は3カ月かかった。ネパールに車両関係の保険はなかった。出来上がったパジェロは、以前とは違っていた。いかにも叩き出した感があふれていて、塗装も素人がペンキを塗ったようだった。

 2度目はチュニジアだった。車はFORDのCAだった。小さな車だった。雇っていた運転手がラウンドアバウトという円形の交差点で、いすずの小型トラックとぶつかった。車は大破。運転手は気絶。私は肋骨を折った。この時、車の修理に1年かかり修理代は、新車と同じくらいだった。保険は現地の保険に入っていたが、20万円ほどの保険金が下りたのは、次の任地へ出発する直前だった。板金塗装の仕事も1年かかった仕上がりではなかった。

 発展途上国では、もうダメでしょうと思われる車でも、何とか直して使い続ける腕はある。しかし日本の板金塗装技術のレベルの高さには遠く及ばない。それを私は身を持って体験した。加えて日本の車両保険は、実に役に立つ。友人は、ドライブレコーダーと自分の車にも保険を掛けた。私も危機管理をして安全運転を続けたい。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 巴投げ | トップ |   
最新の画像もっと見る

Weblog」カテゴリの最新記事