団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

最高の番鳥

2021年11月24日 | Weblog

 栃木県栃木市の住宅地で孔雀が目撃されたというニュースを見た。日本のあちこちで、本来、日本に生息しない動物の目撃の報告がある。これもそんなことかと思った。ただ「マホー」と大きな鳴き声を上げると書いてあった。目撃者が「大きな声で鳴くので驚いた」とも言ったそうだ。

 チュニジアに住んでいた時、大きな農場を持っているチュニジア人と親しくなった。よく農場に招かれて行った。農場の中の建物の前にロータリーがあって、半径10メートルぐらいの円形の植え込みがあった。高さ2メートルぐらいになった夾竹桃だった。そこに約10羽の孔雀が放し飼いにされていた。私は農場主が相当なハイソ願望を持っているのかと思った。そんな私に彼は、「孔雀は犬よりずっと役に立つ番人です。だから犬も飼っていますが、防犯のために孔雀も飼っています」と説明してくれた。「孔雀は危険を感じると、とにかく大きな鳴き声を上げます。10羽いたら、その鳴き声はもの凄いです。泥棒も逃げ出します」 孔雀が犬より役立つ番鳥だと、チュニジアで初めて知った。

 小学生の遠足で小諸市の懐古園へ行った。公園の中に小規模な動物園がある。私はそこで生まれて初めて孔雀を見た。運よくオスの孔雀が羽を大きく扇状に開いた。この世の物とは、思えないほど綺麗だった。将来の夢という作文に「大人になったらたくさんお金を貯めて、家の庭で孔雀を飼いたい」と書いた。それほど私は孔雀の美しさに魅入られた。

 高校生の時、エリザベス・テイラー主演の映画『クレオパトラ』を観た。話はほとんど覚えていない。ただクレオパトラが宴会に招かれたシーンに孔雀の丸焼きがあった。丸焼きには見えなかった。なぜなら生きた孔雀のように羽がついていたからだ。孔雀を食べるなんてと不快だった。孔雀の丸焼きは、王様や貴族は、好んだらしい。英国の国王ヘンリー八世は、孔雀の肉が好物だったという。国王のために、調理場で孔雀の羽を取り、焼いてその後で再び羽を元通りにして供されたという。国王の威厳を保つために贅を尽くしていたのであろう。

 丸焼きは、豪華な料理の代表だ。私が住んだことのある国々で、招かれた家庭でも、そういう歓待を受けた。カナダではニワトリの丸焼きが、よく出てきた。感謝祭やクリスマスには、大きな七面鳥の丸焼きに、度肝を抜かれた。妻の赴任地のベオグラードでは、子豚の丸焼きがよく出てきた。昔観た西部劇で、テキサスの農場主が、娘の結婚式に牛の丸焼きを、使用人に作らせるシーンがあった。いくらテキサスでも、話が大きすぎると思ったが、テキサスではあり得ることだと聞いた。

 今週末アメリカは、感謝祭の祝日がくる。アメリカ中で、たくさんの七面鳥の丸焼きで祝われることだろう。クリスマスも七面鳥。七面鳥は、臆病な動物で、恐怖が迫ると心臓麻痺を起こすとか。1羽が倒れると、連鎖して他の七面鳥も死んでしまうと、カナダの七面鳥農家に聞いたことがある。これでは、七面鳥はとても番鳥にはなれない。

 私の庭で孔雀を飼う夢は、実現しなかった。この先も夢が叶う可能性はない。だが体調がよくストレスも低い夜、孔雀が羽を開く夢を時々見る。孔雀は私の健康の番鳥である。

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