団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

サソリ

2021年11月26日 | Weblog

  平均年間雨量が1ミリのエジプトの南部の都市アスワンが1112日、信じられない豪雨に襲われた。温暖化による異常気象が世界中から報告されている。このニュースは豪雨だけで終わらなかった。豪雨が去るとサソリが異常発生した。エジプト保健省の発表によると503人が刺されて3人が死亡したという。

 砂漠を舞台にした映画には、サソリに襲われる場面が出て来る。私もチュニジアの砂漠でサソリを実際に見た。姿かたち色すべてが恐怖と直結する生き物だ。サソリに追い回される悪夢は、首筋に冷や汗ものである。

 

 今回大量のサソリが出たエジプトではサソリは、お守りになっている。古代エジプトの神話にセルケトという女神がいる。頭にサソリをのせている。古代エジプトでもサソリは、人々から恐ろしい生き物だと思われていた。古代エジプトでは、この女神が、砂漠の毒を持つ生き物から人々を守ってくれると信仰された。今回の異常発生は、この女神セルケトさえ驚いて目を覚ますのではないかと思われるほどの大発生だったらしい。

 

 毎年世界ではどれくらいの人々がサソリに刺されているのかの統計がある。世界全体で1500万人が刺されて2600人が死亡するという。北米では事故1,000件中死者が1人、中南米では40万件中210人、アジアでは25万件中650人、中東~北アフリカでは55万件中1,600人、アフリカでは20万件中80人、ロシア・ヨーロッパとオーストラリアでは数件中死者0人。統計上でもやはり中東~北アフリカの数字が突出している。

 

 日本ではサソリの被害はない。しかし似たような生き物で、ゲジゲジやムカデがいる。ゲジゲジは毒を持たないが、ムカデは毒を持つ。私が住む集合住宅は、前が川で裏が山である。人間以外の生き物の数の方が多い。ムカデやゲジゲジも多い。時に異常発生する。妻はこの手の生き物が苦手である。妻が叫び声を上げるのは、間違いなくゲジゲジかムカデを発見した時である。私は本を読んだり、ネット検索して侵入を防ごうとするが、いまだに効果は出ていない。ゲジゲジやムカデで妻は、この大騒ぎなのだから、サソリに遭遇したら、おそらく気絶するだろう。

 

 サソリは、砂漠を舞台にした映画によく出てくる。サソリが出てくる時は、恐怖を掻き立てるような音響効果が使われる。音とサソリの姿。黒光りするサソリのハサミが、ズームアップされる。主人公は、何も知らずに寝ている。あッ刺される。と思った瞬間、誰かがサソリを退治する。見ている方は、ハラハラドキドキ。映画だからいい。もし自分が寝ている時、サソリに刺されたら。ここは日本だから大丈夫。でもムカデに刺される可能性はある。さらにムカデ対策を講じなければ。

 

 チュニジアには、ムカデを乾燥させて海外からの観光客に売る商売がある。日本人を見つけると「義理の母にサソリを」と言って売り込む青年がいる。サソリは標本にもならないくらいお粗末なしろものである。私ならレジンでサソリを閉じ込めてキーホルダーにして売るのにと何度思ったことか。「義理の母にサソリを」は、感心した。誰が教えたにしろ、上手い。私もサソリではないが、何度か「義理の母に〇〇を」と一瞬思ったことがある。

 

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