団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

バードウォッチング

2024年04月23日 | Weblog

  妻と散歩中、「あっ、カワセミ!ほら、あそこにカワセミ。そこの赤い葉の木のそば」と指さす。カワセミと聞いただけで、もう興奮してしまう。1年散歩しても、カワセミを見られるのは、1回か2回。この機会を逃してなるものか。目を凝らす。「赤い葉」ってどれよ。わからない。赤い葉の木をみっけ。でもカワセミらしきものが見つからない。妻に問う、「本当にカワセミ」。妻が答える、「間違いないよ。だってカワセミのあの青色だったもの。見間違えじゃない」。結局、私は、カワセミを見ることが叶わなかった。見たかった。なにか大きな損をした気がした。落ち込む。でも数週間前にひとりで散歩中、2羽のカワセミが川の水面を飛んでいたのを見ていた。

 3月の在京同期会で、私と同じ様に毎日散歩をするという人たちがいた。夫婦で歩き、バードウォッチングを楽しんでいると話した。神奈川県海老名市に住む人は、ほぼ毎日、カワセミを見ることができる場所が、近所にあると言った。毎日!羨ましい。確か、鳥図鑑にカワセミは、小魚を餌にするので、小魚がいる場所でないと住まないと書いてあった。海老名の川のカワセミが来るところには、小魚がたくさんいるそうだ。カワセミは、魚を捕らえる名ハンターである。水中にダイブして、上手に魚を捕まえる。私が散歩するコースにある川に小魚はあまりいない。カワセミの数が少ないのは、餌になる小魚が少ないからだのだろう。

 小魚が少ないが、鮎やジンケン(ウグイ)は、いる。それを狙って、アオサギやシロサギ、時たま鵜(う)もいる。毎年春に漁業組合が鮎の稚魚を放流する。魚を餌としないカモもいる。最近増えているのが、カラス。スズメもたくさんいる。セキレイもいる。3月末からツバメが飛来して、川の水面を飛び交っている。ツバメの飛び方は、見事である。他の鳥と比較すると、早さといい急下降急上昇の鋭敏さに、ただただ見惚れてしまう。ぬかるみからあの小さなクチバシに泥を少しずつ運んで巣作りをする姿は、驚嘆以外なにものでもない。人家の軒先にわざわざ巣を作る賢さにも感心しきり。それぞれの鳥が、いろいろ工夫して生きている。

 鳥が飛べるという能力に子供の頃から憧れを持っている。先日、頭上をトンビが滑空していた。私は、グライダーのように羽を大きく広げて、空を滑るように悠々と浮かぶトンビを見ているのが好き。スズメでもカラスでもカモでもアオサギでもモズでもウグイスでも、飛ぶ姿は、それぞれだが、飛べるということが凄いと思う。人間は、鳥の真似をして飛行機を作った。鳥は、その機能を産まれた時から持っている。

 散歩を日課とする私は、毎日、散歩をしながら鳥を見たり、花を見たり、山を見ている。先日、商社マンとして世界中を駆け回っていた友人と食事をした。彼は最近東京へ行って、人混みを見たり、入り込むと気分が悪くなると言った。私が住む町に越してきて、静かな環境に慣れて、これが一番嬉しいと語っていた。

 私が散歩する時間帯がだいたい同じ老女がいる。散歩というより、少し歩いては、川を覗き込み、木に持たれて木と会話しているかのように時間を過ごしたりしている。いつも私と同じくひとりである。先日、初めてすれ違いざまに言葉を交わした。私「カワセミが飛んでいましたね」。「はい、2飛んでいましたね」 ちゃんと見ていたんだ。2匹と言った事が、とても新鮮に感じた。何だかとても嬉しくなった。


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