団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

さあどうする?

2010年07月06日 | Weblog
 30日の昼、娘の友だち家族が伊東の温泉に泊まった後、去年の12月に生まれた赤ちゃんを見せに我が家に立ち寄ってくれることになっていた。右足母趾関節炎で歩くのも不自由だったが、娘がお世話になっていて、日頃感謝しつつも恩返しができないでいる。3歳の女の子も可愛く、その成長ぶりも見たかった。大したことはできないが、せめて昼食を食べていってもらおうと前日から準備していた。伊東から「これからそちらに向かいます」と電話で連絡してくれた。

 調理したり、テーブルのセットをして到着を待った。12時半過ぎに家の前に着いたと電話があった。朝からポケットに入れておいた駐車場ゲートの開閉リモコンを確かめ、玄関を出る。小さな子ども二人いて、いろいろ荷物も多いだろうし、私もこんな足の状態では、手伝うこともできないと、いつもたとえ郵便物、新聞、ゴミ出しの時でも施錠しているのに、玄関の鍵をかけずに迎えにでた。集合住宅の玄関ホールから裏の駐車場へ出る時、ドアは鍵がなくても外に出ることができる。不自由な足をぎこちなく運び、駐車場のゲートをリモコンで開ける。車の中で3歳の女の子が手を振っている。車が入る。リモコンで閉める。駐車する区画に案内した。「足どうされたんですか?」と心配してくれる奥さんに「あとでゆっくり話します」と言い、初めて会う康生くん6箇月にメロメロになっていた。杏莉ちゃん3歳と手をつなごうとするが、杏莉ちゃん、私を警戒していて、手をつながせてくれない。荷物の準備もできたようなので、玄関ホールに入る裏ドアに向かう。いつものように首から下げたJRの定期と家の鍵を掴もうとしたその時、「しまった」と声を上げた。ない、鍵がない。到着したばかりの4人家族が何事かと固まった。「鍵が」としか言えない。パニック状態。

  取りあえず、リモコンで駐車場のゲートを上げて、正面玄関に行ってみよう、と思った。ゲートと正面玄関の間にプリウスが駐車していた。運転席で70歳くらいの男性が弁当を食べていた。私は天を仰ぎ、「ありがとうございます。これで中に入れます」と言った。おじいさんに「×号に住んでいる・・」と言いかけたが、おじいさん、様子がおかしい。私「すみません、ここに関係ある方ですか?」と優しく尋ねた。「関係ありません」と食事を途中で中断された怒りをあらわにして言った。(そうだよな。ここに住む人やここを訪ねてきた人が、ここで弁当たべないだろう)

 玄関に向かった。一応玄関の大きな木製のドアを引いてみた。最近の湿気で木が膨張していて開け閉めがうまくいかない。もしかしたら、開くかもの期待を持っていた。残念!開かなかった。再び裏の駐車場に戻る。客人夫妻は、集合住宅のベランダに向かって「すみません!」と呼びかけていた。そうでなくともここは、週末や別荘として使っている人が多く、7,8割は常時留守である。 絶体絶命か。私は自分に(浅見光彦になれ。考えろ。考えれば、道は開ける)と気合を入れた。

 閃いた。玄関にインターフォンがある。それでいつもここに住む人に助けてもらえる。(常時すんでいるのは○号に△号に□号・・) 不自由な足で走っていた。インターフォンで○号の部屋番号をまず押した。「ウーワンワン」まず犬の吠え声「ハーイ」「一階の山本です。鍵を部屋に置いたまま駐車場に来てしまい、入れなくて困っています。助けて下さい」「でもどうして玄関へ・・・」 (賢い!見直した)だれだって疑問に思うことだ。「リモコンだけ持って出たんです」「わかりました。どこへ行けばよいのですか?」「駐車場のドアをあけていただけますか?」 後で冷静に考えたら、この時玄関のドアを遠隔操作で開旋してもらえば、部屋の鍵はしてなかったのだから、奥さんにご足労してもらわずに済んだはずだった。でも声だけでは、怪しまれて、開けてもらえなかった可能性もある。とにかく裏の駐車場に戻り、客人を安心させ、上の階の奥さんの到着を待った。「さあ、どうぞ、私たちも時々するんですよ」と笑ってドアを開けてくれた。

 首から鍵をかけているのは、格好悪いけれど、私には必要な対策である。反省しきり。これから気をつけて他人に迷惑かけないようにしたい。客の一家は夕方5時に東京へ戻った。夜、帰宅した妻に事件の詳細を話すか話すまいかと迷ったが、正直に話した。妻は「忘れないでつけててね」と私の首にかかっている車の免許証、定期券、保険証に鍵のついたストラップをぐっと引いてため息と共に肩を下げた。 
(写真:私の鍵)

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする