備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

全てはビールのために!

2009-10-02 17:52:11 | Weblog
拙宅から備前方面に出るときは二つのルートがある。拙宅と備前の間には、熊山山系の山塊があり、それを迂回する為。東回りか、西回りかというルート。

さて、西回りルートは吉井川と平行して走ることになる。
その途中アチコチに用水の取水口がチラホラと見える。古い物では江戸時代に遡るものもある。


現代に作られた取水口のひとつに、ビール工場のものがある。
テロ警戒と書かれた重厚な看板や南京錠がかかった入り口などが見える。

某カヌーイストに「水の上で水に渇く」とまで酷評されたことのある吉井川であるけれど、最新技術で濾過しているのだろう。

日本酒の場合、多くの造り酒屋さんは井戸を持っていて、地下水を汲み上げたりしている。その為、その井戸が重要。知り合いの造り酒屋さんで、近くの河川改修に伴って井戸水が出なくなり廃業した所もある。
工業的に濾過することも出来るのだろうけれど、風土気候に応じた昔ながらの『何か』がなくなるらしい。軟水、硬水というだけでなく、そういうものとか。

釉薬でも天然木灰と、成分を似せた合成灰では明らかに表情が違うので、なんとなく理解できる。
焼き締め陶では、粘土がそういう存在になるのだろう。
時々、窯業地名のついた『○○土』という合成粘土を見かけるけれど、どうなのだろうか。
使ったことがないので、よく判らない。

工業的な濾過水で作った世界に誇れる高品質なビールのように、「コク・キレ・香り・クール・リッチ・雑味なし・旨味だけ!」っていうヤキモノが出来るのかな。

『鉄分なし、粘りだけ!』
『リッチな味わいとコク』
『雑味なし、キレずにクール』っていうカッコイイ粘土なんだろうか。

何、言ってんだか……。┐(-。ー;)┌



……いや、この前ね。

原土100%の練らない土でね、手びねりで大きな鉢を10個程作ったのさ……。
それで天満屋の会期中に乾燥させておこうと思って、ムロでホッタラカシにしてたわけ……。その間、まったく見なかったのね。ゆっくり乾燥させている心算だし。

で、今日久しぶりに見たらさ、全部ヒビが入ってる!
もちろん、もう焼けない。それに練らないのが持ち味だから、この土をまた同じようには使えないんだよね。壊して水に戻して、別のことに使うしかない。
という事で、これまでの時間もろとも全部パァーなんだわさ……。

で、テンション、ダダ下がりなわけ……。 ┐(-。ー;)┌


原土そのままの粘土は、夾雑物たっぷりで、石・砂・シルト・有機物があって、練らないから収縮率がバラバラ、含水率も微妙に違うし…扱いにくい。


まっ、駄目になったけれど、今回唯一あったのは『キレ(切れ)』だな。
(慰めにもならん…)


コクがあってキレのあるビールでも、呑もぅ!


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