美術工芸の歴史において書くことが憚られるが、我が業界における『負の遺産』がある。
しかし、それが時代であった。
写真のモノは手榴弾。武器である。
伝え聞いた話を滔々嬉々と書きたいわけではないが、メモとして。
・製作は、ロクロ成形と型作りがある。
・溝があるモノと無いモノがある。
・作者がわかるように番号が割り振られている。
・実戦配備はされなかった。
・戦後は戦争協力者として逮捕されぬように、地中に埋めてGHQから隠した。
備前焼の手榴弾が作られたのは、全国規模での金属供出でも武器材料が足りなかった為である。堅牢であった備前焼は代替材料して注目されたのだろう。
しかもこのレベルのものは、傷を負わせる程度の能力である。
つまり戦場で怪我人が出れば、その対応の為に人員を割く必要がある。怪我人+αが戦線を離脱し、効率良く敵兵を減らせる事が目的。
しかし、怪我する方にしてみれば、殺さぬように大怪我をさせられるのでタチが悪い。
これを作った当時の思い、終戦後の思い、今これらを見る思い……。
人それぞれの状況や事情で見方は変わると思う。
今、シンプルに言える事は、市井の陶工が自由にモノ作りが出来る環境や時代が続いて欲しいという事。
終戦記念日であり、近頃の周辺諸国の危うい緊張関係に思った次第。