備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

【告知】 展覧会&お茶会

2015-09-25 06:10:21 | 展覧会・ご案内


遅ればせながら(でも珍しく会期前!)に告知で御座います。

所属しております『備前焼作家集団けらもす』の6年目の展覧会です。ソフトウェアの開発番号と同じように数字を刻んでいます。毎年更新なので今年は『6.0』です。
もし年内に展覧会をする事になれば、マイナーチェンジと同様に小数点以下の数字が増えます。次は6.1。
但し、今のところ予定なし。

今回は、美術館を市場にするという方向性です。倉敷美観地区にあってちょっと入りにくいかな?という美術館をより気軽に親しんでいただけたら幸いです。

9/26(土)~10/4(日)まで。9:00~17:00(入館は16:30まで)
なお、土日はワークショップとして備前焼ビーズでアクセサリーを作ったりします。10:00~16:00で実施。

また、2013年の『廻遊~海から山から~』で行ったアートinガチャが好評だった事を受けて、備前焼ガチャとして設置します。こちらは、けらもすメンバーのモノで。
「あ~~、またアイツら好き放題やりやがってぇ」という声も聞こえそうですが。気にしない。


で、本日、倉敷へ搬入ですが、ほぼ同時進行でコチラの横浜の案件もあります。

全国より『へうげたる茶人』が横浜・三渓園に集い茶筅を振りまくる茶フェスです。
茶人のみならず、へうげた陶芸家も茶碗で参戦しております。
で、小生は、茶碗もお点前も……「いつでもどこでもアウェイ&マイノリティー」の立ち位置ですから、堂々と備前より参戦します。ただし、頼もしい相方は正統派茶人で御座いますから大船に乗った気で無手勝流で。(←思えば悪い道に引きずり込んだなぁ)


まぁ、常の如くバタバタして準備しました。いや、まだしてる。

一昨日までチビ窯を焚いていて、昨日は野暮用もあり……ということで、昨日から本格的に取り掛かり……遂に完徹。空がもう明るい時間にようやく告知に取り掛かっています。
もう、眠気と疲れが綯い交ぜでキーボードをガシガシと叩き込んでいます。

まぁ、遠足前の子供の如くワクワクして眠れなかった~~という事にしておきましょう。


ではでは、皆様のご高覧、ご参加賜りますれば幸いで御座います。m(_ _)m














多動性な秋

2015-09-20 21:19:33 | Weblog


昨日、チビ窯の窯詰め終了。
本日、朝から箱書きをワシワシとこなして梱包。昼からは配達・搬出等々の地回り各所。
明日、火入れ予定。我が家のシルバーウィークは窯の前で終わりそうだな。

そういえば窯焚き予告していたのに、ウチにサツマイモのストックが無いな。どうするんだろうか……ウチの子達。まぁ、エエか。「サツマイモがなければ、ジャガイモを焼けば良いじゃない。オホホ」


窯は鏡(窯の出入り口を塞ぐ壁)を作ったらいつでも焚けるのだが、正面焚口まわりの不具合を急遽改善する気になる。
こういう思いつきは即実行。延期するといつ完成するか自分でも判らない。窯焚きが終わったら放置する自信はあるし。

窯の焚き始めの低温時には、炎の大小の影響を最小限にしたい。その為にレンガでトンネルを作って焚口を伸ばす。ウチの場合は火入れ時にはレンガ4丁分のトンネルが壁から伸びている。
しかし、窯正面の床面の水平部分が短くて、窯焚きの度にレンガを仮組みして床を作っていた。これが毎回の事でちょっと不細工である。
そこで、美しいトンネルを作る為に、常設の床を作る事にした。余っていた竿石を土留めにしてレンガを埋め込んで基礎にする。

とはいえ、本格的に耐火モルタルを練って……というわけでなく、仮設よりマシな常設である。そのうち落ち着くだろう。

正面の改良工事を急遽思い立ったので、鏡はそっちのけのままである。

ほぼ終わった段階で、ふと、紫蘇の実の事を思い出した。花が終わって実がなっている。しかも沢山。
これは長く放置してしまうと種が出来て食べられなくなる。窯焚きが終わってからだと、忘れる危険もあるなぁ。試しに数粒を口に含むと"プチッ"っとした歯応えのあと香りが広がる。
「採るなら今だな」と即決。

またしても、鏡はそっちのけ。

日が傾きかけて、太陽光が黄色い時間帯。カラスが啼くのを聞きながら大急ぎで収穫する。穂をしごきつつボウルへ。若すぎる穂はまだ採らない。
あれよあれよとボウルに半分ほど。

最初こそ楽しい収穫だったが、後半は完全に作業となる。う~~む。子供達に下請けに出すんだった……。


慌てて収穫したので枯葉やゴミも混じっている。

これは窯を焚きながら洗って掃除だな。


とかく、多動性気味、行き当たりばったり、出たとこ勝負な仕事の流れであるが、漸く夕まずめに鏡に取り掛かる。
これにて、一応目前の案件は終了した。


今後の予定としては……、(←自分への備忘録として)
窯焚き中は、紫蘇の実仕込み、草刈、環境整備、焼き芋(ジャガイモ?)当番。
窯冷却中は、グループ展の作品チョイス、什器製作、企画原稿書き、散髪。
窯出し後は、仕上げ、梱包、出張準備、搬入、移動、お茶会2日間、移動、会場当番、会場当番、会場当番、搬出、栞製作。

この全ての間に製作して素地を溜めて次の準備をしなければ……。粘土の乾き具合で土を練らねばいけないし……。10月中に窯を焚きたい。あっ、割り木仕入れんと。

備前焼まつり、東京の案件、その後の企画展準備……。別件のグループ展も。うげっ。


やはり、多動性気味であるな。


秋って、そういうものかしら? (←季節のせいにして、すっとぼけ)































乳鉢購入

2015-09-18 12:30:21 | 陶芸


以前から、ずーーーと欲しかったモノ。やっと入手しました。小さい乳鉢。

随分探していたけれど、なかなか出会いが無かった。いや、出会ってはいたが「高いのはヤダッ」という理由で購入に至らなかっただけ。
ネットでも見たりしていたけれど、「何だかなぁ~~」と眺めるだけ。大きいサイズはアウトレット扱いでお求め易い価格もあったんだけど邪魔だし。

そもそも乳鉢は備前焼製作では基本的に不要な道具である。釉薬、上絵が無いので摺る必要が無い。他の産地なら業務用としては大きい方が良いし、大量に摺るならポットミルという便利なものがある。

これが欲しかった理由は、「少量の粘土を粉砕してドベ状(液状)にしたい」という理由である。目下のところは象嵌土に対する目的。
これまでは、その辺に転がっていたボウルに粘土を入れて金槌の柄で砕いていたけれど、どうにもしっくりと来ない。そりゃ、使い方が違うんだし。
で、ここで本業らしく「一念発起!」した……のではなく、出会っただけである。

陶芸材料を買いに行った店。
奥のショーケースの最下段に埃にまみれていたのを発見。何気なく価格を見るとかなり安い。(価格はネットで見当がついているしね)
思わず手が伸びそうになったけれど、ちょっと一計。

小生「あぁ、こんなの、まだあるんや」 (店主に聞こえるように独り言)

店主「もう20年ぐらい置きっ放しや。要るなら安ぅするで」 (よしっ、キタキタ!)

小生「でも、備前焼じゃ使わんし、要らんなぁ。小さいし」 (箱の埃を拭きながら、棚に戻す)

店主「1400円……いや、1000円!」

小生「乳棒もあるんやったら……、貰っとこうか? まぁ、出会いやし」(渋々な態で)

店主「毎度あり~~」


かくして、五寸乳鉢・乳棒付きを頂きました。
こんなのって不要ながら持っている人って、誰かいそうなもんだけど……新品なので良しとしよう。


いつ使うかなぁ……。


























































ドベ鉢3種

2015-09-10 10:57:09 | 陶芸


さて、先日、ドベ鉢の棚を改良をしたが、仕事としてのメインは棚そのものではない。肝心なのはドベ鉢である。
ドベ鉢は、粘土の水分を抜く為に使う鉢。

現在は紆余曲折で3種類を使用している。


【石膏鉢】
素材としては、総合的に石膏製が優秀である。全体がやんわりと偏りが少なく水分が抜けていく。これを使うのがヤキモノ屋の正統派か。ただし、劣化しやすいので扱いは優しく。
過日の強風での落下惨事でこれらが5つ破損した。痛手だ。この件で正統派ステイタスがやや遠のいたか……。いや、元から遠いな。
石膏型を作って自作すれば安く出来るが、それなりに時間が掛かる。また、次の機会にでも。まっ、いつか知らんけど。
『エエ子やけど気ぃ使わなアカン、ややこしい子』との縁が切れたと考えておこう。


【駄鉢】
独立当初から使っているのは、いわゆる駄鉢である。(過去記事にも再三登場してますが……)
利点は、丈夫かつお求め安い価格である。人によっては「初窯前の窯の空焚きで素焼きの鉢を作る」という方も居る。しかし、小生はしなかった。駄鉢が粘土代より安かったという理由。
これは丈夫であるが吸水性はあまり無い。ホームセンターで焼けの甘い(焼成温度が低い)ものをチョイスしたけれど大差はない。
しかし、一転、冬場のパフォーマンスは石膏鉢を超える。夜に凍って昼に溶ける事で劇的に水分が抜ける仕組み。冬の朝がそこそこ寒いという環境が必要であるけれど。
『見た目はまぁまぁ、丈夫一点張りの働き者な子』である。


【カゴ】
最近は冬場仕様の進化版としてプラスチック製の籠も使い出した。100円というやきもん屋のお財布に優しい。水分の抜けはベスト。かつスタッキングが良く軽い。何よりもドベ鉢以外にも使えるマルチさが良い。
問題は、風情としてヤキモノ屋のイメージっぽくない点である。そういう意味では『安くて便利なマルチな才能。但し、人目を憚る軽~い子』だな。


まぁ、そもそも冬場仕様のドベ鉢のポイントは鉢そのものではない。使っている布が大事。今は酒を搾る袋を使用している。
独立前に勤めていた窯元の株主が酒蔵会社オーナー方だったので、折を見て頂いていたものである。搾ることに特化した素材なので性能は抜群。

『分離した液体が必要なのは酒屋さん、残った酒粕が必要なのが奈良漬屋さん』という事。
その伝として、やきもん屋さんが転用である。
粘土から出てきた水を回収して再利用すれば大したものであるが、その仕組みを作るのは今のところ予定なし。


天気と粘土の堅さを常時確認する日々であります。





























15分トライアル大工

2015-09-08 19:03:13 | 陶芸


過日の事。秋雨前線真っ只中、晴れ間をみて大工仕事に取り掛かる。ドベ鉢を並べる棚を改良する予定である。きっかけは師匠から2×4材を沢山頂いたことにある。
いつ雨が降るやも知れぬので15分程度で終わらせる決意で。「よーい、ドン」。

改良するのは竹竿の部分。竹竿は裏山から調達していたものであるが、ドベ鉢を置いていくと竿の中間が撓む。水平が保てないと扱いがヤヤコシイ……。

これまでは解決策として太くて真っ直ぐな竹を探して切り出していた。が、それも段々億劫になってきた。途中で突っ張りを入れたりしたけれど、扱いにくい事は変わらない。それに竹自体が劣化するので毎年更新が望ましいが、イノシシが竹薮を走り回るので新しい竹が出てこない……。
その上、先日は強風で棚からドベ鉢が落ちて5つ破損するという惨事もあった。竿はタダだったが結局高くついたので、これも改良の契機である。

斯様に、日々難儀しているところに「貰いもんやけど、使えるからあげる」という天の声が!(違っ、師匠の声だ)
ありがたや~~。実際頂いたのはかなり以前であったが……。


一旦、棚をバラすが使えるものはそのまま流用する。15分トライアルの大工仕事である。流用上等! 本日のモットーは「時間を掛けずに良いものを」である。それにこういうものは段取り八分だ。(8min.ではなくて80%ね)

ついでに草抜きもして……。壁についた粘土はご愛嬌なのでそのまま。

切断加工なし。あるがままを、あてがい大工で製作。15分だからね。(←ハイハイ)

インパクトドライバーさまさまで完成~~~。


見込み通りほぼ15分で終わった。出来上がると直ぐに使用開始だ。

おっ、撓まないぞ! 気持ちが良い。


改良も済んだので、これからは粘土作りもジャンジャンと。
そして、モノ作り、割り木運び、窯掃除、窯詰め、窯焚き、展覧会、企画、ハッ!! 備前焼まつりもかっ! いや、もう年末も……。


という事で、更に『絶賛!! 引き篭もり中』と相成ります。ではでは。 ヾ(*^o^*)










































初秋の紫蘇

2015-09-05 16:34:45 | 料理・食材


朝から虫の音が聞こえてくる。周りは秋の気配が濃厚になってきた。

敷地の一角に不耕起無農薬(蒔きっ放し)栽培の紫蘇がある。草刈機で刈るほど勢いが良いが、もうボチボチ終了かな。

しかし、眺めていると「コレハ、モッタイナイノデハ?」と思い至る。
しかし、葉が大きくて筋張っているし、そもそも大量……。
しかし、柔らかくしつつ保存食ならば。

しかし、しかし……、う~~ん。「如何にして食すか」という一点のみの問題である。う~~む。


ふと、親父(御香屋14代あれこれ)からニンニクを貰っていたのを思い出した。「アレダナ……」


解決メニューは、『紫蘇の葉の醤油漬け ニンニクマシマシVer.』である。ちなみに常の如く参考レシピは無い。


紫蘇の葉は丁寧に洗ってブンブン丸(遠心力で野菜の表面にある水分を飛ばす調理器具・拙宅での渾名)で水分を切っておく。
ニンニクをガシガシと剥く。(包丁の腹で押してから剥くのが吉)
清潔な瓶を用意して交互に重ねていく。紫蘇が密着してしまうと漬からない部分が出来る気がしたので、時折、醤油も注ぎつつ菜箸で微調整する。お箸の国の人で良かったよ。

「ニンニクと紫蘇のミルフィーユ仕立て~~」とご満悦なところ、更に上から重しとしてニンニク増量である。ニンニク自体は腐りにくいので最上部の重石としては有効だろう。最終的に全体が漬かるように醤油を注ぎ込む。

「ゴマ油で上からコーティングするべきか……」と悩んだけれど、酸化の恐れもあるので止めた。いつ頂くかは不明である。将来の気分なんて今から判らんのでね。危険は避けよう。

さてさて、これを冷暗所に置いておけば、あとは時間が調理してくれるだろうよ。たぶん。



初めてのニンニクバージョンである。結果や如何に……。

それにしても紫蘇を相手にしたはずが、手がかなりニンニク臭いよぉ……。(´・_・`)