備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

ミライノカセキ(魚)の作り方

2018-09-26 09:45:45 | 陶芸


ミライノカセキの魚バージョンの作り方をよく訊かれるのでレポ。(製作中を画像で出すのは初めてだな)
伝統的な備前細工物は型起こし製作がメインですが、近年は一点モノもあります。
拙作の場合、まだまだ発展する予定なので一点製作です。

まぁ、基本的には、「ま~~る描いて、フォイッ!」です。 ( ← 古い) 
違っ。
「魚型弁当箱に、部品というオカズを詰める」です。 ( ← ちょっとザックリ過ぎか)


では、調理スタート! 食べられないけどなっ。 Ψ(`∀´)Ψ

製作時間は、午後イチ~番犬福助の散歩時間までが目安です。
あっ、設計図とかないから。
__________

【1】 粘土を丸めて、おおよその魚の形を作る。

金魚は菱形。鮭、鱒などは紡錘形とか。なんとなく。左側に頭をイメージ。


【2】 背びれをつまみ出す。顔のサイズを決める。

この段階で作らなかったヒレは後付け。別に作ります。
側線、背びれ、エラの位置のキワはキッチリ決める。顔のデフォルメはテキトー。
バランス大事。ある意味、決定的な場面ではある。


【3】 部品が入るスペースを作る。

カンナで削り出す。内側は後から入れる部品との隙間が出来ないように、カドカド、ピッピッ。
スケルトン部分は穴を貫通。展示用の穴を腹側に空ける。
イケイケドンドンで。


【4】 部品を作る。(ヒレの写真は忘れた)

チマチマと楽しい。
 ↓
バリエーションを増やすのが悩ましい。
 ↓
チマチマが辛くなってくる。
 ↓
「選択肢が増えるので、作りすぎるぐらいで丁度良い」と修行の如く作る。


(ここまで石膏型で出来ますが、敢えて手捻りで)


小休憩チャンス。
ここからが時間が掛かるので、気持ちを入れ替えよう! コーヒーを淹れるのが吉。
_________


【5】 部品を接着していく。

設計図がないのでアドリブで。
心臓に近いところは大きい部品、ヒレの近くは歯車、口の中はパイプ、エラはコード、内臓系はタンクなど。
スケルトンになるところは、空き具合に注意。

それぞれの部品の乾燥具合を見極めながら接着するのは、楽しいけれどメッチャ気を使う。目が疲れる。
 ↓
なかなか捗らないが、途中でやめれないジレンマ。

【注意点】
「何故、これを作っているのか」という自問自答は禁止。自分を呪い出す時もあるけれど、心を強く持つ事。

【備考】
そのうち「部品が入るほど嬉しい」という製作ハイに達するので精神衛生上は大丈夫。
但し、あとから来るダメージが大きい。


大休憩チャンス!! 
既にハイな状態なので、このまま続けることが多い。
_________


【6】 ヒレを組み立てる。

急に曲線を意識して作るので、頭と手が戸惑うのが判る。この切り替わりが面白い。( ← たぶんビョーキ)
このタイプの金魚の尻ビレは、帯びれに隠れて見えないので省略。


シリアルナンバーを入れる。
大抵の場合、部品ギチギチでナンバープレートを入れる隙間が無くて焦る。( ← 次作でまた忘れて、部品てんこ盛りを繰り返す)


【7】 完成~~~~~~~。

透け具合はこんな感じで。

ジャ~~~ン!( ← 何の音だよ)

ご満悦の瞬間。


【8】 乾燥へ。
置けなくて手に持ったまま焦る。「何処にどうやって置くか」しばしウロウロ。福助と目が合う。
スポンジを見つけて、そっと寝かせる。

__________

てな感じです。

時系列で書くと早いんだけどなぁ。いやはや。 .....( ˘•ω•˘ ).。oஇ


この後は、福助と散歩。
歩きながらクールダウンする。
疲れてトボトボ歩くので、最初はしゃいでいた福助が途中から心配顔で振り返る。
『酒器の勉強』時間が迫っているのを思い出して元気復活!


で、コレ、焼かないと本当には完成しないのよねぇ……。

まっ、それはそれで楽しみではあるけれどさっ。 ( ̄ε ̄)~♪



【ご案内】 ミライノカセキ@阪急うめだ本店 スーク暮らしのアトリエ

2018-09-25 10:02:29 | 展覧会・ご案内


本日からスタート。
__________

・タイトル : ミラノカセキ ~Where Or When~
・会期 : 9/25(火)~10/2(火)
・会場 : 阪急うめだ本店 10階 スーク暮らしのアトリエ

・在廊日 : 29(土)、30(日)

__________


今回のタイトルは、JAZZナンバー『Where Or When』からです。
曲は甘酸っぱいデジャブ的な内容ですが、まっ、人生いろいろなのよさ。

高校生の頃、ラジ関(地元ラジオ局)の深夜ジャズ番組のテーマ曲だったっけ。後に弾いてたのがエロール・ガーナーのライブ盤と知ってCDを購入。
当時はテクノ黎明期からフュージョン全盛期。キラキラ高音と単調な打ち込みリズムから自分をリセットする時の一枚にしていました。

叙情的でガチンガチンな左手、対照的な軽さの右手。和音をブレて押さえる揺らぎ、クセのある無骨さが良かったなぁ。あと、よく歌ってる。
急にアドリブで曲が変わるのが晩年の談志みたい。
見よ、このジャケットのダサさ!(←褒めてる) 


さてさて、告知を。
今年3度目、今月2度目の大阪です。有難い事で御座います。



劇的に大阪駅周辺が様変わりしていて浦島太郎状態です。
「え~~~と、どっちに行ったら良いのかしら?」という事も多々。「人生にも道にも迷うわぁ」というベタな事を言ってたらゴメンナサイ。
知ってたんだけどなぁ……、え~~~と。 Where? When?

今回は、使えるオブジェ『ミライノカセキ』をメインに、普段使いの器、ちょっといい日の器など150点あまりを展覧します。

お時間御座いますれば是非!


__________


備前焼には古来より『細工物』というジャンルがあります。
桃山時代の獅子香炉から始まり、のちには動物、霊獣、七福神などが作られてきました。

近代以降は、西洋彫刻の技法や考え方を取り入れた製作も行われるようになりました。

その延長として、SFジャンルのスチームパンクをモチーフとした『ミライノカセキ』シリーズを製作しております。
「いつかどこかで作られた機械が、錆びてのち埋没して、発掘されました」というストーリー性を感じて頂ければ幸いです。

香炉や花入として、用途のある『工芸としてのオブジェ』を目指しています。



<作家在廊日>
9月29日(土),9月30日(日) 午前10時~午後7時
__________

阪急 スタッフブログ
















照りっ……な具合で

2018-09-22 18:43:29 | 料理・食材


過日の事。

いつも色々とお世話になっている伊部のど真ん中のお寿司屋さんに出向いた折に、大将から頂き物をしてしまいました。
商売モノを頂いてしまい恐縮千万。
しかも、家族全員の口に入るように。アリガタヤ~~。

渡される折に「照りっ、テリッに仕上げてや!」と言われて、「おぉぅ」と若干のプレッシャーが。

出来るかしら? ヒヤヒヤするなぁ……、いや、目指すのはテリッテリッだ。


商売モノの素材なので、バッチリ掃除済みのコンディション。流石。

おっ、ヒレはエラの中に入れて形を保つのか……。なるほど、勉強になります。


大きな鍋を用意して、スタート。

あれこれして、しばし。

もはや「テリッテリッ」は呪縛だ。ちょっと意識し過ぎて手元が狂う。
「ん~~~、味醂プラス砂糖が多目になったか?」
しかし、これで煮汁が飴状になれば、シズル感ある「テリッテリッ」だ! 
あとは待つのみ……。

弱火でジンワリと。しばし、しばし……。


とっっっっ! 


冷蔵庫にオカラとヒジキがあるのを思い出した。「この煮汁、美味しいぞ」と思っちゃったんだから仕方ない。
汁っぽさが少し残るぐらいで終了する事に。

お供にしたのは、ゴボウ、ニンジン、サヤインゲン、シイタケ。
ゴボウは必須なのよね。多分、何処かでの刷り込み体験なんだろうな。

「テリッ!」ぐらいな仕上がり。(これで許して頂こう)

てな事で完成~~。



煮汁は、早速、別料理へと旅立って行きました。
頂き物から派生メニューまで、美味しく頂きました。



ごちそうさまでした~~。 m(_ _)m


 ・
 ・
 ・


……ってな話は、随分と前の事でありまして。

本日は梱包発送作業を朝から、ず~~~~~っとやっていてお疲れMAXです。

そろそろ、本日の『酒器の勉強』を始めなきゃなぁ……という時間。

あぁ、ツライ、ツライ……。(「どうしようかな?」と考え出すと、なんか元気出てきた)



さぁさぁ、どうなりますやら。