備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

大掃除

2008-12-30 12:44:32 | Weblog
「大掃除ですよ~」という巷の声を聞くと現実逃避して、見なかったことにしたいけれど、流石に窓から斜めに入る冬の光に舞い上がった埃を見たりすると、仕方なく始まったりするのが拙宅の大掃除。

屋外の蜘蛛の巣払いから始まり…、子供達の仕事量を見て、叱咤激励しつつ事を進める。

例によって、掃除に対するモチベーションが低くても始まれば、綺麗になる快感からドーパミンの大量放出を経て、更に掃除はエスカレートしていく。脳内物質の限界量からか年齢の低い順に掃除戦線からドロップアウト。気がつくと犬と戯れていたり、お菓子を齧ったり…。


気分転換に買い物に出ると、今年のお正月の傾向を感じる。これからがお買い物のピークなので結論とは言えないけれど。

感じるに、例年よりもお餅やミカンのラインナップが多く、お菓子売り場は少しヒマそう。お酒は廉価品が多い。切花も在庫多し。お飾りも随分と小さいサイズが増えたかな。ただ、縁起物関係のパックは多い。鰤、数の子、昆布、少量のおせち、練り物系……。
全体に自家消費用のニーズが高く、お持たせは今ひとつか。

見渡すけれども、お蕎麦はイマイチ。環瀬戸内小麦粉文化圏(勝手に命名)という土地柄かな。例年近郊では諦めていて、山形から乾麺なのに良い仕上がりの蕎麦を発注している。
讃岐方面は『年明けうどん』を商標登録申請して全国PRに余念が無いが、対岸であるコチラには、まだその熱は伝わってきていない。新年を迎えると一気に攻勢を強めるのかも。

さて、大掃除の最後は、テーブルをメラミンスポンジで「コンニャロ~~」と磨いて、蜜蝋ワックスをかけて終了。


「さて、仕事しよう」と思ったけれど、仕事場の掃除は一切していなかった……。

見なかったことにしよう…… ┐(-。ー;)┌


年末のCD

2008-12-27 10:25:57 | Weblog
今年もあと少し。先行きの不安を抱えつつも除夜の鐘へと突き進む。

クリスマスの朝、枕元にCDがあった。サンタ出現らしい。

秋頃にTVニュースの紅葉中継で、BGMで使われていたグループのもの。それを聞いて「おぉ~懐かし~」と画面に呟いていたのを細君が覚えていたらしい。

アディエマス。
クラシック、民族音楽の要素を持ち、アディエマス語(架空言語)のボーカルを多重録音したコーラスの独特な雰囲気の楽曲。NHKのドキュメンタリー番組のテーマ曲「世紀を越えて/ Beyond The Century」で有名になった。当時(90年代後半)は、その言語の由来をソシュールの言語学、ユング的に無意識などからもアプローチしたりもされていたけれど…。ボーカルが入る曲が苦手な小生には、言語の由来は興味が無い。しかし、この新しい感覚のスキャットには「やられた~」と思ったものだった。


ここしばらくで、「やられた~」と思ったのは、前にも書いたけれど、グスターボ・ドゥダメルマンボなどyoutubeなどに色々とアップされている。お気に入りはこっちのマンボ。必聴モノです。

ユースオケと侮ってはいけない。最近の初来日もかなり良かったとの事。初日のチャイコの『5番』は、かなり明るいラテン乗りのライヴ!だったとか。
2日目のマーラー『巨人』、アルゲリッチとのベートーベン『ピアノ、ヴァイオリンとチェロのための三重協奏曲』は、会場(東京国際フォーラム)のキャパが大き過ぎてオケには良くなかったとか。5000席とは、あまりにも……ひどい。(野外でベートーベンをするのか?)
全て伝聞でしか書けないのが悲しいな。

ドゥダメルの初日を聴きに行った人からは絶賛の連絡が入る。いわく「あの時、東京芸術劇場にいた人といなかった人。人類はこのふたつに分かれるのではないか」とまで…。
「う~ん、聴きたかったな~」と悔しがっていたら、「NHKのカメラが入っていたよ~」との連絡。
ナイス!グッ、ジュブ!NHK!地上波での放送を待ってるぜっ!

20代で次期ロサンゼルス・フィルの音楽監督就任も決定しているヴェネズエラの指揮者。絶賛応援中!色々とCDも出ています。
あと、佐渡さんも引き続き。(西宮へは近いけど、聴きに行ってないな~)


とりあえず、年内はアディエマスだが、季節感としては寒い。

…という事で、『落語界の第9』と勝手に呼んでいる『芝浜』を聴く…。

メリー・クリスマス!

2008-12-24 20:42:16 | 陶芸
今年はあまりジングルベルを聞かないような気がする。商業的な盛り上がりに欠けるのだろうか?それとも小生の個人的関心の問題なのだろうか?

さて、創業以来、欲しかった物をこの度購入した。しかも搬入は本日、クリスマスイヴ指定にて。土を練る機械。土練機。これを持たずにプロとして独立する人は少ない。というかハイアマチュアも持っている代物。

土練機を使わない事をウリにしていた訳では無いけれど、なんとなく買わず使わずだった。でも削りクズやらなんやら色々と溜まっていて、全てを混ぜて練ってしまおうと思った時に、流石に手足では追いつかない。
いやいや、これまではやっていたのだ…。けれど、時間に対する仕事量を鑑みるとダメだなと。2、3トンを人力で練るのは大変なのよ、ホンマに。

実は、中古で手に入る話があった。諸般の都合で自分の物にならず…。「あぁ、逃した魚は大きい~~」と数日悶々としていたら、カミサンに言われた。「欲しくて、必要で、買えるなら、さっさと買っちまえ~」と。こういう時、ウチのカミサンって男前なんだな。確かに言ってる事は正しい。ついつい勢いに押されて買っちまった。


で、「今のは凄い」というのが実感。コンパクトでも凄く働く。同じぐらいの能力の一昔前のものはでかくて、ウチでは邪魔。往年の名機を参考にして、作られただけあるな、と。


常圧式土練機 NRA-04S
日本電産シンポ株式会社製
単相100V。400Kg/時。
スクリュー、ケース材質はステンレス。


まっ、コレで要らぬ苦労から開放されたとしよう。備前焼には充分だと思う。

メリー・クリスマス!



手帳復活

2008-12-19 10:00:33 | Weblog
「今年も残すところ…」という言葉を聞くようになってきた。
毎年この時期、細君は翌年に使う手帳探しが恒例行事となっている。一方、小生はこの10年以上も手帳(スケジュール帳)なるものを持っていない。

学生の頃は、公私(といっても殆んど私)に渡って忙しかったのでシステム手帳を持っていた。あのバブル期はその厚みと重さが忙しさを象徴し、バイタリティーを誇示していたのかも。ジャパニーズ・ビジネスマンが24時間戦っていた頃だったなぁ。

それが弟子に入った途端、スケジュール管理は壁のカレンダーで充分となり、スケジュール帳を持ち歩かなくなった。忙しかったけど、師匠宅と窯焚きのローテーションという簡潔な生活で、あとは呑み会程度なので。
この数年は、携帯電話がアラーム機能もあって便利なので活用していた。アドレス帳も兼ねるし。

それが、最近とても不便を感じるようになってきた。忘れてはいけない事が増えたのもあるし、子供がらみの事もある。文字を打ち込む事に飽きたのもある。


で、手帳復活。

仕事の進め方として、ある時点に遡って考える事もあるので、記録を俯瞰できる紙媒体は便利。デジタルは結果の表示には向くけれど、試行錯誤の過程を残すのは不便だし。

スケジュール部分は分単位の仕事は無いので、テキトー。問題はその他のスペース。スケジュール帳と方眼紙(ラフデッサン用)とメモ帳を兼ねるものを探す。あとはギミックな部分の良否かな。

最終的に選んだのは……、
「あ、アナタもそれですか?」と言われると恥ずかしいけれど、知ってる人は知っているという『例のヤツ』です。でも黄色は『見せ色』なので、持ってる人は少ないと思うけどね。


参考までにコチラ



お城がないけど…

2008-12-17 00:24:35 | 料理・食材
地物のカレイ×2とコチ×1の頂き物をしました。いつも有難う御座居ます。m(_ _)m
イシガレイはすごい生命力で、まだ生きている。30cmオーバーの良いサイズ。

カレイのひとつは背中に突起物があるので石鰈(イシガレイ)。もうひとつは「アマテ?」と尋ねると、「城下かれいと同じ種類で、お城が無いからそうは言わないカレイ」との事。
『城下』という言葉に口内に反応が……パブロフの犬か?

早速、せっせと包丁研ぎ。
「お城が無いけど城下~♪ シロシタ~♪」と、妙な節まわしで。

当然、ここは刺身。肝は、醤油に溶かし込んでしまう。(ポン酢の方が良かったかも) 肝が旨いのです。
大きくなりつつある卵はサッと煮付けて。

イシガレイはちょっとクセがあるけれど、腹側は美味。で「城下~♪」は歯ごたえ良く淡白ながらも味はしっかり。冬の味覚やね。ヒラメもいいけどカレイもね。


さてさて、『城下~♪』であるけれどコレは『マコガレイ』のブランド名。

ではアマテは…と、再確認してみると、マコガレイの瀬戸内の地方名が『アマテカレイ』でした。城下かれい=マコガレイ=アマテガレイ。


おぉ~、やはりソナタはアマテ。
それにしてもアマテも立派になると、かくのごとく旨いのか!という発見でした。

(大体、手のひらサイズぐらいしか知らんのよね……)


ジャム作り、ちょっとケチケチ

2008-12-15 12:37:16 | 料理・食材
庭とは言い難い拙宅であるけれど、何かと実の成る木が植わっていたりする。
柑橘系も数種類あるけれど、放任主義というか手入れをしないので成績は悪い。

その中で最も優秀なのがレモン。大きな鉢で細君が管理している。今年は、樹高70cmながら20個以上成っている。一枝辺り7個。枝についたまま黄色く完熟。切ってみると果汁が少なくパサパサ。摘果しないせいか?
それでもモッタイナイ精神と言うか、ケチケチ根性で、その皮でマーマレードを作ることにした。

ザクザクと細長く切って、果汁と一緒に丼鉢に集める。そのまま電子レンジに数回かけて、皮が柔らかくなったところで琺瑯鍋へ移す。柑橘系の実はジャムっぽくまとめる為のクエン酸は必要ないので、コレに砂糖を入れて弱火にかけてオシマイ。簡単。子供にも出来る。


ではあるが……更にケチケチ根性を発揮させる。オホホ…。

夏にアイスコーヒーに使っていたガムシロップが大量に残っている。一気に捌くには、大量に使う事。(当たり前)。そのまま消費期限を待つのも如何な物か。そこで……YES! I use this to make jam!(合ってるのか?素晴らしいヒラメキと思って気取ってしまった!)

甘味は温度が低いほど感じにくいので、常温に戻った時を想定して、とにかく入れる。入れる。入れる。「えっこんなに沢山?」と思わないのが美味しく作る最大のコツ。どうせ、食べる時には砂糖の量は忘れているし……。美味しい事が優先。
果汁が少なかった分、シロップはかなり有効のよう。また新しい発見。

途中で、シナモンを入れようかと思いついたけれど、子供に反対されて却下。「使う時にシナモンパウダーを混ぜなよ~」と言われる始末。知恵がついてきたなぁ。ちょっと悔しいが、ちょっと嬉しい。複雑な気分。
木ベラでゆっくりと鍋底が見えるように、ごく弱火で焦がさないように混ぜる。


ケチケチレモンマーマレードの味は、水あめを入れて増量した市販品よりも甘さが柔らかく、香り良し。砂糖だけで作った時ほどの濃厚さは無いけど。柑橘の爽やかさが身上という事で、あっさり味で良いのかも。

ついでに柚子マーマレードも作りました。勿論、同じ作り方で。


お江戸から帰宅

2008-12-12 13:55:38 | Weblog
何をしたかと…。

初日は、まず『フェルメール展』を見に行く。開館15分前に到着するも既に100人ほどの行列がある。普段行列に並ぶ事をしないので、くじけそうになる気持ちと戦いつつ待つ。皆様が順番通り見ていくのを尻目に本命へ一直線。ほぼ独占状態で鑑賞。本物を見ると色々と発見がある。他との描き込み様が違った部分があって「あれ?」と思ったり…。アイキャッチな部分は流石に凄い。静謐なドラマの切り取りで、戸惑い・無意識・苛立ちの心のざわめきや空気感までも表現される。やはり光の魔術師。名画。

移動して、西武池袋で表彰式&懇親会。いつもながら有意義な懇親会でありました。「さて、がんばろっ」と。

夕刻は、新橋。コチラにはまずない『モツ煮込み』が目当て。西新橋で一番美味しいと自認する店。他を知らないので何とも言えないけれど、そうなのだろうと…。豚と牛の混合ホルモンの赤味噌仕立て。それに合わせて、お酒をセレクトしてもらい…。世のオヤジの疲れ具合とカラ元気を感じつつ夜は更ける。

次の日は、憧れの地『かっぱ橋道具街』へ。気がつくと昼過ぎ。面白いけれど、めくるめくゴチャゴチャ具合と安さは千日前道具屋筋商店街には及ばないか…。それでもかなり浪費してしまったが…。
浅草に出ようかと思ったけれど、歩き疲れたので今回はパス。東京在住者の多くが食べていないと思われる『どぜう』に興味があったが…。

昼は、気になる蕎麦屋へ行くも、「ん?」。でもニシンは美味しかった。昼酒はせず。我ながら感心感心。
夕刻までは、ギャラリーさんへ挨拶しつつブラブラと。

早めの晩御飯をして東京発。


あっ、副賞に戴きました物は、バカラのペアグラス(ETNA TUMBLER)でした。有難う御座居ました。「こういう感じのものって持ってなかったな~」と思い、焼酎盃と並べて、写真をパチリッ!あまりにも違いすぎる素材感。でも、遠い親戚みたいなもんです。

一水会陶芸部展

2008-12-09 18:05:44 | 陶芸
■一水会陶芸部展■

日時 2008年12月10日(火)~15日(月)
場所 西武 池袋本店6階(南ゾーンC8)=西武アートフォーラム
   TEL 03-5949-2663(直通)

日本の陶芸レベルの向上を目的として発足した「一水会陶芸部」は半世紀に渡り、陶芸界の登竜門として、日本の工芸界をリードする数多くの陶芸作家を生み出してきました。
本展では、公募作品から選ばれた新進気鋭の作家の意欲作から人間国宝や一水会委員・会員の熟達した作品まで100余点を展覧いたします。(西武池袋のHPより)


●小生の作品『備前大鉢』(一水会佳作賞)も展示されております。
是非、ご高覧下さいますようお願い申し上げます。


……という事で、明日は表彰式&懇親会にて、東京の空の下です。

勿論、夜空も見ますよ。酔眼で…。予定がビッシリ~~(*^o^*)/

掌中の花

2008-12-08 12:02:15 | 陶芸
人は光の刺激によって色を感じる。モノから反射される可視光線の波長によって色が決まる。焼物の場合、更に反射した光が拡散される表面ならその趣が変わってくる。釉薬ではマット釉(艶消し)、乳濁釉、失透釉などがある。全体におぼろげで透明感を減じた雰囲気のもの。

マット釉は、全体を包む釉薬中の小さな結晶(微結晶)が光を乱反射して、その下の色を艶消しに見せる。板谷波山の葆光彩磁などは格調高いその例。


その微結晶が単一で大きくなると結晶と言われる。釉薬は結晶釉と言われる。器の表面に朝顔やアンモナイトのような模様が散った感じ。これは人が絵を描かないのに自然が生み出す模様でなかなかに美しい。他所の国では結晶釉をクリスタルグレイズ(Crystal Glaze)とも言う。

釉薬の場合は、亜鉛華(酸化亜鉛)を含んだ釉薬が安定して結晶を発現する。焼成方法は、最高温度に達して釉薬が溶けてから、少し温度を下げて引っ張る(同じ温度をキープする)事で結晶を成長させる。今は窯を制御するものがあるので更に安定する。


備前焼の場合は、勿論、明らかな結晶は見られない。釉薬を掛けないし、火の向きがあり、安定しない薪窯では尚更に難しい。
ただ、成因条件に合った焼成状態になる事はある。最高温度に達しながらも諸般の都合で窯焚きを続け、ちょっと温度が下がっていたという時。または、熾きが多い時。

その場合に小さな結晶が現れる事がごく稀にある。たっぷりと掛かった自然釉の一部に米粒の集まりや油滴や雪のような雰囲気で現れる。ただしそれはあまりに判りにくい。判りにくいと結晶とは言わないのが原則。なので備前焼には結晶と言う景色はない。


今回は、結晶と貫入が同居したものがあった。貫入がない部分にはちいさな雪のような結晶が見られる。
ただし、大きなものは半分だけだったので結晶とは言い難いし、酒盃に出たのであまりにも小さく…。やはり結晶と言うのには無理があるか。

でも、こんなにも小さな結晶でも、窯変や青備前よりも見る確率は僅か。多分これからも少ないと思う。
これはキズがあって売り物にならないので自分用。でも掌中の花。



それはそうと、窯から出た全てのモノは『 血と汗と涙の結晶 』ですから。(……って、なんだか無理矢理まとめてオシマイ。)

椿咲く

2008-12-05 12:16:59 | Weblog
10余年前、弟子終了時に師匠の庭にあった椿(実生)を根引きで頂いていた。

少し膨らんでいた蕾を一枝切って、仕事場の一輪挿しに入れていたところ、ようやくほころんだ。庭ではまだ咲いていない。フライング気味に咲かせた椿。

元々は『初嵐』という最も早咲きの種類。しかしながら実生ゆえか、これまでは菜の花時分に咲く始末。『春嵐』に改名せねばと思うぐらい遅かった。

初嵐は純白。けれどこれは、ほんの少し判るかどうかという淡さのピンクが掛かっている。遠目には白にしか見えないけれど。


昨年になって、ようやく年内にも咲くようになった。弟子を辞して幾星霜。引越しを重ねてもずっと一緒だったが、小生の独立を待っていたかのようなタイミングだった。引き続いてドンドン咲いて欲しいが、まだ他の蕾は固そうだ。

……という事は、「もっとガンバレ!」なのか、「まだまだ伸びるよ」なのか……ですな。

仕事しよ。