備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

網戸張替えと美味しいビールの獲得方法

2015-07-21 18:48:47 | Weblog


網戸の張替え案件発生。

犯人はこちら。


福助くんは自分が破った部分を見て反省しているのではなく、「おすわり」と言われて仕方なく座ってあげてるだけである。

網戸の張替えは以前にもやったので簡単に済むはず。新たに用意する材料は、新しい網と網押さえゴム。総額500円ぐらいかな?
しかし、作業前には細君に「業者に頼むとすごく高いで~~」という事をよくよくアピールしておくのが肝心。これは後のビール獲得への伏線なので特に重要。

作業台はいつもの如く軽トラの荷台とする。今回は暑いのでタープ付き。いやぁ、便利やねぇ、軽トラック。


以下、手順。 
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《 網戸の張替え と 美味しいビールの獲得方法 》
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◆準備

網、網押さえゴム(太さ色々)、網押さえローラー、クリップ


◆手順

破れた網戸を剥がす。桟の溝に網押さえゴム(紐状のゴム)が入っているのでそれを引っ張り出せば良い。



新しい網を広げて、クリップで仮止め。



網押さえゴムを差し込んでいきます。網押さえローラー(差し込む道具)が必要ですが、100円~200円程度。これが無いと不便すぎます。


【コツ1】
桟の短辺からはじめます。後で修正しやすいので。
なお、ゴムの途中から入れているのは、角に先端が来ないようにする為。角に先端が来ると張る力が弱くなります。

【コツ2】
スタート位置と最初の角にゴムを軽く押し込んで仮止めとします。テキトーで良いです。

順次押し込みます。

最初の角まで来ると、先に押し込んだ部分が適当だったので浮きます。それを外して修正。
クリップは下の短辺に付け替えて網をピンと張ります。網の角度を見て良ければ長辺へ進みます。

丁寧にすれば簡単。
しかし、すごく大変な作業かのように大袈裟にすると、夕飯時に細君からご褒美を頂けるかも知れないので、ここは一旦見せ場でもある。

グルッっと入ればOK。


はみ出した網をカット。余裕のある場面であるが真剣な顔で。ここも見せ場である。刃物は取り扱い注意。


見よ、昭和のカッターの切れ味! 1970年発売のNTs-200。(←現在廃番、モノ持ちが良い)


網戸を元の位置へ戻す。この機会に高さ調整。戸車の調整ネジが側面にあります。


【コツ3】
建込みの時には、声を出しながらすると労働のアピールが出来る。最後の見せ場と思うべし。


かくして、労働の後のビールは旨い。


福助くんのお陰の一杯でもあるが、被害額とビール代のどちらが高くついたか……。
しかし、ここで再度「業者に頼むと……」を言っておきましょう。次もあるのでね。


以上、網戸の張替えと美味しいビールの獲得方法についての備忘録でした。オシマイ。









ドミノ倒しのメニュー 

2015-07-20 16:34:39 | 料理・食材


拙宅の代表的な夏野菜消化レシピとしてラタトゥイユ(ラタトゥユ、ratatouille)がある。概ねご近所からズッキーニさんがご来宅されたのをきっかけに作る傾向があるか。

レシピはざっくりと、オリーブオイルでニンニク、野菜各種を炒めてトマトの水分で煮る。味付けは塩、酒、ハーブで調整してオシマイ。簡単。

材料、味付けを自由闊達・取捨選択した結果、『本日の一皿』として『シェフの気まぐれラタトュイユ』が出来る。
味付けやカットの仕方で、メインにもソースにも、更にはスープにも前菜にもなるので便利。
拙宅の場合、パスタソースでは、細かい賽の目にカットする。メインとするなら、大きめにして食べ応えを出したり、別に焼いた野菜をトッピングというのもあり。
いずれにせよ、新鮮野菜で作るなら間違いなく美味しい。


今回は、大きめカットで作る。
翌日に『夏野菜のカレー』を作る予定であり、そのドミノ倒しとして本日のメニューがある。
多めにラタトュイユを作って置き、翌日は味を変えると一滴も水を使わない『野菜だけで煮込んだカレー』が出来るのだ。
「もし、最初から『野菜だけで煮込んだカレー』を目的に作るとなると長時間の調理になるけれど、2日に渡ってのドミノ倒しなら難なく作れるよ!」というのは完全な建前で、本心は2日目の夕飯準備の手抜きにある。


なお、ラタトュイユは中華鍋で作る。いや、カレーも中華鍋で作るけど。(いったい何処の料理だ?)

野菜各種を炒めて、


トマトを入れて、(今回は湯剥きも省略)


あとは、白ワイン(お求め安いもの)、塩を入れて煮る。水分量は眺めながら調整。


バジルは盛り付け後のあと乗せに。明日、ローリエを投入した後、味が混乱するのを防ぐ為である。


さてさて、翌日カレーが残って更に持ち越した場合……翌々日のお昼の『カレーうどん』となります。( ← 関西人)

3日に渡る計画でもあり、楽しみですなぁ。


目を見る事

2015-07-17 14:03:08 | Weblog


巷では「会話の時には、相手の目を見なさい」と言われる。
『目は口ほどにものを言う』ので、コミュニケーションをより深く正確にする為に必要な共通認識なのだろう。

しかし、小生は実のところ人の目を見て話すのが苦手である。
シャイな性格なのもあるけれど、相手の眼差しから反応を推察しライブで対応しつつ話していると、本来の話とこれから話す事との2重の組み立てになってくる。すると途中で話の流れの整合性が破綻しそうになる。これがマズイ。
ひとえに、自分の話す能力の低さから苦手意識が出来ているだけだが。
なので、会議なら資料を見たり、展覧会ならモノを見たりして都合よく視線を外す理由があれば随分と気楽。その為、人の顔を見ないで話をしている事が多いかも。
向き合い方も正対するよりも90度ぐらいの位置関係で、視線がナチュラルに外れる感じが良いな。

よく「大勢の前で話すのが苦手」といわれる向きもあるけれど、目を見なくても顔を向けていれば不自然さはないので1対1より1対大勢の方が気楽なぐらいでもある。吹奏楽やオーケストラでは50~100人規模を相手にするのは日常的だったし。


ある時に気がついた事がある。
小生の人の顔を覚えるのが苦手である原因。ズバリ! 「初対面の相手を見て話をしないから、顔を覚えないのだ」と。
それ以来、顔を覚える事を主な目的として、顔を見て会話するように心掛けている。時々、目ではなくて鼻のあたりを見たり……。

しかし、そもそも女優さんの顔もあまり覚えないのはなんだろう。髪型が変わったり化粧が変わるとたちまち判らない。顔の認知能力が低いのか? 相貌失認という病気もあるけれど……。う~~む。
家人を見ていると「顔を見分ける能力は女子のほうが高いのかな」とも思う。単なる関心分野の程度問題とも思うけれど。


そんな事を天気予報の台風の目を見ながら、つらつら『目を見る事』について考えていた次第。


(台風もボチボチ目がなくなったかな)










窯焚きお手伝いの楽しみ

2015-07-13 18:38:58 | Weblog


夏の窯焚きお手伝い強化月間中であります。アチコチに単発(横焚きのみ)の参加で顔を出しております。

窯焚きお手伝いで楽しいのは、雑談に加えて技術交流や情報交換などでありますが、それにも増してそれぞれのご家庭の味も楽しみひとつであります。
頂き易いようにオニギリだったり、奥方の出身に因んだご当地もの、また、定番メニューや初めてのレシピで作るナンチャラなど其々であります。
いずれも窯焚きスタッフを労っての心尽くしであり「ありがたや~~」という気持ちで頂きます。

そういう意味では窯のオーナーはもとより、奥方も大変です。

昨日は、トマトの冷製スープが抜群。(写真は御座いません)

窯焚きシフトの休憩中に順次頂きます。塩分補給の梅干を頂きつつのオニギリが良いです。外で食べつつ、バカ話というのも良いのでしょう。

余談としては、他家の食器も少し興味あり。もちろん窯オーナーの作もありますし。
「ウチの食器、もうちょっとなんとかせんとなぁ」と反省する事も多々。拙宅の食器は『同一サイズ・一点モノ』=バラバラな食器が多いしねぇ。まぁ、そういう買い方をしてるからだけど。


そして、翌日。

窯焚きが終わって風呂。ちょっと寝て、午前中の会議。帰宅後、冷蔵庫を物色すると到来物のサクランボ発見。(まだ、あるんだねぇ)
ひと掬い手のひらに盛って、「サクランボを入れる器は……」と見渡す。(←昨日、食器の事を思った為、俄かな意識高い系である)

古代オリエントの雰囲気のある器へ。サクランボが綺麗です。
七角形、飾り羽(?)のある取っ手、トルコブルー。ちょっと拙作に共通するセンスを感じて頂いたもの。



木陰で番犬福助くんと並んでサクランボを摘みます。ユルユルと仕事の段取りや製作物を思いながら種を吹く。
何故か、遠くに飛ばす事に拘りだす……。

「夏だねぇ」

もっとも、サクランボを貰えなかった福助は知らん振りですが。


さてさて、明日も窯焚き案件ありです。






























旬のアイドル

2015-07-10 18:10:30 | 料理・食材


絶賛引き篭もりシーズンながら、昨日は外出案件を纏めてこなす為に外出。
配達、ギャラリー、ギャラリー、ギャラリー、ギャラリー、搬出、図書館。
展覧会の会期の都合上、昨日が外出の絶妙なタイミングでした。始まったばかりから終わりそうな展覧会まで色々。珍しいねぇ。

調べ物はいまいちな結果で、そのご機嫌直しとして魚の顔を眺めに行く。
店のど真ん中に幅の広い立派なハモを発見。ほほぅ、これは本日の推しメンということか。しかもセンターじゃん。さすが旬ですなぁ。
分厚い氷のステージにスポットライトが眩しいぜ。

骨切りされた白い身。アラも中骨もある。この組み合わせ……、う~~ん。
タマネギだけを鱧の出汁で煮て『ハモしゃぶ』というのも……、う~~ん。
外側がカリッとして、身がふんわりした唐揚げも良いねぇ……、う~~ん。
やはり定番の落とし? しかし、中骨とアラもあるしなぁ……、う~~ん。

店先で「う~~ん」を繰り返すが、既にその手にはハモがしっかりとある。

はい、連れて帰りました。


さてさて、再度キッチンでキラキラした装いの皮目と艶かしい白い身を眺めて考える。くぅぅ、アイドルは輝いてるねぇ。
結論としては「一日ウロウロした後なのでサッパリと…」という事で落としに決定。
鍋にたっぷりとお湯を沸かして、氷水を用意したらスタート。
ハモを入れてから再沸騰に時間がかかっては美味しくないので、お湯は大目に準備する。あとはしっかり急冷が肝心。
コツはそれぐらいか。

ヒョイヒョイと放り込んで、花が咲いたようにクルクルっと丸まったら、掬い出して~~の繰り返し。
テンポ良く、気持ち良く。さぁ、お湯の中で舞い踊れ~~。(←浮かれてる)


さて、盛り付けの段に。「およ? 適当なあしらいが無いねぇ」
仕方が無いのでレタスを小鉢に入れて、良しとしましょう。この辺りが家庭料理……いや、素人料理だねぇ。
しかし、キンキンな冷たさが身上である。早速に頂く。

キリッと八重に咲いた白い身を一箸取り上げて口へ運ぶ。
冷たさが解けた後、キメ細やかな食感がありしっとりとした旨味が広がる。梅肉の塩加減も良し。
美味しい。


ハッ!! ……( ̄□ ̄;)!! 


皆の前では冷たいのに、1対1になるとキメ細やかな対応……って、ハモってツンデレなのか!?
となると、梅肉は塩対応ってこと? 
それと、すっかり忘れていたが実は凶暴な面構えであるな。

旬のアイドルは、凶暴かつ甘美なツンデレ。
しかも何でも喰っちゃう。怖ぇ~~。


ハモ相手に、酔っ払いの戯言。









名残りの鰆

2015-07-07 18:28:33 | 料理・食材


やきもん屋たるもの酒器の勉強に関しては、日々弛まぬ努力をせねばならない。これはもう業務上の義務である。
昨日も仕方なく、魚屋さん店頭にて勉強資料を眺めていると、矢鱈とサワラが目に付いた。サゴシではなくサワラ。しかも安い。
「むむむ、なんだろう、今日は。サワラ祭りか?」
しかし、サワラは産卵が終わってヘロヘロなタイミングである。サワラ祭りなのに卵も白子も出ていないのがその証拠。う~~ん、どうするかなぁ。

名残の鰆も一興か? 安いし。(←これ大事)
「腐っても鯛、ヘロヘロでも鰆」と言うし。(←これ言わない)

暫し、迷ったが、えーい、勝負だ!
いずれがご婦人かは知らねども、鮮度が良い事を頼りとして購入に至る。
既に3枚に卸してあるその身でも優に60cmは超える。身色もピンク。さて、どうしてやろうか。このサゴシでなくサワラ。
う�・ん、サワラにしてはちょっと小さい? 「いや、今日は正真正銘のサワラなのだ」という信念が大事。ほら、『鰯の頭も信心から』ってのもあるしね、サワラだけど。


サワラは岡山以外では西京焼きの魚という認識だと思う。実際、自分がそうだった。
しかし、岡山では刺身でも、また名物『祭り寿司』(バラ寿司)のトッピングでよく使われる。その場合、薄い切り身を酢漬けにする事が多いけれど、あれ、あまりお好みではない。

そこで片身全体をフル活用する。塩を当てて暫し後、再び購入時のトレーに戻して酢を注ぎ冷蔵庫へ。合わせ酢は米酢、レモン、塩、昆布をムニャムニャとして作った。
購入時のトレーは平たい切り身を管理するのは丁度良いパッドでもある。細くて長いパッドってなかなか無いもんねぇ。無駄に大きいと酢が沢山要るしね。(←ケチ)

さて、漬けて翌日の今朝。冷蔵庫から恭しく出す。
そーっと、身の割れ目から中心部を見る。ほんのりレアである。OK! 皮目をガスバーナーで炙る。

因みに、バーナーは本業で使うものであって料理用ではない事は、ごく力を入れて改めて言い添えておこう。

サワラは身が柔らかい魚。皮を引くと素人料理では触りすぎてグズグズにしてしまう危険性がある。皮付きなら身を崩さずに調理出来る。また食感の変化も期待できるかもという事もあって炙る。


しばし、粗熱を取る為に休める。


その間に寿司飯の準備。例によって色々と混ぜ込むパターンで。
本日は白ゴマ、黒ゴマ、生姜、青紫蘇。魚が淡白な事を予想して混ぜご飯の味で補う作戦である。


程よく納得がいったところで、身と合わせる。半身と寿司飯を長く棒状にラップで巻いて成形する。


よし、これで『炙り鰆の棒寿司』の入り口に立った。
あとは時間が調理するのだ。このまま冷蔵庫で保管する。あぁ、待ち遠しい。


ここまでが今朝の仕込み。勉強の為には準備が大事なのだ。


しっとりと馴染んだところで頂く予定である。おそらく夕方には良いんじゃないかな。およそ12時間で完成を想定。もっと置いても大丈夫だろう。

必要もないのに、時々、冷蔵庫を開けて観察する。
しかし、観察だけでは抑えも効かず……、お昼にちょっと摘み食い 試食。
試食用に端っこで巻いたものと薄焼き卵で巻いたもので。(←こういう段取りは実に良い)

薄焼き卵の棒寿司は寿司飯が余っていたので予定通りの昼食であるが、思いの外旨し。


うん、悪くないよ。夕方に期待。


本日は、『炙り鰆の棒寿司』で猛勉強である。
しかし、もっと美しく作れる様に、またマリアージュの検証にも量的な復習が必要であると既に現時点で思われる。そもそも、どのタイミングで炙るべきか判っていないし……。

あぁ、困ったこっちゃ。


次は、鱧かしら……。












いろいろな豚

2015-07-03 00:49:05 | Weblog


やきもん屋はヤキモノを作る故、世間の認知が斯くあるわけですが、現在は職人の如く製作だけを日々続けられる環境にはありません。
発表の場を持つ為に、アレコレの企画や実行など多岐にわたります。ややもすれば会議やイベントが続くと自分でも「何屋さんだっけ?」という感覚にもなります。まぁ、そういうのも嫌いじゃないですが。
そういう場面では「飛ばねぇ豚はただの豚だ」という気分になっています。

しかし、同業者との雑談で「なべちゃん、この前のあれって……」と諸々の活動についての感想、意見を求められ、万が一に感嘆や賞賛を得られようものなら、ついつい照れ隠しもあって格好をつけてしまいます。
「飛んだところで豚は豚だぜ」 というシニカルな表現。

自分の中の『豚』の在り様は、その時々の状況次第で変わるということです。
其々にハッピーな場面や度合いもあり、そういう気分の振れ幅を抱えつつ生活しております。

現在は、飛ぶことを想定しつつ引きこもり。これぞ、やきもん屋のあるべき姿……のはず。


で、アチコチ飛んでいる間に今年も半分が過ぎたとか。
昨日は半夏生だった。田んぼの稲の根が張る時期。まだ苗が小さく水面に空が映る風景が好きです。
ウチの周辺は緩やかな段差の田んぼが多いのですが、棚田ほどの数では無い。よって『田ごとの月』とはいきかねますが、それでも夕空を映す様は美しい。
こういう時期にこそ家に居ないとねぇ。夕空の綺麗なタイミングで番犬福助と散歩をユルユル。
「飛ばない豚の幸せ」です。


酒器の勉強タイムには、真ダコが山ほど登場。



岡山でも『半夏生のタコ』を言うようになったのかな?(もとから?)
中学生の頃に理科の先生(兼業農家)が、半夏生のタコの由来話をしていて「そういうものか」と記憶していたけれど、実際は頂く習慣は無かった。(街の子やからね)
関西のどれ程のエリアでの謂れかは知らないけれど、まぁ、商魂に乗っての一献。良いですな。

あと、夏の間には、鱧、虎魚、鯒、鯵、障泥烏賊、槍烏賊、穴子、鰻、栄螺、藻付、鮎……。忙しいなぁ。う~~ん、家に居ても忙しい。
酒器の勉強がはかどるのも引きこもり陶芸家の特徴か。


気分良く勉強に励むために、仕事をせねば。あと、はっきりしているのは「豚もおだてりゃ木に登る」というところでもあるな。

さぁ、心地よい誉め言葉を夢想して作るよ。( ← 飛べていない豚)