立春。
暦の上ではディセン……じゃなくて2月ですね。でも春です。
「日中は日差しも穏やかで、番犬福助くんは大の字で昼寝。福助のすぐ近くまでジョウビタキが来ていました」というのを家の中から見てました。
実際、外は寒いので、絶賛引きこもり中です。
さて、昨日は節分。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1d/b6/cba04c5ff17508098491eab195b9fe47.jpg)
多分に漏れず、恵方巻き丸かぶりの日。
あっ、時々『丸かじり』という表記を見ますが、恵方巻き発祥の地の関西人としては『丸かぶり』として頂きたい。(これ豆知識)
で、丸かぶりしながら、昨年の展覧会での事を思い出していました。
3月に恒例開催の備前陶心会展ですが、非売の展覧会で販売を考えずにチャレンジ・発表できる場でもありますし、他の作家の創意工夫を楽しみにもしています。
毎年、この展覧会はテーマが変わるのも特徴で、昨年は『角』でした。
「角はツノ、カク、カド、スミ……と読み替えても良い」というルールの元、各自がそれぞれ工夫を凝らして製作しました。
その中で小生は『柊鰯(ひいらぎいわし)』を出品。「鬼(ツノを持つ者)を追い払う」という役目からの連想です。否、こじつけと言うべきか。
で、その柊鰯……を思い出して。
学生の頃に「伝統的な物作りの現場を見よう」と日本各地をブラブラしている時期がありました。
冬に伊勢から海沿いを南下して、いくつものリアス式海岸の集落を通り抜けて、どれほど行ったか判らない所で辿りついた小さな漁村。
人っ子ひとり居ない寂れた港で休憩していて、行けども行けども似通った景色に選択したルートを後悔し始めていた頃だったなぁ。店もないし。お腹も減った。
ネコの親子が居たか居なかったか……海を見ながらボーっとしていた。疲れていた。
港は山を背負っていて、家々はその間に肩を寄せるように密集。鄙びた雰囲気。磯の匂い。
特にすることもないので周辺を歩く。見通しの効かない路地ばかりで車も入らない狭さ。多分、日照時間が短い路地だろう……足裏が冷たい。相変わらず人影は見えないし。
そこでふと気がついたのが、家ごとに玄関先にあるイワシ。ほとんどは釘に刺してある。新巻鮭のように吊ってあるのも。
そのどれもが鰯自体が極度に乾燥していて彫刻のような趣き。そして口には柊が一枝。
関西の習慣として節分に柊鰯を玄関先に飾る事があるけれど、『柊の枝に焼いた鰯の頭』を刺す飾り方で柊がメインである。
この集落の飾り方は、鰯一尾に柊を咥えさせてありイワシがメインになっている。丁度、メザシの柊付きのような感じだけど、焼いてあるかどうかは見かけでは既に判らない。
道すがら行き会った不審者発見の顔つきの元お姉さんがいらっしゃったので伺うと「一年中ぶら下げておく」との事でした。
その光景をすっかり忘れていたけれど、『角』というテーマに決定した瞬間に思い出した。「あれだっ!」
連想は「角 → ツノ → 鬼 → 節分 → 柊鰯」なんだろう。
自分の記憶にストックしてあった一地方の風習。
無言で丸かぶりしつつ思い返していると、あの旅は結局「腹が減った……」という思い出だったなぁ。
食べながら、腹減ったとは……これ如何に。ん~~、そもそも恵方を向いて願い事せんと~~。
さてさて、その後、柊鰯を作って展示しました。
購入希望の方々がいらっしゃって後日完売しました。ありがたや~~。
で、『2匹目のドジョウ』ならぬ『数匹目のイワシ』として、最近また製作。
魔除けの柊鰯ですぞ~~~。
しっかり焼いた焼イワシ。なのに腐らず長持ち、無味無臭。一年通じて玄関先で邪気払い、365日24時間家内安全。ご家庭に是非一尾どうぞ~~。
しかし、節分は過ぎているというこのタイミング。……商売下手やなぁ。┐(-。ー;)┌
ひとまず、自分の家の玄関に吊るすとします……。
さて、今年の備前陶心会展のテーマは『空間』です。
会期は、3/11(火)~16(日)です。今頃、作っているヤキモノ屋さんも多いかと。
今年もテーマが決まった瞬間に思い浮かびましたが、まだ、ヒ・ミ・ツ。
どうなりますやら。