備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

ロクロのお供

2014-02-22 18:45:20 | Weblog


時折、仕事場の窓からコンコンと謎の音がする。
バードストライクにしては被害者の姿は無く、甲虫にしては季節が違う。暫く「?」だった。

最近やっと原因が判った。ジョウビタキのオスである。
割と気が強い鳥で、窓に映った自分を見て攻撃もする程。
太陽の位置によって反射する角度が変わるらしく、攻撃する窓が時間によって違うのが愛嬌。


そのうちロクロ座横が定位置になった。何気なく置いた籠。


しかし気が強いにも程がある。すぐ真横に人間が居るのに。
ガラスがあって手が出せないと知っているのだろうか?
鏡像認知は出来なくてもガラスは判るということか……いや、やはり単に気が強いだけか。

定位置があると糞が自然と集まる場所になる。観察すると実などが多いけれど虫の痕跡もある。割と雑食らしい。
それにしても、ペアで居ることが多いのにいつも相手がいない。男ヤモメ?
いつも一羽で縄張りを主張。



庇も定位置になってるみたい。


独りロクロをする時間にちょっとした楽しみが出来た。
ロクロのお供にヤモメのヒタキ。

しかし、この止まり木になっている籠が使えないのが難点であるなぁ。

念ずれば通ず。

2014-02-17 17:00:11 | 陶芸


「念ずれば通ず」なのか。

今日は所用で出たついでに、久しぶりに100円均一のお店へ立ち寄りました。
店内は「バレンタイン商戦かくありき」というまつりの後の光景。模様替え真っ最中の所々オトメなファンシーな色合い。


さてさて、本日の目的は大きめのスポイトである。
机上でチマチマと白くなる土を水簸(スイヒ)していて「あぁ、アレがあればなぁ」と最近思っていたもの。
イッチンで使う握りこぶしサイズが希望なんだけど、100均に都合よくあるのか……代用とすればカメラのブロアブラシぐらいかもなぁ。

で、まぁ、希望虚しく……「念ずれど通じず」

予想はしてた。
子供のお習字セットか化粧品詰め替え用ぐらいはある。仕方なく久しぶりでもあったので店内をキョロキョロ。
小さいスポイトのあった化粧品売り場は普段用事がないエリアなのであまり意識せず目を泳がす。
すると、最近気掛かりだった輪カンナの代用品というか進化版というか……発見! いや、正確には気掛かりながらも不要不急で、探してもいなかった。
しかし、無意識に眺めた風景が急にクローズアップされて一気に顕在化した風景に変わった。ものが立体的に起き上がってくる感じ。(←大げさ)

「念じれば通ず」じゃん!



粘土に細い溝を刻む時に使っている既製品の輪カンナが非対称な刃で、特定の向きからしか使えない若干の不便さがあった。
ダメではないけど、持つたびに刃先の方向を見なければならない。いちいち煩わしい確認。
で、「正円の小さい輪カンナがあればなぁ……」と思っていたところに、まさにドンピシャ。

パッケージの上から押してみても強度はありそう。でも付け根の強度は判らない。実用に耐えうるか。ものは試しで即購入。
家に帰って使ってみると、刃の薄さ堅さが丁度良い。使えそう。
久々のヒットじゃん!


で、これが何かと言えば、


鼻の角栓を輪っかでニュルニュルと押し出して掻き取るものらしい。 

おぉぅ、知らなんだ。\(◎o◎)/
あと、何本か買っておこう。一生分は欲しいな。……多分10本。
女子アイテムみたいだし、「この人ってそんなにオイリーなの?」って思われちゃうのかな、まとめ買いするのってハズカシイかも。(← 自意識過剰)
いや、仕事の為である! 買うよ。近いうちに。
オシャレ男子を気取ってさ。

今までは、使えそうで使えないキッチンツールのコーナーはよく見てきたけれど、美容関係はノーマークだった。意外と良いかもなぁ。
まだまだ知らない世界が広がっていそうなので、これからは要チェックだ。あと各種筆とかも良いかもなぁ。(← 絵付けしないのに?)


その後、一応、キッチン関係も一通り見たけれど収穫なし。


ちなみに今、使っているキッチンツール。


スクレイパー、ナイフは各種あり。男子特有のナイフフェチに近いかも。

「ナイフ各種あり」とはいえ、実際に使っているのは自作のものが多くて、普段よく使っているものを棚から一掴みすると、これら。


加工前の素材は色々。刃の材質的に重要視するのは、薄・厚・軟・硬の組み合わせぐらい。
「透かし用は薄くて硬い」とか、「大きな面取り用は厚くて軟らかい」とか。柄の有無も大事。

まぁ、拘っている人はもっと凄いコレクションだったりするので自慢にもならない。


さて、やや待望していた道具が見つかったので、あとは作るべし。



犬は喜び……

2014-02-08 13:34:16 | Weblog


予報通りに雪の朝を迎えた。静かな朝。窓から入る反射光で家の中がいつもより明るい。
ちょっとワクワクして布団から抜け出して雪景色を眺めつつの珈琲タイムとする。
年間に1、2回程しか積雪がない地域なのでこういう日は独特な感覚。暖かいところから見る風景がいいねぇ。
木々の枝が大きくしなっている。結構積もったなぁ。早朝の新聞配達の人が通った痕跡もすっかり消されている。

福助の家の上にも雪帽子。

積雪量は11cm。

さぞかし雪の中で「福助を眠らせ、福助の屋根に雪降り積む」という慎ましくも美しい光景かと思いきや!


凛々しくも番犬業務中でした。(ご苦労さまっす!)


時折、雪の重みで割れる竹や枝の音が気になるらしい。
加えて降ってくる雪も珍しいらしい……



右に行った! ……と思ったら、


左にも行く!


落ち着け!


ワクワクするよなぁ。人間も同じく、ウチの子も朝から外に行ったっきり帰ってこないし。


で、福助くん。最終的にオシャレに変身させられてた。

しかも嫌がる素振りもない。気に入ってるのか?


そんな様子を眺めつつお仕事。


エイリアンの卵っぽいものが生まれております。

いや、花の蕾といえば美しかったか……。

さてさて、お仕事、お仕事。
落ち着いた気分で淡々と。時折、雪景色を見つつ深呼吸。雪のおかげでリフレッシュした気がする。



柊鰯、ふたたび。

2014-02-04 18:53:25 | Weblog


立春。
暦の上ではディセン……じゃなくて2月ですね。でも春です。
「日中は日差しも穏やかで、番犬福助くんは大の字で昼寝。福助のすぐ近くまでジョウビタキが来ていました」というのを家の中から見てました。
実際、外は寒いので、絶賛引きこもり中です。


さて、昨日は節分。


多分に漏れず、恵方巻き丸かぶりの日。
あっ、時々『丸かじり』という表記を見ますが、恵方巻き発祥の地の関西人としては『丸かぶり』として頂きたい。(これ豆知識)


で、丸かぶりしながら、昨年の展覧会での事を思い出していました。
3月に恒例開催の備前陶心会展ですが、非売の展覧会で販売を考えずにチャレンジ・発表できる場でもありますし、他の作家の創意工夫を楽しみにもしています。

毎年、この展覧会はテーマが変わるのも特徴で、昨年は『角』でした。
「角はツノ、カク、カド、スミ……と読み替えても良い」というルールの元、各自がそれぞれ工夫を凝らして製作しました。
その中で小生は『柊鰯(ひいらぎいわし)』を出品。「鬼(ツノを持つ者)を追い払う」という役目からの連想です。否、こじつけと言うべきか。


で、その柊鰯……を思い出して。

学生の頃に「伝統的な物作りの現場を見よう」と日本各地をブラブラしている時期がありました。
冬に伊勢から海沿いを南下して、いくつものリアス式海岸の集落を通り抜けて、どれほど行ったか判らない所で辿りついた小さな漁村。
人っ子ひとり居ない寂れた港で休憩していて、行けども行けども似通った景色に選択したルートを後悔し始めていた頃だったなぁ。店もないし。お腹も減った。
ネコの親子が居たか居なかったか……海を見ながらボーっとしていた。疲れていた。
港は山を背負っていて、家々はその間に肩を寄せるように密集。鄙びた雰囲気。磯の匂い。
特にすることもないので周辺を歩く。見通しの効かない路地ばかりで車も入らない狭さ。多分、日照時間が短い路地だろう……足裏が冷たい。相変わらず人影は見えないし。

そこでふと気がついたのが、家ごとに玄関先にあるイワシ。ほとんどは釘に刺してある。新巻鮭のように吊ってあるのも。
そのどれもが鰯自体が極度に乾燥していて彫刻のような趣き。そして口には柊が一枝。

関西の習慣として節分に柊鰯を玄関先に飾る事があるけれど、『柊の枝に焼いた鰯の頭』を刺す飾り方で柊がメインである。
この集落の飾り方は、鰯一尾に柊を咥えさせてありイワシがメインになっている。丁度、メザシの柊付きのような感じだけど、焼いてあるかどうかは見かけでは既に判らない。
道すがら行き会った不審者発見の顔つきの元お姉さんがいらっしゃったので伺うと「一年中ぶら下げておく」との事でした。

その光景をすっかり忘れていたけれど、『角』というテーマに決定した瞬間に思い出した。「あれだっ!」
連想は「角 → ツノ → 鬼 → 節分 → 柊鰯」なんだろう。
自分の記憶にストックしてあった一地方の風習。

無言で丸かぶりしつつ思い返していると、あの旅は結局「腹が減った……」という思い出だったなぁ。
食べながら、腹減ったとは……これ如何に。ん~~、そもそも恵方を向いて願い事せんと~~。


さてさて、その後、柊鰯を作って展示しました。


購入希望の方々がいらっしゃって後日完売しました。ありがたや~~。
で、『2匹目のドジョウ』ならぬ『数匹目のイワシ』として、最近また製作。
魔除けの柊鰯ですぞ~~~。

しっかり焼いた焼イワシ。なのに腐らず長持ち、無味無臭。一年通じて玄関先で邪気払い、365日24時間家内安全。ご家庭に是非一尾どうぞ~~。


しかし、節分は過ぎているというこのタイミング。……商売下手やなぁ。┐(-。ー;)┌

ひとまず、自分の家の玄関に吊るすとします……。


さて、今年の備前陶心会展のテーマは『空間』です。
会期は、3/11(火)~16(日)です。今頃、作っているヤキモノ屋さんも多いかと。


今年もテーマが決まった瞬間に思い浮かびましたが、まだ、ヒ・ミ・ツ。
どうなりますやら。