備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

ご飯茶碗の閾

2010-06-30 12:36:15 | 陶芸
窓から見える隣家の田圃を眺めつつ、ご飯茶碗を作る。
植えたばかりなのに、もう収穫後の事に想いが……。


ご飯茶碗は、日常的に直接手で扱うモノ。
なので、使う人によって要望・好みが『こだわり』としてある。

ある程度の用を足せば多少の違いがあっても、人は『道具に自分を合わせる能力(般化)』があるけれど、普段使いの『こだわり』はそれとは一線を画す。
今までのお客さんのこだわりの位置づけは『湯呑以上、丼鉢以下』ぐらいかな。

こういう『こだわり』の場面に接すると、モノがモノとして認知される為の『記号』とか『意味』を思う。

つまりは、ご飯茶碗がそれらしくあるために、『記号化された意味(要因)の』組み合わせで成り立っていながらも、同時に人によってその『度合い』に違いがあるという事。
個人的には、この度合いの『違い(隔たり)』に興味が向く。
概ねその隔たりは、『食生活の生い立ち』に関わりがあるような気がしているんだけど。

なので、ご飯茶碗への『こだわり』を伺っている時に、その人の嗜好が見えてくると面白い。
「だったら、こういう料理好き?」とか、左党ならお酒の好みも判ってきたり……。

「本棚を見たらその人が判る」とか「あなたの友人を示せ、そうすれば、あなたの人物を当ててみせよう」とか、かくのたまわれる方ほどの確証は無いけれど。

まぁ、感覚的な部分。

「あなたのご飯茶碗を示せ、そうすれば、あなたの人物を当ててみせよう」とかいう人もいたりして。(ちょっと怖いなぁ)
呑兵衛のやきもん屋には、ムリっぽい……。


ご飯茶碗への『こだわり』に対しては、密かにご飯茶碗の記号に『幅』を持たせて対応。ラインナップは4種類に整理。
つまりは、カーブ・口作り・高台・比率・重心などなど。

『幅』とは、ある程度の範囲を指すので、これが小生の『ご飯茶碗の閾(いき)』となる。
その『閾』は、小生の食環境・食生活に大いに影響されている筈。


さてさて、いずこの御仁の『こだわり』に適いますやら……。

分析はするけれど、敢えてマーケティングする必要なし!(…だと思う。)
「類は友を呼ぶ」と信じて……。

「良い!」と思うモノを作るのみです。


イカ飯

2010-06-27 21:40:22 | 料理・食材
細長い列島なので地方によって言われる旬がまちまちなイカ。
小生の周りでは、タケノコの頃からハリイカ・真イカときて、夏の声がするとスルメイカ・ケンサキイカが美味しくなってくる。

周りの人々には、圧倒的にモンゴウとかアオリが人気があるけれど、小生はちょっと歯ごたえのある系が好きなので、ケンサキ、スルメ、ヤリあたりが良いなぁ。
山陰(父上の実家あたり)のシロイカにトドメを刺す、と言うところか。

普段はイカに執着がないけれど、時期的に「パシパシ、ピン!」とした刺身が食べたい。
で、そろそろ日本海のケンサキが出回っているのではないかと……。

店頭には「まぁ、あるにはあるけれど……」という残念な状態なので、断念。
その隣に、小さめのスルメが盛り沢山。やや白くなりかけているけれど、胴体は張りがあってヘタってない。「コレやな」と即決。


子供からのリクエストで『イカ飯』。もち米満タン。イカが小さかったので、お米が詰めにくい。

う~~ん、イラッ (-"-;)

手近にあった空ペットボトルの上半分を包丁で切り落として、それをイカに突っ込んで、即席漏斗で投入!
「おぉ~、エエ感じやん~~~」
見ていたチビッコが「したい~っ」と言うので、下請けに出す。(しめしめ…)


鍋で煮ることしばし。

出来上がってみれば、鍋に入れていたショウガが一番美味しかったという意外な結果ではあったが……。
もち米と合わせて入れる食材には研究の余地があるなぁ。バリエーションが楽しめそう。


イカ飯を齧りながら、焼酎。

「味が濃厚なので、焼酎も濃い目で」という脈絡のない言い訳をしつつ。

酔っ払って「本日終了~」。


アンチ・アノニマス

2010-06-23 08:45:19 | 陶芸
世の中には、「誰がデザインしたか知らないけれど、昔からあるよね」という定番の形というものがある。

いわゆる『無名性』のプロダクトデザイン。つまり『アノニマス・デザイン』である。

はさみ・ピッケル・剣道具・フラスコ・野球のグローブとボール・碍子・化学実験用蒸発皿・ビーカー・そろばん・スクリュー・足袋・手かぎ・ジーパン・たわし・旧ジープ……(例は柳宗理氏)

機能美に直結したシンプルさが特徴。商業的意識のデザインは削ぎ落とされていると言っても良いだろう。


もっとも現代のプロダクト製品の場合は、誰がデザインしたかは判っているので、概念的にはチョット古い過去のもの。
現代製品で『無名』とか『無銘』を有り難たがる向きについては、趣味の問題。
その最たる結果が『無印の良い品』のブランドのそれだし、そもそもブランディングされた時点で……(略)。


我々ヤキモノ屋にもアノニマスなモノはある。窯詰め道具や制作道具。
レンガ・ツク・ヘラ・カンナ・シッピキ・コテ・羽子板……。
それらは一様に機能をメインにして考えられたもので、それ以上の意識は何処にもない。

窯詰め道具の『匣鉢(さや)』もアノニマスなモノ。おおむね形が、角・丸・楕円ぐらいの単なる耐火性の筒や箱。
さてさて、その匣鉢であるけれど、これまでの経験から『青備前』で使う場合、モノと匣鉢との間の空間が少ない方が良い事が判っている。で、次回用に「匣鉢の内側が徳利状の匣鉢が欲しいな」と思っているところ。


勿論そういう匣鉢は売っていないので自作する。
チャッチャと紙にスケッチして、土をロクロに乗せて「さぁ作ろう!」という時に、ふと思った。

「ドウセナラ、今回カギリノ匣鉢ダカラ、遊ンジャオウ……」

ちょっとした閃めきを逃す前に、ロクロ座から降りてアレコレとラフ。
そして「フフフ…」 →意味不明 ┐(-。ー;)┌

匣鉢のアノニマス性から、大きく逸脱。


備前焼は絵も描かないし、釉薬も掛けない。窯詰めと窯焚きの工夫のみ。
「炎で景色を描く為にはイロイロと道具が必要なんだよな~~」というのが本質。
でも「そこに『遊び』があっても良いじゃないか~」というのは、仕事時間を削った事に対する言い訳。


重要なのは、匣鉢の中に入るモノ。
遊んでばかりいないで、そっちを作らんと~~。

でも楽しい。

さて、どんな匣鉢が出来たかは……そのうちに。


金運アップアイテム発見!

2010-06-19 08:36:30 | Weblog
梅雨の晴れ間に原土を乾かす作業。土木作業系。

原土を覆っているシートをめくってみると、なにやら白いペラペラとしたものが見えている。毎度、お馴染みのヘビの抜け殻。
尻尾はちぎれていたものの、キレイに残っていてスコップよりも余裕で長い。


脱皮は頭から皮がクルクルと裏返しになるように脱いでいく。その為に見えている面は、体の内側。
ちょうどストッキングを脱ぐみたいに。(って、ストッキングはいた事がないけど)

もっとも、『毛糸のタイツ』なら保育園の時にはいた事がある。
あの頃多かった『短パンに毛糸のタイツ』の組み合わせで、男子の自尊心に小さな傷がついたよなぁ~。「お兄ちゃん達ははかないし、女の子がはいてるし。オレって何だよ!?」って思ってた。(…男子保育園児ですが)

それが原因で、いまだにズボン下とか、アンダーなんちゃらとかは着用しない。
もはや心的外傷?


さて、「ヘビの抜け殻を財布に入れておくと金運アップ」と言うけれど、大きさに応じてご利益って変わるのかな? だったら、これはご利益ありそう~~。
その前にコレ一本まるまる入る財布って……。


で、皮の元の持ち主らしきヤツであるけれど、長さと形からして毎年見るカラスヘビ(シマヘビの黒)だと思う。

ついさっき、そこで本人と出会った。 デカ~ッ!


地球の一部

2010-06-14 12:20:58 | Weblog
ヤキモノ作りの物理的作業の始まりは、「原土をどう扱うか?」という問いから始まる。

原土を精製して粘土を作るのだが、いかに石、砂と粘土を分けるかである。
基本的にその差は、粒子のサイズなので「それに応じた篩で通せばいいじゃん!」となるが、それは初歩。
場合によっては、手でひとつづつ石を選って摘み出すという作業をすることもある。

原土を触る時には、粘土の来し方に思いを馳せる。
大昔にマグマが地表近くで冷えて、火成岩になり、それが風化、流出、堆積を繰り返し粒子がどんどん細かくなって……、その堆積層を探して、掘り出して、水で柔らかくして、そして今。

地球の歴史の一部をダイレクトに触っている行為。

土は均質ではなく様々な金属を含んでいる。その組成を出来るだけ崩さずに成形し焼くと、自然が作った模様が生まれ出る。それらは、マーブル調だったり、モザイク状だったり……。同じものはない。唯一のものだ。



さて、昨日から今日へと日付が変わる前に、『探査機はやぶさ』が帰ってきた。
この日は、朝から気になってツイッターやHPをしょっちゅう確認。USTREAMのLIVEも見た。あまりに小生が騒ぐので、家族でその瞬間を見る。
機械に人格を求めるのは日本人の代表的な特質らしいけれど、感動した。

小生の世代は子供の頃から、科学技術と宇宙については、エンターテイメントでもリアルでも肌で感じてきた世代になる。
アニメでは、宇宙戦艦ヤマト、銀河鉄道999、キャプテンハーロック、地球へ、ガンダムと通過してきた。映画では、SW、未知との遭遇、ET、エイリアン、アビス、ブレードランナーなど。(スタートレック、2001年宇宙の旅、猿の惑星は間に合っていない)
物心つく直前が大阪万博なので、『月の石』は周囲からの情報。
スペースシャトルやボイジャー、かぐやは打ち上げの日のことを覚えている。(ボイジャーは今も航行中)
ロケット打ち上げ黎明期から運用へと変わっていく過渡期で、次々と発見が多くてワクワクしていた頃。


今回の『はやぶさ』には、かなり涙腺がやられた。
カプセル放出後に地上側スタッフが姿勢制御して「最後に地球を見させてあげる」追加ミッション、その画像が送信途中で途切れて余白になり(送信中に燃え始めていた!)、バラバラになっていく流れ星、先頭の小さな光だけが地上へ……と、立て続けに泣かせる情報が入ってくる。
もうPC前で身じろぎせず……。

消滅して数分後に、ツイッターで「ただいま。」と出たときには……。
完全に感情移入。……(TロT)!!

抱きしめたくても、もういない…。(書きながらも、また泣きそう)

3年帰還が遅れたからこそ、今のWeb環境に間に合った状況には感謝だなぁ。


こういうのは『事業仕分け』しちゃいけないと思うな~。
開発費の125億円だけ見たら、国民ひとりあたり100円!
この100円は、すごい100円じゃないか?
こんなにも夢も希望も与えてくれる100円って、そんなに無いよ!


放出したカプセルには46億年前の地球誕生の痕跡を明らかにするサンプルが入っているだろうか。

今、手元にある地球の一部に壮大なロマンを感じている。


みんな、GJ! そして、お疲れ様。
今後に期待。

水漏れ修理完了

2010-06-12 12:05:36 | Weblog
混合水栓の水漏れは、連絡を入れてから4日目にして修理完了。
アフターサービス会社を紹介していただき、症状確認、見積もり、部品発注、出張修理となった。

修理作業を見ていたけれど、「プロにお任せだな」と。
多分、自分で探り探りやっていたら一日仕事。しかも、あとあとの不安を抱えるよりもプロに頼むのが正解だろう。

出費は覚悟の額だったけれど、う~ん…、国産よりかは割高感は否めない。


修理前に同じ位のスペックの国産水栓との取替えも検討した。
カタログ等々検討するに……、「最近のモノは『多少』デザインが良くなったじゃん!」との感想。
以前は、チグハグな素材感だったり、本体とレバーのテイストが……とか、型の繋ぎ目が……とか、いろいろと思うところがあったけれど、今はちょっとスッキリ。プラスチックがメタル感を増した仕様なっているのも良い感じ。
ただ、バランスが……。

金額的に修理の3倍程かかりそうだったので、新品交換はアッサリとやめた。ネットで本体を購入して自分で取り付けても出費は同程度かそれ以上。
「なら、修理だなっ」と結論。

それが判っただけでも、今回は勉強になった。(どこで役立つ?)


しかし、思わぬ出費。
いろいろな故障は、計画的にはいかないしなぁ~。


我が家の家電の皆さん!
しばらくは、おとなしくお利口に暮らそうね。(お願い)


キンシバイ

2010-06-10 18:00:00 | Weblog
外仕事していると、陽射しがジリジリと照りつけてくる。この先もっともっと暑い夏が来るというのに。暑っちぃ。
まぁ、基本が夏男(←水泳部)なので、冬よりは動きやすい。
(けど、数年前に子供と海水浴に行って、陽射しで背中をヤケドしたロートルなんだが)


敷地のキンシバイ(金糸梅)が一気に咲いた。

輝く黄色の花が、中学時代の夏を思い出させる。
通学路の途中に沢山咲いている場所があって、夏休みの部活とゴチャマゼの思い出となっているから。
日なたのプールサイドの歩けない程の熱さとか、塩素の匂いとか、バスタオルの石鹸の香りとか、弁当と麦茶とか、ドキドキした事とか……そういう夏の思い出と直接リンクしている。

キンシバイには、明るくて強くて溌剌として……健全さを感じるなぁ~。


一輪手折って、仕事場に……。

部屋に夏が来た。 Stop the season in the sun!


でも、これから梅雨。週末からは一転して雨続きの予報だ。
降る時には降らないと困るけど、仕事的には効率が落ちる。それに応じた仕事をすれば良いけどね。
やきもん屋も水商売か。お天気が気になるところではある。

まだ晴れている間に粘土を作らんとなぁ~~。
結構忙しいぞ。


田植え前の田圃でも農家の皆様方が毎日手を入れている。
耕したり、畦を直したり、草刈り、用水路掃除……、「する事、多いなぁ~」と傍から見物。

『豊作の手始めは土作りから』

やきもん屋と一緒ですな。


さて、扇風機はいつ出そうか?

(冷麺は既に今季デビュー済み。つか、年中でもOK!)

山椒の実

2010-06-09 08:02:53 | 料理・食材
裏山の散歩道に小さな山椒の木がある。初めて見つけたのは、かれこれ5年ほど前。現在の樹高は1メートルぐらい。

この山椒に実がなるのに気付いたのが去年の事。その時は、時すでに遅く『割山椒』状態だった。
一応、収穫してみたものの特に何かをするわけでもなく……。


今年は、気を付けて見張っていたので大丈夫。
毎日観察して収穫のタイミングを待っていた。
スーパーに『熊本産』が出ていたので、「こちらもボチボチか」と判断して収穫する。

やったぜぃ!(*^ー')b

さて、このまま佃煮にしても良し。『ちりめんじゃこ』とあっさりカラッと佃煮にしても良し。
それとも青いまま冷凍して、イノシシシーズンまで待つか……ビジュアルは良いぞ。

夢は広がるけれど、如何せん小さな木からの収穫量。
小鉢一杯の量で、全ての希望を叶えるのは難しいなぁ~。


散歩範囲をもっと広げようかなぁ?

散歩と食材調達と……、歩く目的が入れ替わりそうな今日この頃。


混合水栓水漏れ中

2010-06-08 12:43:14 | Weblog
数年前に設置した『水まわり』関係に不具合が出てきた。
最大の案件は、風呂場の混合水栓。サーモスタット側からの水漏れ。

「パッキンの交換ぐらいで何とかなるんだろう」と、分解図片手にちょっと見てみたけれど、「何じゃこりゃ~?」というユニットになっている。どう考えても近所のHCには無い。とりあえず、見えている部分のパッキンを買ってきた手前入れ替えてみる。

問題は、そこじゃないのよ。

お手上げなので、近所の業者に依頼。

……で、つまづく。


モノがドイツ製で、部品すらない……( ̄□ ̄;)!!

「メーカーまで辿って修理になるなぁ~」とちょっと憂鬱。
建築当時は、お風呂のユニット工事一式の標準装備だったので、気軽に「ハイハイ、つけといてね」と言ったのが、ここへ来てアダとなった態。特に、こだわりは無かったし……。

今となっては、「こだわりが無かったのに……」と言うべきか。


メンテナンス考えたら、やっぱり国産だよなぁ。
「う~ん、ドイツかぁ~」と思ったのは、初風呂の時だけだったしねぇ。
(こだわりのある人からは叱られる……有名メーカーだよなぁ)


さてさて、修理見積もり金額が怖いぞ。

この際、水栓ごと替えちまうか……。(その方が安いかも)