備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

チビ窯築窯レポート 『部分』編

2009-07-14 20:55:22 | 窯作り・窖窯について
これからの窯焚きを担う各種ギミック!

あっ、焚き口とかロストルとかの写真を忘れてたっ。


A 正面焚き口
ロストルの孔はスライド式で調整。全く使わない時は、ハンペン(厚さ半分のレンガ)で蓋をしておくと、密閉かつフラットになる。

B 温度計差込口
レンガの組み合わせの都合で出来た壁厚の薄い部分を利用。
棚組みの後ろに設置。

C 窯詰め入り口、鏡、炭穴
窯の側壁からモノを出し入れする。大きいレンガがあったので、鏡(蓋)を作るのが簡単。熱で窯が変形してきた時には、それが仇となる可能性あり。
炭穴は、必要に応じて高さの変更可。反対側の側壁は炭穴のみ、同様に高さの変更は自由。

D モセ抜き穴
羽のようなデザイン。実用性は不明。
取り付け理由は、そこに大きなレンガがあったから。

E 煙突ドラフト
窯の容量に比して、大きめサイズ。というか、完全に大きすぎるサイズ。
ニワトリ丸ままの燻製が出来るよ。

F 煙突雨水排出孔
煙突から入った雨水を窯本体に入らないように、低い位置につけてある。
窯焚きのときはレンガでふさぐ。


あとは、窯が熱膨張で崩壊しないように、バンドや支えを取り付ける方が安全。
鉄骨アングルとかが道端に落ちていないか物色中。(あるわけが無い……)

これにて、『陶芸用 窯作り』レポートは終了です。


くれぐれも、見られた時に「燻製窯?ピザ窯?パン窯?」って訊かないで下さい。
たとえ、そのようなモノを焼いていたとしても。訊かない約束で……。


チビ窯築窯レポート 『壁土』編

2009-07-13 09:00:00 | 窯作り・窖窯について


レンガが積み終わり、最後の仕上げは、壁土塗りです。
目地ふさぎ、断熱、カッコ良さ…目的はいろいろとあるにせよ、土を塗ります。
レンガの上に。

前回は大量だったので、壁土屋さんで調合して頂きましたが、今回は少量なので、自前で調整します。

さて、壁土をどうするか。サブテーマの『ローコスト』も念頭において…。

拙宅が建つ以前は、ここは田だった。その時の畦の名残が今なおある。雨が降ると排水するにも邪魔。
そこで、この土を篩で10mm目で通して石を除いて、ワラを混ぜて使う事に。
本来なら少し寝かせて、ワラからの粘りを期待するところだけれど、事は急ぐのでそのまま。

結果として、思いのほか塗りやすかった。垂直壁も平気。
乾燥しても縮みが少ないし。これなら今後も使えそう。良い発見をした。ラッキー。



スイスイ、サクサクと塗れる。
篩でふるうのが最大の手間だけれど、ちょっとガマン。

壁土塗りの注意点としては、蓋をしたり作業する部分の周りに壁土を塗らない方が良い事ぐらい。
もし際まで塗っていると、窯焚きを繰り返すうちに、そのときの目地土につられて、壁土が剥がれてしまう。

剥がれても気にしなければ良いけれど、気分的によくない。
まっ、その程度の事。


さぁ、これでリクエストの築窯レポートはフィナーレを迎えた。

あとは、キャスト総出演のカーテンコールだ。
(呼ばれもしないのに、出るのか…)

チビ窯築窯レポート 『アーチ完成』編

2009-07-11 17:00:00 | 窯作り・窖窯について
まっ、型を外すだけですから何という事はございません。
(内心ちょっとドキドキ感あり……)

前回の画像をよく見ていただくと判りますが、型自体は下にクサビを打ち込んで少し浮かせてあります。完成後にクサビを抜いてしまえば、型が下にさがって、アーチから分離する仕掛けです。

あとは型を抜くだけですが、一人だと重いので、結局は横からコースレッドを抜いてバラしました。
クサビを打った意味が希薄になったけれど、水平を出す微調整には役に立ったので良しとします。まっ、クサビはオススメしておこうか…。

内側の仕上がり面は、キレイに出来ています。
もっとも、内壁がキレイからといって良い焼けになるとは限りませんが…。

さて、後は側壁の続きを立ち上げて、とりあえず本体は終了です。

煙突はサクッと作ったので、写真がありません。よって省略。
でも、四角く積めばOKです。特に問題なし。「丸くってもいいさ」ってぐらい。

もし、引き(空気の流入量)が足らなければ、更に高くすれば解決します。

これでレンガ積みは終わりました。


次回は、グランドフィナーレの『壁土』編となります。


チビ窯築窯レポート 『アーチ積み上げ』編

2009-07-09 09:00:00 | 窯作り・窖窯について
満を持して、アーチを積んで行きます。

縦方向の目地が揃ってしまう『芋目地』になると強度的に弱くなるので注意。
一番良いのは半分づつずらして積めば良いけれど、そうすると必ず半分に割ったレンガを用意する必要がある。

高速切断機があれば、簡単にレンガを縦に切れる。しかし、その道具がない場合は難しい。借りてきても良かったのだが、やめた。

解決策は、カットせずに3分の1づつずらしていく事に。結果として、必ず一段ごとに左右いずれかに、はみ出す。
ひとつおきにレンガが出っ張るのをデザインとすれば良いのではないかと……。


サクサクと積んでいって、最後に頂上のキーストーンを打設。
想定通りに、残った幅がレンガでは難しいサイズになったので、キャスター(アルミナセメント)を使用。水で溶いて、ドロドロ状態で流し込んで固めてオシマイ。

キャスターを使うのであれば、キーストーンの部分が狭かろうが広かろうが問題なし。ただし、キャスターは大きな塊として使う方が耐久性が良いとされている。

この状態で、一晩放置してキャスターを硬化させる。


さてさて、次はいよいよ支保工を外します。

よくTV番組の衝撃映像とかで、アーチやドームが崩落する映像があるけれど、そうならない事を祈るばかりです。
(でも完成画像が先に出てるからドキドキ感がないなぁ)  


今回はここまで、ぢゃ!


チビ窯築窯レポート 『アーチ支保工』編

2009-07-08 12:17:08 | 窯作り・窖窯について
Imagine…… 
想像してみよう……。
アーチが掛かる様子を。レンガで作る架け橋。


チビ窯の天井の形状はアーチです。
ドームにしなかったのは、窯詰めのしやすさと作りやすさを優先させています。一気呵成がモットーですし。

さて、アーチを作るわけですが、いきなり空中には出来ません。
下から支える支保工(ウマというか鞍というか)を作り、それに沿わせて積んでいきます。キレイな型を作って、キチンと積んでいけば、美しい仕上り面になります。(当たり前!)


で、その雰囲気を掴む為に検証中。イメージの検証。
勿論、実際に積む時には目地が入るので多少レンガの並びは変わります。

このレンガは厚みが両側で異なるセリレンガで作るのですが、その厚みの落ち方によって規格があります。T1、T2、T3…と、あのシリーズのような名前が付いています。このレンガを掴むたびに、あのテーマが脳内リプレイされています。(病気?)

アーチの様子がおおむね把握できると、次は大工仕事です。

天井アーチの幅で支保工を作ります。合板で2枚の断面型を作り、端材でつなぎます。端材の代わりに曲げベニヤを使っても良いでしょうが高価ですから、予算と手持ち材料との相談でどちらでも。
アーチの支保工の要は、丈夫でレンガが落ちない事。
ドームの場合は竹カゴを組むほうが早くてキレイと思います。

インパクトドライバーの大活躍でこんなのが出来ます。
大きなカマボコですな。




出来上がると、またレンガ積み再開です。

今後のポイントは、型が歪むとそのままアーチに反映されるので、時々、型がレンガの重さで変形していないのを確認する事! 

Let it be! 

チビ窯築窯レポート 『基礎~壁』編

2009-07-07 20:22:13 | 窯作り・窖窯について
う~~ん、やはりというか……。

『チビ窯』築窯レポートを方々から求められた。
「写真を撮ってないんだってばっ」という言い訳も虚しく……。

では、選りすぐりようのない写真の中からボチボチと。
まずは、最初に撮った写真までの過程『基礎~壁』編を。


築窯予定地は、マサ土を敷いてこれこれ3年経つ場所。地盤的には大丈夫なハズ。

窯の床面までは、レンガ5丁分の厚み。
詳細は、割栗代わりの未ケレンのレンガ。その上に基礎のレンガ。ロストルの底のレンガ。ロストルを乗せる部分のレンガ。床のレンガ。で、5丁。ほとんどは埋め戻しの際に見えなくなる。

次に、燃焼部分(燃料が燃える所)と焼成部分(棚組みする所)の段差を作る。

それから壁を立ち上げる。
正面焚き口の上下、横焚き口の下、窯詰め出入り口(側壁)、ロストル、煙道も作りつつ。
いろいろ使ったので何丁とは言えない。高さ70cm。


ここでのポイントは、焚き口のサイズとサマ穴(素穴)。
大きめに作って問題があれば小さくすれば良いだろうが、小さすぎたら……考えるだけでも恐ろしい。
まっ、煙突を高くして空気の流入スピードを上げるという手段もあるが、事はそう単純ではない。

燃焼には空気が必要。まして温度を上げるとなると尚更。
空気の必要量が同じ場合、流入のさせ方は2通りしかない。
『細い通り道で早く流入させるか』『広い通り道でゆったりと流すか』のどちらかである。
入口と出口の関係が、丁度よければ扱いやすい窯となる。

今回の場合、早い流れを作りたくない。これ重要。

それと今回は、ロストルの開閉部分がカッコイイ!(詳細はまたいつか)


では次回は、怒涛の『アーチ』編!


刮目して待てっ!! (おおげさな…)


こんなの出来ました

2009-07-06 20:37:40 | 窯作り・窖窯について
唐突に「なんじゃ~こりゃ~」という事でもなく、別に隠していた訳でもないのですが……。

こんなの出来ました。

ピザ窯にしては大きすぎる……その実態は、陶芸用の窯。


この前考えていたパズルの続き。規格外の中古レンガが数百丁分あるので、これらを使って。

考えているだけでは飽き足らず「やはり形にしよう」と決心。
在庫のレンガで手早く(コストも極力掛けず)、一気呵成がモットー。

基礎から壁塗りまで入れて、延べ10日で築窯。梅雨時分でなければ、もっと早く完了していたに違いない。モチベーションが下がらないうちに完了したかったので写真は、さほど撮っていません。


とりあえずパズルは組み上がったが……正解かどうかは、陶芸窯としての機能性が実証されてからですな。


通称『チビ窯』と呼んでいるけれど、正式名称を考えねば…(特に必要なし?)

煙突のドラフト部分で燻製も出来るので、コチラも期待が出来ないことはない。(二重否定)
または、炭穴からピザを焼くという離れワザもあるが、窯がオーブンにしては大きすぎるので、よく考える必要あり。(って、目的が変わってるぞ。)


あっ、屋根掛けなきゃ。作業用のタープのまんまだ!


でも、気持ちとしては、ひと区切りついちまった……。次に来るモチベーションに期待しよう。(自分でも未定)


レンガでパズル

2009-06-18 23:40:25 | 窯作り・窖窯について
一基目の窖窯(あながま)を作った時に、「還元が出来る小さい窯が欲しいな」と漠然と考えていた。

酸化も還元も、ひとつの窯で同時にしようと思えば出来る。
連房式登窯の後ろの部屋で酸化焼成をしたり、逆に窖窯の後ろに小部屋を設けて還元焼成したりという工夫は備前焼に限らず多くの人がしている。

そうではなく完全に別の窯でやりたい。かといって、大きな連房式登窯は要らない。

小さな窯では、還元焼成より酸化焼成の方が難しいと思っている。なので、あくまでも小さい窯は還元焼成用。それ以外に火が走る事も考慮に入れて……。


窯は小さすぎると、かえって焼成は難しい。それが棚組みの場所かも知れないし、温度帯かも知れない。原因と結果の検証も難しくなる。


個人的には、小さな窯は灯油窯や電気窯程度しか経験がない。
備前には、通称『角窯』がある。遠目に見たことがあるぐらいで、よく知らない。


さて、考えていたのは、炎式こそ倒炎式にあたるけれど、イッテコイではない。
灰や熾きによって景色となすのが備前焼。それを享受できる事が第一条件。


でも、経験もノウハウもなし。
あるのは規格外の中古レンガが数百丁分。これらをパズルして果たして窯として機能を持たせる構造物が出来るのか……。


想像しながら、経験と推理でアドリブかます。JAZZの時と一緒だな。
ただJAZZと違うのは形として残るし簡単には壊せない。

さて、どうするか……。


でも、石窯としてピザやパンを焼く事は間違いなく出来るだろうなぁ。


ブロック積み終了

2008-11-04 18:40:40 | 窯作り・窖窯について
先日バラした石組みに取って代わったブロック。捨てコンへ深く鉄筋も入れ、数もバッチシ。日曜土木なので、やや心配は残るものの……ヤキモノ稼業操業中は大丈夫だと思いたい。

既に乾いた感じなので、おそらく使用硬度に達していると思う。


ブロックを積むときに、最寄のホームセンターにポルトランドセメントを買いに出かけた。ところが全く見当たらない。

「?」と思いつつ店内をウロウロ。すると砂入りや砂利入りのものを発見。水を入れて練るだけでセメントやコンクリートが出来るというもの。若干割高に感じられたけれど、自分で量を量りつつ混ぜるよりかは簡単で早い。何より材料が中途半端に残らずに使い切れる。残り物の管理の必要なし。

完全に素人向きのインスタントなものは、かなり高価だけれども、それよりかはまだ安い。パッケージも愛想なくシンプル。一瞬迷ったが、早くやっつけてしまいたいので、購入した。

製品1kgあたりの水の量が指定してあるので、判り易く、迷いようが無い。砂、砂利ともに粒度が揃っていて扱い易い。次回も少量ならコレを使おうと思う。


あんまり出来合いのものを素直に使うタチではないけれど、コレはいいかな。







アレがアレで……土留め解体

2008-11-01 19:41:22 | 窯作り・窖窯について
今日は外仕事をするには、程よい天気だった。

先日からの懸案事項をこなす。アレをする為には、アレをアレして…というドミノ倒しの様な案件。そのスタート。

…で、始まりとして、窯場の土留めを解体する。土留めは、築窯したときの造成で出てきた石を再利用していた。元々が段々畑のところを造成したので、畑の土留めとして使われていた石。積み方は近所の畑の観察と知り合いの庭師のレクチャーによる。あまり段数も無いので、セメントで止めずに作った。コレが原因で今日の仕事が始まる……。

今回、しっかりとした丈夫な土留めが必要になった。今の石組みでは不安なので、ブロックを積む事に。勿論、自前。朝から始めて、夕まずめ頃に終了する。ちょっと失敗した。

途中で計算間違いにより、セメントが必要となり、商品配達と知り合い訪問を兼ねて買出しへ。途中で大型バイクのツーリングとすれ違う。世間は連休の始まり、と今更気付く。(それにしては、珍しく誰も遊びに来なかった。おかげで仕事が出来たけれど……。)


一日で終わらす為に結構がんばったので、疲れたなぁ~。

本日は前割り焼酎にて晩酌。
我が家でも小生作の『焼酎ボトル』、活躍中です。