備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

古式ゆかしく……。

2006-08-31 21:41:45 | 窯作り・窖窯について

レンガのパズル。
あるものを組み合わせるだけでなく、時にはレンガをカットして 組まなければならない。

近頃は、高速切断機という便利な道具がある。
電ノコの大きなモノといえばよいか。食パンや食肉のスライサーというべきか。
回転するダイヤモンドの刃で レンガを切断する。


これは良い。早い。キレイ。しかし難点は、ついついキッチリ作ろうとしてとにかく 何でも 切り刻みすぎるという事。

それで逆に 時間がかかるという矛盾もおこり得る。


前回は、とかく やりすぎの傾向だった。
ピッタリと頑丈に作れたが……。


今回は、そんな自分の性格が判っているので、最初から 高速切断機は封印。
あえて、使わない事にした。


で、どうするか……。

古式ゆかしく、ハンマーとタガネで叩き割る。
時々、気持ちよくスパッといくことがあると一人で 喜んでいる。

相手がレンガだから まだまし。


お城の城壁の石組みなんて…… 「素晴しすぎる!」
マッタクもって 脱帽です。


自家製カッテージチーズ

2006-08-30 08:02:45 | 料理・食材

夏休みの追い込み。
子供の自由研究のテーマは 『 チーズ 』

本で 種類や歴史を調べていたが、最後には 「作る」と言い出した。

モノの本によると
『 牛乳1リットルを60~80℃に温めて、
  レモン果汁を70ml入れて、
  分離し始めたら、布きんで絞る。
  2,3回水を変えながら洗う。 』 という段取り。

簡単にいうと、『 レモン入りホットミルクを絞る 』だけだな。
ポイントは 温度、分量、絞り加減。


小生は、全く関わらないで、食べるところから参加。
そのままでは塩気がないので、トマトに塩をつけて、オリーブオイルを 垂らして……

子供の宿題で、今日の一品。


で、味は……、
『 ミルキーな島豆腐 』とだけ いっておこう。

泡盛の水割りで おいしく いただきました。


 


さよなら プルート

2006-08-27 21:40:02 | Weblog

夕刻、手元が暗くなってきた。
ふと、空を見上げると 猫の爪のような月。
久しぶりに月を見たような気がする。


そういえば惑星が減ったとか。
存在は変わらないが、
定義・条件が変われば致し方なし。

で、元トロンボーン吹きとしては、
かの星がホルストの組曲に
入っていないことに不足を感じていたが、
こうなれば、もう大丈夫。
組曲通りに落ち着いた事実に、笑ってしまう。

ホルストが作曲した時には、
発見されていなかった冥王星(プルート)。

次に注目されるときは どんな話題なのだろう。



人がどう思おうが、そこにあったことは何も変わっていない。
人の視点で、変化するモノの在り方と名前。


月を見上げて、存在の無常と時間のスケールを感じた。


これから覚えるときは 「水金地火木土天かい?」と……。
なんとも歯切れが悪いことは確か。 

 


秋刀魚 登場

2006-08-26 08:34:39 | 料理・食材

暑さに混じって、
朝夕に ちらほらと秋の気配が。

寝るときに 扇風機がいらなくなった。
気温もさることながら、虫の音がかわりつつある。

そして、食卓も。  秋刀魚の登場。

この数年、流通が急速に整備され、
北海道沖のものが お刺身OK状態で店頭に並んでいる。

本日は定番の塩焼き。
お皿は 自作の旧作で、秋刀魚を乗せるお皿。
『 笹の葉皿 』という名前。

本当は、鮎をのせていただくつもりで作った。
鮎の塩焼きに笹の葉の香りをつけて……という料理の為。

このお皿は 30cmオーバーの秋刀魚も大丈夫。
なので、ついつい秋刀魚で使う。

両端がスマートなので 食器棚で場所をとらない。
大変便利だが、いかんせん、やきもん屋。
自作の使っている備前焼は キズ物、ワレモノ。

実際に使ってみないと わからない事も多いので……

あとは、経年変化。
備前焼は、使い込むほど表面の粒子が擦れて、
細かい土のグラデーションが現れてきます。

使うほど、色つやが良くなっていきます。
自分で育てていく焼物  備前焼。

この皿のキズも気にならなくなってきた今日この頃。

 


自然保護センター

2006-08-23 21:30:18 | Weblog

夏休みも ぼちぼち……

子供のお絵かき大会の担当で、
タンチョウヅルを描きに行った。
場所は『 自然保護センター 』という公園。

山の中にある大きな池を生かした自然公園で、
森、湿原、野原、池、棚田……という変化に富んだ植生と
そこに住む生物の観察が出来る。

中央の管理センターには様々な標本が飾られたりしている。
蝶々、トンボ、甲虫、鳥の数々。
我が家では珍しいジョウザンミドリシジミなど、短い季節で
高い樹の上方を飛んでいる見つけにくい種類も展示。

ナガサキアゲハ、イシガキチョウ、オオムラサキなど、
生息しているのか? これも展示。 


歩道橋のような遊歩道では 蝶々の飛ぶ高さを歩いて行く。
水中や土中にも遊歩道があれば なお良いのだが…
季節に応じた観察会も開かれていて、野草、キノコなど 
小生向きのなかなか為になる企画も盛りだくさん。
注連縄作りもやっているらしい。

ハコモノではなく、
現実の実際のモノとの ふれあい企画には共感する。
ニオイ、風、温度、しんどい坂道などは 
子供時代に体感して欲しいもの。

ゴミを散らかす子供がいなかったのには感心した。
わが町内の教育成果の一端かと。

「まっすぐ育てよ」と、
ひたむきに 絵を描く子供たちの背中に想った。
が、
小生の子は早速飽きて、寝転んで池の中を覗き込んでいる。



燃焼室の側壁

2006-08-20 21:03:38 | 窯作り・窖窯について

窯の燃焼室の側壁部分。

『火袋(ヒブクロ)』といわれる部分で、燃料を燃やす場所(燃焼室)になります。
ここで燃料の割り木を燃やします。

施釉陶器では、釉薬に灰がつくと困るので、燃料を燃やす部屋(燃焼室)と窯詰めをする部屋(焼成室)は 分かれています。
前にある燃焼室(胴木の間とも)の熱が窯詰めされた次の部屋に入っていくという訳です。

備前焼では、『胴木の間』が大きくなり初戸(ウド)と呼ばれる部屋となりました。
燃焼と焼成の兼用の部屋(ウド)に窯詰めする為に、自然に灰がかかって釉薬化したり『ゴマ』と呼ばれる景色がつきます。

この窯の場合はドームに傾斜のあるトンネルの組み合わさった形で、部屋の仕切りはありません。

これから雪国のカマクラのようにドーム状に積み上げていきます。


華やぎの酒

2006-08-16 23:10:19 | 料理・食材


兵庫県姫路市の田中酒造場の『亀の甲』
日本酒度+4 ・ 酸度1.5 ・ アミノ酸度1.0
精米47%の贅沢な作り。もちろん 『 純米大吟醸 』

「鶴は千年・亀は万年とのいわれを思い出し……」と
知り合いが 送ってくれたお酒。アリガトウ m(_ _)m

しかも酒米まで めでたい名前。幻の米『亀の尾』。
『夏子の酒』で有名になったお米とか。


窯元にいた頃から、
なぜか小生の 酒器、ぐい呑を求められる方は
無類の酒好きの方々が多かった。
類は友を呼ぶ のか。


個人的に 播州の酒のイメージは、
八重垣、龍力の様にがっしりと迷いのない しっかりとした味。
同じ人が送ってくれた 『奥播磨』も、どっしりとした味だった。


さて、『 亀の甲 』。
開けて片口に移す。華やかな吟醸香が広がる。
『 出羽桜の純米吟醸 生酒 』の新酒の時みたい。
スーッと口に含むと雑味がないクリアな味。
戻り香も軽やかに抜けていく。


口の中で一気に花が開き、鼻腔をくすぐりながら、喉を滑り落ちる。 
一口呑み終えると、何もなかったかのように静まる。
しかし、香気だけが 今そこにあった事を教えてくれる。

降ってきた新雪を口に含んだ時みたい。
すがすがしい空気感のいいお酒だ。
一口飲んでは、深呼吸して山の空気と吟醸香をブレンドする。
爽やかで軽やか。

うーん。播州のお酒のイメージを変えないといけないなァ。


舌の上に残る キメの細かい味に何を足そうか。

薬味をたくさん乗せた『戻り鰹のたたき(師匠から)』では
柚子酢とハーブにあいまって、一段と華やか。
合いの手には、黒豆の枝豆。(この辺りの特産)

イワシの和風アラビアータでは、
個性のある青魚とピリカラの味を、キリッと引き締める。

タイの酒蒸しも塩気を引き立てる。

シャープで主張する酒ではなく、華やぎを添える酒。

むしろ柔らかで ふくよかな通奏低音に
キラキラした弦楽がのっかる感じ。


ラベルやサティーではなく バッハ。
『 ブランデンブルグ協奏曲 』を聴きながら呑もう。


イワシのソテー 和風アラビア-タソース キノコ添え

2006-08-15 22:27:21 | 料理・食材

本日の一品。
久々の会心作。
名付けて『 イワシのソテー、和風アラビア-タソース、キノコ添え 』

そもそもは、冷凍したイワシの解凍を失敗。
グズグズの身になったので塩焼きは断念。

そこで、ニンニクと赤唐辛子で、ぺペロンチーノのオイルを作って、イワシ投入。
塩・コショウ。トマトぶち込み、シメジをGO!隠し味に醤油。仕上げに、酒、レモン、青紫蘇。

例によって、配分は適当。 あぁ、しかし、絶~品~♪
青紫蘇以外のハーブがあれば 尚良かったが、あいにく手持ちにふさわしいのがなかった。


全体として イタリアンな手法だが、和風のテイスト。
最近、地味な料理ばかりで、パンチのあるスパイシーなものを作っていなかった。

思い出した。 そうだ!夏はスパイス。


しかし、火を通したトマトに、醤油、レモン、青紫蘇の組み合わせが『 梅干 』そっくりな味にびっくり。落ち着いて 考えれば 食感は加熱したトマトのしわしわ。味は、しょっぱくて、酸っぱくて、紫蘇の風味。

『 イワシの煮付け 』に梅干が合うので、焼いたイワシに紫蘇入りトマトソースが美味いのは当然か……

B級グルメ的発想であるが、当たらずとも遠からずと思う。


未体験ではあるが、『 プリンに醤油をかけると…… 』

果たして……。


ローコストの代償

2006-08-15 00:15:01 | 窯作り・窖窯について

壁を立ち上げ始めました。

窖窯の形は、断面がカマボコのようなアーチ構造になります。
しかし、床からは しばらく垂直に壁を立ち上げます。そして、ある点からアーチ構造にします。

現在は、まだ垂直な壁を作っている段階。

長年かけて ローコストでレンガを集めたので、買ったその都度、大きさ、形がバラバラ。つまり、規格外、余りモノ、使い古しという一癖あるヤツラ。

ローコストの代償は、パズルという形でかえってきた。
持ち上げたり、歩いたり……、体の全身を使うパズル。


モルタルをつける前に 一度簡単に仮組みをして、収まりを確認してから積み上げる。

決して 面倒くさいとは思わないが、全体のレンガの在庫状況を見積もっておかないといけないので、見えないプレッシャーがある。それが大変。
中には、「 絶対に ここしか使えん 」という妙な形状のレンガもあるので……


使い残しがあっては元も子もないので、モッタイナイ精神とイチビリ根性で楽しんでいます。

 

 


干瓢の芯

2006-08-13 22:09:14 | 料理・食材

近所からの頂きもの。
最近、シーズンのせいか やたらと頂く。

干瓢(カンピョウ)の芯。

干瓢は、スイカぐらいの大きさの実。
木工ロクロのような道具で削って、キシメン状のものを作る。それを乾燥させると、あのカンピョウが出来る。

ある程度 削っていくと種が出てくる。種があるところは削ってもヒモにならないので、破棄。

その破棄する部分を頂く。


これをごま油でいためて、出汁で煮含めると、美味い!

中心部分のフワフワしたところは 麩のような食感。周りのしっかりした所は、とろっとした滋味ある味わい。冬瓜(トウガン)と くらべると繊維質で粗い食感。

いうなれば 冬瓜がキヌコシなら 干瓢の芯は、モメンか。

こればかりは、店では 売っていないので、作っている人から頂くしかあるまい。
拙宅では 喜んで食べているが、地元の人々は飽き飽きしているらしい。

干したカンピョウはともかくとして、この干瓢の芯は一度は食べないと、夏が来た気がしない。