備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

薪作り

2006-06-30 22:16:21 | 陶芸

築窯予定地の斜面に生えていたカシ、クヌギ、コナラ。

伐採したあと、燃料とする為に割木にする。雑木は なかなか乾かないので、
積んで半年~一年置いて、乾燥させる。この乾燥時間も製作には欠かせない時間。

割り木の水分が、作品の『緋色』に影響するし、窯の温度の上がり具合も左右する。


一口に雑木といっても、種類によって違いがあり、カシは松に比べても かなり火力があり、クヌギは、オキを作りやすい。


灰の成分がそれぞれ違うので当然、自然釉の色も異なってくる。サクラなどは、ピンクに発色することもある。

現在は、赤松オンリーのように言われる向きもあるけれど、昔々、流通が不便な時代には、手に入りやすい木を使ったであろうから、雑木も使われていたと考えるのが自然だと思う。

ただ経験的には、赤松の炎の伸びや安定性、焚き易さはピカイチ。燃料として優れている。


ドングリがなる雑木は、伐った後に ヒコバエが出るので燃料の再生産には優れている。

これから、雑木が 見直されることもあるだろう。

 


巨大ガエル

2006-06-26 23:11:14 | Weblog

本格的に長雨が続いている。

夕刻、拙宅の番犬がやたらと吠えている。
人には吠えないで、動物には厳しいタチなので、また、シカか タヌキかと思っていたが、しつこく吠え続けている。

こういう時は大抵、チョット長めの足がないタイプの生き物の場合が多いが……。

見に行ってびっくり。優に手のひら2枚分を超える巨大なカエル。何なら逆にヘビでも食っちまいそうなヤツ。食用ガエルの色よりも もっともっと派手派手。
威嚇のつもりか、時折、口を大きく開けるが、ゾーッとするね。
あまり可愛らしいと思えない。


ヌーベルキュイジーヌの『水の料理人』と言われたベルナール・ロワゾー氏が、野菜と水で、素材の味を最大限に引き出す軽いソースで三ツ星を取った料理が、カエルのソテーだったことが頭によぎったが……。

確かに肉付きもよく……おフランスの方々はこんな色にも食欲がわくのだろうか。


この後、悠々と山のほうへと帰っていきました。
「日本生まれでよかったな。カエル君。」

 

 


出会いの色

2006-06-21 23:01:29 | Weblog

最近になって やっとこさ、窯の建屋のペンキを塗り終えた。

さび止めの赤い色のままでは 気分的に良くないので。

色が決まらず、知り合いに相談すると、「ペンキ屋さんのあまりを頂戴せよ」とのたまわれる。「出会いの色というのも良いかも」と軽い気持ちで仰せに従うことにした。

くだんのペンキ屋では仕事で残ったものをストックしていて、いろいろある。
で、塗る面積を計算すると 一斗缶ひとつ分となる。

単色ではオリジナルな出会いの色にならないので、手近にあるものをアレコレとチョイチョイと調合してもらった。

アイボリーにかすかに若草色が混じった様なニュアンス。
 『割とええやん』という落ち着きのある爽やかな色。

1度目は、サッサとやって、乾かす。

いつの間にか数ヶ月経て やっと終了。

で塗り終わってから……『黒く塗っておけば、煙やススが目立たなくて良かったかも』と思う今日この頃。


晩生の茗荷(おくてのみょうが)

2006-06-20 22:06:55 | 料理・食材

梅雨に入ったとはいえ 暑い日が続いています。
そんな暑い日の昼下がり。

「ソーメンいっとく?」ということで、素麺です。

で、鍋に火をかけてから、庭先に降り立って見ると……薬味といえば、浅葱(あさつき)は既に終了。青紫蘇も出始めたものの香りが薄い。で、茗荷(ミョウガ)は……というと、小生宅の茗荷は先輩とトレードした晩生(おくて)の種。この茗荷は秋近くになってから やっと出る。

トレード前にあった拙宅の早生(わせ)の種は引越しのドサクサで、いつの間にか全滅してしまった……。

然るに、今現在、庭先に薬味がないという緊急事態発生中。これからという時に、驚愕の事実。

そういうわけで、去年漬けた梅干でサッパリ美味しくいただきました。



晩生の茗荷は夏の素麺には間に合わないけれど、梅干を上げたあとに漬けておけばハジカミのように 抜群の箸休めになります。

早生、晩生とも使い道は色々あるということです。



ちかごろのワラビ

2006-06-15 22:14:40 | 料理・食材

梅雨の合間の 雨上がり。

我が家の庭先の摘み残しのワラビ。
夕まづめ、山に向かってワラビが拳を振り上げている様。
大きくなった葉っぱを羽のように広げ、若い芽を先へ先へと広げていく。

やっとの晴れ間に背伸びをするように 長くなった軸を揺らしている。


そのごく若いところだけを採ってサッと湯に泳がせるとたちまち出来る本日の一品。
鰹節をかけて出汁醤油でいただきます。

ごく細く小さいので 時間をかけて茹でる必要はなく灰汁抜きもおまじない程度。

灰汁抜きをする為には、手に入りやすいのは 『重曹』なのだろうが、そこは、こっちは焼物屋。

窯掃除をした時の灰を 灰汁抜き用にとってある。ごく良いところは釉薬の原料として使えるが、砂混じりの灰は ふるいにかけて料理用にとってある。


その昔は、『かまど』や『囲炉裏』『風呂』の灰だったんだろうなと、想像するだけ……。

なんせ、生まれたときから電気がついてたもので……


ひとつ目小僧の正体

2006-06-13 23:35:10 | Weblog

冬の間、広々として何もない田畑は 鹿の通り道だった。
それが今さら水が入ったからってそう簡単にはきりかえがきかない。

つまりは、鹿はそれと知らずに田んぼを荒らすことになる。これでは困るので、それを教える為に、夜なかの田んぼを照らす。
かなりまぶしい『ひとつ目小僧』であり、近所で呑んで帰ってくるときには、便利な外灯になる。


鹿の食害は年々ひどくなる一方で、畑の野菜だけでなく、チューリップや椿、植えたばかりの稲まで食べてしまう。

夜、出くわすと一定の距離までは逃げないで、顔だけをこちらに向けて クリクリのつぶらな瞳で振り返っている。
カワイイ。


しかし、心の内で、「いつか食っちまうぞ!」と思っている。


去年は結構、いただきましたケド。


石ころが語る土地の履歴

2006-06-12 21:44:33 | 窯作り・窖窯について

あいも変わらず、窯場の周りの作業。
なかなか本題に入れない状態がつづく。


湿気の問題が肝心なので、今が大事と思って、拙速にしないほうが無難か。レンガを積み始めてから挽回しよう。

窯そのものはアーチ構造なので、相当無茶なことをしない限り壊れることはない。
というか 壊れた話そのものをあまり聞かない。
しかも半地下式である窯の場合は、地面で力を支えるので結構平気。

それも強いしっかりとした地盤があってこその話ではあるが……



備前焼の地は、霊峰熊山の火山性の岩盤と堆積(たいせき)岩が隆起した平野から成り立っている。
備前焼の粘土は、熊山山系の流紋岩が風化、分解し、流されて堆積したもの。
だから大抵、現在は平地の田んぼの地下から採取される。


小生の築窯地は山の途中のなだらかな場所にある。
岩石は堆積岩の質であり、土の中の石ころはみな一様に丸い。
つまり しばし水の中(海中?)にあったと思われる場所柄。
 
やはり、このあたりも隆起した土地であり、しかも、石が丸いことから 水際であったことが予想される。  ( しかし、化石が出た話は聞いたことがない。 )


ウチの奥の高い地点には金鉱脈の発掘孔跡があって、コウモリやら、何やら、魑魅魍魎の皆さんがいらっしゃる。



今は、海抜60mほどらしいが、遠い遠い将来はどうなるのだろうか、

温暖化のことが頭をかすめる……。




日曜日は田植えの日

2006-06-11 23:30:24 | Weblog

本日は、日曜日。
いまや多くの農家がそうであるように、この辺りも兼業農家が多い。そうなるとお勤めが休みの日曜日は 一斉に田植えとなります。


植物という生き物相手なので、毎年その日が来れば雨が降ろうが、田植えをする。
幸い今年は天気もよく、暑くもなく『田植え日和』でした。

ウチの愚犬も日がな一日 田植えを眺めていたようです。

日がたつにつれて、しっかりと植わっていない苗は、プカプカと浮いてしまいます。そうなると、その部分だけ手で植えなおし。


以前、造り酒屋の『 田植えイベント 』に参加したことがありました。
素人衆が寄ってたかって植えましたが、後日、酒蔵の皆さんに ご迷惑をかけたのではないだろうか。

餅は餅屋。 お百姓はお百姓。
泥んこ相手でも焼物とは勝手が違う。


田んぼに水が入ったので、無数のカエルが鳴いていて月明かりの山に響いている。

毎年今頃のBGMではあるが、いささか……


カエル、寝てくれよ!   小生は眠いぞ。


おかひじき

2006-06-08 23:33:56 | 料理・食材


細君が野菜直売所から海草のようなモシャモシャしたものを買ってきた。

この時期になると一度は買ってくる野菜。『おかひじき』とは、その姿からか 言い得た名前。うちでは『おひたし』の様にして食べる。

サッとお湯にくぐらして歯ごたえを残す。
ドレッシングといえば、マヨネーズに少し牛乳を加えて、芝麻醤を入れる。
シャキシャキした青い葉の爽やかな香りとゴマのネットリ感とが良くあう。




近所のプロの農家の方々は、他人と違うものを作りたいという向きもあるらしく何かとチャレンジされているようです。

その為に流通にあまりのらないけれど、少量ではあっても面白い野菜に遭遇します。

葉ごぼう、おかひじき、黒豆の枝豆、赤ジャガ、ヤーコン、親芋……あとは変わったところでは、干瓢(かんぴょう)を剥いた後の芯。


それぞれ個性的で美味しいモンです。

『 地産池消 』のお楽しみ野菜の始まりです。


いずれが アヤメかカキツバタ。

2006-06-07 21:22:20 | 料理・食材

拙宅の近くの農業用水は、よく見ると実に変化に富んだ植生をしている。
珍しく三面護岸をしていない用水路。

大水が出ると 細かな砂が堆積したり、木の根が洗われたりしている。
その為に、湿地のような場所があったり、深みがあったり・・・。淀川のワンドほどではないが、水がたまった部分もある。

シジミ、カワニナもいる。カワセミもいる。上の池にブラックバスはいない。大きなコイが悠々としている。

夏になると子供たちは、サワガニを狙っている。
その足元にアオダイショウがっ!
みんな、のびのび しすぎ。

美味しくいただけるものは さほど無いが、色々と目を楽しませてくれている。
都会ではビオトープとか言うところなんだろうなぁ。


しかし、どう考えても自然でない人の手が入ったものもある。

ひとつは、アヤメ、ショウブ、カキツバタ。誰だ?
もうひとつは、クレソン。誰だ?

すみません。
小生がこっそりと砂地に ばら撒いてクレソン畑にしつつあります。
野生のセリの敷地を少し拝借しています。これは美味しくいただきます。

去年の台風では、ごっそりと流されちゃいましたケド。