先月の事。桜がチラホラな頃。
まぁ、その……「おめでたいっ」とか「記念日だ」とか「いよっ、お疲れ!」とか一切合財を纏めての気分での外食でした。
東京で予約の取れないお店にして「天才」の声が高いイタリアンシェフ。岡山へ移転され、そのお店へ参りました。
昨年に一度お招き頂きましたが、その時は「料理人を目指す」と言う拙宅の子に対して世界の本物を見せて頂ける機会になりました。
今回は家族のみ。
特筆すべきは、「地元の食材で作る」というこだわりです。
地元食材ですから我々にも同じく手に入るモノでありますが、しかし、それが、まぁ……、手間と塩梅によって「参りました」となる領域まで高められるか否かが天才と凡人の差です。
そもそもプロと素人でも差があるのに、もはや脱帽以上に脱毛しそうなレベル。舌の上で分析しようという気さえ「もういいや」となります。ひたすら「美味しいね」の繰り返し。
さて、今回。
一日限定一組(基本4名)ですので完全貸切状態。ウチのことですから頂きながらもアレコレでしたが、加えて帰路にもアレコレ。
そのうちで「何が良かったか?」ということでのまとめ。
小生は前菜。
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軽く火を通した牡蠣に、山盛りのクレソン、生ハム、チーズを載せて。オリーブオイルがしっかりと掛かっているのに軽さが際立つ。
口の中が洗われつつ、ググッと期待が膨らむ。この爽やかなクレソンが華やかなovertureにして、オリーブオイルの香りが後のメニューを通奏低音の如く支える。
子供(その1)はパスタ。
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ブロッコリーを荒く潰したソースで。ぎりぎりのクリームの量が絶妙。これ以上多くても少なくても……。
我が家の単なる『茹で過ぎブロッコリーのパスタ』の事故品では望むべくもない。
もう一品の『筍とベカとニシガイのパスタ』はコッテリ濃厚でメニューに強弱がつく。変拍子のアクセントが入ることで旋律に立体感が出る効果の如く。くぅぅ、憎いねぇ。
細君は魚。
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メバルであるが、酸味の使い方に唸る。トマトとオリーブの酸味も色も爽やか。輸入のオリーブは赤道を越えると「味がグシャ」っとするとの事。
恐らく小豆島の新漬けだろうな。以前、表町のアンテナショップで買ったものに共通する味を感じた。
子供(その2)はデザート。
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「名前は?」の問いに「思い付きなのでありません」というオトボケ。地元の食材の組み合わせから気分で作られたとか。
フォンダンショコラ、アイス、糖蜜、イチゴ、コーヒーゼリーなどの「温・冷・甘・酸、苦」の組み合わせがスプーン一口ごとに変わる。
花火大会のフィナーレのように大量かつ様々な展開に心が持っていかれる。ラプソディ・イン・スイーツ。
やきもん屋として印象的だったのはステーキ。炭ではなく薪で焼かれていました。
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「コースの途中から木をくべたり立てたりしているなぁ」と思っていたけれど、「食べるスピードに合わせて、ベストな熾きを作っていたのか」と出されてから判る。
塊肉で焼きながらも中心はほんのり温かなミディアムレア。炭の勢いではなく柔らかな燻製の香りをしっとり纏うよう。
「いやはや……」と繰り返しつつ、日は暮れました。
外までお見送り頂き、仰ぎ見た空の星がいつもよりも美しく見えたのは気のせいか。
帰宅してウイスキーを片手に、頂いたひと皿ごとに一篇の物語を思い返す心地でユルユルと。で、そのまま就寝。
ハレの食事でした。
子供たちは、いまだにアレコレ言ってる。さて、再訪適うのはいつになるでしょうか……。
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写真は古いガラケーの300万画素カメラおよびデジ一で。卓上写真用にポケットサイズのコンデジが欲しいなぁ。