備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

タケノコ御飯

2015-04-28 23:54:51 | 料理・食材


本日は割り木運び。寄る年波なので頑張り過ぎないようにゆっくり慌てず、しかし休まずに。
それにしても天気が良い。心地よい疲労感と共に本日の重大案件は終了。
その後は、風呂から晩酌へと素晴らしい流れである。

雨後のタケノコとは言ったもので、よく採れるのだろう。方々から頂く。
ウチにはないのでありがたや。しかし、大きいのやら、小さいのやら……孟宗。
淡竹はまだかのぉ。(←急に贅沢!)


子供達のリクエストに応えてタケノコご飯とするが、油アゲを入れ忘れて大ブーイング。
炊き込みご飯は、脂分が無いと美味しさが半減するなぁ。鶏肉、油アゲ、ゴマ油……何かしら必要。
ちょっと失敗。


それぞれの茶碗へ。


青備前の茶碗は爽やかさが引き立つ。


緋色が濃厚な茶碗は落ち着きあるアースカラー。ご飯との相性が良いなぁ。


しっかり目で見て頂きます。(まぁ、たまにはこういう日もあるさ)

タケノコ到来

2015-04-26 21:48:14 | 料理・食材



朝、番犬福助が吠えている。
福助が吠えるという事は「来訪者あり」の知らせ。性能的には200m先のドアチャイムである。なお、昼間であれば人間の可能性が高い。
程なくして見覚えのある車が入ってきた。弟子の頃から色々お世話になっている某ヤキモノ屋さんのご来訪である。
福助も歓待やらビビッているやら判らない対応。判ったから! (いや、判らんが)ウルサイよ。

挨拶もそこそこに、ビニール袋に入ったものを「ほれっ」っと手渡しされる。中身はタケノコである。
先日「タケノコがイノシシに食べられて……」とブログに書いていたのを気にして頂いていたらしい。
扱いやすいサイズの孟宗竹の筍が5本。ぬかの小袋付き。う~~む、判っていらっしゃるなぁ。


「で、これ買ったんやけど、幾らやと思う?」
「という訊かれ方は、安いってことだろうから……。300円?」
「100円!」
「……( ̄□ ̄;)!!」

掘る手間を考えたら100円は安い。次回からはここで買おうかしら。もっとも備前に来てから筍って買った事はないんだけど……。
その日の夕刻の散歩時に、葉が伸びているワラビの先端部分だけを良いとこ採りしてくる。
タケノコとワラビの灰汁抜きをして仕込みは終了。


さて、翌日。

夕刻より、いそいそとキッチンへ。

先端部分同士で予定通り『筍と蕨のたいたん』。
春ですなぁ。

根元部分は師匠の奥様直伝『タケノコの味噌炒め』とする。

すっかり、ウチの定番。
しかし、木の芽を失念していた。日も暮れたので山へも上がれず……さて、困った。
冷蔵庫を物色して、ウナギの蒲焼用の粉山椒を発見。ビジュアル的に問題があるが、まぁ、今日のところはこれで良しである。


ということで、到来物で春のメニュー。

「まぁ、ブログは書いてみるもんや」という話でした。チャンチャン♪




遅ればせにワラビ

2015-04-21 19:31:41 | 料理・食材


今年は菜種梅雨から卯の花腐し(うのはなたくし)と切れ目なく雨が続いている。
番犬福助も「今日も卯の花腐しかな」と連日倦み果てたご様子である。


本日はようやくの晴れ間。夕刻、男同士並んで散歩とする。久々に足を伸ばして裏山へ上がる。目的は池の周りの山桜を見る事。
道に覆いかぶさる新緑が、斜光で淡く明るいグラデーションを作っている。雨に洗われた新緑の散歩道。悪くないね。
画家ならばこういう瞬間を題材にするのだろうが、こちとらやきもん屋である。興味は食材に向く。否、それにしか向いていないと言うべきか。


採る時期がいささか遅いが、ワラビはまだ大丈夫だ。イノシシのお陰でタケノコが口に入らないので、せめてものワラビで春を味わうとする。
片手に福助、片手にワラビという形で帰宅する。

いそいそと灰汁抜きの準備。窯場から『天然松灰100%』を調達する。


釉薬のヤキモノ屋さんからお叱りを受けそうな純度の灰で灰汁抜きをする。
洗ったワラビを灰でコーティングして、熱湯を注いで一晩放置。これでオシマイ。
これまで色々と灰汁抜きを試したけれど、この方法が歯応えを損なわず綺麗な色に仕上がる気がするなぁ。

さて、これで明日の晩酌メニューは『ワラビのおひたし』あたりか……。
万一、タケノコがご来宅された場合は『タケノコとワラビのたいたん』というのも吝かではない。
到来物を極薄く期待しておこう。



あっ、明日、晩御飯いらんのやった……(´・_・`)







ミームの器

2015-04-19 09:25:25 | 陶芸


3月に展示した拙作。
第46回 備前陶心会展で備前市長賞を頂きましたモノでございます。

キャプションには……

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『ミームの器』

ミームとは、DNAのように知識や文化的側面が代々受け継がれていく流れを指す。
伝達されたミームは、模倣によって蓄積され、選択淘汰されつつ新たに自己複製し伝播していく。
誰もがミームの流れの中にあり、同時にミームの器でもある。

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としておりました。


しかし、普段の箱書きでは『備前花器』やら『備前象嵌花器』だったりする。

まっ、今回は特に箱書きに指定もないし、題名の通り書く。
ちょっとスノッブな気もするが……、まぁ、たまには……。ねぇ。




「男に照れは必要ねぇ」って中三の時の担任が言ってたし。良しとしよう。うん。


(意外とネーミングは気に入ってる)

猪のハツ&レバー

2015-04-12 20:18:42 | 料理・食材


師匠宅へお伺いするとイノシシ解体前日という抜群のタイミング。
納屋にぶら下がっているものを見ると内臓は既に抜いてあり綺麗にしてある。
そのうちの心臓と肝臓は取り置き中との事。「丁度よいとこへ来た」とばかりに頂く。ありがたや~~。
こういうものは冷凍せずにすぐに頂くのが良い。帰路ニラを入手。

塩水の中で揉んで、ほどほどに再度血抜きする。牛乳に漬けるなどの処理は不要に思えるので下処理はこれで終わり。
暫し後、皿いっぱいの『猪のレバニラ』が出来るが、あれよあれよという間に子供達に完食される。
「ゆっくりと芋焼酎で」と思ってたんだけどなぁ。味見程度で終了してしまったなぁ。 (´・_・`)


気を取り直して、心臓に取り掛かる。


前回の食べ比べでは塩胡椒+レモンがベストという結論に至っているので、今回はハーブを加える方針。
味の基本は前回同様の塩胡椒だが、それに乾燥バジル粉末とシークヮーサーを投入する。
サッパリ感に清涼感が加味される。良いねぇ。

「これにはウイスキーを合わせるかな」とグラスを見繕っているうちに「ありゃ? もう無いじゃん!」
慌てて数切れを確保する。


まぁ、つまりは「美味しい」という事か。「良かった、良かった」という事にしてウイスキーをチビリッ。


(食材を頂くタイミングは良かったが、料理を頂くタイミングは外したなぁ)







模様替え

2015-04-07 15:31:16 | Weblog


春休みの事。
子供たちのライフスタイルの変化もあって、家の中を模様替えする事にした。
といっても、拙宅は仕切りの無いスケスケな家なので、仕切りを作って部屋割りをする事から始まる。よって模様どころか家の中身が変わる。
壁紙も貼っていないので、気兼ねなくネジやらボルトを捻じ込む。「壁紙が欲しけりゃ自分で描きな」というスタンス。ちびっ子時代から「ラクガキ上等!」である。


今回のミッションは、クローゼット製作と机の移動(リニューアル含む)がメインである。

クローゼットは部屋の仕切りにもなる位置で製作。梁に柱を設置、物干し竿を渡してクローゼットの中身を作る。



1.5×2×2mの空間を2人分のクローゼットにして、両側から使えるようにする。上はハンガー、下は棚という構成。
中身はごく簡単に出来た。埃除けやら日焼け防止のアレコレは今後。

次は机。小中高と12年使ってきた自作机をリニューアルする。もちろん子供が自分で。「自分のことは自分でしましょう」

天板を外してサンドペーパーで黒歴史(ラクガキ)を消していく。足は10センチアップ。その横で小生は俎板のメンテナンスを。「木はいいねぇ」
「最後に亜麻仁油を」と思ったけれど無かったので、オリーブオイルを薄く浸透させて出来上がり。


天窓の下に設置する。

なんか雰囲気があるなぁ。小公女だかアルプスの少女だかという趣き。ん? どちらも屋根裏部屋か……。


外から見ても判らないけれど、中は随分変わった。

(写真は昨年5月ぐらい)


しかし、こういう平日大工の話題は本業でお待ち頂いている方々への面目が立たぬ故、アップしにくいです……。
順次、やります。ごめんちゃい。 m(_ _)m






いやはや……な、イタリアン

2015-04-05 21:26:17 | 料理・食材


先月の事。桜がチラホラな頃。

まぁ、その……「おめでたいっ」とか「記念日だ」とか「いよっ、お疲れ!」とか一切合財を纏めての気分での外食でした。
東京で予約の取れないお店にして「天才」の声が高いイタリアンシェフ。岡山へ移転され、そのお店へ参りました。
昨年に一度お招き頂きましたが、その時は「料理人を目指す」と言う拙宅の子に対して世界の本物を見せて頂ける機会になりました。
今回は家族のみ。

特筆すべきは、「地元の食材で作る」というこだわりです。
地元食材ですから我々にも同じく手に入るモノでありますが、しかし、それが、まぁ……、手間と塩梅によって「参りました」となる領域まで高められるか否かが天才と凡人の差です。
そもそもプロと素人でも差があるのに、もはや脱帽以上に脱毛しそうなレベル。舌の上で分析しようという気さえ「もういいや」となります。ひたすら「美味しいね」の繰り返し。

さて、今回。
一日限定一組(基本4名)ですので完全貸切状態。ウチのことですから頂きながらもアレコレでしたが、加えて帰路にもアレコレ。


そのうちで「何が良かったか?」ということでのまとめ。


小生は前菜。

軽く火を通した牡蠣に、山盛りのクレソン、生ハム、チーズを載せて。オリーブオイルがしっかりと掛かっているのに軽さが際立つ。
口の中が洗われつつ、ググッと期待が膨らむ。この爽やかなクレソンが華やかなovertureにして、オリーブオイルの香りが後のメニューを通奏低音の如く支える。

子供(その1)はパスタ。

ブロッコリーを荒く潰したソースで。ぎりぎりのクリームの量が絶妙。これ以上多くても少なくても……。
我が家の単なる『茹で過ぎブロッコリーのパスタ』の事故品では望むべくもない。
もう一品の『筍とベカとニシガイのパスタ』はコッテリ濃厚でメニューに強弱がつく。変拍子のアクセントが入ることで旋律に立体感が出る効果の如く。くぅぅ、憎いねぇ。

細君は魚。

メバルであるが、酸味の使い方に唸る。トマトとオリーブの酸味も色も爽やか。輸入のオリーブは赤道を越えると「味がグシャ」っとするとの事。
恐らく小豆島の新漬けだろうな。以前、表町のアンテナショップで買ったものに共通する味を感じた。

子供(その2)はデザート。

「名前は?」の問いに「思い付きなのでありません」というオトボケ。地元の食材の組み合わせから気分で作られたとか。
フォンダンショコラ、アイス、糖蜜、イチゴ、コーヒーゼリーなどの「温・冷・甘・酸、苦」の組み合わせがスプーン一口ごとに変わる。
花火大会のフィナーレのように大量かつ様々な展開に心が持っていかれる。ラプソディ・イン・スイーツ。


やきもん屋として印象的だったのはステーキ。炭ではなく薪で焼かれていました。

「コースの途中から木をくべたり立てたりしているなぁ」と思っていたけれど、「食べるスピードに合わせて、ベストな熾きを作っていたのか」と出されてから判る。
塊肉で焼きながらも中心はほんのり温かなミディアムレア。炭の勢いではなく柔らかな燻製の香りをしっとり纏うよう。


「いやはや……」と繰り返しつつ、日は暮れました。


外までお見送り頂き、仰ぎ見た空の星がいつもよりも美しく見えたのは気のせいか。
帰宅してウイスキーを片手に、頂いたひと皿ごとに一篇の物語を思い返す心地でユルユルと。で、そのまま就寝。
ハレの食事でした。
子供たちは、いまだにアレコレ言ってる。さて、再訪適うのはいつになるでしょうか……。




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写真は古いガラケーの300万画素カメラおよびデジ一で。卓上写真用にポケットサイズのコンデジが欲しいなぁ。