備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

尺貫法ではなく…

2007-10-26 10:24:21 | 陶芸
次回の窯焚きに向けて製作中。

思うところがあって『寸法』が重要な仕事運びになっている。焼き上がって単品で見るとその辺りの事はわからなくなるけれど、それまでの過程で大切な事。
上手くいけば良いけど……と、いうより上手くいくハズ。ヤキモノ屋には思い込みも重要なファクター。


備前焼の粘土は粒子が細かく、灼熱減量(燃えてなくなる量)が大きい。よって収縮が大きい粘土である。寸法としては2割ほど収縮する。焼き上がりのサイズに、収縮率を勘案して製作する。

いちいち計算していたら仕事がはかどらないので、換算表を作っている。それでも原土によって収縮率の違いがある。また、精製方法でも違う。従って換算表がこれまた少し違う。

ちなみにサイズ表記は『尺貫法』。
窯詰めも尺・寸で進める。慣れるとコッチの方がイメージしやすい。慣れの問題。
和食器は尺・寸のサイズだし。

窯元に入った時に、先輩方はセンチで会話していたが、頑固に尺・寸で通していたら皆が折れてコチラに。「ホラ、やっぱりイメージしやすいじゃん」という問題でなく、既に小生が無理だったという事。
もちろん後輩達も全員、宗旨替えさせる。なんと勝手な。


ロクロ仕事では、重さからの換算も必要。

伊部の老舗窯元では、今も匁(もんめ)を使っているところがある。恐るべし伊部。こうなるとお手上げ。小生にはグラムとの換算表が必要になるなぁ。

……ということは、小生は『尺貫法』ではなく『尺キログラム法』という和洋折衷な状態。誰も文句言わなかったからいいや。


そういえば、白土三平の謎の忍者『四貫目』は体重が変わるという意味だったかな?遠い記憶……。

花咲く陽気

2007-10-24 18:49:38 | Weblog
やっと夜が冷え込むようになった。今年は紅葉が遅い。

渋柿がちょっとづつ色づいてきた。もう一息。でもサルの方が先に盗るかも。
今年のこの陽気では、干柿は出来ないだろう。吊ったところで、カビが生えて腐ってしまうだろうな。


夏にスイカを食べながら、流星群の観察をしていた。外で食べていたので、種はそこらじゅうにペッペッッと飛ばしながら。そして今、その種が発芽して花を咲かせている。まだ暖かい陽気という事か。
これからの季節、夜は冷え込むので、露地では実ることはないと思うけど……。


もし実ったら、『ド根性スイカ』で新聞ネタ?
でも周りでも沢山あったりして……。

結構、気に掛けて見ている今日この頃。

まつりのあと

2007-10-21 20:32:04 | 陶芸
怒涛の2日間が終わりました。

皆様のおかげを持ちまして出店する事ができ、また、何とか終了しました。有難うございました。
ショバ代は『地域推薦の店』という鑑札と相成りました。ペラペラのラミネート加工一枚(しかも名前は誤字)では、ちと高い!


色々と出会いがありました。充分にお話をする間がなかったのが残念でした。

毎年、東京から来てくださっている方。
窯元時代から買っていただいて、今回再会した方。
ブログ・HPを読んで来られた方。
初窯出しの新聞記事を見て来ていただいた方。
たまたま同じ町内の方。
子供の同級生の親御さん方。
やきもの以外の付き合いの方。その他、イロイロ……。


『ほぼゲリラ的出店』の小生の出店で、お会い出来た偶然に感謝です。
お買い上げいただいた方には、更に感謝ですヮ。オホホ…(^。^ゞ


疲れているのに、ハイな気分です。
ロック野郎なら、ここらで一発、「愛してるぜ!みんなぁ~」って言う場面だな。

明日はどういう一日になるんでしょうか……。片付けも色々あります。


早く寝よ。(晩酌してから。)


わらわらと集めるワラ

2007-10-17 19:31:53 | 陶芸

稲刈りシーズンが終わりつつあるこの頃。
懸案事項のワラの確保に出向く。
いつも頂いている『利守酒造』へ。
最近、晩酌の『酒一筋 純米吟醸(赤磐雄町米)』は偶然のタイミング。

このワラを使うのは来年。
けれども今しかないので確保しておかねばならない。

機械で刈ってしまうとワラを切り刻む為、手刈りに限る。
しかも、酒米である雄町米のワラは、一般のうるち米のそれよりも長い。
ヤキモノ屋には好都合だけれど、農家には倒れやすかったりして厄介らしい。


丁度、利守社長の奥様と出会ったので、イロイロとお話をして…
「欲しい人が増えたから残り僅かよ~」と言われ、田圃に行くと本当に少ない。
あやうく来年困るところだった。
根元からきちんと刈ったワラを頂く。例年以上に『ありがたみ』が増す。
いつもなら多めに貰って、欲しい人にはあげていたけれど、今年の分はあげられそうもない。

貴重品になってしまったな。来年のカツオの叩きはどうしようか……


奥様がおっしゃるには「来年は稲刈りにきて、確保したら?」と。
酒蔵の企画での『稲刈り体験』の日に出向けば、雄町米のオニギリとちょっと一杯があるとか。
楽しみ半分、実益半分で来年の稲刈り参加を約束して撤収。


帰ってきてから、体中がチクチク。タマラン~~。

 


備前焼まつりのご案内

2007-10-10 21:30:28 | 陶芸
今年で25回目になる『備前焼まつり』が、20(土)、21(日)に伊部駅一帯でひらかれます。

小生は、これまでは在籍していた窯元から出店していましたが、今年は某所にて出店予定です。
『備前焼まつり』の主催は備前焼陶友会ですから、伊部の中心部分は陶友会会員のテント村になります。陶友会会員ではない方々は、民家の軒先などを間借りして出店する事になります。ショバ代は陶友会にも納めますが……。
陶友会会員でない小生は、『ほぼゲリラ的出店』です。

さて、毎年、お顔をあわせていた方々と再会できるかどうか…。
是非探してください。結構目立つ場所で紺色テントで、オレンジの幟を立てています。(ヒントは酒屋。)



『備前焼まつり』のイベントとしては、前夜祭の「かべりだいまつ」・ろくろ踊り ・備前焼小町委嘱式・備前焼小町撮影会・おたのしみ抽選会・福袋・ろくろチャレンジ・ろくろ実演・茶席・『野の花と器』展・音楽隊演奏パレード……とイロイロあります。


個人的に企画したいのは、落研の青空落語(演目は『茶金・はてなの茶碗』『猫の皿』『井戸の茶碗』などヤキモノ関係の噺)、夕方にストリートで行灯展(素人さん可)、備前焼ジョッキでのビール銘柄当てコンテスト、大ジョッキ早呑み大会(協賛は地元ビール会社)、ヤキモノ屋の今年のいい話、すべらない話など……あれば楽しいと思うけど……。ありませんな。
芸能人を呼ぶよりは、手作り感があって発展的に続けられると思うけどね。


でも、楽しい作品がイロイロ出品されていると思います。


皆様、是非お出かけ下さい。

以上、ご案内でした。 (あっ、ホントに探してね。)


稼ぐ子供神輿

2007-10-08 13:28:01 | Weblog
秋祭りで小さな『子供神輿』を引っ張って町内を歩く。
お神輿を引っ張るとは、子供が少ないので担がずに台車に載せて動かすという事。紐をつけて子供たちが連なって引っ張っていく。

太鼓を叩きながら「ワッショイ! ワッショイ!」と家の間を抜けていく。キンモクセイの香りが心地よい。田圃では稲刈りの真っ最中だ。空が高い。

太鼓の音を聞きつけた町内のおじいさん、おばあさんから『寸志』と書いた金一封を頂戴する。ちょっと歩くだけでワラワラと金一封が集まってくる。なかなかに稼ぐ子供神輿。ホホゥ~、田舎も悪くないねぇ。モチロン個人のものにはならないのだけれど。


ところが、コレが少額ながらも個人のものになる機会がある。数週間後にある神社での『子供相撲』がその時。勝負一番ごとに勝てば100円、負ければ50円。土俵に上がれば、最低でも50円ナリ。女の子も参加する。当然子供たちはガンバル。応援席もヒートアップ。相撲見物しながらオジサン達は、ご機嫌な一杯を酌み交わすという田舎の秋。

下馬評では体格差で優勝は既に決まっている。が、それはそれ。チビッコ同士のオモシロサもあるし。


夕刻、雨が降る。この雨でマツタケが出てくるだろう。
子供相撲の頃には、焼きマツタケかも。


さぁ、お楽しみはこれからだ。


焼酎ボトルなのさ

2007-10-04 12:55:12 | 陶芸
食欲の秋につれて、同時に進むのが『お酒』。

最近、巷では焼酎ブームという事で、やはり焼酎関係のアイテムが人気。
やきもん屋業界的には、焼酎サーバーがその象徴になっている。

焼酎は前割りする事で美味しさが増す。最近は焼酎そのものを数種類ブレンドしてオリジナルな焼酎を生み出す御仁もいらっしゃる。なるほど、ウイスキーの考え方か。


小生の考えとして、焼酎サーバーは確かに扱い易い。が、存在的に如何なものか?
ひとところに鎮座まします存在で、ある意味、家庭においての父権の象徴であるかのよう。けれど、世のお父さんがそうであるように、やはり時々は移動していただきたいものだと思う。濡れ落ち葉ではなくフットワーク軽く。

人によってスタイルが違うので、なんとも言えないけれど、晩酌したり、仲間で呑んだり、出かけたり…イロイロな状況で呑む場面があると思う。やはり気軽に持ち出したい。

しかも愛でつつ、自慢?もしたい。使う過程で色が育つヤキモノなので殊更。しっとりとした風情を愉しみたいのは、備前焼ならでは。



以上を勘案すると、焼酎サーバーではなく『焼酎ボトル』がいいと思う。
自分の側に置いて一杯。しかも冷蔵庫に入ればなお上等。いい感じ。

父権の象徴をかざすサーバーよりも、そばで語り合う友としての存在のボトル。
ちょっと大袈裟。m(_ _)m


前割り効果は左党の皆様は周知の事。水で割ってすぐのツンツンした感じが無くなって、まろやかさが出てくる。で、ボトルなら冷蔵庫に入る。もともと冷えていれば氷も溶けにくい(水っぽくならない)。
注いだ瞬間に冷たい水割り。夕方に冷蔵庫を開けてすぐに水割り焼酎のシアワセ。

ビールだって、冷えてなくちゃ。水割りもかくしかじか。(なぜか熱弁……)


そんなこんなを願いながら、焼酎ボトルから作りはじめた次第。

なんだか理屈を言いながら作るのは、酒飲みが言い訳しながら呑むのに似ている。


でも気持ちっていうもんさ。作るのも呑むのも。



研究課題の追加

2007-10-01 09:41:08 | 料理・食材
夕刻、ロクロをしていると携帯電話が鳴る。近所から「栗拾いに行こっ。」というお誘い。ロクロが手放せない状況だったので、お断りする。切った瞬間に別の電話が鳴る。子供が電話口で受け答え。何も言いに来ないので放置。

しばらく後、玄関先に長靴姿の子供たち。バケツ、火バサミを持っている。ロクロ座から背を伸ばして見ていると、一目散に山へ。振り返りもしない。

「あ~、置いていかれた~」
仕方なく、手を洗って、子供たちと同じいでたちで山へ。イノシシの踏み跡を辿って行く。藪の向こうから歓声が聞こえてきた。案の定。ご近所さんに混じって、ウチの子が地面に向かって何かと格闘中。

「子供だけで山に入ってはいけません。ヘビやハチが危険という理由以上に、お父さんを誘いなさい。」と言い渡して、皆で猛然と栗拾い。

バケツ一杯になって、帰宅。
一部を細君の母上に、栗のペーストとモンブランにしていただく。
残りは、メンドクサイという噂が高く、未経験の渋皮煮を作るとする。


で、作り方を調べる。レシピ毎に違いがありすぎ。まさに十人十色。いや、十人十食。栗の種類、サイズ、鮮度で扱いが変わるという事か。それ以上に個人の味覚の差。スイーツなるモノがいっぱいあるハズ、と納得。

最大公約数的に要点をまとめると、
『重曹入りの水から煮て、数回茹でこぼし、甘味をつけて放置。』
書くと一行じゃん。メンドクサクないぞ、大丈夫。やればわかる。おそるるに足らず。


やってみました。

繊細な扱いが必要ではあるが、手間ではない。
まして自分で食べるわけやし。

渋皮は、すぐに柔らかくなる。一度で柔らかくしようと思わない方が良いらしく、数回に分けて茹でこぼす。灰汁を抜くつもりで。渋皮の傷ついた栗はたちまち崩壊する。想像以上に砂糖がガッツリと大量。……。

甘味料、酒の種類を工夫すれば、もっと複雑玄妙なる秋の味覚が楽しめるだろう。入門編としてはこんなものか。

また、研究課題が増えてしまった。