備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

過日の道後温泉にて

2016-09-29 19:42:30 | Weblog


今年の夏は、暑くて、熱かった。
ひとつには『わくわく三津浜(完)』という滞在型アートフェスに参加したことが印象深い。
モノの出品の他、リヤカー茶席『楽茶号』で参戦した『へうげもの茶会』が抱腹絶倒な茶会であった。
戦国武将が命を掛けた『へうげイズム』の末裔の民として、真剣な笑いという戦場へ出陣する心持ちで。

茶会は4席あった。
我々のストリート系の他、織部好みの茶室での茶会(濃茶・薄茶)、四国唯一のストリップ劇場での茶会などがあり、お客さんは大いに楽しんで頂けたかと。
まぁ、茶会の当事者側は、終了してからの懇親会で初顔合わせでしたが、それぞれの様子はよく判りました。


リヤカーの陣地は、路面電車の道後温泉駅の前。

からくり時計や足湯もあって人が集まる場所であり、ここに我らが赤いヤツが際立って目立っていた。
折りしも『道後アート2016』展示中の敬愛なるアーティストの作品の前だったので、個人的にはチョー嬉しい。
もっとも人力車のオジサマ車夫は「なんだかよぅ、ありゃ葬式提灯じゃねぇか?」と言われていたが……。


夕方に時間をつくって『道後アート2016』の作品を見て廻った。ホテルや町角のあちこちに設置されている。
今後控えている道後温泉本館の修復工事が数年に渉る為、その間はアートで人を呼び込もうというプロジェクトらしい。その為に温泉施設やホテルを廻遊させるのも目的とか。
 
大きな絵画作品もあったが、複製でもあり、やや残念ながらもそれ故に撮影可。(タペストリーや日除け幕に作られていて個人的には欲しいアイテムだったけど)

ホテルの柱やフロント内に設置されているが、気付かない人も多い雰囲気。


定番のモチーフに萌える。


作者らしき人も描かれていた。庵で魚を焼く風情。流石に洒脱。


街頭作品には『電柱』。
小生は実物の電柱が嫌いなんだけど、この作品は初見で「やられた~~」と感じ入っていたもの。
ようやく実物を見られたので、この下をウロウロ。

中に入る人もあり。


上の方の櫓組みが格好良いねぇ。


もちろん広告募集はしていないはず。


風景に溶け込んでいる新作もあった。現代アートの潮流である「サイトスペーシフィック(その場に応じた)な表現」ということやね。

道後温泉本館の屋根と呼応して緑青の色がニクイ。


近づいてみると石庭になっている。


夕陽の空にお茶会後の充足感に浸っていたが、やおら懇親会の時間を思い出して会場へダッシュ。


まぁ、短時間だったのでキチンと深くは見れていないけれど、複製作品が大半な状態で今後、人が呼べるのかなぁ。前回は女性人気写真家だったけどねぇ。
「アートで町おこし的な動きは多いけれど、さてさて……」と勝手に前途茫洋な気持ちを抱えつつ、温泉街の坂道を急ぐ。
自分自身もイベントに関わる事はあるけれど、足元をしっかり見ないとなぁ。

センチな気分になったのは、きっと夕焼けのせいだったと思うよ。
そんな旅先の空。

まっ、その後、ビールを呑んだら忘れちゃったけどね。


そういえば、ビールもよく飲んだ夏だったなぁ。ウエスト周りが物語っている。
さぁ、食欲の秋とか……。

気にしないでいこう!( ̄ε ̄)~♪





































【会期終了】 雨の合間に収穫作業

2016-09-26 10:54:07 | 料理・食材


昨日、グループ展@倉敷『けらもす7.0 ~千の酒呑~ 』終了致しました。
多くの方々のご来場に感謝で御座います。

「会期中は本当に雨が多かった」という印象。そして、今日の引き篭もり日もまた雨。

雨が止んだ隙に、少しづつ懸案のシソの実収穫を実行する。
穂の元を影絵のキツネのような手つきで摘んで、そのまま穂先迄しごく。苦もなく指先に実が集まる。同時に良い香りが漂う。
和のハーブですなぁ。


ほどなく小さなザルが一杯に。

ゴミを取り、汚れを洗って、水を切ったら醤油へ漬ける。2,3日経てばOKかな。
醤油にも香りが移って、なかなか好ましい一石二鳥な仕込みである。
シソの実とシソ醤油の両方を使って『玉子かけご飯』なんざ、「シンプルで、しみじみ旨し」であるよ。いやぁ、楽しみ。


シソの実の収穫ついでに、玄関先の放置バジルを見ると葉が枯れ始めている。


「むむむ、これはイカン」
すぐさま綺麗な葉を選びつつ爪で葉を切るように集める。
指先にバジルの香りが移る。「まぁっ、オシャレ!」という事もないけれど。キライじゃないな。

しかし、バジルソースを作るには量が少な過ぎたので、乾燥バジルの粉を作ることにする。

ザルのまま完全に乾燥させたら擂鉢で粉末に。こうしておけば一年中パスタなどに使えて便利である。
それに、買うと何故か高いので、使う度に、ちょっとしたお得感を感じる小さな幸せが今後付いてくる。


いやぁ、こういう逃げないやつの収穫と加工って、良いよねぇ。

(窯の横の藪に居ついているウリ坊3匹を、アヤシイ目つきで見る小生)


それにしても、雨はもういいよ。































【新聞掲載】 グループ展『千の酒呑』 開催中

2016-09-23 16:58:01 | 展覧会・ご案内


本日付けの読売新聞さんに、開催中のグループ展について掲載して頂きました。
有難う御座居ます。


(クリックで拡大)

秋の夜長の一献。お気に入りの酒盃をお供に。
是非、ご高覧下さい。


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◆◇◆ けらもす7.0 千の酒呑 ◆◇◆

会期 : ~ 25日 17:00迄
会場 : 加計美術館(倉敷美観地区)

●入場無料
●25日最終日は在廊しております
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さて、まだ会期中ですがウラ話を。

今回は会期、会場が正式に決まったのが遅く、準備期間は1ヶ月半ほどでした。
「怒涛のスケジュールはノリで乗り切るべし!」ということで、今回のテーマは、比較的ノリで決まりました。
これまでの『フランス・プロジェクト』『檜杉100%焼成プロジェクト』での緻密な準備とは大違い……。それもまた良し。

テーマが決まった経緯……。
「テーマとして『100』って数字での100碗、100壷の展覧会は他所でもあったよねぇ」
「1000は無いよね」
「1000点あると面白いね」
「1000やろう!」

「何が出来る?」
「1ヶ月半の準備なら、ぐい呑とか杯とか小さいモノなら可能かな?」
「となると『千の酒呑』やね」
「決定~~~」


この「小さなモノなら出来るだろう」という発想が、そもそも落とし穴でして……。
あの時はお気楽に過ぎた。


●【第一の落とし穴】
展覧会となると、自分が納得するクオリティーが必要である。それが一人200点近く必要。これが落とし穴。
皆、展覧会に出せる酒盃200点の在庫はない。
結局、短期間で登り窯を焚いた人、銀彩上絵など窯焚き回数を重ねた人、小窯を焚いた人など見事に全員がギリギリ、キワキワな対応となりました。
小生はチビ窯で青備前を。窯焚き53時間中睡眠が1時間半という強行スケジュールでした。


●【第二の落とし穴】
ステキな展示アイデアが追加された。これが落とし穴。

「バーみたいにしたら格好良いやん」
「エエねぇ」
「耳付きの無垢の一枚板とかは?」
「エエねぇ」
「アイアンの足あるよ」
「エエねぇ」
「個人が好きな木でカウンターを作ろう!」
「エエねぇ」

「材木屋さんに行こう!」
「おぉ~~ (*^o^*)/」

皆でゾロゾロと材木屋さんに押しかけて、倉庫中を引っくり返す大騒ぎに。


●【第三の落とし穴】
『一器陶千』という一騎当千の駄洒落を思いついて、オープニングパーティーをする事にした。これが落とし穴。

「1000分の1の確率で選んだ酒呑に酒を注ごう!」
「各自が自作の器に合わせて、オススメのお酒とオツマミを用意しよう」
「それなっ!!」


この3つの落とし穴に、会期直前まで悩まされ続けました。
これに加えて、申請書書き、会計組み、テキスト書き、撮影、フライヤー製作、キャプション製作、広報……などの事務作業もメンバーがヒョイヒョイ適宜担当。
まぁ、我々メンバー全員の『落とし穴の中での自縄自縛のドMっぷり』には頭が下がるよ。

個人的には、その間、リヤカー茶席の出張もあったし、窯焚きお手伝いもあったし。つくづく変態やなぁ。


かくして、何の事はない……、展覧会初日の開場直前にモノが並んだのでした。


並べてから気付いたけれど、展示するモノが小さいということは、窯の中の何処にでも入るという事である。今回のようにそれらを多数展示すると各自の窯全体を俯瞰する『ピースの集合体』となる。
これは、作り手の考え方、嗜好、趣向、想いが如実に顕れてしまう結果となる。
そういう意味では、数点の力作が並ぶ展覧会よりも、個人性が露骨なまでに発露される展覧会になっている。小さなモノが多数並んだからこそ判る事でした。

メンバーはお互いに、グループ全体ではなく個人性やキャラクターの違いを楽しんでいる次第です。


……てな事を、ご高覧頂けると幸いです。( ← なんのこっちゃ)

皆様も是非! 25日まで。


























けらもす7.0 オープニングパーティー

2016-09-20 11:50:17 | 展覧会・ご案内


会期中のグループ展『けらもす7.0 ~千の酒呑~』で、オープニングパーティーをしました。

パーティー自体に名前をつける必要性は無いのですが、ついついネーミング。

その名も『一器陶千』。
「1000客の酒呑、ぐい呑、盃から1点をお客さんが選んで、作家オススメのお酒、おつまみを楽しもう!」という内容。
『1と1000』つながりで、『一騎当千』の駄洒落ですな。オハズカシイ。

パーティー準備としては「個人で勝手にやってね」という事にしたので楽になるかと思いきや、企画決定以来、なんとなく「どうしよう?」と思い続ける結果となりました。
他のメンバーと被らず、しかもサプライズも仕込みたい!という欲が出る。お互いになんとなくのアピールをしつつ……。

「さぁ、どうしようか?」と考える日々。( ← 力の入れどころを間違っている)


朝は告知も兼ねて、持ち寄ったお酒のお披露目。

ふむ、出身地になぞらえてのお酒、岡山のお酒。
日本酒ではなくテキーラも! 酒呑を「ショットグラスとして」という提案か。

(これに合わせるオツマミは何だろう?)という想像が楽しい。



そして、ふと気付くと開始時間直前。バタバタと準備が始まり一気に完成させる。皆こういう段取りは早いなぁ。
お客さんがワラワラと集まり、そのまま始まり~~~、あとはバタバタ、ワイワイと。(なので写真があまりない)

今回の展示什器は、バーのカウンターをイメージして一枚板を使っているので、さながら会場に6店舗の出張バーがあるような雰囲気となった。

(展示前の状態)


小生は愛飲しているお酒で。秋上がりの味が乗った純米吟醸酒である。


合わせるのは『鯖の味噌煮』のマイ缶詰コレクションから、青森産ながら八丁味噌を使用したもの。

しっかりしたボディーのお酒に対して、濃厚な味噌と鯖の脂とが相まって旨し。

ちなみに、鯖味噌の缶詰コレクションをしている理由は、『日本の味として高いレベルで完成されたもの』と思っているからである。
しかも、作って直ぐよりも賞味期限に近づく方が美味しくなるという時間経過も楽しみのひとつであるし。


他のメンバーは……。

赤穂のお酒、リンゴ、チーズ。(バタバタしていて詳細不明)


三重のお酒、ワサビ風味クリームチーズ、蒲鉾。(バタバタしていて詳細不明)


テキーラ、塩、カボス、鰹節。(バタバタしていて詳細不明)


ノンアルコール組もあり。

桃フレーバーのお茶、ケーキ。(バタバタしていて詳細不明)


お茶、お菓子。(バタバタしていて詳細不明)



そして、会場配置の妙というか、偶然ながら完璧なお客さんの流れが出来る。
軽やかなお酒と爽やかなオツマミ → 香りの良いお酒とワサビ → 味の乗ったお酒と味噌 → アルコール度数の高いお酒 → お茶。
アペリティフから始まって、香りの良いもの、濃い味となり、締めはテキーラ。デザートには、お茶とお菓子。

これが相談なしで。う~~ん、やれば出来るメンバーだわ。


テキーラの女子受けが目立った。

色の綺麗さもあったけれど、初めてテイスティングするという人も多かったのかな。


かくして、予定時間を大幅に越えて閉館時間ギリギリまで楽しみました。
お客さんも楽しんで頂けたとは思いますが、メンバーも大いに楽しみました。(あまり呑めなかったけど)

また、やりたいなぁ。

パーティーというより、ほとんど『ヤキモノ屋バー』なんだけどねぇ。



















































けらもす7.0  ~ 千の酒呑 ~

2016-09-16 03:01:27 | 展覧会・ご案内


所属しております『備前焼作家集団けらもす』のグループ展のご案内です。

DMはこちら(クリックで拡大されます)






今回のテーマは、『酒呑』です。
昔日から現代に至るまで、日本酒の酒徒から絶大な評価を頂いている備前焼の酒器。
特に手にとって使う盃、ぐい呑、冷酒盃など多様な形や用途があり、使う側、作る側ともに大いに愉しみがあります。

秋の夜長へ向けて、作家の想いのある掌中の美・用の美としての『酒呑』を総数1000点を展覧します。
これまでの展覧会としては100客という数字はありましたが、1000客という数は挑戦でもあります。


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タイトル : けらもす7.0  ~ 千の酒呑 ~
会  場 : 加計美術館 (〒710-0046 倉敷市中央1-4-7・TEL(086)427-7530) 
会  期 : 9月16日(金)~25日(日)
       

※オープニングパーティー 『一器陶千』
・18日(日) 13:00~16:00 
1000の器の中からお客様が気になる酒器を選び、実際に使っていただく企画。

作家オススメの日本酒、洋酒、ドリンク、おつまみをご用意しております。
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会場は美術館というホワイトキューブな空間なので、まず自由にイメージを描きます。今回は、お酒を頂くシーンをイメージして一枚板のテーブルを模した什器を作る事に。

搬入前に、全員で什器作り。

アイアンの足と色々な種類の木(各自の好みでチョイス)の組み合わせ。小生はヒノキとキハダ。
他のメンバーはカエデ、タモ、ケヤキ、スギ、マツなど。

さながら木工の展覧会のようです。


そして、酒呑を1000客!

ぐい呑コレクターさんの家は、かくやあらむ。



さぁ、明日から連続4日間(16~18)在廊しております。


是非、ご高覧いただけますと幸いです。