備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

岡山空港にて

2010-01-30 23:00:00 | 陶芸
明け方に窯焚き当番を交代して帰宅し、昼過ぎに岡山空港へ。
用事があるのは飛行機ではなく空港の建物の方。

あるテナントが撤退した後を受けて、岡山の特産品と備前焼の販売ブースというか、お店が出来つつある。
そこへ所属している『備前陶心会』とその他の作家さんたちが共同で出品する形。

とりあえず4月末までの展示即売で、備前陶心会からは26名の出品。
小生も出しています。

で、『備前陶心会』の事業担当の役目を仰せつかっている関係で、展示台設置の為に現地へ行ったという訳。


作業しながら空港ロビーを見ていたけれど、飛行機の発着時には人の流れがある。
でも、基本的に閑散とした雰囲気。
しかも、お店の場所は完全に導線からはずれている。(-_-;)


以前ここにあったテナントさんの苦労が忍ばれるなぁ。で、テナント代が月額○○○万円では辛かっただろうなぁ。和菓子で弾き出すとなると…。いやはや。
でも、見方によっては他に何も無い山の中なので、独占状態であるとも言えるが…。う~む…。


さて、4月末までに、なにとぞ完売の方向でヨロシクです。m(_ _)m

お土産にいかがっすか~。

アナタのそのカバンの空いたスペースにピッタシですぞ~。 (*^ー')b

ブルームーン

2010-01-30 09:01:04 | Weblog
ひと月に2回目の満月。
俗に言うところの『ブルームーン』。実際には青くは無かったけど。
けれども月2の満月は、珍しい巡り合わせ。満月(29日周期)と暦のひと月(30、31日間)とのズレで生じる。(だから2月には起こりえない。)


前回の満月は元旦。しかも月食でもあった。
年明けを仕事場での徹夜仕事で迎え、仕事のひと区切りでみた月食。
外に出て月光のもとコーヒー片手に冷気に首をすくめ、あえて孤独に新年の空気に触れるという趣き。これもなかなか。
冬の朝も時には心地良い。

今朝は、窯焚きをしつつの満月鑑賞だった。


ブルームーンは、『滅多に無い事』 『あり得ない事』という意味を含む。

バーでちょっと気になったお姉さんに『ブルームーン』というカクテルを頼まれてしまうと、『ごめんなさい』のサインなのは大人の豆知識。
ちなみに、小生がよく通った神戸のバーには『アウト・オブ・ピンク』というオリジナルカクテルがあった。これはその逆パターンの立場で、大抵はご馳走して差し上げる。意味は、『お色気なしで』。

男には、時にハードボイルドな夜もあるのだ。
お姉さま方からすれば、所詮『固い茹で玉子(ハードボイルド)』で、壊れやすいものであっても。


窯焚きが終わったら、落ち着いたバーの暗がりに身を置くのも悪くないな…。

満月からのエネルギーって、何かあるのだろうか…。
久しぶりに、バーでの孤独な時間が懐かしくなった。(明日になれば変わってるかもね。…茹で玉子!)



また窯焚き中

2010-01-28 18:02:43 | 陶芸
今、窯焚きをしている。ちょっと前に自分とこの窯焚きが終わって…、再び。

今回は窯元時代の先輩の窯。
連続しての窯焚きは弟子生活の頃みたいで懐かしい。あの頃は毎月どこかの窯を焚かせてもらっていた。

窯自体は、かつて自分達で設計施工した窯なのでお馴染み。この窯は5年ほど使ったなぁ。
この窯をベースにして自分の窯を設計したので、自分の中ではプロトタイプの窯。
周りの評判は良かった。でも土との組み合わせもあるので、経験がそのまま今の自分に活かせるわけではないけれど。

窯元では、それぞれ個人が別々に仕事をする制作環境だったので、他の人の窯詰め・窯焚きは横目で見てきた程度。なので、知ってるようで知らない場面もある。
詰め方も焚き方も違うので楽しみ。
実際、この窯で他の人の窯焚きを最初から関わるのは2回目じゃないかな?


自分がオーナーの窯では色々と思いがあるけれど、そうでない窯ほど客観的に観察できる。直前まで自分の窯を焚いていただけに、特にそう思う。
こういう場面での経験の蓄積は、自分の仕事として直接しなくてもひとつの財産。
あとは、それを引き出しとして持っていて、フィードバック出来れば良いだけ。

ヤキモノ屋としての知識と実践能力は、この引き出しのインプット数とアウトプット能力の組み合わせである。
状況の『である』を如何に決断の『べきだ』へ転換するかがポイント。
細部にその萌芽はある。見過ごさないような観察力も必要か。


まだ、体の芯の方で自分の窯焚きでの高ぶりが続いていて、神経が尖っている感じ。
ちょっと意識的に緩めて、窯出しに備えたいところ。


さて、窯焚きは、あと1週間程だ。
なかなか気が休まらんね。これは……。


あぁ~、1月もそろそろ行ってしまうしぃ~。 \(◎o◎)/


氷点下の窯焚き

2010-01-26 09:52:36 | 陶芸
明け方には、氷点下になる外気温。
朝、窯場まで歩く道。霜柱がシャリシャリと足元で鳴る。

明け方の窯焚きをお願いしている友人は、寒くてこわばった顔で「おはよう」と出迎えてくれる。その声が震えている。

遭難現場か? ここは。

窖窯は火が中に入っていくので、窯の前は寒い。連房式登窯の方が暖かい。
窯に向いている顔は照り返しがあっても、背中では寒気を背負っている感じになる。
窯の前で体をクルクル回して暖を取る。バームクーヘンもかくの如し。


こんなに冷え込むのは、ここ数年のうちではなかったような…。風がないのが救いだな。
昼間の天気が良く放射冷却の為、キンキンに冷え込む。むしろ雪が降ってくれた方が暖かく感じるかも。


さて、自分とこの窯焚きが終われば、すぐに先輩の窯焚きお手伝いが待っている。
お互いにお手伝いでカバーしあうけれど、実はウチの窯焚き数が多くてキャリーオーバーしているので、まとめて返却する予定。なので1週間ほど。
この窯は自分達の設計施工の窯なので、懐かしいし、忘れていた何かを思い出すかも知れない。その辺りがお楽しみ。


また昼夜逆転だ。
明け方担当。きっと寒いよ~~。


薪割り

2010-01-22 01:54:02 | 陶芸
窯焚きしつつ薪割り。

元々は裏山にあった山桜。
台風の度に家の方に傾いてきていて危険だったので、数年前に切り倒した。それから窯場で乾燥(ずっと放置)していたけれど流石に邪魔になってきたので、「この際焚いてしまおうか」と…。
乾燥しているので割るのに難儀するかと思いきや、素性の良い幹だったのでアッサリと解決。


薪割りといえば『日本昔ばなし』の如くマサカリ振り回す……のではなく『矢(金矢)』を使う。

尖った刃こそ付いていないけれど、立派な鍛冶もの。これひとつが既に斧(ヨキ)の状態。これを大ハンマーで打ち込めば、クサビとなって木は裂ける。素性の悪い木を割る場合に備えてスペアも必要。

斧を振り回すよりも安全かつ楽。
ただし、最近は使う人が少ないらしく、なかなか店には置いていない。薪ストーブオーナーにはオススメなんだけどなぁ。

外国製で強化プラスチックのカラフルなものもある。これは丈夫なクサビである。クサビでも上手く打ち込めば木は割れるという事。
カラフルなものはアウトドア用品の色使いの発想なんだろうけれど、残念ながら道具としてのパワーが感じられない。


土佐鍛冶は山仕事の道具(鉈など)が得意と見えて、四国に行くと通りすがりの荒物屋の奥に在庫があったりするので、欲しい人は四国へ行くべし。


鍛冶屋さんも地域性や専門分野があって面白い。

畑道具・大工道具・山道具・肥後守・包丁・彫刻刀・刀・鉄砲・釘……。


備前では、やはり長船の『刀』。これは奥深い。

まぁ、今のところ拙宅には必要ないけれど。


さて、サクッと山桜も割ったので後は焚くだけだ。


小春日和の大寒

2010-01-21 01:30:41 | 陶芸
麗らかな陽射しで風もない大寒だった。火入れ以来、一番暖かい日。
週末に掛けて、また気温はさほど上がらないらしい。
大寒が一番暖かい日になりそう。小春日和の大寒というところか…。
オオイヌノフグリもタツナミソウも少し咲いている。ヘビイチゴはまだロゼッタだけど。


さて、雨が降る予報なので外に置いてあった割木を窯の建屋へと運ぶ。
動かしたのは大割300束・小割100束・雑木20束程度。

窯を焚きつつ、ひたすら移動と積み上げの繰り返し。
無理せず急がずやって日没前に終了した。ひょっとすると今年になって一番歩いた日かも知れない。


番犬福助はそばに来て昼寝している。陽射しを浴びて気持ち良さそう。
邪魔はしないけれど、役には立たないという絶妙なポジション。
なかなか良い身分だけれど、また寒くなると思うと…若干、ご同情申し上げる。

犬であってもこういう穏やかな日が年に何回かあってもいいのだろうなぁ。

もっとも年中、裸足で毛皮を着ている彼らの快適なお天気具合は知らないケドね。

窯焚きしながら

2010-01-18 01:59:21 | 陶芸
なんのかんのと…言いながらも、窯詰め終了。

即、点火。

例により、潮の満干、吉日忌日を問わず。ただしお神酒はお供えする。


今からの数日間は、チョロチョロと焚く『あぶり』期間。窯の前でホンの小さな焚火程度。
最初から割り木を使いながらも頻繁に面倒を見ることも無いので、火が消えないインターバルを見計らいつつ窯場の環境整備。片付けたり、掃除したりとする事は多い。

それも落ち着くと、懸案事項を少しづつ。


まずは、ずっと先送りにしていたスパイス作り。

柚子の皮を剥いて干していたものを回収して切り刻む作業から。
中華料理で使う陳皮をイメージしていて、メインの目的は『自家製七味』の材料にする予定。
カラカラに乾いた皮をビンに入れて、その中でチョキチョキとハサミで切り刻む。
しっとりとした柚子の香りがする。フレッシュの時とは違う落ち着いた趣きですな。

経験上、出来るだけ細かくする。スープに入れた時にふやけて膨張するので、大きいとゾロゾロとした食感になってしまう為。違和感が無いようにするには、とにかく細かく。
ミルがあれば、使うに越したことは無いだろう。残念ながらウチにないだけの話。


これが一段落すると、唐辛子も同じく。
今回はあのハバネロの登場だ。

あとは順次、七味唐辛子の材料を用意してブレンドすれば『自家製七味』の出来上がり。
ショウガは冷凍して擂り下ろすと細かいパウダーになるので簡単。麻の実は無いなぁ…。


ハバネロベースで柚子陳皮という組み合わせに期待大。


全てをブレンドせずにそれぞれを保管して、使う都度チョットづつ出して調合してみるのも楽しいかもなぁ。


目下、窯の前でスパイス作りです。

勿論、最優先事項は『窯焚き』です。


あくまでも、窯焚きしながらのオマケ作業ですから…。(念の為、一言申し添える次第)



窯詰め終盤の心境とは

2010-01-16 20:46:27 | 陶芸
窯詰めも佳境に入ったというか…、終盤。

窖窯(あながま)は構造上、窯詰めは窯の後ろから始まり、だんだんと前(焚き口)の方へと進めていく。一段目まで詰まると終了。


ただし、最終局面になると窯詰め可能残数が限られてくるので、詰めきれなかったモノ達の扱いが心残りになる。


さて、窖窯の一段目より前は燃焼部分である。通称、火袋とか、初戸(ウド)とか、ホッペタとか呼んでいる場所。燃料が燃える部分。
頑張れば(欲張れば)、その部分に詰められなくも無い。
しかし、詰め過ぎると窯全体の焼けに影響が出る。影響は悪い方に発生する。


さてさて「欲張るべきか欲張らざるべきか…それが問題だ」
…という事では無く、「欲張るならどこまでか?」が問題。

う~む…既に欲張る事は決定済み。という事か? 


(やれやれ…、毎度ながらこんな自分に呆れるわぁ)


解決策・2題~かまづめなう

2010-01-12 09:12:53 | 陶芸
窯詰め開始から数日経過。でも、まだ作りながら。

詰めながら作るのは久しぶりのこと。結局のところ効率は悪い。如何せん遣る方無し。

作り忘れのモノは兎も角として、諦めきれなかったモノも再び。
まだしばらく掛かるかな。ええ加減にせんと~。

昔、オケをやってた頃に、何処かのホールの舞台袖の壁に「もう諦めろ!」という落書きを見たことがあったけれど、書いた人のそういう気分って良くわかる。
今の感じにピッタリ。
『最後の悪あがき』と『時間との葛藤』との解決策は、単純に『諦める』事に尽きる。


さて、今晩から相当な冷え込みの予想。
作りたての素地が窯の中で凍っては元も子もないので要注意。きちんと乾燥している素地なら大丈夫なんだけど。

「ヤキモノ稼業って、いつも水分の扱いがついて回るなぁ~」と実感。

窯の中は、秋の長雨の影響で良い感じの湿気がきている。壁も床も濡れている。
連房式登窯なら「こりゃ、アカンで」というレベルの湿気。
でも窖窯(あながま)なら平気。というか、むしろ必要。

「登窯とは違うのだよ、登窯とは!」(←がんだむせだい)


陽が暮れると窯の中は一気に冷え込む。電球からの暖かさを感じるほど気温が下がる。
まっ、最終的に窯の中にストーブを持ち込むのが一番の解決策なんだけど。


早く窯に火を入れたい…。


既に餅は開かれた…

2010-01-11 09:32:50 | 料理・食材
年神様にお供えした鏡餅を叩いて割って、頂くのが鏡開き。
要はお供え物を下げて、皆で頂く『直会(なおらい)』の年初めバージョン。


さて、仕事場に供えていたミニ鏡餅であるけれど、既に手を下さずとも開いている様子。

うん、仕事がはやい! …と言うか、コレは問題。


昔、杵搗き餅をよくやっていた頃に散々やった失敗が思い当たる。
餅を搗く時にもたついて水回しが多いと、丸めた時にはキレイに出来ていても時間が経つと必ず割れる。
丸めた先を底にして中に入れておくのも割れ防止のポイントだけれど、それ以前の問題だな。


これが、杵搗きとはいえ、買った餅だけに如何なものか。
プロの仕事としては…。うーむ…。


店頭で売られている大量生産の鏡餅を見比べていると、飾っている間にヒビがいくと見栄えが悪いので、色々と技術革新があるらしい。
液体状にした糊のようなもの(餅?)を型に流し込んで一体成形したり、鏡餅型パッケージの中に小餅を入れて(最初から勝負回避して?)おいたり…といろいろ。
立派で大きな鏡餅を作るという事は、業界では苦労するところなんだろうなぁ。

我々、やきもん屋がモノを作った時に、底切れや割れがないように考えるのと同じようなことなんだろう。


さてさて、細君は「11日が鏡開き」と言う。
小生は「まだ先かな?」と思っているのが、今日というタイミング。
育った地域の違いで松の内の期間が違うらしい。

…となると、さて、いつになったら開こうか?



それとも、「既に餅は開かれた…」と見るべきか?