備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

イベント@天王寺 終了しました

2017-09-28 10:22:01 | Weblog


先日の秋晴れの2日間、大阪・天王寺にて『うつわとくらす』というイベントをしておりました。
若い世代に対して、備前焼と観光地備前の魅力を訴求するイベントです。

会場は『てんしば』という天王寺動物園そばの公園。
動物園を前にしたチビッ子のテンションMAXな姿を微笑ましく見送りつつ過ごしておりました。
芝生養生中の為、当初イメージしていた青空ピクニック的イベントとは参りませんでしたが、盛況のうちに終了致しました。

忙しくて直前のお知らせだったにも関わらず、駆けつけてくれたお客様、知り合い、後輩達に感謝!


時を遡って……イベント前。
窯焚き中に届いたフリーペーパーを読む。


綺麗な写真と丁寧なディレクションに感心。

あまりに素敵生活な内容に釣られて、窯焚き現場のコーヒーをインスタントからドリップに入れ替えるほど。

すっかり気分は、“素敵な”窯焚き。
香り豊かなコーヒー。パチパチはぜる薪の音。
窯場の芝生で寝そべる番犬福助。福助の耳にアゲハチョウが止まったり、小鳥のさえずりに耳が動いて飛んでいく蝶々。
蝶々が消えた青空の彼方には白い雲ひとつ。
古いラジオから流れるブラームス。(←嘘はないが誇張&美化はある)


さて、出張といえば恒例の……食生活レポで御座いますな。(読む側の興味は関知せず……あしからず)


初日の昼間。
イベントでは拙作の『擂鉢(すりばち)』を使ったワークショップもありました。

イタリアンシェフによるジェノベーゼ講習会。
擂鉢でバジルペーストを作って、松の実、チーズ、オリーブオイルなどを加えておりました。若いお客様が擂鉢を使えているのか気掛かりで時々拝見。
完成後に美味しそうに頂いている様子に安堵。お弁当を頂きました。

初日の夜。
現地で『うつわバー』と称したお客様と作家の交流会を開催。
実は前日にミッションが発生。「イタリアン25名分を備前の大皿に盛り付けるで~~」という内容。
もう、打ち合わせなしで拙作を持っていく事にしました。一応、角皿と丸皿の2種類を保険にして、イザ! 

メニューは関西で言うところの『揚げた活スズキをトマトソースで煮込んで冷したん』。イタリア語では……存じ上げない。
ブリブリの歯応え! 白身のジワッっとした旨味。ひとくち大のサイズに噛み切る時の心地よさがある。なるほど~~と感心。
シェフとは、器の正面や盛り付けについての話をしばし。フムフム納得。

イベント終了して、さぁ、街へGO!

ディープな路地へ突入~~~~~~。2次会だっ! 細いビルの狭い階段を3階まで上がった先にあるパラダイス。
大阪といえば食い倒れ! 初日に呑み倒れになるという予想は……、若干あったものの……、いやはや。

そして、同じ店の1階でまさかの3次会。
「ここね、前来た時にね。漬け物が美味かったんすよっ!」とか……。(←完全な酔っ払い)
テッペンを回ってホテルへ。


二日目の昼。
目張り寿司、柿の葉寿司……とお好みのラインナップでご満悦。

恙無く終了した夜。
ヤキモノ屋でゾロゾロとお客さんのお店へ。おまかせで次々と頂きました。
天然マグロの大トロも。


お店の看板メニューのハンバーグ。

フワフワな食感とスパイシーなソースが口の中で追いかけっこ。肉汁とソースのラプソディーでんな。
白いご飯と一緒に頂く。ワンパクな締めご飯でした。


久し振りの大阪は美味しかった!


さてさて、久し振りの天王寺の印象。
「其処此処に下町の片鱗が垣間見えつつ、清潔でオシャレな街にデザインされている」といったところ。
今や、動物園の香りとプロ自由人のテントサイトがあるデンジャラス・ゾーンではない。
今後は大阪らしいゴチャゴチャと今ドキな空間が如何に融合していくのか興味深い。ダウンタウンとハイテクノロジーが混在した街は面白そうだな。


さてさて、多くのお客様、関係各位の皆様には大変お世話になりました。
今後も関連のイベントはまだまだ続きます。
発表できるタイミングが来ましたら、また告知致します。ではでは!


さぁ、倉敷・加計美術館での展覧会も大詰めです。週末は倉敷へ~~~!

けらもす8.1 Wild Clay』開催中。

よろ。(`・ω・´)ゞ























土作りのプロセス

2017-09-12 01:04:03 | 陶芸


時々……というか、概ね忘れているけれど、拙ブログは陶芸ブログなんですな。
なので、ヤキモノのお話。

陶芸業界において最も重要な材料は『粘土』です。
チビッ子が大好きな粘土は、かつてはアブラ粘土ばかりでしたが、今や小麦、寒天、お米、蜜蝋など植物性まであります。

さて、我が業界で扱う粘土は岩石の風化物です。
その元となる岩石の種類、風化分解の仕方によって粘土の性質が変わります。粒度、粘度、耐火度、金属含有量、砂分などが異なります。
それらを感覚的には『土味』と表現します。
備前焼は、釉薬を使わない為、その焼肌が重要になってきます。その焼肌を決定的にするのが、原料となる粘土です。
古来より『一土、二焼、三細工』などと云われてきたのは、その為です。
陶芸においても潮流というか流行というものも勿論あるわけですが、近頃は世界的に『Wild Clay』についての話題が多いようです。
これは地域に根ざした個性のある土(local Clay)の元を意味します。

現在の陶芸家は、輸送手段の発達によって窯業地に限らず何処でもアトリエを構えて製作可能になりました。
しかし、どの分野でも便利さが進み一般化する過程で、失われつつあるものが注目されるのは良くある事です。言葉やファッションなどはその身近な例です。
その伝であるか否かは別問題として、近年はローカルな素材『Wild Clay』が注目される時代のように感じています。
奇しくも現代アートにおいても『場との呼応性』(サイトスペシフィック)がキーになっているのも偶然ではないでしょう。
材料屋さんで便利よく買える粘土に対して、コツコツと自分で作る粘土。


さてさて、釉薬を掛けない備前焼の粘土。
土の表情がはっきりと露呈する為、土作り(=粘土作り)は最も重要な表現のプロセスとなっています。
作家によって原土や土作りは異なり、結果として焼成後に現れる『土の色・質感』が異なります。


では、ここで小生のレギュラーな土作りのプロセスを。


原土には夾雑物である小石、砂、シルトなどがあります。それらをどのサイズまでをどうやって取り除くか、または残すかが重要な要素となります。

【以下手順】

原土


乾燥


粉砕


水で溶かす


数日放置


攪拌


ザルで漉す(土によって使うメッシュサイズが異なる)


ドベ鉢で水分を適度に抜く


となっています。

いわば、湿式による土作りです。乾式というのもあって、これは粉砕して水に溶かす前にザルを通します。(=早く出来るが埃っぽいのでしません)
これが基本の土作りですが、一窯あたりに数種類の土を使うので、それぞれをストックしておきます。
作るモノによっては、原土のまま作る場合もあって、この場合は手で小石をひとつづつ取り除くという地味極まる方法をとります。


まぁ、世間の皆様が思う陶芸家の仕事風景とはロクロ仕事なのでしょうが、実際はこれが一番時間が掛かっている仕事です。

以上が、土作りでした。


さぁ、この個性ある素材としての原土『Wild Clay』。その過程、結果としての『色』を切り口とした展示を致します。


所属しております『備前焼作家集団けらもす』の展覧会のご案内です。
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タイトル : けらもす8.1 Wild Clay
会 期 : 2017年9月15日㈮~10月1日 ㈰ (9月25日㈪は休館)9:00~17:00
会 場 : 加計美術館 
       〒710-0046 岡山県倉敷市中央1丁目4−7
       TEL 086-427-7530
______________


是非、ご高覧いただけると幸いです。 よろ。 (`・ω・´)ゞ


(まったく笑う要素がない記事にしてしまった……。反省)


【ご案内】 けらもす8.1 Wild Clay 

2017-09-03 10:26:47 | 展覧会・ご案内


所属しております『備前焼作家集団けらもす』の展覧会のご案内です。

______________

タイトル : けらもす8.1 Wild Clay
会 期 : 2017年9月15日㈮~10月1日 ㈰ (9月25日㈪は休館)9:00~17:00
会 場 : 加計美術館 
       〒710-0046 岡山県倉敷市中央1丁目4−7
       TEL 086-427-7530
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タイトルの8.1は、例によってのバージョン表記で、8年目の2回目の展覧会を示します。
で、サブタイトルの『Wild Clay』が今回のテーマ。

『Wild Clay』とは、地域に根ざした個性のある土の事です。

陶芸家は粘土を素材として扱います。
山野にある原土を掘り起こし、石や砂を取り除いて粘土とします。
釉薬を掛けない備前焼においては、土の表情がはっきりと露呈する為、この土作りは最も重要な表現のプロセスとなっています。
作家によって原土や土作りは異なり、結果として焼成後に現れる『土の色・質感』が異なります。

この個性ある素材としての原土『Wild Clay』、その過程、結果としての『色』を切り口とした展示を致します。


ご高覧頂けると幸いです。



という事で、原土、作品を『色』で見せる展覧会で御座います。

よろしくお願い致します。m(_ _)m


フライヤー裏側(クリックで拡大します)