備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

チャイコのコンチェルト

2006-07-28 23:06:49 | Weblog

毎日 FM放送を聴いている。

先週末、チャイコフスキーのバイオリン・コンチェルトをやっていた。

レンガを積みながら お気楽に聴いていたが、ナチュラルな抑揚の さっぱり気持ちの良い演奏だった。

で、曲が終わって ソリストの紹介。
言った名前が 『 玉井菜摘 』

「 おぉ~ 」思わず声が出てしまった。


小生が所属していたオーケストラの後輩で、ピアノが上手くてギターが弾けるチェリストがいた。そのチェロ弾きの妹さん。

たしか、彼女がまだ学生さんの頃に、シベリウスのバイオリンコンチェルトで呼んだはず。あれから、14年経ったか……。

あぁ~ 活躍してるなぁ。

自分の年齢をよく忘れてしまうが、あの頃から随分経っているんだなぁ~と、感慨深いものがあった。

機会があれば、是非、コンサートに行きたいものだ。



小生は やきもん屋。
しかし、すっぱりと音楽から足を洗ったとは言えない自分がいつもいる。
 否! 言いたくないと言うべきか?

『 すべての芸術は、音楽の状態に憧れる。 』
  (  ウォルター・ペイター著 『ルネッサンス』  )

かつて、その事に誇りをもって音楽に向かっていた。


久し振りに、音楽について、そして 自分について考えている……。


片手間に聴いた曲でも これだから 音楽には魔力がある。

 


レンガ運びの脳内作業

2006-07-27 22:46:08 | 窯作り・窖窯について

新品レンガ搬入。

廻送料をケチって備前に行く用事がある度に 自前でお運び。

運良くトラックが借りれた。レンガ工場では、フォークリフトで積んでもらえるが、降ろすときは バラバラにして手で降ろす。

1パレットが レンガ320丁。
これを手で降ろすと 片手に1個づつ持つので、160回エッチラオッチラすることになる。で、30分ほどかかって終了。

ゆっくり休まず、一定のリズムで動くが、単純作業なので、ついつい いろんな事を考えながらする。


レンガとかけて、詩人ととく。
その心は……『 し~かく 』 ばっかし とか

レンガとかけて、敏腕刑事ととく。
その心は……『つみ あげる』 とか

レンガとかけて、うどん屋のメニューととく
その心は……『かけ やすい』 とか



あまり いい発想がないなぁ~と思っていたら終了。

同じ時間を過ごすのでも、気の持ちようで 長さの感じ方は変わるもの。


「 次こそは、いいネタを考えたい! 」

…… って、目標が変わってないか?それ。

 


オトナの自由研究?

2006-07-25 10:17:41 | Weblog

窯場で見つけたセミの幼虫がとうとう親になりました。


見つけたときに 少し背中が割れかけていた。夕方、暗いところに入れていて、夜に部屋に入れると朝と勘違いしたのか 一気に脱皮。種類がわからなかったが、これでやっと判る。アブラゼミです。

今はロウ細工のような色をしていてもだんだんと色が黒くなるだろう。まだ、羽が伸びきっていないが、そのスピードはかなり速い。

必要に迫られてではあろうが、昆虫の能力はスゴイ。


子供以上にコチラの方が真剣に観察していたような……

朝になって 放した。長らく地中にいて、青空へ。


「 良き伴侶を 見つけ給へ 」


発掘はつづく

2006-07-23 21:39:18 | 陶芸

今日も今日とて 発掘が続く。

須恵器、備前、唐津、古伊万里、施釉陶器(瀬戸?)……。だんだんとバリエーションが増えてきた。

出てくる度に自分の行動を振り返って見ると……。
高台があるものは 必ずひっくり返し、口はその厚さと高低を見ている。

鑑賞や鑑定の常道ではあるが、どうしても、そういう部分を見る癖。やきもん屋は大抵そうなのであろう。創る立場からの観点もある。


岡山のデパートで 焼物の展覧会があると。風体怪しい若者が怪しい目つきで作品を見ている。

しかし、そこはやっぱり窯業地。さすがに慣れたもので、店員さんも注意はしていなかった。やきもの屋とわかるのであろう。

小生も 随分とその筋であったと思う。


展覧会の会場でなくても、やきもの屋がそれと わかる場所がある。
閉店間際のスーパーマーケット。腹を減らした弟子連中が半額狙いでウロウロしている。

若いもんを見つけたらそのズボンのすそを見るべし。泥がついて汚れていれば やきもの屋に違いない。

窯業地ならでは。

 


発掘!自作自演ではありません

2006-07-20 18:49:38 | 陶芸

発掘しました。

窯の斜面を削っていて、出てきたもの。須恵器と古伊万里(明治)の破片。
粘土層と表土の境目から出てきました。


可能性としては、
1 以前、ここに住んでいた人が捨てた。
2 圃場整備(ほじょうせいび =田んぼを四角にする事業)で、
  搬入した土に入っていた。

のいずれかだろう。

明治はともかくとして、1000年前のものが出てくるとは思わなかった。



このまま行くと、恐竜の化石が出てきたりして……。やたらと『 桃太郎ナントカ 』という名前が多い岡山県のこと。きっと『 桃太郎ザウルス 』と言う名前になるだろう。

名前が決まったから、あとは見つけるだけだな。

岡山に 『 神の手 』 は……  ないな?

 

 


強敵の粘土層

2006-07-18 19:45:12 | 窯作り・窖窯について

ガッチガチの粘土と小石交じりの層が出てきた。

ハッキリと地層が見えている。ツルハシでガツンとやっても 当たった所が少し削れるだけ。削ると角が立つほどの堅さ。

粘土と言っても あまり粘らないバサバサのガチガチ。見るからに鉄分の多そうな土。2、3日放置すると全部が茶色になるだろう。青と茶色の斑(まだら)になっている。この手の山土は掘ったときは魅力的だが、焼くと鉄が溶けて噴き出してドロドロになる。でも、チョット区別して採取。

『とりあえず焼いてみたいのが、やきもん屋の欲掻き』


以前、この土地の所有者が、「雨が降るとグチュグチュになって水が溜まる」と言っていたが、この粘土層の仕業だろう。



この長雨での経過観察をする。今、見えている粘土層から水が出てくるようなら窯の中は水びたしだな~。




以前、知り合いが作った登窯は、完成したあと、窯床から水が湧いた。
レンガの目地の間から2センチくらいの噴水。冗談のように、初戸(ウド=最初の部屋)の ど真ん中で。


窖窯(あながま)は水分がチョットある方が良いが、登窯では……。

あとからの排水工事が大変だった。それでも上手くいかず、窯焚き前に いつも空焚きをして窯の中の水分を飛ばしている。

窯焚きが最高温度になると窯の周りから水蒸気が立ち上がる様は壮観。冬場は尚更のこと。

この窯ではどうなるだろうか。


合歓の木

2006-07-16 20:49:43 | Weblog

傾斜を階段状に掘る。
水平を出しながら掘るのはなかなか気を使う。

ちょっとづつ休憩をしながら、確実に。
疲労はちょっとづつ 確実に溜まっていく。

その合間に見る我が家の合歓(ねむ)の木。そろそろ花の盛りが過ぎつつある頃。
しばしの休憩。ヒグラシがカナカナと鳴いている。薮蚊が飛ぶ。


話に聞くところ、合歓の木の太い幹はぶすぶす と燻すと、蚊取り線香代わりになるとの事。しかし、この土地を手に入れてから、わざわざ残した合歓の木。むやみに伐る訳がない。

過ぎゆく花の季節を楽しもう!

とりあえず薮蚊は蚊取り線香で……。

 


ケーキ作りに、憧れをこめて……

2006-07-15 08:16:05 | 窯作り・窖窯について

今回の窯作りで、初めてのモルタル。

耐火モルタルというモノがあって、それを目地にして レンガを積んでいく。

クリーミーなモルタルを、トロッ~~とレンガにのせて、鏝(コテ)でス~ッと伸ばす。
パティシエの皆さんは、上手だろうなぁ~。


前回は、レンガの四方にモルタルをのせて、真ん中は空けていた。この状態で、レンガを積む。

上からコンコンとたたくと、真ん中の空気が押し出されて、真空状態に近くなって、ピタッと張り付く。大変積みやすいし、モルタルの節約と思っていた。


がっ、

全面にモルタルを付ける方が強度が強いと言う話。事実、レンガ工場の窯も そのような目地だった。そこで今回は、レンガ自体のヒネリやネジレを吸収するために『全面のせ』でいく。

上手になったら、今は近づけない細君のケーキ作りのお手伝いを許されるだろうか……


ありがたき キャスター

2006-07-13 00:13:21 | 窯作り・窖窯について

正面焚口の燃焼室にあたる場所。

結局、床下の透水管は入れなかった。
斜面を造成してから 約半年の観察結果に加えて実際に掘り返して見た結果の結論。

「 水分は ちょうど ええ具合や 」 という『 賭け 』。 

下からの過剰な水分はなさそうだが、床の安定と水平の為にキャスターを打つ。


キャスターとは、大変便利なモノで、セメントの様に ( というかアルミナ入りの耐火セメントですが )水で練って流し込んだり、コテで塗ったり出来る。

このキャスターを焼くと、そのままレンガのようになります。このように床に広げておけば、一枚モノのレンガが出来上がりです。燃焼室のこの場所では、浸水防止と床全体の安定が図れます。

注意点としては、摩擦と衝撃に弱いこと。
それと今ひとつは、大変に お値段が張るので「気安く使えないよ」ということか…


今回のキャスターは ある作家さんの口利きでの頂戴モノです。

皆様方のお陰で今日もやっております。  深謝。


傾斜を階段へ

2006-07-11 21:47:07 | 窯作り・窖窯について

傾斜を階段状にする。各段が それぞれ棚を組む場所となる。


窖窯でも古いスタイルのテイストを求める作家さんは、階段状にしないで 傾斜のままのことが多い。

もっとも備前焼の場合は、そのタイプの作家さんは、大甕(おおがめ)を焼くことが多いので、もともとの棚組みが少ない。

そこで、棚組みは 窯詰めの度にツルハシで削って水平を出す。

甕も そのまま傾斜に置くと転がってしまうので、傾斜と作品の間に楔状のものを打ち込む。【馬のつめ】と呼ばれる道具。ちょうどスイカの一片のような形をしている。



窖窯は一時、備前焼の歴史上から消えたので、現在は、窖窯(あながま)のオーナーの数だけノウハウがあると言っても過言ではない。

小生の場合、森陶岳先生の下で大窯(50m)を学ばれた作家の方々の最初の弟子世代であり、伊部の窖窯とも考え方が違っている。

弟子の後の経験で、またノウハウが変わってきていて、同じ時期に学んだ弟子仲間ともやっぱり 違ってきているという状況。

当然、窯の構造も焚き方も異なってくる。


だからこそ、『 窖窯(あながま)のオーナーの数だけノウハウがあると言っても過言ではない 』という次第。


久々のツルハシとスコップ。疲れた~