備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

デコってる

2012-03-27 15:18:12 | 陶芸
窯焚き手伝いに行っている窯は、細工物の名工(故人)の窯。

窯場には破損した作品が数点残されていました。手わざの片鱗。
しみじみ見ていると「勘所を抑えるというのはこういう事なんだなぁ」と参考になります。
抜き勾配を見て型の数を推測していくと……「おぉ~」 \(◎o◎)/
こういうマニアックな技術には素直に感服します。ハッキリと実力を見せられた思いがします。
勉強になります。m(_ _)m

小生も石膏型を使いますが、そのほとんどは食器。
型通りに作るのが基本ですが、型抜きと手捻りを合わせた「型作りながら一点モノ」という意味不明な方法まで色々です。


古備前の細工物は各時代それぞれの名品が伝来していますが、今でいうところのフィギュアでしょう。
古今東西問わず、フィギュアを作るのは手間と根気に加えて高い専門技術が必要です。
小さいものは大きいものをダウンサイジングするだけではダメですし、真っ直ぐ見せる為の曲線というものもありますし……。
現在なら一級の原型師は高くリスペクトされていますが、当時はどうだったのでしょうか?

備前では細工物の成型(型抜き)職人は『デコ師』と呼ばれています。
今、一般的にデコ師といえば、キラキラ・ツブツブを携帯電話なんぞにデコレーションする『飾り職人』さんですか……。
言葉の意味って、場所と時代で変わりますな。


「ワタクシはデコ師です」と言う人が作ったモノは……、えーーっと何だ?

(……って思うのは、備前のヤキモノ屋ぐらいか。)

備前陶心会展 初日

2012-03-20 19:13:44 | 陶芸
本日、備前陶心会展が始まりました。
会場当番になっていたので、末端幹部として行って参りました。

初日ですので、マスコミ関係の取材も多くお見えになられました。
女性アナウンサーさんの華やかで軽やかな服装を拝見して「あぁ、世間は春なのですなぁ~」と感じておりました。

普段、山暮らしをしておりますと自然との対話はあるのですが、世間の様子が判らないのが難点です。たまに街歩きをしますと服装の季節感の違いを自覚することもしばしばです。
今朝もウチは車のガラスが凍っておりましたが……。

街行くおネエさま方は、パステルカラーのフワフワ・マフラーにスプリング・コートをお召しになられてましたねぇ。


会場当番は時間がたっぷりあるので、一点づつしっかりと皆さんのアイデアや考え方を見させていただきました。
「最近、備前焼って見てなかったなぁ~」とつくづく。
なんだか自分の殻に閉じこもる時間(=引きこもり生活)が長かった事を再認識しました。


春だねぇ~。ちょっとキョロキョロしてみようかなぁ。

我が家の受験イヤーも終わったことだし。


(あぁ、でも青備前でやりたい事があるんだよなぁ~)

第43回 備前陶心会展

2012-03-19 20:30:36 | 展覧会・ご案内
明日より所属しております備前陶心会の展覧会が始まります。
毎年、春先に行われる『備前陶心会展』はテーマが設定され、それに沿って各自が創意工夫をします。
今年のテーマは『Deco Boco.』(凹凸)。


今日はその搬入日でした。
飾りつけ終了直ぐに作者名を伏せて、マスコミ、美術画廊、有識者による審査会が行われます。
審査をお手伝いしながら、ヤキモノ屋の下馬評とは異なる審査風景を興味深く拝見しました。


審査終了後に作者名を掲示すると、今度は審査員の方々が作者のイメージと作風のギャップを楽しまれているようでした。


『第43回 備前陶心会展』は下記の通り。

・会 期 : 3/20(火)~25(日)
・会 場 : 岡山県天神山文化プラザ・第2展示室
・入場料 : 無料


それぞれのデコボコっぷりを御高覧頂きますれば幸甚でございます。
「そう来るか~」という発想、手間の掛かった細工などお楽しみ頂けるかと思います。
販売しない展示会なので、皆さん経済活動から離れて好き勝手に作っている感じです。


小生作のタイトルは、『幸せの閾値』です。
それが「何故デコボコ?」なのかは置いときましょう。

「ちょっとタイトルとコメントが説明的過ぎたかな」という感じがしています。


さてさて、皆様。
45名の表現をお楽しみ下さいませ。



勤労の在り方

2012-03-14 18:47:52 | Weblog
毎年、確定申告の時期になると『国民の義務』という言葉を思い出します。

日本国憲法には三大義務として、教育の義務(26条2項)・勤労の義務(27条1項)・納税の義務(30条)の3つが定められています。
(とかって社会の教科書に書いてあった)

で、このうち『教育の義務』は、「保護する子女に教育を受けさせる」という意味で、「子供だから学校に行かないとダメ!という意味ではない」と習った記憶があります。
我々世代が校内暴力全盛期だった所為か先生が時折言ってました。「親が子供を学校に行かせないといけない」とか。
まぁ、教育の場といっても色々あるとは思いますが、どこでも良いのかどうかは、さてさて。
行政側とホームスクーラーとのせめぎ合いとかもあるのでしょうね。個人的に「教育の場を考えるのだ」というエネルギーを持ち合わせていないので、体制に乗っかっています。

さて、残りの『勤労』と『納税』に関しては、大人となればくっついてくるもの。
確定申告は勤労を数字として見る行為であり、一年間の成績表みたいなものなのかも知れません。

数字以前に「働く」という事はそもそも義務なのですな。

で、思い出すのが弟子の頃にあった国勢調査。
「あなたが属している業種について選べ」という質問項目があって、そこには幾ら見てもフリーの芸術家、弟子、ルンペンの項目がありません。「その他の業種」もありませんから、調査票のどれかに必ず属しているという見解があるようです。
しかし実際には身の回りにはいらっしゃいます。これらの方々は経済活動の成果はさて置き「働いているとは見なされないのかしら」と調査用紙を前にして艱難辛苦した覚えがあります。
今の小生の立場であれば「ヤキモノ屋は製造小売業」にしておけば良いのでしょうが、当時の弟子では製造してませんし……「家事手伝い」ではありませんし……。
国の在り方を全数調査するというものに漏れが生じていると感じていました。

弟子は、遊んでる人・国民の義務を果たしていない人という位置付けなのでしょう。


さて、イソップの童話に『アリとキリギリス』というお話がありますが、あのキリギリスはどうなのでしょうか? 
思うにフリーランスのソロミュージシャンです。
でもアリから見ると「遊んでばっかりのヤツ」=「働かないヤツ」でした。

本当にキリギリスは働いていなかったと言えるのでしょうか?

生演奏の音楽は、アリにとって作業BGMとして役に立たなかったのでしょうか? 
または福利厚生の一環として女王アリと契約していれば立場が変わったのでしょうか?
一定の技量を持ち合わせなかった為に演奏が練習と思われたのでしょうか?
そもそもアリの中でもサボってたヤツはキリギリスを糾弾できるのでしょうか?

「イソップのお話は教訓的である」と言われますが、小生にはこれの教訓が何処にあるのかが難しい問題です。

契約次第で音楽は労働にも遊びにもなる=『契約は大事』という事?
生産的団体に属していれば、怠け者でも働いたと見なしてくれるという事?
フリーランスは厳しいぞという事?
アリは排他的な生物だという事?
キリギリスが冬を前に亡骸となればアリとしては食料に出来るので、計略をもって食料を効率良く確保しようという事?


勤労の在り方は難しい。
けれど納税の義務はついて回る……。国としては働き方よりも徴税が大事なんだろうけれど。


確定申告もいよいよ最終。何とか今日で終わった。(と思う)





オペレイション3 cafe Z / FUKUFUKURO

2012-03-06 14:43:25 | 展覧会・ご案内
いやぁ~、久しぶりのインフルエンザはきつかった。
「怪しいな」と思った日が久しぶりの晴れの1日であり、裏山の木を伐るというミッションがあった為フラフラながらもやってしまいました。その翌日病院に行きましたが、ちょっと遅かったようです。
頼みのイナビルも効いたのか効かなかったのか?という状況で、結局3日間、39度前後の世界をフワフワと漂っておりました。
もう、色々と「せなならん事」もキレイに諦めがつくというものです。
「人間、諦めが肝心」というのも、正解のひとつですな。


さて、それでも世間は動いておりまして……。

明日から始まります。チャリティーイベントです。参加してます。
売上金の半分を日本赤十字に寄付という形で被災地援助を行います。

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チャリティー of アート 東日本大震災支援
【オペレイション3 cafe Z / FUKUFUKURO】

場所:cafe Z (カフェ ゼット)
日時:2012.3.7(水)〜11(日)11:00〜19:00(最終日は18:00まで)

アクセス:〒700-0845  岡山県岡山市南区浜野2-1-35
     tel/fax:086-263-8988  マップ 
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前回は、震災後間もなく作家さんの呼びかけとギャラリーオーナーの力添えがあり、告知期間がなかったにも関わらず、我々、関係者が店内に居ることが出来ない程の御来場がありました。

そして、今回はラッピング代わりのエコバッグに作家さんが自由に手を加えるという企画。
小生、いささかインフルエンザで頭が働かず何となくお絵かきしたりして……「クオリティー低っ!」という残念な結果になりましたが、いや、中身で勝負で御座います。悪いのはインフルエンザですっ。

是非、お気に召して頂けたなら(バッグの事はさて置き)お買い求めいただければ幸いです。m(_ _)m


で、会期中に『特別トークイベント』があります。


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「オペレイション cafeZ」特別トークイベント
あのときは、今は、これからは…。あなたの思いを聞かせてください。
2012.3月9日(金) 19:00〜20:30
参加無料
要予約:カフェゼットまで 086-263-8988

『被災地へ手仕事を届けて』
お話:「岡山から被災地へ手仕事を届ける会」実行委員会
岡山の作家の方たちによる東日本大震災復興支援プロジェクト「手から手へ」。
「手仕事の作品を被災された方々に届けることで、物だけではない心の支援を行って行こう。」という趣旨の活動です。
12月に気仙沼で行った第2回活動と現地の様子を映像を交えて報告します。

『フクシマから岡山に来て』
お話:「こども未来・愛ネットワーク」代表 大塚 愛さん
原発災害から岡山へ避難した方、したい方を支援されています。
ご自身も岡山に来られた大塚さん。今も原発災害が続いている現状を伝えていただきます。
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となっております。


さて、小生は『岡山から被災地へ手仕事を届ける会』の実行委員でもありますので、この度のイベントで活動報告をさせて頂きます。
一番の心配は「インフルエンザ!」でしたが、今は平熱に戻っており当日までは4日間あるので、感染源にならないであろうと思います。一応、用心の為マスクしときますが。なので、明日はカフェZの初日ではありますがお伺いしません。

しばらく寝込んでいた為、寝るのにも飽きたので、確定申告の準備をしながら本日はゆっくりしたいと思います。


皆様も時節柄、御用心の程。



鹿の紅茶煮

2012-03-01 18:18:13 | 料理・食材
このところ細君のマイブームがフレーバードティーである。香りのついた紅茶。
もともと紅茶の人なんだけど、最近は小生を除く家族全体のブームらしい。(よく知らない)
朝一番にお湯を沸かしティーポットに紅茶をたっぷりと作っている。それを朝飲んだり、学校に持って行ったりしているらしい。(よく知らない)

さて、普段は小生の起床が一番遅いので、朝のキッチンには当然の如く茶葉の残った空っぽのポットがある。
細君曰く「ミルクティーにどうぞ~」なんだけど、小生にそんな優雅な趣味はない。なので、今まではそのままスルーしていた。

ある日、その出涸らしを見ていて、ふと「これで『鹿肉の紅茶煮』を作れば良いのでは?」と思い立った。何だか葉っぱが勿体無い気がして……。
『紅茶煮』は一晩以上は寝かせる必要がある。となると、作っておいて気が向いた時に頂けば良いわけである。
いつでも冷蔵庫に『おつまみ』がスタンバイという素晴らしい状態。おぉ~。(*^o^*)/


思いついてから後、毎朝ポットの蓋を取って残り香から推察するに、どうやら日によって使う茶葉が違うらしい。
ストレートでもダージリン、アッサム、アールグレイ……。
フレーバーは桜、マスカット、抽象的な名前のなんやかんや……何種類あるのか。(よく知らない)

そこで、鹿肉と相性の良さそうな紅茶としてメープルのフレーバーに狙いをつけた。香りが良いし、調味料に一番近そうだし。


で、件の香りがポットに残っていたその日に決行。(わざわざ新しい葉っぱは使いたくないという悋気さ)


鍋に茶葉を放り込んで、しっかりと色を出す。飲まないのでガンガンに沸かして濃い色に。
渋味が出る前に葉っぱを取り出して、モモ肉の塊を投入。
そのままでは出来上がりの色が楽しくないので、包丁目を入れて紅茶のグラデーションが出来るように小細工もしておいた。
しばらく煮ていると、メープルと紅茶の香りが家中に漂って喫茶店みたいな香りになっている。これも悪くないな。
そこに『醤油:味醂:酒=2:1:1』で入れる。量は味見して加減。紅茶優先で他の何かが突出しないようなバランスで。

塊肉の中心部まで火が通った(雰囲気の)ところで火を止めて、粗熱が引いたら煮汁ごと冷蔵庫へ入れて放置。
最低でも丸一日は置いておきたいな。


で、幾夜かふけて……。(翌日はギョウザ作ってて忘れてた)


さてさて、切ってみると……ジャストな色合い。偶然ながらも自画自賛しとく。
メープルの香りもしっかり残っている。あとは、胡椒なりマスタードなりを添えれば満足。
もともと脂のない赤身に甘味が入って香りも良い。

チャーシューの斜め上の上品さ。旨し!


『紅茶煮』は手間は掛からないけれど、時間が掛かる。
何でも思いついたらすぐに頂きたい性分としては、なかなかにこの待ち時間が辛いですなぁ。
正直なところ「明日の気分なんて、今からワカンネェし、よぉ」という感じ。


さて、猟期終了。
後はストックで楽しみましょう。(子供達からの追加リクエストあり)