こぴっと真面目に考えを纏める必要があるので、頭の整理としてメモ。
ひとまず整理してから、不足分は追々調べようか。
主には、里山、アカマツとか。ちょっこし思い出してみよう。
一応、最初の断りとしては、山陽地方の事なので他の地域と異なる点ありです。
あと、錯誤があるかも……。あと、今、窯焚き中。
●植生の遷移(山陽地方限定)
山陽地方の極相林は、シイ、カシなどの照葉樹である。
その山を、人が生活する為に木を伐採したり、山火事などがあった場合、植生は如何に復活するか。
まずは日の当たった地面を草本がマルチする。一年生、二年生草本も生えるが、やがて多年生草本が主流になる。
そこに潅木が生え、やがて日当たりを好む木(アカマツ、コナラ、クヌギなど)が勢いを増して陽樹林を作る。
が、同時に自分の樹冠の繁茂によって地面の日差しを遮る事になり、下草、ササ、樹間の密度が高まると陽樹林の種子は発芽、成長出来なくなる。
やがて、日差しが悪くても成長可能な木(カシ、シイなど)が勢いを増し、陽樹の寿命と共に遷移して陰樹林の極相林となる。
草木 → 陽樹林 → 陰樹林 の流れ
●アカマツ林の発生
極相林を切り開いた二次林の場合、目立って遷移するのは陽樹である。
そのうち我々ヤキモノ屋にとって重要なのは燃料のアカマツ。
上記の通り、アカマツ林の成立には極相林に対して何らかの環境変化が必要である。
変化は人の手で切り開かれるか、山火事や倒木でギャップ(日の当たるスポット)が出来るかなどが考えられるが、主には人の生活の結果として松林は発生する。
その維持には、陰樹は生えないように定期的な管理が必要である。
また、極相林が陰樹といっても土壌の養分、水分が必要であり、瀬戸内の岩肌が露呈しているような土地が貧しい環境では陽樹が極相とも成り得る。ただし、個体は盆栽のような矮小な形態になる。(例:王子が岳の松など)
●里山の価値
里山は人が手を加えた二次林である。そこは、薪・炭・肥料の供給地である。
燃料として柴刈りや立木伐採、肥料として落ち葉や腐葉土の採取、牛馬の為の下草刈りがされてきた。
勿論、食料としての山の恵みもあった。
クヌギは毎年、伐採地をずらして採取され、ヒコバエによる再生を待って永続的な燃料確保のサイクルを作っていた。
結果として、日当たり良く維持される事で、陽樹林を維持してきたのである。
里山とは、意図的な遷移の中断である。
生活に必要なものを生み出す『人工の自然』であった。(矛盾ある言葉だけど今はスルー)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/2c/826a45f35d6b2b5f4a53f5c50caaef59.jpg)
ウチの窯の裏。煙突周りの木を伐採して10年経過。
陽樹、ヒコバエ、陰樹の階層が出来ている。
●高度経済成長期の燃料転換がもたらしたもの
昭和30年代以降、薪・炭に代わって、石炭・石油・ガス・電気へと燃料転換が図られた。
薪・炭の供給地としての里山は、燃料転換によって経済的価値を急速に失った。
肥料もたい肥から化学肥料になり、下草刈りや落ち葉、腐葉土も採取されなくなる。
意図的な自然への介入が無くなると、植生遷移が再開され、照葉樹の極相林へと遷移していく。
里山は、いわゆる『藪』という荒れた状態(極相林へ向かう途中)になり、ますます人が入らなくなっていく
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0b/d5/e715b15c48be765a93a99e88101b65e4.jpg)
商品作物の果樹が、次第に藪に飲み込まれいく。
●高度経済成長期の植林
極相林に向かわない場合もあった。
経済的価値の下がった里山は、単なる郊外の土地として開発対象となった。
高度経済成長の名のもとに、大規模ニュータウンやゴルフ場はこの頃に増えた。『平成狸合戦ぽんぽこ』の様相である。
これにより圧倒的に里山自体が消滅する。
残った里山の樹種では建材としての価値を持たないので、第二次世界大戦後・高度経済成長期の住宅供給に対応するべく生育の早い針葉樹(スギ・ヒノキ)の拡大造林がされた。ますます雑木林は減少する。
しかしながら、国産材は安価な輸入外材との価格競争に太刀打ち出来ず、多くのスギ・ヒノキ林が放置されている。
本来なら、シイ、カシの陰樹林になるべきところ、スギ・ヒノキの人工的な陰樹林が形成された。
余談ながら、スギ・ヒノキの単一の林では生物多様性は減り、土地は痩せる。保水性に劣る為、治山治水、水源涵養に問題がある。
また、自然と隣接する地域では、餌を求める野性動物との緩衝地帯としての里山が無い為、シカ、イノシシ、クマとの遭遇が増えることになった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0b/82/b29e16fa99c3a418be1ad826606b190b.jpg)
スギ林の下は日が差さない為、土地が痩せている。雨が降ると斜面を山水が走る。
●アカマツに関する現況
アカマツは人が自然に対して手を入れる事によってその植生を維持してきた。
燃料として優秀な材でありながらも、里山との関わりが絶たれた今、定期的な伐採は減り植生維持が困難になっている。
更には、『松くい虫(マツノザイセンチュウによる病害)』が減少に拍車を掛けた。
松くい虫以外では、林業従事者の高齢化、後継者不足、震災の影響などに起因して、燃料としての供給が困難になってきている。
(震災の影響とは、放射性物質の集合・拡散の懸念から、東日本産の木を忌避する業者が増え、西日本産を使う為に需要と供給のバランスが取れない状況になっています)
「燃料インフラを再構成……さて、どうしよう」のあたりが今後の考察か。
ひとまず、メモ、おしまい。