備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

迷い犬

2014-07-23 14:56:41 | Weblog


一年に一回ぐらいですが、迷い犬が来ることがあります。大抵は若い猟犬が多いのですが今回は柴犬のオス。

昨晩遅くに番犬福助が異常なぐらい吼えていて、「?」だったのですが原因判明。
オスの縄張り意識なのでしょう。
迷い犬にご飯をあげたところ、直ぐに平らげました。
その後は少し馴れたのか、迷い犬と番犬はお互いに微妙な距離感を保って平穏に過ごしていました。




ひとまず、名前がなくては扱いづらいので仮名をつける事にしました。
それでも『名無しのゴンベエ』由来の「ゴン」では可哀想。
ここはひとつ敬意を払って……平均的仮名ということで。

推定プロフィール : 
佐藤和夫(仮名)、男性、年齢不詳、○○市在住、職業は自宅警備員。(同姓同名の方がいらっしゃったらゴメンナサイ)


緊張をほぐす為に、福助大好き!骨形オヤツを差し出す。
しかし和夫は食べない。
「このブルジョアめ!」と一方的に決め付けて、プロフィールに『セレブ暮らし』も追加。


飼い主さんが心配されているといけないので、首輪の鑑札を元に隣市へ連絡。
すぐに役場の方が来られました。

「先日の雷で逃げたのでしょうか?」
「いえいえ、脱走常習犬ですよ」

(鑑札票だけでなく本当の札付きか……)

どうやら地元では有名犬らしいです。
度々の出動があるのでしょう。担当の方が「またお前かよ」という顔をされていました。
どうやら飼い主さんも心配していないらしい。
プロフィールに『地元では札付きのワル』も追加。


おとなしく役場の軽トラに設置された檻に収容されます。「慣れてるのかよ!」
運転手付きで帰っていくとは流石にセレブです。いや、居残り佐平次といったところか……。
その光景を福助は静かに見守っていました。


ということで、佐藤和夫(仮名)は、元の生活へとドナドナされました。

(さて、本当の名前ってなんだったんだろう……)
















西粟倉村へ

2014-07-22 19:55:24 | 陶芸


本日は、足を伸ばして県北の西粟倉村まで。鳥取まであと一息の場所です。
そこで、これからの林業の様子を見てきました。
今日お会いした方はエネルギーの観点から林業を見ている方。なかなか勉強になりました。

取材&展覧会の資料撮影も兼ねて。遠かった……。




西粟倉村は人工樹林85パーセントの村。
しかし、間伐も枝打ちもしていない林、切ったものの山に転がされて腐るのを待つだけの木、立ち枯れも多く見受けられました。
しかし、沢山あるのは間違いない。
あれらがきちんと使える仕組みが出来ていれば、厄介もの扱いにならないのになぁ。
木材の需要と供給のインフラを構築すれば、山の多い日本は豊かな国になる予感がしています。
見方を変えれば宝の山です。



村の木は平均50年経過した木とかで、これから先50年かけて育てる『100年の森林(もり)』構想も出来ていました。
そのためにはこれから間伐材も出てくるでしょう。
それらを家具や工芸品として使う取り組みや展示ギャラリーなども出来ていました。
モノ作りの方々の移住も増えているようです。

ヤキモノ屋としては燃やすぐらいしか使う事が無いのですが、間伐材の行き先のひとつとしては有効でしょう。
現状の放置されている山には建築に適しない木はいくらでもあるようです。

里山サイクルを断絶させてしまった昭和のエネルギー改革から、我々は緩やかにマツを失って来ました。
これから将来、マツを巡る状況はますます厳しくなるでしょう。
「備前焼は、備前産の粘土を赤松で……」という古来から続いてきた手法に、危機が来るかもしれません。また来ないかもしれません。
しかし、その対策とノウハウは実際に使うか使わないかは別として必要でしょう。
ひょっとすると新しい表現に繋がるかもしれませんし。


全国に植えてしまった杉・檜も見方を変えれば宝。




放送は25日(金)16:50~19:00のOHK『スーパーニュース』で。

ウラギンシジミ

2014-07-17 12:00:00 | Weblog


朝、玄関から外へ足を踏み出した途端、ヒラヒラと銀色に輝くものが足元を纏わりつく。
ファンタジスタのフェイントの如く、足の間を縫ったり上へ下へ。一瞬、足が縺れそうになる。
目で追うが早い。めまぐるしい。若い蝶である。

大きさと色から『ウラギンシジミ』と判る。
しばらく地面近くをエギングのように飛んで、ブルーベリーの葉に留まった。
この蝶は羽を開くと模様がある。それでオスメスを見分ける。派手なオレンジ色ならオス。

しばしのち……。
日光を求めてか、ゆっくりと羽が開く。見えたのは派手な方。



痛みのないキレイな羽。羽化して間もないのかも知れない。


この蝶は、秋になるとカシの樹冠に集まる。
10メートル以上の高いところを集団でヒラヒラと舞うのは見飽きない光景。ただし、普段の目線より高いのでなかなか気付かない。
遠いのでオスメスの見分けは出来ないけれど、きっと社交界なのだろう。
オスの方が派手な衣装というのがパーティーでは如何なものかとは思うものの、自然にあってはメスは地味で目立たずに生き延びて子孫を残さねばならないのだろうなぁ。


さてさて……。
「先日の台風の影響で迷蝶でも来ないかしら」とちょっと狙ってます。
イシガケチョウあたりを期待。
貫入のある白磁みたいで独特な美しさがある。


あと、今年はまだオオムラサキも見ていない。
アゲハチョウを見るたびに「おぉ!」となるけれど、「やっぱりアゲハか」で終わる。


あぁ、仕事しながらも忙しいわぁ~~~。 (^。^ゞ






合歓の木

2014-07-16 11:19:55 | Weblog


土地を入手した時には、まだ小さく細かったネムノキ(合歓の木)。
開拓団のごとく耕作放棄地を切り開くにあたって、ネム、ヤブツバキは優先的に残していた。
今やすっかり大きくなって夏のシンボルツリー的な存在。


吹奏楽小僧にとって『合歓』というと、連想される場所がある。
某楽器製造企業が経営する伊勢志摩のバブル上り坂イケイケ黄金時代の広大な施設。
そこで行われる夏休みのレッスン合宿の様子が『バンドピー○ル』という雑誌に掲載されるので、行った事がなくとも知っている場所である。

この雑誌は、全国の吹奏楽部の部室には必ずあるようなもの。
合宿の記事が2学期の始まり頃に掲載されるのを、まだ暑さの篭った音楽室で寝っ転がって読み耽るのが常。
「リゾート施設の芝生の上でピカピカの楽器と笑顔が眩しいぜ!」
「この楽器はアレやな」
吹奏楽小僧にとっては神様的存在のプロ演奏家による一言メモのようなベタ記事まで、重箱の隅を突っつき過ぎて貫通するぐらい読む。

温められた音楽室のカーペットの匂い、開け放った窓から入る熱気を孕んだ風、遠くのグラウンドの野球部の声とかも一緒に思い出されるな。


もっとも細君は「合歓という名前に何ら心当たりがない」とキッパリ。
ハイハイ、黒髪ストレートロング笛吹きオシャレ姉さんとバカタレ金管マッピブヒブヒ男子とは違いますね。ハイハイ。(-_-;)  ←拗ね過ぎ。


さておき。

備前焼業界では、事業所名として窯に名前を付ける習慣がない。
多くの窯業地では『○○窯』と名乗ることがあるけれど、備前は何故か個人名で通すパターンが圧倒的に多い。
もし、ウチが窯に名前をつけるなら、きっとネムノキに因んだ名前にしていたと思うなぁ。

仕事場越しの感じも良いなぁ。
花の木窯じゃなくて……合歓の木窯?


この大きくなった一本以外にも沢山あったけれど、ほとんどはシカにやられてしまった。
冬場のエサが少なくなると、樹皮をグルッと剥がして食べる。それで弱って立ち枯れしたものは多い。

また、どうやら若葉も好物らしい。

先端の葉をパクッとやられる。
このサイズで既に樹齢10年。シカ仕立ての盆栽かよ!


花盛りは過ぎたようですが、もうしばらく楽しめそうです。

結構、裏側から見上げるもの好き。
日本画っぽいのがお気に入りポイントです。冬枯れの枝も良いし。


青空、雲、葉のシルエット。

夏ですなぁ。梅雨明け近し。


……風鈴出さなきゃ。












ブログ開設3000日目

2014-07-14 13:24:11 | Weblog


本日は、このブログ開設から3000日だそうな。
プロフィール写真はブログを始めた頃のまま。たぶん30代前半。

しかし、3000日といえば、千日回峰行なら3回の期間なのに……グダグダ過ぎてオハズカシイ。(比較対象を間違っているか……)


さて、この機会によく読まれている過去記事をバラしましょう。


自由研究 汚れの落ち方について(2011.8.11)

PLATINIUM ・ SILVER ・ Pt.Alloy(2009.2.11)

石灰藻、大型有孔虫、ベルムナイト、サンゴ、巻貝@岡山(2009.9.1)

アンモナイト@岡山(2009.8.31)

道端の多肉植物(2013.12.8)


世間の皆様の興味ある検索結果です。
備前焼の事が少なくったって……、築窯の事が少なくても……、そもそも陶芸自体が少な……、気にしないんだからっ。


自由研究は、夏休みの宿題がらみ。
プラチナは、貴金属がらみ。
多肉植物は、趣味がらみ。

街で見られる建材の化石も趣味がらみだろうけど、これに関しては同好の志がいらっしゃるのかしら。


不定期更新かつ個人的酔っ払い話ばかりですが、御高覧に感謝。
今後ともよろしくお願い致します。


m(_ _)m



え~~と、ヤキモノのことも書いてるよっ。(*^o^*)/





台風一過の草刈り

2014-07-11 17:03:45 | Weblog


窯焚きが終わって一息。

台風の実害も少なく安堵しました。連日の台風報道で各地の被害を見て、落ち着かず緊張感がありました。
窯の上がりとバッチリ重なる気配でしたので、緊張感は更に……。


さて、台風一過。
周辺では天気の回復と同時に、朝からアチコチで草刈機のエンジン音が響いています。
この流れに乗り遅れまじと、こちらも草刈りを開始。

久しぶりでしたが、今シーズン3度目なので柔らかな草が多くて比較的楽でした。


シバも順調にエリア拡大中。


とあるヤキモノ屋さんが「繰り返し低い位置で草刈りをしていると残るよ」と教えてくれたので、5年ほど実践しています。
シバは特に植えた覚えはないけれど、自然と淘汰されたようです。
近接する他の草のところは土を抉るぐらい強めに刈って、ちょいっと御贔屓して面積拡大を促しています。

もっとも「シバ」とは言いつつ、本名は知りません。
ただ、役に立っているのに「雑草」という名前では可哀想なので、暫定的に「シバ」と。
不思議とシカもノウサギも食べないので好都合です。


真夏の照り返し軽減に推奨! (名前は知らないけど……)


『突発的野外で何でも焼いてみよう大会』の時に、ビール片手に裸足で触れているとちょっと気持ち良いです。
夏の楽しみ。





木材にまつわるメモ

2014-07-09 18:47:45 | 陶芸



こぴっと真面目に考えを纏める必要があるので、頭の整理としてメモ。
ひとまず整理してから、不足分は追々調べようか。
主には、里山、アカマツとか。ちょっこし思い出してみよう。

一応、最初の断りとしては、山陽地方の事なので他の地域と異なる点ありです。
あと、錯誤があるかも……。あと、今、窯焚き中。


●植生の遷移(山陽地方限定)

山陽地方の極相林は、シイ、カシなどの照葉樹である。

その山を、人が生活する為に木を伐採したり、山火事などがあった場合、植生は如何に復活するか。

まずは日の当たった地面を草本がマルチする。一年生、二年生草本も生えるが、やがて多年生草本が主流になる。
そこに潅木が生え、やがて日当たりを好む木(アカマツ、コナラ、クヌギなど)が勢いを増して陽樹林を作る。
が、同時に自分の樹冠の繁茂によって地面の日差しを遮る事になり、下草、ササ、樹間の密度が高まると陽樹林の種子は発芽、成長出来なくなる。
やがて、日差しが悪くても成長可能な木(カシ、シイなど)が勢いを増し、陽樹の寿命と共に遷移して陰樹林の極相林となる。

草木 → 陽樹林 → 陰樹林 の流れ


●アカマツ林の発生

極相林を切り開いた二次林の場合、目立って遷移するのは陽樹である。
そのうち我々ヤキモノ屋にとって重要なのは燃料のアカマツ。

上記の通り、アカマツ林の成立には極相林に対して何らかの環境変化が必要である。
変化は人の手で切り開かれるか、山火事や倒木でギャップ(日の当たるスポット)が出来るかなどが考えられるが、主には人の生活の結果として松林は発生する。
その維持には、陰樹は生えないように定期的な管理が必要である。

また、極相林が陰樹といっても土壌の養分、水分が必要であり、瀬戸内の岩肌が露呈しているような土地が貧しい環境では陽樹が極相とも成り得る。ただし、個体は盆栽のような矮小な形態になる。(例:王子が岳の松など)



●里山の価値

里山は人が手を加えた二次林である。そこは、薪・炭・肥料の供給地である。
燃料として柴刈りや立木伐採、肥料として落ち葉や腐葉土の採取、牛馬の為の下草刈りがされてきた。
勿論、食料としての山の恵みもあった。

クヌギは毎年、伐採地をずらして採取され、ヒコバエによる再生を待って永続的な燃料確保のサイクルを作っていた。
結果として、日当たり良く維持される事で、陽樹林を維持してきたのである。
里山とは、意図的な遷移の中断である。

生活に必要なものを生み出す『人工の自然』であった。(矛盾ある言葉だけど今はスルー)

ウチの窯の裏。煙突周りの木を伐採して10年経過。
陽樹、ヒコバエ、陰樹の階層が出来ている。


●高度経済成長期の燃料転換がもたらしたもの

昭和30年代以降、薪・炭に代わって、石炭・石油・ガス・電気へと燃料転換が図られた。
薪・炭の供給地としての里山は、燃料転換によって経済的価値を急速に失った。

肥料もたい肥から化学肥料になり、下草刈りや落ち葉、腐葉土も採取されなくなる。
意図的な自然への介入が無くなると、植生遷移が再開され、照葉樹の極相林へと遷移していく。

里山は、いわゆる『藪』という荒れた状態(極相林へ向かう途中)になり、ますます人が入らなくなっていく

商品作物の果樹が、次第に藪に飲み込まれいく。


●高度経済成長期の植林

極相林に向かわない場合もあった。
経済的価値の下がった里山は、単なる郊外の土地として開発対象となった。
高度経済成長の名のもとに、大規模ニュータウンやゴルフ場はこの頃に増えた。『平成狸合戦ぽんぽこ』の様相である。
これにより圧倒的に里山自体が消滅する。

残った里山の樹種では建材としての価値を持たないので、第二次世界大戦後・高度経済成長期の住宅供給に対応するべく生育の早い針葉樹(スギ・ヒノキ)の拡大造林がされた。ますます雑木林は減少する。
しかしながら、国産材は安価な輸入外材との価格競争に太刀打ち出来ず、多くのスギ・ヒノキ林が放置されている。
本来なら、シイ、カシの陰樹林になるべきところ、スギ・ヒノキの人工的な陰樹林が形成された。

余談ながら、スギ・ヒノキの単一の林では生物多様性は減り、土地は痩せる。保水性に劣る為、治山治水、水源涵養に問題がある。
また、自然と隣接する地域では、餌を求める野性動物との緩衝地帯としての里山が無い為、シカ、イノシシ、クマとの遭遇が増えることになった。


スギ林の下は日が差さない為、土地が痩せている。雨が降ると斜面を山水が走る。


●アカマツに関する現況

アカマツは人が自然に対して手を入れる事によってその植生を維持してきた。
燃料として優秀な材でありながらも、里山との関わりが絶たれた今、定期的な伐採は減り植生維持が困難になっている。
更には、『松くい虫(マツノザイセンチュウによる病害)』が減少に拍車を掛けた。
松くい虫以外では、林業従事者の高齢化、後継者不足、震災の影響などに起因して、燃料としての供給が困難になってきている。

(震災の影響とは、放射性物質の集合・拡散の懸念から、東日本産の木を忌避する業者が増え、西日本産を使う為に需要と供給のバランスが取れない状況になっています)



「燃料インフラを再構成……さて、どうしよう」のあたりが今後の考察か。


ひとまず、メモ、おしまい。






七夕の日、マーラーの日。

2014-07-07 10:09:21 | Weblog


朝から霧雨に包まれている。
谷沿いを尾根に向かって、水蒸気の集まりがゆっくりと昇っている。重力に縛られない羽衣の如く。
山の緑を半透過させながら移り行く濃淡は、いつまでも見飽きない。
雨の密度が濃い稜線は、水墨画のような二階調のグラデーションに包まれている。
モノトーンな世界は、やがてこちらにも降りてくるのだろうか。


雨の朝の感傷は、湿潤の国……日本人の感覚か、単なる個人的なメランコリックな感情か。


今日は七夕。
思い返せば、七夕にはよく雨が降っている気がする。
天帝も一年に一度しか会わさない娘夫婦の逢瀬の日を、雨の多い季節に設定するとは惨い仕打ち。
しかも今年は台風まで来ている。お二方とも憂鬱なのでは。


小生の七夕といえば……、マーラーの日。
霧雨の山の中、静かにかの人の誕生日を祝おう。
今日の仕事場はチクルスで決定。

愛と死へのアンビバレンスな音楽。
嵐の前の静けさには似つかわしいだろう。









窯焚きお手伝い中

2014-07-05 11:08:48 | 陶芸


(タブレットからの初投稿=使い勝手の検証)

窯焚きお手伝い中。

初めて関わる窯です。
こういう機会は自分との考え方の違いの確認(=自分の考え方の再確認)出来る場面です。
窯の全体構造もさりながら、直接タッチする焚き口はオーナーの考え方が如実に現れます。
考え方の裏付けには過去の経験の積み重ねがあるので、その背景も汲み取るとなかなか味わい深いものがあります。
構造だけでも大いに見所はありますが、加えて焚き方を伺うとその考え方の組み合わせは無限大。
それを把握した上で作品を拝見すれば、更により良く判ります。


特に窖窯(あながま)のように一旦歴史上から消えた技術に関しては、その伝承がありません。
見た人も居ません。
なので、窖窯は今も試行錯誤の連続で、考え方は三者三様、十人十色、千差万別、多種多様。
これに見てきたかのような思い込みも混じって、窖窯使いは百家争鳴状態です。
そこに市場原理が働くと「みんなちがって、みんないい」という事にはならないのが楽しむべき点ですな。

(話を戻して……)

自然科学において高温下の実証実験は、直接触れられないし見られないので測定には困難が付きまといます。測定機器自体の耐久性、信頼性の問題もあります。
ましてや我々ヤキモノ屋の持つ機器は、せいぜい温度計ぐらい。色見とゼーゲルコーンがその補助か。
あとは、ひたすら観察。科学の基本である観察。
そして、考察、仮説、再現、実証の繰り返し。


こういうところを嬉しがったりするのは、完全にオタクですな。

いや、マッドサイエンスティストかも。

……泥んこだけに……ね。(言いたいだけかっ!)



結論:物理キーボード+マウスが格段に使いやすい事を再認識。(以上)




実験の共同窯

2014-07-04 23:28:14 | 陶芸


グループで窯を焚きます。いわゆる共同窯です。
古くは桃山時代から共同窯というスタイルがありましたが、現在の個人作家が主流な環境においては珍しいことでしょう。

今回の窯焚きはひとつの実験であります。
備前焼が直面している問題。それは燃料問題です。
特に赤松に関しては、林業の後継者不足、松食い虫、震災の影響などがあり市場への供給がかなり難しくなっています。

実際、小生の場合、昨年の夏に注文した松割り木でしたが、
秋の納品予定が……入らない。
年内にはなんとか……入らない。
年明けになっても……入らない。

という困った状況でした。

それに対して、今後継続的に割り木を入手する解決策のひとつとして、他の木材を視野に入れるのもひとつの方法でしょう。
なにせ『無い袖は振れぬ』のですから。


もともと、個人的には景色の事を想定して雑木(カシ、クヌギ、サクラ、イチョウ、ヤナギ、スモモ、スギ……)を使ってきました。
また、グループでの経験としてはモミ100%もあります。

それらを勘案して、消極的に代替燃料として松と置き換えた雑木ではなく、積極的採用としての雑木焼成をする事にしました。
更に判りやすく結果を見る為には、それを100%使用した振り切った実験が今後の為になるでしょう。
それから個人にフィードバックして今後を考えるという方法。


で、今回は『杉・檜100%焼成』の窯焚きをします。

一番の目的は経験する事。
その過程で発生した原因と結果を見る事が重要です。


本日で窯詰めは終了。

明日はいよいよ火入れです。


何が違って、何が変わらないのか……。見極めたいと思います。


(しっかし、まぁ、よく詰まってますわ……)