備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

小さいじゃじゃ馬

2011-08-29 12:14:46 | 陶芸
チビ窯の窯出し。モノにキズが無いことを確認して、すぐに展覧会出品リストに加える。
リスト締め切り日ギリギリに間に合わせるというタイトロープ。

このオチビは還元用の窯なので、窖窯では出ない景色のモノが狙いである。大体が『青備前』。

窯を作ってから2年経過。今回が5回目の窯焚き。しかし、毎度毎度のじゃじゃ馬振りで、安定した稼動には至っていない。
窯詰めの様子が毎回異なっているのが最大の原因。

今回は、大きな『匣鉢(さや・箱のような窯道具)』を使っていたので、全体の温度分布のバラツキを均すのが難しかった。まぁ、窯詰めの段階で「そういう事もあろうか」と想定して、温度が上がらなかった時の対策はしていたんだけれど……。
しかし、窯焚き中に「温度が上がらん~~」という事態になると俄然ムキになるのがヤキモノ屋の性。

還元焼成なので煙が出ても問題ない。状況は正味、温度勝負である。
窖窯(あながま)の場合、酸化焼成なので煙にデリケートになりつつ温度を上げる対応になるけれど、還元では気兼ねなくあの手この手で攻めまくる。
でも、その「気兼ねなくいける」という状況がかえって、自分の技術力が露骨にあらわれるので精神的にグッタリする。上手くいかなかった場合は、もう窯出し迄ボディーブローのようにジワジワっと。

いつか懐いてくれるのかな……。

でも、実験作は想定範囲だったので、これからが楽しみである。その楽しみがないと、ねぇ。
そういう点では楽器も同じ。じゃじゃ馬ならではの味というものです。実験作は来月デビュー。

さて、あとはモノが如何に評価されるかだけである。

とりあえず、仕上げ磨き中~~。

自由研究 ~汚れの落ち方について

2011-08-28 18:21:36 | Weblog
夏休みの自由研究(小5)が終わったぁ~~。 \(*^o^*)/

今年は、『汚れの落ち方について』。原因の違う汚れを色々な洗剤につけて落ち方を比較するというもの。

テーマ発見の発端は、夏休みに大掃除をしていて「拭き掃除に重曹が便利」という出来事による。
メラミンスポンジでは、不自然なほど白くなってしまうところ、重曹ではナチュラルさを残しつつキレイになる。つまり程々に汚れが落ちる。換気扇まわりの油汚れも重曹。風呂場の水アカは重曹にクエン酸を加えて炭酸ガスで一撃。
各種洗剤を試しつつ大掃除した結果、「これやな」と。


その経験をまとめれば、自由研究になるな……。あとは「どういう風に表現するか?」である。

で、『ガーゼに汚れを付着させて、各種洗剤に一晩漬けて実物を貼る』という方法を思いつく。簡単。
洗剤の項目に、レモンが入っているのは数年前に『10円玉をキレイにするもの』の時に感動した経験かららしい。
小生としてはトンカツソースで10円玉が綺麗になった方が驚きだったけどなぁ。まぁ、今回の実験では、ソースは汚れ役側なので。


とりあえず、無事終わって良かった。当然のことながら漂白剤最強の結論。


自分が子供の頃って、自力でやってた気がするけどなぁ……。まぁ、エエか。小学校時代の思い出作りみたいなものだし。
これで、無事、夏休みが終了出来るはず。

小生は明日から、神戸・大阪である。


猪の角煮ではなく……

2011-08-27 23:56:00 | 陶芸
ちょっと寄り合いに出席。「一品持ち寄りで」という話なので冷凍庫に鎮座ましますヤツを登場させる。『備前産・猪♂』。
在りし日のお姿は推定体重80kgオーバーの巨体でありました。享年不明。

さて、『豚』の角煮ならぬ『猪』の角煮にすべく料理する。

一旦茹でこぼしして、醤油、砂糖、酒、スパイスなどと共に圧力鍋でしばし。ショウガ・八角・ゴボウが良い仕事をする。最後に彩りのパプリカを入れて鍋を揺すってオシマイ。最後に山椒などパラリ。

この2ヶ月あまり動物性タンパク質オフ生活だったので、若干、肉料理に関して腕が鈍っているのは否めない。これまでの経験で対応である。
しかるに……出来上がりに角煮特有のプルプル感が無い。これでは角煮でなく甘辛煮の風情である。
肉の部位が、バラ肉でなく脂の無いモモ肉であった所為。う~む、必然であるな。腕の問題ではない。(←やや強調)


まっ、この際、料理名は置いといて……『猪の角煮』ならぬ『猪の甘辛煮』ということで。
人数が判らないので小さめに切った為、なおさら角煮のイメージから離れている。まぁ、名前は後付けでいいや。
なので、『猪の甘辛煮』です。……いや『猪の時雨煮』かも。




で、「黙っていると、イノシシと知らずに召し上がる方もいらっしゃるかも」とも思って、お子様ランチ風な旗を立てる事にした。
爪楊枝に国旗ではなく、栗の枝に短冊である。裏山から一枝採ってくる。
猪は栗を食べる頃が美味しいので、そのイメージもあっての事。




売れ行きはというと、遠慮の塊の1個だけが残っていたので、まずまずの及第点であったとしておこう。


なお、この一品は、全部『備前産』でまかないました。器も勿論、備前。
ちなみに拙作でごじゃりまする。m(_ _)m



備前陶心会展@阪神百貨店

2011-08-23 08:38:03 | 展覧会・ご案内

展覧会のお知らせです。

所属しております『備前陶心会』の大阪(梅田)でのグループ展です。
50歳以下の若手作家47名の出品です。
会期中、作家によるギャラリートークあります。

小生は、最終日30日(火)に在廊です。(最終日は17:00迄)


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◆◇◆ 備前陶心会展 ◆◇◆

日時 : 8/24(水)~30(火)

場所 : 阪神百貨店9F 美術画廊・美術工芸サロン

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皆様、お誘い合わせの上、是非ご高覧下さいますようお願い申し上げます。


さて、久しぶりの大阪である。
行く前に尿酸値を測って、西梅田あたりの立ち飲み屋街に行っても良いかお伺いせんとなぁ~。
さてさて、肉&ビール解禁なるか?


現時点では、予定体重より2kg多いんだけど……。
 

(やっぱり体重計壊れてんのとちゃうかな?)



琳派・若冲と雅の世界展

2011-08-17 19:45:38 | 展覧会・ご案内
『琳派・若冲と雅の世界展』にギリギリ滑り込みで見に行きました。
それにしても「展覧会動員に『困ったときの若冲頼み』というのがあるのか?」といぶかしむ程、人気が高い。『いつもどこかで若冲さん』という頻度の気がする。
まぁ、学生時分から何度となく京都やら大阪やらでご縁があったので、個人的には「またかよ」と思わなくもないのですが行って来ました。
折角、招待券もあることですし……。ハイ。

案の定、人多し。平均年齢、高めかな?


結論から言うと、「琳派の方々が良かった」と。若冲さんは例によって『鶏』もありましたが、展示の関係か、迫力がねぇ……。
『酒井抱一の散らし描き』や『俵屋宗達の白黒犬』や『尾形光琳の団扇』や『琳派(作者不明)の四季の屏風』などが目を惹きました。

金箔地に涼しげな秋草が書かれた屏風など数点ありましたが「インテリアに最高であるなぁ」と感心致しました。

が、どう考えても我が家には合わない。
この屏風を置く為に、そもそも家から建てないとなぁ。長屋門があって、塀があって、庭があって、中門があって、蹲踞があって、縁側があって、中庭もいいな……。オジイサマの数奇屋の一棟ぐらいは要るな。
または、真逆に海外の家に持っていって『絵』とするか……。(こうやって「散逸したもの多し」なんだろう)

ともかく、拙宅の『ローコスト万歳!』ではダメという感想に至る。


帰路に、最近知り合った方が個展をされているので寄り道。
釉薬モノで、海外の民芸を思わせる色使いと造形でした。並んでいる食器を拝見すると「食べることに執着あり」とお見受け致しました。(褒め言葉です)
扱いやすそうな鉢が印象的でした。釉薬の溶け具合も真っ向勝負の温度で「コバルト」ギンギンでした。


日差しが落ち着いた頃に帰宅して、丸湯呑の仕上げ。
琳派も民芸もクラフトも全部忘れて、粘土と向き合う。「名前もジャンルも何もかも、後からついて来る!」


黙って作るべし。


本日は夜も仕事。ぼちぼち夜風が気持ちの良い頃であるな。


月見には早いけれど

2011-08-11 20:30:49 | 料理・食材
日没と同時に山の端から上がってくる月。空の色が濃く暗くなるにつれてその輝きを増す。相対的な光でしかない筈なのに、夜の帳にあって月の明るさは煌々としている。都会暮らしの時には思いも寄らなかったけれど、月夜は明るい。

お盆となれば、民族大移動の如く日本を右往左往するのが慣わし。そして、やはり神妙にご先祖様に想いが至る。が、まぁ、誰でも自分の記憶の範囲では3代遡るのがせいぜいなところ。小生のゼミの先生は「3代前は馬の骨」と喝破しておられたなぁ。心理学者の達観なんだろうな。『ご先祖様はご先祖様。自分は自分』というスタンスであった。(と思う)

実家の先祖の個人墓の数を辿ると14代ほど遡る。「なるほど」と思って墓石を眺めていたら、「その一番端っこのは、兄弟で埋めたカワセミのお墓だ」と叔父から聞いた。いまだカワセミが祀ってあるとな。おおらかというか……。
代がわりしたら、きっともう一代ほど計算が合わなくなるに違いない。

この時期に月を眺めていると、普段思わない事が脳裏をよぎるなぁ。


家の裏に大葉が茂っているので、手毬寿司にしてみた。




並べてみると、ちょうど月に備えるお団子のような感じになった。月見シーズンでないので草の緑というのが一興か。

そうだ、来月ともなれば月見の話になってくる。旧暦にしてもそう遠くはない。
「暑ぃ~~」とは言いつつも、既に残暑。


気の早いハタケノウマオイも鳴いている。スィチョッ、スィチョッ、スィチョッ……。


秋の気配が夜風に紛れ込んでいる。

レンズ逝ったか?

2011-08-09 13:33:19 | Weblog
デジ一のレンズ(換算28mm~88mm)が故障したっぽい。犬島帰りから挙動不審で、ついに反応なし。
AFが利かず、連動してシャッタも下りない。逝ったか?
「カメラ側の設定も関係あるかな」と思って、初期化したりしたものの相変わらず。

一応、仕事で使っていたとはいえ、まだ2年程しか経っていない。
戦場カメラマンでもあるまいし、ちょっと早くないか?

ついでに言わしてもらうと、この手のものってプラスチック部分が増えるとチャチな作りになる気がする。
かつてのレンズのように金属丸出しの鋼性感、使うときの堅牢感というものがない。その重さからくる安心感、信頼感というものが確実にあった気がするが、最近のは「軽い」。クオリティーに対しても軽いんじゃない?

なんでもかんでも「ふわっふわで、軽くって、甘くって、柔らかくって……美味しい!」とかいう風潮がプロダクトをダメにしてるんだぞ!……と、昭和テイストな事を言ったところで直らないのであるが、言いたい。(ほとんどヤツ当たり)

軽いのはダメだ。

かといって、「備前焼は重い」とか言われると嬉しくもないんだが……。


まずは、修理となるんだろうけれど、最近はカメラも一緒に出さないといけないらしい。双方のマッチングが必要なんだろうけれど、うまく直らなければ延々と調整スパイラルに陥ってしまう。結構、当り外れの個体差があるとは聞くしなぁ。オソロシヤ~。

とりあえず、別レンズ(換算45mm~128mm)を装着。一昔前の設計なので『手振れ防止機構』などはない。ついつい機械に甘えてエエ加減な構えで撮っていたので、最初のショットは手振れした。馴れというものはオソロシヤ~。
昔のように、キチンとせなな。モノもヒトも。「便利すぎてダメ」という例。


そういえば、50mmF1.4の単焦点レンズを買おうと思ってたのを今思い出した。明るいレンズ欲しいな~。楽しいだろうな。
でも、まずは仕事用に広角が要るな。


(すべては、窯焚き終わってからぢゃ!)

時期はずれ

2011-08-05 23:31:53 | Weblog
家の裏に『合歓の木(ネムノキ)』が数本ある。軽やかさがある好きな花のひとつ。一本は大木である。その他はそれの実生なのだろう。
窯に名前を付けるなら、この合歓の木に因んで名付けようかと思うぐらい。
ただ、備前焼の場合、組織として『窯の名前』を付ける習慣がないので、ウチも名前がない。ヤキモノ屋個人としての名前で活動するのが前提になっている。おそらく古い時代に窯元数軒寄り合って共同の大窯を焚いていた為、窯自体の名前は意味がなかったのだろう。その名残りで、まずは『作った人ありき』で今日まで至っていると思われる。(他窯業地での修行経験がある方は名付けている場合もある)

ウチでも今のところ「窯の名前は?」と訊かれても「ありません」と答える。大概「?」な顔をされる。
そりゃ~「会社名はありません。社長名だけです」と言っているのと同じ事だからなぁ。それでも罷り通るのがヤキモノ屋なんだな。


合歓の木の花の時期はとっくに過ぎている。しかし、何故か地面に花ガラが落ちていた。見上げるとまだ頑張って咲いている木がある。
ひょっとしたら、頑張っている訳ではなく単に遅咲きなのかも知れないな。

いずれにせよ「時期はずれやな」


父方の家では「ネムノキを蚊取り線香代わりに使っていた」と聞いた。幹を輪切りにして、木口に十字の切れ込みを入れて、その隙間に着火するとゆっくりと燃えて煙が出るそうな。
この煙自体に蚊取り線香のような効力があるのかは定かではないけれど、物のない時代の工夫なのだろう。
いずれ試してみたい事のひとつ。


さて、デジカメの画像を抜き出していると、先日のチビ窯窯焚きの時の写真が出てきた。
小さな窯で、かつ簡単な小屋掛けをしただけなので、バラック然としたワイルドさ(もとい!貧しさ)が漂っている。しかも夜中にポツンと裸電球が灯っているので寂寥感が増すビジュアル。
多分、深夜に睡魔と戦いつつ「窯の周りを無駄に歩いてみる」という行為中の写真なんだろう。(撮影した事を覚えていなかった)



焚口の様子からして、二日目の1000℃を越えたあたりのタイミングかな。
疲れも溜まってきた頃。これを過ぎると窯焚きハイになります。(1111℃ではtwitter投稿してた)


今月、またチビ窯に火を入れる予定。お盆前半ぐらいに窯焚き。
夏の窯焚きって、時期的理由からあまりない事である。ただチビ窯の場合、基本的に一人で焚ける事でもあるし、家族以外に迷惑を掛ける事もないので必要上。
よりによって暑い時に……。やんぬるかな。

これも「時期はずれやな」


次回は100%赤松の焼成です。雑木ストックを使い切ってしまった事にかこつけた原点回帰。
「そろそろ、あのカシの大木を伐ろうかなぁ」と狙っていますが。(ウラギンシジミの越冬の為に遠慮している大木がある)
しかし、木を伐るのは時期的には冬なんだけどね。

これも今は「時期はずれやな」


あぁ、この追い込まれたドロナワっぷりを改めて、秩序だった仕事スケジュールにしたいなぁ。

ここのところ「時期はずれ」の連発です。









犬島レポ2

2011-08-01 11:48:31 | Weblog
まさに泥のように眠った。その泥から這い出すように朝を迎えました。う~~ん、昨日は疲れた。

さて、犬島レポの続き。

島内の移動は徒歩のみです。小さい島なので、北(港)から南(海水浴場)までは歩いても15分程かな。
11:00の船で渡ったのでお昼時分に島にいました。炎天下を歩く事に。
影も消える時間。暑ちぃ~。




犬島は『石の島』です。アチコチにふんだんに石が使われています。その全てが島のものなのでしょうねぇ。
ただ、材料に困らなかった所為か、石工の技という点では『肥後の石橋』ほどのものは見かけませんでした。



細い路地・土留め・井戸・側溝・塀……。

ところどころに、スラグ(銅の精錬残滓)を焼き固めて作った黒い『煉瓦(からみレンガ)』も嵌め込まれています。比重が大きく存在感ありまくりです。断面は虹色の光沢があり、こういうマチエールに萌えてしまうのはヤキモノ屋の性でしょうか。
美術館はそれらを敷き詰めて石畳のようにしたり、遺構の資材置き場の壁などに使われたりして、独特の風景を作り出しています。自宅にサンルームのような土間があれば、太陽の直射日光をダイレクトゲインすれば冬も暖かでしょう。
側溝の石垣には海から上がったカニなどが沢山隠れて居ました。見かけただけでも今晩のオカズには困らな……(ry。

『瀬戸内国際芸術祭2010』での作品『家プロジェクト』も残っていて、それらも島の風景の中に佇んでいます。(美術館のチケットで見学可)
さらに、もっと以前からあるオブジェ群も残っています。モアイ像のように海に面して椅子が並んでいたり……。

ただし、浜辺はキャンプ場も併設していてモウモウたるBBQの煙と匂いが充満。「花見の焼肉の無粋さよりマシか」と思いきや、量的に遥かに凌駕。参りました。


あと、「犬島っていう名前ながら、ネコに困っているのかな?」という看板。



でもネコは見なかったな。きっと涼しいところでお昼寝してたのでしょうね。


子供が拾った流木をハイヒールに見立てて写真を取っていたので、横から拝借して撮影。




船の時間が決まっているので、往路で同乗した方と復路で再会。なんとなく会釈。一眼レフ所持の女子率も高かったな。


やっぱ、夏は海だねぇ~~。直島、豊島、女木島、男木島、小豆島、大島などもあります。