備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

スモモ

2015-06-30 21:53:14 | Weblog


小生、小学生のみぎりに神戸の実家に植えたスモモ。
現在地に引っ越してからは数度の危険な状態を乗り越えて来ました。

そして、今年は花が少なかったのですが実が成りました。
鳥が突かなかったものを探して頂くと、甘くて美味しい。

今年は、イラ(毛虫)の退治方法をご近所さんに習い実践したので、葉っぱの被害も少なく木にとっては良かったのでしょう。
あとは、肥料をやってケアすれば、尚良いのでしょうね。

思い出の木でもあるので、末永く頑張って欲しいところであります。


番犬福助は実が成っても食べないので、「我関せず」のスタンスで木陰で昼寝しております。

雨が降ったり、暑かったりと天候不順な折ですが、時々、木の下で楽しんでおります。

窯焚きシーズン

2015-06-25 15:49:19 | 陶芸


本格的な夏到来を前に、周りでは窯焚きラッシュ。
ほぼ週一回、どこかの横焚きに参加するペースです。予定は、あと3件かな。
生活が不規則になりますが、オーナーごとに、それまでの経験や窯の特性もあって色々と興味深いのも事実です。それが楽しみ。
今回は『色見』の作りが丁寧な作家さんでした。

色見は「焼けたか、どうだか……」の判断をするモノ。窯焚きの最初から入っていて、モノと同じように焼き、途中で窯の中から棒を使って引っ張りだします。
単純に温度の上がり具合から、還元濃度、土の雰囲気までそこには出ていますが、概ね「窯焚きを止めるか、続けるか」という判断に使います。
窯が冷める過程で色は全く変わりますが、それをも含めてオーナーは関連性を読みます。

オーナーは、「おぉ、ちゃんと酸化してるで」とか「あと10℃上げるわ」とかを判断するわけです。
お手伝いは、それが「何処の土か」に興味があります。「ほほう、こうやって焚くとこうなるのか」と。

今回の色見は、同じ土の色違いが多数。(やるなぁ~~。いよっ、窯焚き上手!)


さて、諸々ウロウロしている間に、既に前回の窯焚きから半年が経っている。うむ、本格的に作らねば。
窯焚きを指して、「今回」が「前回」と言う様になったら、もう本格的に作らねばなりますまい。

製作も本格的にスタート。依頼モノも多し。(明日からだけど)


今晩は、所属団体の親睦会であります。 Ψ(`∀´)Ψ


あやめ咲く……お茶会へ。

2015-06-22 10:32:44 | Weblog


今年もご縁に恵まれまして、兵庫県龍野にあります永富家へ参りました。
毎年、アヤメの咲く時期に開催される『あやめ茶会』。(昨年の様子はこちら)美術館所蔵クラスの名品揃いのお道具、室礼の茶会であります。それを国指定重文のお屋敷で。

「お手伝い、どう?」とメールで誘われて、もう光の速さで返信。
「何はさておき、謹んで参上仕り候。なんでも致します。いや、出来ないことも多いですが……」

それからは、期待一杯にワクワクする日々。


さて当日。庭のあやめ・花菖蒲も咲いておりました。



今年は速水流のお家元によるお茶会で、高貴な方々へのお手前を拝見致しました。京風の雅なお手前とお道具で華やかでありました。袱紗が襲の色目になっているのも特徴。

お道具類は、孝明天皇より賜った茶碗、流祖宗達の手による掛物、茶杓など、まず見ること、手にする事が出来ないものが多くありました。
変わったところでは、貴人ばかりのお茶会で天目台よりも高貴な台として作られた台、仁清の飴釉の茄子茶入など。清恭棚というのも大変興味深いものでありました。
また、正客は高貴な方であるので「ご自由にどうぞ」というお作法フリーな立場としてあり、雲上人、殿上人やかくあらむ……という世界でした。

薄茶では、柄杓、茶杓なしのお手前でした。
風炉として聖護院蔵の蒔絵の台。聖護院宮の仰せにより宗匠が考案した『脱杓点法』がここに繋がる……と。その華やかさに対比する侘びた瓢形の鉄瓶。水差代わりの青竹、棗は振り出し……。
2日目の最後の席に入れていただいたところ、なんと正客は宗匠、次客は若宗匠。これは贅沢でした。お手前のお姉さまの手は震えていましたが。


やきもん屋としては、真葛香山につながる真葛香斎作の京焼香合『かわせみ』が良かったなぁ。
華やかな金の上絵でカワセミの羽、嘴を表現してあり、カワイイかつクールな造形。心の中ではキュンキュン萌え萌えしていました。

食いしん坊としては、粽の頂き方を知ったのが良かった。
紐を外すのにグルグル手一杯に広げるのではなくて、「本来はこういうスマートな食べ物だったのか!」と目からうろこが多数剥落。
フォークとナイフでバナナを頂く手順を知った中学生の頃の衝撃を思い出しました。まっ、今後はさも当然のように振舞いますがね。(←やらしい)


今回、一番印象的だったのは『伝・尾形光琳の燕子花図』。
これは初日に見てあまりにも衝撃的な存在でした。「本物?だよな…ここにあるんだし」と目の前にあることが信じられない状況。
二日目の早朝一番に会場入りして、誰もいない空間でマジマジと独り占めして拝見しました。
ふと気が付くと、背後に男性が静かに居らして、その方が所有者と知らずに間抜けにも「良いですよね~~。早起きして見に来ました!」と会話をスタート。途中から所有者と判り「えっ?」「おっ?」となったが、好機とばかりに謂れをゆっくりと拝聴。
落款はないものの金箔の状態、絵の具、その家に光琳が来ていた事など状況的に本人作じゃないかなと。「まぁ、琳派だよね」と事も無げに。
「落款の入ったものもあるけどね、こっちの方が良いかなと思って持ってきた」と……。会話のトーンと内容のギャップが凄すぎる。
美術館のガラス越しではなくて、数センチまで寄って拝見できたのは本当に良かった。


かくして、今年も良い体験をさせて頂きました。感謝。

m(_ _)m






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【時々、掲載】
 このブログのポリシーとして、ご存命中の方々の御芳名は出さない事にしております。
私ごときの考えが及ばないところで差し障りがあるといけないからです。
ですので、今回も本当に多く方々にお世話になりましたが、上記の理由で伏せております。
関係者の方々には厚く御礼申し上げます。有難う御座居ました。 m(_ _)m



















ストレスを楽しむ?

2015-06-18 12:24:40 | Weblog


さてさて、ストレスやざらついた気分を緩和する方法は人それぞれあるかと思います。
小生の場合は段階ごとに色々。

ごく軽度では、音楽や落語である。仕事しながらでも可能な方法でお手軽。というか日常のリズム変化程度の事か。
軽度~中度には、本を読んだり作品集を眺めたり。展覧会やコンサートにも行きます。(かといって会場で会ってもそうは思わないで欲しいが)
重度になると、もう旅へ出ちゃうか?

ん? ストレス緩和って楽しいものなのか? よろしい、ならばストレスよ、掛かって来いっ!


ストレス緩和は意識的にではなく、唯そこに身を置くだけにしている。アクティブでなくパッシブに。気持ちをニュートラルにする感じ。
一方的に入ってくる情報に身を委ね、かつ、取りとめも無く受け止めていく。「思いありて思いなし」の態である。これは小生青年期に「かく在りたい」とアイデンティティのモデルにしていた人の言である。
無我夢中ではない。思いがあって他の思いに捕らわれないという術。静かに通奏低音の如く想いを持つことで安定した揺るがない心が出来る。それがストレス耐性、平常心となる。(これは武道なのか!? 知らんけど)


外部からの情報を緩やかに心に取り入れる事によって、問題意識が隠されていくと、何ら解決していないにも関わらず気分がリセットされる。
『癒される』という言い方はあまり好きではないけれど、これは『癒し』なのかな?
いや、単なる『現実問題に対する麻酔薬』のような気がするな。しかし、「それが癒しなのだ」と言われればそうなのでしょう。
ならば、癒しは麻酔薬である。

しかし、こういう「現実は変わらないけれど、見かけの心の容量が増えれば人はより良く変われる」といった心のデフラグが大事なのでしょう。
デフラグの結果、場合によっては更なる不具合を招くのもPCのそれと似ていますし、麻酔薬も使い方を誤れば大変な事になる。毒にも薬にも。
まぁ、こういう力学(ダイナミクス)調整の中で人は生きてるんだなぁ。
集団における個人の位置。個人の中のバランス。その構造はフラクタルにも思えて面白い。


さて、最近は作品集、画集を引っ張り出して眺めています。軽度なストレス状態?


作家のメッセージ、苦悶、想い、洒落、挑戦……と出会う度にニマニマ。( ←アヤシイ人だっ!)














『怒涛』から『やや忙し』へ

2015-06-12 10:26:57 | Weblog


ここ1ヶ月ほど、あまりにもグチャグチャなスケジュールだった。
そもそも「忙しい」とは主観的な処理能力の問題なので、他人と比べるべくもないのだが。(← 勝手に忙しがってるだけかもな)

ざっくり思い出すと、個展3日前の窯焚き、梱包、搬入、窯出し、個展、小さい会議、大きい会議、搬入、搬出、窯焚き、告知、イベント、会議、打ち上げ、書類申請、会議……。なんか忘れてると思うけど。
まぁ、全てに顔を出したが「時々意識が飛んで思考停止してご迷惑な点もあったなぁ」と反省。

特に『ひがしやま備前焼市』では、反省点も多し。
某ビール会社さん協賛の会場に、ライバル会社の飲料を差し入れて下さった悪友の罠には参ったな。(本人は知らなかったので他意はない)
まぁ、ビールではなくノンアルだったが、見咎められて顰蹙もあり。ボーっとしててミスった。(-_-;)

そして、幾度目かのヤマ場は横焚き20時間からの所属する会の歴代会長会議へ出席であった。
小生は会長ではないが、数年後のお役目の都合上の出席である。あと現副会長だし。
で、老舗旅館での会議。
大先輩の歴代会長がズラ~~と。「いやぁ、末席でも眠気も吹き飛びますなぁ~」と半ば他人事のようなフワフワ感もありつつ。
会議は先生方の多大なるご理解のもと、今後が大きく動ける気配。というか「大きく動け」というニュアンスである。
再来年が山場になるが、その仕込みは来年である。
そして来年には……いや、夏も未だだが来年の話をすると鬼が嗤うので辞めておこう。

印象的だったのは、「この部屋は金重陶陽先生と石井不老先生が掴み合いの大喧嘩をした部屋です」との女将さんの言。
皆さんが「おぉ~~」となるも傍らには直系の先生が……。
「こんな話を集めて書いたら面白いだろうなぁ」とチラッと思う。


さて、スケジュールが『怒涛』から『やや忙し』へと緩和されたので、溜まっている案件を順次片付けよう。

色々、忘れている気もするが、大事無いことを祈るのみである。


(途中の色々な出来事はまた随時アップしましょう)





俄かに大忙し

2015-06-04 12:19:34 | Weblog


なんだか怒涛のスケジュール。次々に発生してくる案件。窯焚きしてボーっとしてるのになぁ。

忘れないように付箋をPC画面に付けているのだけれど、「もう画面が見えないよ。パトラッシュ……」という状態。
「半分見えてるやん」とお思いかと存じますが、重要なものだけである。

この調子でいくと、週末は自分が3人必要。 ┐(-。ー;)┌
そのうちの0.4人分は外注した。残り2.6人分は……、考えないでおこう。


かつてバブル期は、忙しいことが美徳な時代だった。
「24時間働けますか?」と問われ、「5時から男」を求められ、「キタッ~」って叫んで、土地は転がり株価は見上げるほど高く……。
セカンドポーチに分厚いシステム手帳を入れて「如何にスケジュールがぎっちりと入るか」が生活充実の目安だったか。
学生でさえ目まぐるしい生活であったのだから社会人は尚更だったと思われる。

その後は「ポケベルが鳴らなくて」気がかりになり、100円ハンバーガーが流行する慎ましい社会になるのだが。
弟子の身分では小さな手帳で充分なイベント発生率だったな。でも、手帳は小さかったが日々充実していた。


それから幾星霜、俄かにバタバタと案件が入ってきて目が回りそう。
これは徹夜の窯焚きによる睡眠不足の影響? 寄る年波? あと老眼?

全部か……。

まぁ、短距離向きの性格なので、集中力と気合で乗り切るさ。(←いつもの流れ)


でもね、そのうち「パトラッシュ、疲れたろう。僕も疲れたんだ。なんだか、とても眠いんだ」って番犬福助に言ってると思う。
福助にしてみりゃ、「知らんがな」って事でしょうが。


ひとまず、寝よう。
夕方に起きたら散髪に行く事から始める。









会期終了。そして、窯焚きお手伝い

2015-06-01 10:38:21 | 陶芸


倉敷での年に一度の個展が終了しました。3回目にして、ひとしおの感がありました。
ご高覧頂いた方々、お買い上げいただいた方々に深く御礼申し上げます。
また、都合によりお越し頂けなかった方、来年もさせて頂くことになりましたので是非お越し頂ければ幸いです。


会期中に登場した花材のパイナップルも一緒に帰宅しました。

頂く気満々でしたが、「この赤色は化学染料かな?」と思うと、ちょいっと頂く気が失せました。香りも然程ないし……。
しばし、放置ですな。


さておきまして、早速、友人の窯焚きお手伝いに突入しました。
「展覧会終了を待ってたのか?」という抜群かつ絶妙に伸び伸びスケジュール。まぁ、気持ちは判る。そんなもんさ。
交代時間に伺うとその場で火入れ。小さな火が安定するとオーナーは「ぢゃ!」ということでオヤスミナサイ。

程よい焚き火が、2週間の通勤をねぎらってくれるかのようです。


「あぁ、火は良いなぁ」

このまま、暖かな火、安らぐ音、松脂の香りと共にゆっくりと眠って……

……いきたいところですが、年に一度の重要な場面です。そこはきちんと。信頼関係ですからっ。(`・ω・´)キリッ


今日から窯焚き明けまでは『酒器の勉強時間』もお休みです。窯焚き中は基本ノンアルコール。
いや、お神酒を少々、直会と称してオーナーと頂きましたが。


個展振り返りはボチボチとして、次の準備も始めなくては。
また、例によって路上観察物件も発見しております。報告はまたいずれ。


ひとまず、会期終了のご挨拶として、この場で御礼をば。

アリガトウゴザイマシタ。 m(_ _)m


そして、良い窯焚きになりますように。(-人-;)