備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

鯵の何とか……(料理名不明)

2016-07-28 21:06:06 | 料理・食材


エベレスト登頂した登山家が「なぜ山に登るか」と訊かれ、「そこに山があるからだ」と答えたとか、答えなかったとか……。

いや、そういう名言的な何かではなくて「冷蔵庫にあった食材を組み合わせたら出来ちゃった料理」という話。
ただ、登山家との違いは、最終ゴールが判らないまま調理を見切り発車したということにある。
山なら遭難の可能性あり。

山には長い年月の結果の名前があって、出来ちゃた料理は今出来たのだから後で名前をつけるか……。いや、山も後から名前が変わる事もあるなぁ……。
そもそも山の名前を知らなくても……。と愚につかぬ堂々巡りである。非生産的。


鯵があって、トマトがあって……。
あとは、どのご家庭にもあるような冷蔵庫レギュラーメンバーの組み合わせ。調理手順の結果で料理は出来てしまう。遭難するかは別問題だが。

なんだか「素材と技法の組み合わせで何通りにも……」とは、個人的に最近よく使うフレーズだなぁ。



さて、料理名が判らないので、材料と手順をひとまず列挙。

【材料】

小麦粉
ニンニク
唐辛子
タマネギ
マイタケ
バジル


胡椒
ワインビネガー
白ワイン
レモン


【手順】
鯵に小麦粉をまぶして多目のオリーブオイルで揚げ焼きにする。

一旦、鯵は皿に移しておく。

フライパンを洗って、再び。

オリーブオイルで、ニンニク、タマネギ、マイタケを順次炒める。塩胡椒を少し。ニンニクは取り出す(=食べない)。

タマネギが透き通ったら、トマトをざく切りにして入れる。

ワインビネガー、白ワイン、レモン果汁を入れる。
パルメザンチーズをちらし馴染ませる。トロミが付いたら火を止めて、先ほどの鯵と合わせる。
追いオリーブオイル、バジルはあしらい。

味付けは、塩、胡椒のみ。
旨味は、キノコ、トマト、チーズ……。
香りは、ワイン、レモン、バジル。ニンニクと唐辛子も。
酸味は、ビネガー、レモン、トマト。

といったところか。シンプルな構成である。

「で、これって何?」

アラビアータほど辛くないし、マリネのように漬けてないし、チーズ掛かってるし、あったかいし。基本、西洋のもの?


1尾は残して冷蔵庫へ。よく冷やしてから翌日へ持ち越し。
「で、これって何?」

近いのは『鯵のエスカベーシュ・ちょい辛』? 洋風の南蛮漬けか。昨日よりもビネガーが効いている。


名前がないと他人には伝わらないねぇ。名前は共通認識の基本。

こういう出来ちゃった料理って、のちのち家族からリクエストがあっても、多分、思っているものにズレが生じるだろう。

『名前のない料理』
それも家庭料理の楽しみって事と致しましょうかねぇ。( ← 無理矢理な結論)



































本棚製作

2016-07-12 10:24:19 | Weblog


過日頂いた軽トラ一杯の本を片付ける為に、物置化している一角を改造する事にします。
天井までデッドスペースがあるので、壁全面の棚を作ることに。奥行きが60cmと45cmを並列に作る予定。余裕が出来れば、アレコレ納めたいモノもある。

平日の造作でも日曜大工である。

設計図は頭の中に。
ホームセンターで部材を調達してカットしてもらう。自分で切るよりも早くてキレイ。木取りも頭の中で勘案する。
8フィートから1メートルを2本取ると……残りの部材が尺四寸ちょいなので……。単位すらゴチャゴチャであるが、自分では把握出来ている。


組み立て開始。
ココとココが合わさって……重量はココで分散して……見た目はココで合わせて……耐震的にはココで突っ張って……。
各段の高さは現物を見ながら決定していく。



これで、収納力が上がったはずだが、本を入れてモノを戻すと……。う~~ん、あれ? 余裕がないぞ。
目算よりも本のスペースが多く必要だったということか。( ← 体積の計算をしないので、こういうことになる)

本を片付けるのに一番良いのは、頭の中のスペースに収める事なんだろうな。
まぁ、ボチボチ片付けていこう。

気分転換に丁度良し。( ← 気分転換ばかりしてないか?)


さぁ、仕事しよっ。






















最近のお魚事情

2016-07-06 20:20:51 | 料理・食材


いつも出掛けた際に寄っていた魚屋さんが無くなった。困ったぞ~~~~。
困っているので出掛けると普段以上に魚屋さんに目が行く。しかし、う~~ん、難しいなぁ。

さて、時は半夏生。

夏椿も咲き、射すような太陽。福助も陰を求めてウロウロ。
田んぼの稲も田植えから数日経って、株別れした小さな新芽も見える。根も張るのだろう……。

「根が張る……半夏生……、あぁ、タコの日か」

まったく学習とは恐ろしいもので、この数年で『半夏生のタコ』の文字を見る機会が多くなり、いとも容易く連想が出来てしまう。
ご幼少のみぎりは、明石に程近いところに住んでいたが知らんぞ。(過去記事:20152008
商魂のなせる技なのか。バレンタインデーのチョコ、土用のウナギ、節分のまるかぶり(恵方巻)……。いや、良いんですよ別に。

という事で、出掛けた折にタコを入手。真ダコ(メス・下津井出身、享年たぶん1歳)である。

メニューは、『真ダコのアヒージョ』に。

たっぷりのオリーブオイルでニンニク、唐辛子を煮て、タコとキノコを投入。最後に塩を入れつつ味見。バジルをトッピングしたら出来上がり。
キノコを入れたのは、旨味成分追加という大義を家族の手前なので掲げているが、真の目的は増量であるのはナイショだ。
そして、小生の本命は残ったオイルにある。香りと出汁が溶け込んだオイルを翌昼のパスタに使うのである。これぞ、ドミノ倒しメニューである。
しかしながら、昼間は子供達は学校なので、必然的に美味しいパスタは小生が独り占めしてしまうなぁ……。あぁ、残念だなぁ。 Ψ(`∀´)Ψ 

諸々、美味しゅう御座いました。


その数日後の夜。到来物の『ちりめんジャコ』をお届け頂きました。遠方から真っ暗な山道を……誠に恐縮です。
「すぐに食べて欲しい」というリクエストにお応えして、まずは夜食に少し。この為に、ご飯も炊いちゃう。折角のご厚意を無碍には出来ない。

『白ごはんにチリメンジャコ (あおさのり少々)』

箸で掬うと、ほわっと持ち上がり、口の中でふんわり~~。
炊きたてご飯の香りと優しい味のさざ波に「日本に生まれて良かったぁ~」としみじみする逸品で、家族で顔を見合わせハフハフ……。
子供達が黙っている。これは危ない……。気に入った時のサインだ。「これは早目に頂くに限るな」と決意。『仁義なき戦い(ちりめんじゃこ親子争奪編)』のスタートである。

しみじみ、美味しゅう御座いました。


近所のスーパーに行った日。刺身の特売日だったようです。こういう時は習慣として反射的にアラを探す。コンディションの良いアラが選び放題なので。
愛媛の『みかん鯛』というブランド魚(養殖)が店長イチオシであった。お名前はかねがね……。エサ由来の柑橘系の香りがするらしい。

ならば、メニューは……『真鯛の酒蒸し』。

香りを楽しむには、シンプルな料理がベスト。養殖特有のアレはアレだけど、ナニがナニなので、ソレはソレとして語らずとも。

ちゃんと、美味しゅう御座いました。


ちょいっと遠出した日。目に付いた店を覗くと金目鯛がデデ~~ンと。やや小振りであるが、遠出した高揚感もあり連れて帰る事にする。
ちょっと特別感あるかな?

頭については……『金目鯛の兜煮』に。

盛り付けが反省点。でも味は良かった。毎回、煮魚のあしらいにゴボウを入れるべきが迷うが、今回は無し。
淡い脂を纏う白身をひと箸摘んで、日本酒を……。
盃を重ねる程に、吟醸香と相まって淡白なのに馥郁とした味わいに、身がたゆたう想い。( ← ただの酔っ払い)

やはり、美味しゅう御座いました。


結果としては、魚屋さんがどうであれ、現状で楽しみを見つけるしかないのである。
家庭料理のお魚事情としては、まぁまぁか。

『魚』と言いつつも、求めているのは『肴』であるのは否めないな。

あぁ、そろそろ、鱧が……。


まぁ、呑もう。















展覧会中の『酒器の勉強』

2016-07-02 12:11:57 | 料理・食材


日本人の1割が住むという東京。ならば知り合いの10人に1人は東京の人である筈だが、さほどでもないなぁ。

需要と供給の資本主義が蠢く都会にあっては、何かとキョロキョロしてしまう。銀座で喉に渇きを覚えると自然と目に入るのがあの場所。『酒器の勉強』が昼間から出来るのが東京の魅力ですな。
という訳で、昼食がてら? お茶がてら? ちょいっとね。オリーブ色のタイルやモザイク画を眺めながら呑むのも乙なものです。

ギャラリーでモノの説明をするには滑らかな口調でいきたいものですし、小生のように人見知りが激しいタイプなんざ、一杯仕込んでおく方が好都合ってなもんですな。( ← 言い訳)
もうね、必要経費に計上したい。


そして、本格的な勉強は夜の帳の底で。

初日は有楽町。
オケ後輩とサシ呑み。知り合いの10分の1ではあるまいが……。
ほとんど強制的に呼び出してしまったが楽しかった。社会人の音楽事情を伺いつつ。
サラリーマン諸氏の悲喜交々、呪詛、怨念、賞賛、羨望の声が響く大店を堪能しました。場所柄か? 安っ!


二日目は新橋。
美味しいものを求めて。狙いを絞ったお店へGO~! 日本酒ラインナップが充実した店である。
まずは生ビールを片手に日本酒メニューをじっくりと検討。ソムリエ的なお兄さんに諸々を訊ね、微発泡な日本酒からスタートする事に決定した。

この最初の一杯が実に良く、お店への信頼度と期待値が一気に高まる。「さぁ、何を頂こうか……」

岩牡蠣がある。築地で見たプリプリ具合が思い出されたのでオーダーするもメニュー写真に反してヘロヘロ。あぁ、お疲れ様っす。まぁ、日曜日は市場がお休みだしね。仕方ない。


夏ならではの水ナスを発見。金っ気を嫌う水ナスをかくも薄く包丁で切る技術なんざぁ頭が下がりますなぁ。まぁ、お江戸だしね。仕方ない。

しかし、添えてあるワサビが旨し。これだけで盃が進むぞ。

ワサビ欲しさに〆鯖をオーダーする。「シメサバニ、ワサビハ、ツイテマスカ?」と訊いてから追加。たぶん変な客と思われただろうな。仕方ない。


他のお客さんがオーダーしたお酒のラベルをチラ見してジャケ買いならぬ『ジャケ呑』する。ライトで端正な印象のお酒。

ついつい盃が進むが、どうもアテのオーダーが難しい……。
一日限定二食の『鯛のカブト(焼・煮・蒸)』や『焼ハラス』が気になったが、大き過ぎて今の小生にはワンパク過ぎるサイズ。う~~む。

手が空いた大将とのワサビ談議もアテに一献。

いやはや、勉強もはかどりますな。


今回は都内遠征をしなかったのでこの程度。
さぁ、そんなこんなの上京ドタバタ編はこれにて。


それでは、引き篭もり生活をスタートさせましょう! 

ではでは。(*^o^*)/
























展覧会の朝食

2016-07-01 11:22:56 | 料理・食材


上京中の朝ご飯は美味しいものを頂きたいが、前日のアルコールの残り具合も懸案事項である。
その為、多品目とか豪華食材という内容ではなく、単品でもジワッと腹に沁み、ホホゥと目が開かれるものが良いな。
今回は「土曜の朝は築地で」と決めていたので、宿泊もそちら方面である。築地と銀座は歩ける距離なので便利でもあるし。

まずは軽く市場をパトロールする。場外と呼ばれる一般客向けエリアは人が多い。
前回はヨーロッパ系や北米系の観光客が多いように思えたけれど、圧倒的に近隣国からのお越しが多い。
観光客としては市場は危険な場所である。うっかりアレコレ買うと旅行中の厄介な荷物になりそう。やはり、お腹に納めるのが正しい選択でしょう。
その為か、特にお寿司屋さんはどの店舗も朝から大行列である。延々と待ってお決まりのコースを頂くのであろうな。遊園地のアトラクションの感覚なのかな?
小生は田舎暮らしを始めてからは、行列にガマンが出来ない体質になってしまったので最初からパス。
通りがかりに店を覗くと職人さんが腱鞘炎になりそうなほど目まぐるしく動いていた。お疲れ様です。
さて、何をお腹に納めようか?

チョイスしたのは鶏肉問屋の経営するお店。看板メニューは親子丼である。場内には本店と分店があって、本店を目指すが遠目からもかなりの行列が出来ていて断念。
分店へ向かう。それでも少々の行列はあり。

ここでは、もう『親子丼』の一択である。(価格の違いは鶏肉の産地・種類によります)
台湾人と中国人が広げる観光マップに挟まれたカウンター席ながら、厨房かぶりつきの特等席へ。作る手順を観察しつつ待つ。
しかし厨房は暑い。これからの夏は大丈夫なのかな?


暫しのちに、ド~~~ン。( ← 丼なのでね)

見るからに味の濃さが想像できる色であって……、やはり濃い。目が覚めるぜ。お江戸だねぇ。
火力の強さからイメージするよりも意外に鶏肉は柔らかい。「そういえばカシワって最近見ないなぁ。加工品になっているのだろうな」と脳裏をかすめる。

一緒に出てきた湯呑には、濃厚な鶏がらスープが入っていた。さすが鶏肉問屋である。嬉しい一品だねぇ。

白濁した比重の重いスープに浮かぶ生ネギが、口をサッパリとさせるアクセントになっている。カウンター上の柚子の一味(柚子の陳皮)を入れると和の風味が追加される。
先日「柚子はジャパーニーズ・シトラスと紹介しておりまして……」とお伺いしたけれど、まさに!
「また柚子陳皮を自宅で作ろう」と決意しました。(前回の記事

魚のイメージの強い築地市場で、ニワトリを頂きつつ、最終的には自家製の柚子陳皮作りに想いが至る。
うん、良い連想だ。素晴らしい朝だな。


場内では使い古した台車が目に留まった。

エェわぁ~~。萌えるわぁ~~。欲しいわぁ~~。


さて、翌日の朝ご飯は、前日の日本酒の余韻(NOT宿酔い)に合わせて中華粥をチョイスした。

朝のお粥はお腹に優しいねぇ。
お粥とはいえ生米から炊き上げたのではなく、塩味のお湯(出汁は感じなかった)で伸ばしたものである。土鍋の縁についたご飯が作り方を如実に物語っている。
味の浅いピータン、切れっ端のザーサイ、妙に甘いフカヒレをトッピングしつつ頂く。
あからさまなコスト計算が透けて見えるが、一日の始まりのメニューとしては素直で気取りなく質実である。精神衛生上『嘘・大げさ・まぎらわしい』ものがないのは心地よい。


食後は銀座までユルユルと歩く。歩行者天国の銀座通りをデニムの着物で。
東京は人は多いが知り合いには会わないので、着物でも面映さのカケラもないけれど、着物の素材に気付いた外国人からはカメラを向けられる事しばしば。

「ドコデ、カエマスカ?」と訊かれたので「コレハ、メイドインオカヤマ、デス。アナタハ、オカヤマヘ、イカネバナリマセン」と答えておきました。


到着するとギャラリーでコーヒーを頂いてクールダウン。

こうして、それぞれの展覧会の朝が始まるのでした。


以上、朝食編の報告まで。チャンチャン。