備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

六甲山へ

2006-10-30 23:22:17 | Weblog

週末に 久しぶりに六甲山へ。
天気もよく、快適なドライブだった。

初めて、阪神高速7号神戸線(裏六甲)から
六甲山へ入った。
拙宅から、2時間半ほどで ほぼ山頂。
早い近い安い。安近短。

道々、登山の方々も多く見かけ、秋を感じる。
山頂付近の展望台で 
ポートアイランド、神戸空港を見下ろして ランチ。

一息ついてから、六甲山ホテルへ。

普段は、山暮らしなので、ラフな格好と 振る舞いの
ゆる~い感じで生活しているけれど、
こういう場所では チョット社会的に適応しなければと、
気持ちをきりかえる。

ネクタイして 革靴を履いただけで、
姿勢と歩き方が変わるのが、我ながらオカシイ。

森のチャペルで、和やかないい心持ちになって……
~ (中略) ~ で、フレンチを美味しく戴きました。

拙宅のお行儀の良いお子様に、横から手を出されて
「鮪と鯛のガトー仕立て 
 (さいの目にしてオイルを掛けて ざっくりと混ぜ
セルクルで丸く抜いてあった。紅白とハーブがキレイ)」を
一皿まるまる ほとんど食べられてしまった。その上、
「家に帰ったら、同じものが食べたい」というリクエスト。
小生は 味見程度にしか戴いてないんですがねぇ~。


基本的には 晴れ男なのだが、
六甲山ホテルにいくと 雨が降るというジンクスがある。
一度は、台風直撃ということもあった。

今回は 雨こそ降らなかったものの、宵の頃ガスってた。
なので、夜景はオアズケ。残念。
でも、全体に穏やかで いい感じでした。

最後になりましたが、
ご新郎、ご新婦さま ご結婚おめでとうございます。
また、今度、ゆっくりと……。

 


備前雄町米

2006-10-25 22:19:05 | Weblog


近郊の稲刈りも ほぼ終了しつつあります。

昨今は機械で稲刈りをするので、稲刈りと同時に
ワラは切り刻まれて 田んぼに 撒かれます。
それでも機械を田んぼに入れる為には、
一部は手で刈り取ります。
これが 今の日本のスタンダードな風景。

篤農家の方々は、天日干しをする為に、
長いまま稲を刈りとっています

焼物屋的に言えば、その長いワラが欲しいわけです。
その為に、農家の方々にお願いして、
手刈りの稲ワラを頂くこととなります。

しかしその稲ワラでも 大きな作品を巻ききれない場合は
稲ワラを継いで 長くして使います。
上手くいくと良いのですが、往々にして継いだ部分の
ヒダスキの調子に問題が出る場合があります。

そんな時は、雄町米。しかも当地の備前雄町米。
この稲は、他の稲よりも かなり長くて
大きな花入れや大皿で 威力を発揮します。
ただ、農家にとっては作りにくいらしく、
作付面積が少ない品種です。

雄町米は酒米なので、
造り酒屋さんのルートで頂いています。

酒屋さんの熱い想いがあってこそよみがえった備前雄町米。
農家の方の協力があってこその備前雄町米。
そして、備前の土で作る備前のヤキモノ。
そのヤキモノで呑む酒。

それぞれの想いが受け継がれて循環していきます。


秋深まり…

2006-10-24 09:33:11 | Weblog


日に日に、最低気温が下がってきた。
朝、裏山を見ると 霧が立ち込めて深山霊谷の趣。

まわりの農家の方々は 稲刈りも、お祭りも済み、
冬野菜の準備も終わり、折を見ては山へ分け入る。

この数日の お湿りの具合で、
マツタケやジイタケが出てくるのだろう。

猟師さんも犬を放しにやってくる。
ちょっと あわただしい山の中。

岡山県の比較的南部にある我が町。
しかし、熊山という霊峰の北側にあるので、
海側と比べると若干、気温差が大きい。
以前、暮らしていた牛窓からは2,3度低い気温。

それでいて、標高が低いので
真っ赤に紅葉する木は、ウルシの類ぐらい。
大抵は茶色~黄色ぐらいで葉っぱが落ちてしまう。

その山の中で、目を引くのが『ガマズミ』の実。
真っ赤なまん丸の ちいさな実が いっぱい!!

今は酸っぱいけれど、霜が降りる頃、甘くなる。
でも、その前に鳥たちが ついばんでしまうだろう……。
小生には用途がない果実。鳥たちのものとしよう。

秋深まり、山も冬支度へ。


T1  T2  T3

2006-10-23 09:53:26 | 窯作り・窖窯について


T1  T2  T3

これは、スカイネットの生み出したロボットが登場するシュワちゃんの映画タイトルではありません。

「ティーワン、ティーツゥ……」と呼んでいて、カッコイイのですが、レンガの種類です。

『 縦落ちレンガの1番、2番、3番 』セリ具合(角度)による分類。

『 T 』とは縦落ち。
レンガの長い方向への落ちなので そう呼ばれます。
では、短い方向への 横落ちはというと…… 『 Y 』です。
ローマ字表記ですな。

通常、焼物屋の窯で使うのは、T1、T2ぐらいまでで、T3は使いません。


アーチの径によって使う組み合わせがあって、それに もとづいて使うレンガの形と個数が計算できます。

設計段階で、アーチの径を決めると、レンガの幅は65mmなので、全長に対する個数をかければ窯全体でのレンガ総数が出てくるという仕組み。


規格品というのは 実にありがたく出来ている。

が、規格外レンガでパズルを楽しむ小生には、所詮 関係ないこと。

写真は 左から 『 並、T1、T2、T3 』

 


クリを剥きつつ

2006-10-19 21:49:43 | Weblog

立派なクリを いただいた。

しかし 今年は、山に ドングリもクリも少ないそうだ。

毎年いわれるようになって久しいが、
山に食べ物が少ないと 里にクマが下りて来る。
数年前に 町内でも ツキノワグマが目撃されている。
今年は 如何なものか。

原因は いろいろ言われているので、
今更 書かないけれど、共存できることを願っている。
その為に 自分に出来ることを考えたい。

『ハチドリのひとしずく』というアフリカのお話。
山火事を消す為に 自分が掬えるだけの水を
せっせっと運ぶ。それを見て周りから嗤われても
「自分がやれることをやっている」と。
そんな想い。


『身の丈に応じた事をやる』
そういう意思のつながりの連鎖が 
大きなムーブメントになっていく事を期待したいが……

でも その「何か」を待つだけの 時間があればよいが、
それだけでは間に合わない事もある。

 割り箸は、本当に間伐材で作っているのか……
 環境に優しい粉石けんは、原料国の環境には……
 異常に安いハンバーガーで失うものは……
 エビの養殖池とは……
 日本の材木需要と独裁政権との関係……
 外国の公害と我々の消費活動……

『知らない』と『知らん振り』とは同義かもしれない。
実際 知ってしまうと、ショックと同時に呆然とする。

解決に オールマイティーな答えは 『ない』。
物事は 実験室的ではなくダイナミックスに動いているから。
でも 『知らんぷり』は出来ない。


暮らしのあり方とは 『文化と意思』の問題。

クリを剥きつつ、山暮らしのあり方を考える夜更け。

子供が 放り出しているランドセルに 
『クマ除けの鈴』と『防犯ブザー』が揺れている。


秋咲きのスモモ

2006-10-18 22:15:58 | Weblog

庭と言うほどのものがない拙宅。
敷地の端に とりあえず色々植えている状況。
その中で、一番の古株が、スモモ。
春に 淡い緑がかった白い花を 一週間ほどつける。

この木は、神戸の実家が引越しをするときに、根引きにして持ってきたもの。

今住んでいる土地を手に入れたばかりで、草ぼうぼうの荒地に 真っ先に運び込んだのが、このスモモだった。

軽トラックで 神戸まで行き、2階まで届く大木になっていたスモモの枝を落として、
なんとかトラックに積み込んだ。


あまりに必死で、一人で どうやって積んだのか……今もって思い出せない。
しかし、帰り道の運転が怖かったことは覚えている。

植えるときは、バスタブ2杯分ほどの自分が埋まりそうな大きな穴を掘って荷台から引きずり落とした。

その後、養生が悪かった為、切り口から菌糸が回って、古い枝が 落ちてしまった。
新しい枝が出てきて、現在のところ事なきを得ているが、年々、実が小ぶりになり、数多くつけるようになった。

ぼちぼち、木の人生の総仕上げという段階だろうか。

この木は 小生が小学生の頃、親父が植えたもの。
あれから、30年ほど経つ。

台風でこけたり、チビッコの遊び場になったり……
こちらに来てからは、もっぱら 鳥と虫のおうち。

この秋、うららかな日差しの中、余生を楽しむように ちらほらと 白い花をつけている。


モズ

2006-10-16 23:06:57 | Weblog

小生が まだランドセルを背負っていた昭和の時代。
宅地造成が盛んで、空き地や原っぱがたくさんあった。
そういう場所には鉄条網が張ってあって、
モズのハヤニエが よく刺さっていた。

冬になると 都会の道路沿いでよく見かけたものだった。
近年、あまり歩かないせいか 見かけない。
単に 『不注意力』が身についただけかも。


外出先で、野太いスズメの鳴き声がした。
「チュンチュン」でなく、「ヂュンヂュン」。
ふと、見上げると 電線にモズ。

足を止めて しばらく見上げていると、
スズメだけでなく、他の鳥の声もやり始めた。

なかなか器用に鳴く。
江戸屋猫八か? (たとえが古い…)
そのうち 「ホー ホゲギョ!」と 
西川のりお風にやらないか興味をそそられた。

他にモズが集まってきて、電線にモズが3羽留まって……
「 電線に、スズメが3羽 」だろ!(と また古い……)

モズ相手に 突込みを入れながら 思う。
「昭和は遠くになりにけり」  (また古っ……)


道端でモズの鳴き声を聞いている『野鳥好き』さんに
見られたかも知れないが、
実は全然違うことを考えて たたずむ人でした。 m(_ _)m


備前焼まつり前夜

2006-10-13 23:18:07 | 陶芸
明日は 備前焼まつり。

夕刻、伊部を通ると仮設テントが備前焼まつり会場に
所狭しと建っていた。

もともとは、備前焼陶友会会員でありながら、
伊部に在住していない焼物屋さんの
販売機会アップの為に始まった陶器市。
その為に、この両日に仮設テントでのお祭り会場が出現する。

備前焼だけでなく 近隣の特産物も売られる。
備前の『コノコ(ナマコの卵巣を干した珍味)』は、
京都や大阪で見る値段と格段に違っていたり……。
地元で消費するよりも 高値で取引される都会に
出て行くものなので、実は隠れた(?)名産品。
黒豆も その伝。


伊部の通りに面した民家の軒先を拝借して、
店を出している焼物屋さんもいらっしゃって活気がある。

年間を通じて、人が一番集まる備前焼まつり。

明日、明後日は 伊部は『一番熱い日』となる。

朝の冷え込み

2006-10-13 00:48:54 | Weblog

一気に秋めいた昨今。

朝、外に出ると 一瞬 冷気に体がキュッと反応する。
日中の爽やかな陽気とのギャップ。
それが あたらしい朝の空気の新鮮さを より鮮明にし
そして いつも以上に 清清しさを感じる。

夜露の光る朝、ひときわ目を引くのが このムラサキ色。

コムラサキシキブ。

見るからにポリフェノールたっぷりの鮮烈さ。
自然の中では かなり目立つビビットなカラー。
例年よりも実が多く、かつ色がキレイ。


これからの 紅葉はいかがなものか。
冷えるほどに鮮やかな紅葉が期待できる。
朝の冷え込みは困るが、違う楽しみを併せ持っている。


秋本番。 稲刈りも終わった。

青空の下、田んぼで ヒコバエが揺れている。


焼けた!

2006-10-12 08:04:03 | 陶芸

先日、焼いた物を窯出し。
白く残っているのがワラ。
ヒダスキが出ている。

破損率 0パーセント。
おおむね、思っていた雰囲気の色。
「焼けた?」 「焼けた!」


備前焼屋が よく言う言い回しのひとつが、
「焼けた」というもの。

「焼いた」と 自分主体で言わないところが、
人の手の出せない窯の中での出来事という
認識からか……。


他のヤキモノと違い、釉薬なし、絵付けなしなので、
自然が描き出す作用が多いのは確か。

ヒダスキは窯詰め段階で、ワラを巻いたりするので、
多少なりとも意思を表現すると言えなくもないが、
それとて、ハッキリとしたものではない。

この曖昧さは 「偶然の産物」と呼ばれるが、
当のやきもん屋は、経験と知識によって、
ある程度 推測がつく。

なので、やきもん屋が言う「偶然の産物」とは、
必然のすぐ隣にある もっと大きなモノ。


偶然に対する捕らえ方の温度差が人それぞれ。

器の部分を指す場合もあるし、
窯の部分を指す場合もあるし
窯焚きそのものを指す場合もある。

偶然と必然。  焼けたと焼いた。