備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

ひさびさの犬島

2011-07-31 23:52:11 | Weblog
時間を縫って久々に犬島へ上陸しました。開催中のアートプロジェクト『犬島時間』に合わせて上陸。

犬島は瀬戸内の小さな島。
古くは城壁・石垣を築く石などを産出し、その後、かなり大規模な『銅の精錬所』が出来、発電所、映画館、花街などもある経済的、文化的に恵まれた島でした。ところが銅の価格変動に伴い国産精錬の必要が無くなった為に、工場は閉鎖。そのまま廃墟と化し、島のいたるところにある水の溜まった『石切場』や朽ちた『工場』『煙突』などに名残を留めるばかりでした。
近年、廃墟マニアの間では有名だった工場跡地は、某岡山の教育関係企業の尽力の元『美術館』として生まれ変わり、同時に文化的遺産の価値を見出されて今日に至っています。
昨年は『瀬戸内国際美術祭2010』の会場のひとつにもなりました。

さて、この度で8回目の『犬島時間』は個人ベースのプロジェクトで、随分認知されてきた感じがします。県外ナンバーの車も見かけましたし……(海水浴客かも知れませんが)
最初の住民との対話から始まって、ここまでやり続けるのはなかなか出来る事ではないと思います。




今回は、ちょっと知り合った方々も出品されていたので見学に。個人的にはスラグ(精錬の残滓)を使ったガラスに興味があったので特に。



作者にはお会い出来ませんでしたが、近々、お会いする予定なのでまたその時に色々とお伺いしてみよう。


子供に島についての話でもしながら歩こうかと思っていましたが、大人はあまりの暑さに歩いて回るのがやっとでした。日陰を求めて移動という感じ。反面、子供は元気に走り回っていました。海にも入りたかったようですし。船で海を渡るプチ旅行気分の非日常感も楽しかったようです。

島の人たちも訪問者に対して慣れもあって気軽に挨拶を交わしてくれます。今回は、道すがら自慢の錦鯉を見せてもらいました。

今日は疲れたので、この辺で。m(_ _)m

チビ窯窯出し

2011-07-28 12:02:02 | 陶芸
台風通過後、チビ窯窯出し。注文も無事納品し、隙間でちょこっと焼いたテストピースなどを磨いている。
窯が小さい割には、最初から薪焼成で100束ほど使う贅沢な有り様。まだまだコントロールするには程遠いけれど、それなりの成果が上がりつつある。

冷却還元が掛かりやすい窯なので、床に近い部分のモノは須恵器の如く発色。
備前焼の前身が須恵器であった事を思うと、当然なんだけど。



緑色の玉垂れ・乳濁した自然釉・青灰色の露胎。

この土は、備前ながら鉄分が少ない一次粘土で信楽のような土。いわゆる山土。
土をセレクトすればもっと効率良く発色するだろう。


さて、「この土で、この焼色(景色)に似合う形って何かな~」と頭の中の引き出しを開け閉め中。
片口の酒器とか作るかなぁ。

え~~と、8月前半に焚く……かも。(宣言しちゃって自分を追い込むというパターンですな)



トマトソースのペンネ・連子鯛のせ

2011-07-25 23:09:21 | 料理・食材
連子鯛(レンコダイ)を頂きました。全国的には干物とかで見かける『キダイ』である。趣味の釣りもの故、大きさはマチマチ。割と身太りも良く、バラしてみるとまだ卵を持っていました。

あっさりとした身が身上なので、さて、如何しようか?

押し寿司にするには個体差があるし……。素直に塩焼きにしても良いけれど、今日は、もともとパスタ気分だったのでパスタの具材に使う。(大量のミニトマトがあった)
オリーブオイルでパリッっと焼けば白身魚の軽さがあって良いかもなぁ……と、想像。

ミニトマトをトマトソースにして、鯛とキノコはぺペロンチーノの要領でガーリックと鷹の爪と共に加熱して、あと乗せにしよう。
キノコはハタケシメジ。太い軸の歯ざわりに食べ応えがあり、また、香りも良いのでお気に入りキノコのひとつ。最近は栽培種をよく見かけるようになったなぁ。


鯛は3枚に卸して皮側から焼く。薄っすらと焼き目が付いたら返して身にも火を通して半生で止める。あくまでも表面のみを焼き固める感じでOK。
この後、電子レンジで加熱する。ちょっとズルい方法だけど、表面パリパリ、中がジューシーな仕上がりになる。
プロの料理法からすると邪道なんだろうけど、小生は素人さんである。労少なくしてGJ、大歓迎。最近はこの『レンジ併用』が失敗ない方法なので、よくやる技。

酸味のあるトマトソースもさながら、パリパリ状態の鯛が旨い。あしらいは庭先のバジル。


「魚は皮が旨い」とは誰の言葉だったかしらん……とか思いつつ。


さて、アラが少々残った。
これは昆布と一緒に出汁をとって、明日、昼の『鯛出汁の素麺』になる予定である。

今から楽しみですなぁ。(*^ー')b


窯焚き・台風一過

2011-07-20 15:07:41 | 陶芸
各地で被害の出ている今回の台風ですが、こちら備前の国は、直撃コースにありながらも平穏でした。

ただ、窯焚き中の身としては「台風到達までに焚き終わらないといけない」というプレッシャーのもと、時折ラジオから流れる気象情報に耳を傾けつつ時計を睨み、内心ヒヤヒヤしながら窯を焚いていました。台風の影響か、さほど暑くなかったのが幸いではありましたが。
冷却還元用の炭入れ作業が終了して、壁土を塗っている最中に雨。あと数時間、窯がご機嫌斜めだったら……と思うとドキドキものです。間一髪です。


今回は、窯焚き途中で細君と交代して1時間半ほど寝ましたが、いささか疲れました。
朝、地区の廃品回収・窯詰め・所用のおでかけ・鏡(壁)と一日の労働に加えて、夕方には直ぐ火入れ。窯焚き・炭入れ……窯焚き終了。(この時点で、43時間起き)
本来ならば片付けもキレイにしてから終了ですが、もう火事対策のみで終了~。

風呂に入って「さぁ、寝よう」と思いつつも、焼酎に手を伸ばし、TVをスイッチオン!
そうすると『なでしこジャパン』の入場シーン。結局ライブで最後まで見ました。もう、寝てる場合じゃなかったので。(この時点で47時間起き)
ついでに、そのまま台風対策。

照準を備前に合わすかのような予定進路だったので、厳重にシート張り。割り木のトタンの重しは、いつもより多目。ドベ鉢も水が入らないように……。




昼頃には、流石にぶっ倒れるように寝ました。(53時間起き終了)


それでも夕方には起きて、晩酌の態勢に。近所の豆腐屋の冷奴で……旨し! 豆の味が濃い。カツオブシ禁忌状態なのでタマネギと三つ葉で。あと蕎麦焼酎。
台風に関する報道を見つつ一献。少しヒヤヒヤしつつ。


で、台風であるけれど、あれほど厳重に対策した割には、雨はパラパラ、風はソヨソヨ、どちらかと言えば薄曇りの時もあったような……。

「天気予報が無かった時代だったなら、あの日、台風が来てたって事に気が付かなかったんじゃなかろうか?」という小雨の日でした。


災害は「無い」に越したことはないので、まずは「無事でした」という報告。



なでしこ

2011-07-14 22:49:32 | Weblog
普段、通っている道の途中にカワラナデシコ発見。草むらにあって目立つが、決してコントラストの強い色ではない可憐な花。

本日は一日中、女子サッカー『なでしこJAPAN』の決勝進出についてメディアが、かしましかった。そんな折に見かけたので思わず携帯で撮影。
(しかし、小生の携帯って今時、スペックが300万画素。まぁ、個人的にどうって事無いんだけど、低いわな。)


さておき、この可憐なカワラナデシコは絶滅危惧種になっています。人為的な草刈りなどで日当たりの確保がされないとダメとか。近年の里山衰退が主な原因になっているらしい。
丈夫なようで意外と繊細なのね。
「丈夫なようで繊細」これが日本女性の代名詞になるナデシコの姿なのです。

でもね、逆だと思うんだよなぁ~。「『繊細のようで丈夫』なんじゃないのか?」って。


『なでしこJAPAN』の快進撃を見ると、結構スピードがあったり、当たり負けしないとか……ね。
でも、決勝戦の相手であるアメリカの選手が「男?」と思えるほどフィジカルが強そうなので、応援する側も力が入りそうです。是非、日本らしい繋ぎ方で戦って欲しいと思います。


下草に埋もれそうな『ナデシコ』と、かの地で頑張る『なでしこ』の双方を応援中。

『備前焼 作家・窯元名鑑』(山陽新聞社)

2011-07-12 23:51:41 | 陶芸
久しぶりの改訂判『備前焼 作家・窯元名鑑』(山陽新聞社)が届きました。

前回の発行が8年前であった為、古本価格が定価を上回るという人気ぶりでもありました。
(現在も品薄の為、新刊も中古品のほうが高値です)

事前にアンケートに答えて、それを元にライターさんが本文を組み立てる形式でしたが、誰が読んでも同じように受け止められるソツの無い文章に仕上げる力は流石、本職です。
写真などのデータもメールでやり取りできたので非常に簡単でした。

知り合いも多く、写真を見ると「皆さん、お年を召されたなぁ」とも思いますが、同時に存じ上げない方々もいらっしゃいます。若手も増えましたし。……って他人の事は言えませんが。

陶印や連絡先なども載っていて、ヤキモノ屋でも便利であります。

今日は、晩酌しながら眺めています。
なんだか型録というかスペック表みたいな感じもしますが、「明日からガンバロー」という気持ちが湧き上がってきます。なんでだろう? 謎。



お求めはAmazonへ。

網戸張替え

2011-07-09 12:16:48 | Weblog
梅雨明けしたので、懸案の網戸張替えをする。番犬福助の定位置から最寄りの網戸が激しく破れていたので。……勿論、犯人はヤツである。
網戸の張替えは初めての事。業者に出すと@2000円程かかる。自分ですれば@500円未満。自分でする動機はその辺りにある。


ホームセンターの網戸コーナーでしばし情報収集。材料のパッケージ裏に懇切丁寧に書いてある張替え手順を熟読する。
理解したところで、その隣のお求め安い方を入手。

必要なものは3点。



・ローラー
・網
・網戸押さえゴム

プチ情報としては、ホームセンターに行く前に、張替え予定の網戸から『網戸押さえゴム』のサンプルを切り取ってから行きましょう。色々と太さがあるので。(ハイ、2回行きましたとも)


材料がそろったら、作業開始。



・古い『網戸押さえゴム』を引っ張り出して、網をはがす。
・枠を洗う。(ついでに、犬も洗う)
・枠と平行に網を広げてみる。(少々の歪みは個人の納得の範囲で)
・四隅を仮押さえする。(クリップ・テープ・網戸押さえゴムの切れ端・助手など)

 ここからが本番。
・コーナー部分に『網戸押さえゴム』を押し込む。
・ローラーで、グル~っと溝に押し込んでいく。(右利きの方は時計回りに作業すると勝手が良い)

書くと長いけれど、要は『枠の溝に長いゴムを入れて網をはさむ』だけである。見れば判るレベル。
上手くいくかはセンスと馴れなんだろうけど、この1枚で終わり。


買出しから取り付けまで午前中で終了しました。


ふっ、ほんの昼メシ前さ! ホームセンターでの予習が長かった……。┐(-。ー;)┌


 

他所の窯焚き

2011-07-08 22:29:41 | 陶芸
先日、他所の窯を焚く機会があった。いわゆる登窯。

備前焼の登窯は、昭和の時代にかなり研究が進み、ヤキモノ屋の共有ノウハウの蓄積が比較的高い。先達の知識伝達に感謝である。

ヤキモノ屋同士で窯の構造について話す場合、見なくてもその特徴や差異を感じることが出来る。オーソドックスな見解が共通してある故。
ただし、備前焼の場合、1000年の無釉焼締めの歴史が今となっては『陶芸界におけるガラパゴス化』を生み出していて、他所の産地と話が噛み合わないという局面もある。「へぇ~、備前ってそうなんだ」と言われる事も多い。
更には『窖窯(あながま)使い』は備前の中においても少数イケイケ派であるし。(イケイケとは限らんか…)

備前焼の窖窯は一度、歴史から消えた経緯があるのでノウハウの伝達が途切れている。それを模索しつつ歩んでこられたのが小生の師匠世代。我々はその第2世代にあたる。随分、学ばせて頂いた。そして最近、独立する若い人々に『窖窯使い』が増えている。
ただね、窖窯の経験無しで初窯を焚いちゃう方もいて、「登窯の経験だけですると失敗するよ」と言ってあげたいけれど、「何が失敗か?」は人によって違うので……なんとも。

むしろ、登窯で窖窯風に仕上げる技術もかなり確立しつつあり、景色のバリエーションが幅広くなっている。これも登窯ノウハウの蓄積。
窖窯を取り巻く環境も随分、変わってきていているし……。かくして進化する。


窯自体はそのオーナーの想い・経験・道具によって、構造・寸法・バランスが異なる。それが結果(景色)となって現れる。
並んで、窯焚きも重要。そして、湿気、引き(空気流入量と速度)、窯詰め、粘土の耐火度……。兎角あらゆる要素が絡んでくる。


つまり、ヤキモノ屋にとって、モノを生み出すにあたって最低限必要なものは、
・窯
・材料
・技術
・想い
である。(順不同)

入り口はこれだけ。だけど奥深い。シンプルに、これらをひとつずつ丹念に研究する事でしか前に進めない。

「特別な『何か』を求めなくても自ずと『自分自身』が現れる。その上で志向性が必要になってくる。」と判ったのはヤキモノ初めて暫く経ってから。若い時にはアクロバティックな造形に目が向きがち。今はもうちょっと引いて考えられるようになったかも。
でも、やっぱり『挑戦心』は持ってないとな。

その組み合わせが楽しい……んだけれどね。なかなか。


さてさて、久しぶりに初めての窯を焚いたんだけれど、オーナーのキャラクターもあって未経験の事多し。「えっ、それでエエのん?」のオンパレード。
直接、自分の窯にはフィードバック出来ないけど、翻って自分の原点みたいなところを再確認する良いチャンスだったかも。

結局、自分なんだよね。


さて、「8月にチビ窯を焚くぞ」と宣言しておこう。
過酷スケジュールに加えて過酷なシーズン。でも、やる!(……予定。一応。たぶん。)

ヨコワのカブト焼き

2011-07-05 01:59:57 | 料理・食材
窯焚き中の食料を仕入れにスーパーへ。

やたらと賑わっているコーナーがある。見るとヨコワ(本マグロの仔)がてんこ盛り。フムフム。この時期なら境港あたりか。
赤身が柵や切り身で舞い踊り中。フムフム。

「刺身の売り出しの時にはアラを見よ」というのが、我が敬愛する文筆家の御言葉。

で、キョロキョロ見渡すと一角に、お求め易い価格でありました。ハイ。さすが先生。
ヨコワのカブト・カマ・中骨の一尾分が198円。夕方ゆえ半額につき2尾分で198円です。家族で愉しむには丁度良い。
で、窯焚きうんぬんの買出しはさて置き、早速買い求める。

実際は、あまり食べる部分が少ないのであるけれど、半額なら許せる範囲。ひとりあたり50円の洒落です。

これらをオーブンでザックリと焼く予定でありまして……。
タマネギ、セロリ、ジャガイモ、ニンジンをスライスして敷き詰めて、その上にマグロ一式。塩・胡椒。ちょこっとハーブの類。
このままでは味気ないので、パン粉を振って、オリーブオイル少々。パン粉が旨みやら脂を吸って食べ応えが増すという作戦である。これ大事。

材料を揃えつつ、中骨から身を漉き取って中落ちを口に放り込みながら、こっそり一献。この余禄がついて50円!(これも大事)

時々、焼け具合を見ながら、しばし。


さてさて、焼き上がる。




あとは、各自が自分でお好みの味を加えつつ、ひたすら喰うべし。
骨を並べてみたり、目玉を突っついてみたりと、何かと忙しい。


「窯焚き前に、カマを焼く」という駄洒落がチラッと頭をかすめるが……、それは言わない。

美味しゅう御座いましたな。







CDきた~

2011-07-01 12:07:23 | Weblog
過日のマイフェバリット・マエストロのTV番組を見た後、勢いづいてポチッっと予約していたCDが届きました。昨日発売。


ショスタコ『革命』と武満徹『フロム・ミー・フロウズ・ホワット・ユー・コール・タイム』(Amazon)


ここのところ少々忙しくしていたのですが、それもこれも今日のこのお楽しみを心の支えにして……。やったぜ。(*^ー')b

もうね、革命大音響の日。たぶん、ヘビロテ。
武満徹は夜だな。窓を開けて夜風を取り入れつつ、静かにグラスを傾ける。月の光が差せば「言うことなし」であろう。虫の声とのセッションも楽しそうだし。

封を切る前からワクワク。つか、既に録画で散々見て聞いているのに。(^。^ゞ


『新潮文庫の100冊』に『僕はいかにして指揮者になったのか』(Amazon)が選ばれてました。

久しぶりに本棚から引っ張り出して窯焚きしながら読もうかな。そうです、この暑さの中、他所での窯焚きがあるのです。まぁ、3日程だけですが。
若かりし頃のマエストロの思い出を辿りつつ、薪のはぜる音を聞くのも良い雰囲気だろう。
夜風に吹かれて……と、いきそうにありませんが。

灼熱の中に若い情熱が見えるかも知れない。