棚板に並べられた小鉢。一面に花が咲いた様に並ぶ。
焼き上がりを想定しての仕込み。中央部分が白丸にヒダスキ、周りはゴマ。裏側は緋色が発色する予定。ワラを敷いて、その上にボタ(耐火度の高い土で作ったセンベイ)を置いて仕込み完了。
この状態で窯焚きをすると、燃料の割木が灰となってモノの上に降り積もり、器肌が露出している部分が自然釉となる。それが『ゴマ』。ワラは『ヒダスキ』となる。
ボタの部分は何も置かない場合もあるし、なにか別のものを置くこともある。
モノを置く事によって、火の走った雰囲気を映す事もある。焚き口との位置関係や使った土にもよる。
さて、この場合は……。
ここでは書かない。書かない部分を、焼物屋の工夫というべきか。小さな秘密というべきか…
「大抵の秘密は、たいした事が無い」という事もある。思わせぶりで留めておこう。
深夜。時間を忘れた窯の中から這い出て、腰を伸ばすべく体を反らせる。
星のない厚い雲間からさす煌々とした月の光。
体を元に戻しつつ、地面に映る自分の影を踏みながら家へ。
本日の仕事は、これにて終了。
焼き上がりを想定しての仕込み。中央部分が白丸にヒダスキ、周りはゴマ。裏側は緋色が発色する予定。ワラを敷いて、その上にボタ(耐火度の高い土で作ったセンベイ)を置いて仕込み完了。
この状態で窯焚きをすると、燃料の割木が灰となってモノの上に降り積もり、器肌が露出している部分が自然釉となる。それが『ゴマ』。ワラは『ヒダスキ』となる。
ボタの部分は何も置かない場合もあるし、なにか別のものを置くこともある。
モノを置く事によって、火の走った雰囲気を映す事もある。焚き口との位置関係や使った土にもよる。
さて、この場合は……。
ここでは書かない。書かない部分を、焼物屋の工夫というべきか。小さな秘密というべきか…
「大抵の秘密は、たいした事が無い」という事もある。思わせぶりで留めておこう。
深夜。時間を忘れた窯の中から這い出て、腰を伸ばすべく体を反らせる。
星のない厚い雲間からさす煌々とした月の光。
体を元に戻しつつ、地面に映る自分の影を踏みながら家へ。
本日の仕事は、これにて終了。