備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

うつわバー 『イタリアン×備前焼』

2017-11-25 12:26:20 | 展覧会・ご案内


1週間前の土曜日の事。

天王寺での『うつわとくらす』イベントから派生した企画として、備前で1泊2日のモニター旅行が行われました。
お客様はアンケートから抽選で選ばれた関西の方々。これは天王寺の企画同様、備前市と民間の協働事業です。

ツアーでは、コーヒー焙煎工房、日本酒酒蔵、備前焼作家工房を巡ります。
その一部として、晩御飯時間に備前焼の里・伊部にて『うつわバー』を開催致しました。
『うつわバー』とは、『食のスペシャリスト×備前焼作家』での学び&おもてなしの企画です。


今回は『イタリアン×備前焼』です。
拙作の器に、イタリアン数種・日本酒・コーヒーを供しつつ作家トーク。

詳しくは、またオフィシャルに発信されると思いますので、ここでは自分の事を……。

お客様は、日が暮れた頃に『うつわバー』へ到着なので、昼から会場設営をします。
小生は準備が出来れば、現場でする事がない……。え~~と、しゃべり担当なん? 
ツアーのキーワードは『学び』なので、そのあたりを意識して……。ん~、アドリブやな。( ← いつも通り)
あと、関西弁OKなので気楽。( ← これもいつも通り)


【15:00 会場設営】
ホワイトキューブな空間にテーブルを作ります。

布って便利よね。

拙作もズラリ。バーなので、自分の『色』を全開で。

備前焼以外に本なども並べようかと思ったけれど、目的がボケるので割愛。

ホスト側も次々と。
イタリアンシェフ・コーヒー焙煎士・酒蔵オーナー。
単独でもイベントが成立するスペシャリストばかり。う~~ん、ラグジュアリーな面々。


【17:00過ぎ 器のセッティング】
角皿のサービスプレートが斬新。

草文のパッチワーク柄。この辺りは草食系……じゃなくて、装飾系テイストを全開に。


【18:00 お客さんご来店】
室内が一気に活気付く。室温も高くなったか。
皆さん、酒蔵見学でほろ良いの上、ロクロ実演で感嘆したものだから、既にアゲアゲ。( ← 死語)
いや、打てば響くレスポンス。


【18:00過ぎ】
アペリティフは酒蔵オーナーの『おすすめマリアージュ』から。純米生吟醸酒とママカリ。

偶然、花材として持ってきていた拙宅のユズをあしらいに使って頂く。
シェフの盛り付け方をチラ見しつつ、トーク。
勉強になります。

お好みの酒呑、酒盃を選んで頂き……乾杯!!

呑まない心算だったけれど、気が付けば手にお酒が……、何故だ? どうした? 不思議やわぁ。( ← しらばっくれ)
酒蔵オーナーから日本酒について詳細にお話を伺う。
ふむ、勉強になります。

話している間に、シェフは次の準備を。
時間配分はシェフにお任せ。この辺は流石にスペシャリスト。お客様と阿吽の呼吸で進む。

器の正面を揃えて、セルクルを使ってキチンと盛り付けるべき場所を決める。

ふむふむ、勉強になります。

ハカマエビのサラダ。

地元消費のエビを美味しく、美しく。盛り付けも小鉢の中で高さを出して立体的に。

そして、シェフのスペシャリテからリゾットを2品。



ビジュアルと香りに皆様から歓声。それを見ているコチラは悶絶ですわよ。
リゾットの器は、浅いご飯茶碗。
「茶碗にお米が入るって普通なんじゃ? 印象が弱くない?」という思いは完全に杞憂でした。
角皿とご飯茶碗の組み合わせによって、高さからくる特別感、角と丸・装飾とシンプルの対比。素晴しい一品が成立していました。
シェフの見立てに感嘆。

コーヒー&スイーツ。

コーヒーの器は蕎麦猪口で。
備前焼の蕎麦猪口は作る人が少ないので、このところ意識的に露出を上げているアイテム。良いっ!

備前焼でコーヒーといえば……のスペシャリスト。キチンとお仕事されています。

いつも思うけれど、コーヒーを淹れる時の姿勢がチャーミング。

備前焼とコーヒーのお話なども。

ふむふむ、ふむ、勉強になります。


【20:00】
仕事が終わったシェフとのトーク。

備前エリアの食材、備前焼と料理の相性など。
ふむふむ、ふむふむ、勉強になります。


【20:30】
お客様のお見送り。


【21:00】
ざっくり片付けて、スタッフは日生(ひなせ:備前市東部)に移動~~~。打ち上げ~~~。
お泊り付き反省会の開始。


【時間不明】
ディープな日生ナイト。今年初の生牡蠣を頂く。さすが日生、深夜に新鮮な牡蠣が出てくる。
バーの閉店まで残ったメンバー……、やっぱり……、天王寺で3次会開催した危険な3人。濃くて面白い。
それから宿で……。






朝日が眩しくて目を覚ましました。


長閑な瀬戸内の煌めき。

不思議と宿酔いは無し。

帰りは電車。
電車の時刻表も見ずに駅まで歩く。高台にある日生駅ホーム。
陽だまりのイスに座って、暖かさと潮の香りを満喫する。電車の到着時刻が全く気にならない心地良さ。
明るい光を照り返しながら電車が来た。ゴトゴトと全身を揺らして、金属音と共に停車する。
息を吐くようにドアが開く。中に入ると乗客が居ない。わぉ、貸切り!? う~~ん、ローカルな佇まい。

座席の揺れに身をまかせつつ、ひとり車窓を眺めながらイベントを思い返す。
プチ旅行気分が良いねぇ。


あれから、まだ1週間なのに既に遠い日のように思える。それだけ非日常であったということか。

今回はモニターツアーなので、実際の運営までは諸々ブラッシュアップしていかないとねぇ。
個人的には、このところ未経験な企画を意図的にしているので面白い事続きである。
失敗も反省もあるけれど、経験しておくか否かは大違い。まっ、どこで役に立つかは謎。

まだまだコンテンツやらアイデアはあるけれど……、仕事もきちんとね。

さぁ、山に引き篭るよん。


















狩猟解禁日に

2017-11-17 22:20:15 | 料理・食材


家族での『ニワトリ・ワークショップ』が終わって数日後、狩猟解禁日を迎えた。
「迎えた」といっても猟も漁もしないので、日付けがそうなっただけなんだけど。

あっ、ボジョレーヌーボーも解禁だったねぇ。
かつては日付変更線の関係で、世界で一番早く日付が変わる日本の深夜0時に「乾杯~~」とかやってた。ニュースでは「今、空港に到着しました!」とか「飲む前に味の予想!」とか。
いや、そんな時代は知っているが、やった事はない。個人的には日本酒に興味があったしねぇ。
昨今では「美味しくてお求め安いチリやオーストラリアのワインが溢れているので、ボジョレーの割高感が目に付くなぁ」と思うだけ。
なので、まぁ、特には……。いや、あれば呑んじゃうけどね。


と、そんな諸々の解禁日の夕方に、カモご来宅。

既に散弾銃にて絶命。初っ端から食材認定である。

お湯を沸かして、しっかりと濡らす。細かなダウンがあるので羽の除去作業はニワトリよりも大変。

最後はバーナーで、ひと炙り。

精肉の手順は学習済みである。

丁度、記憶の強化に良い復習タイミングでした。

モモを外して肩甲骨を外して、両手で背中と首を持って「えいぃ!」と分離。
そのまま内臓処理をする。運悪く肝臓は弾を喰らっていて見る影なく。幸い胆嚢は無傷なので潰さないように慎重に外す。これが一番大事なポイントか。

心臓と砂ズリは無事確保。
砂ズリの薄皮を剥いで塩焼きにする。味見して「う~~ん……」となって、醤油味に変更する。トッピングは山椒粉。

よく「カモがネギ背負って」と言いますが、『ネギ背負わせてアヒージョ』ってのをやりたかったので、モモ、手羽、せせり、ボンジリをチョイス。
まっ、骨付き部位ですな。

ネギが美味し。骨まわりに齧り付く子供たち。

日本酒を冷酒にて。


ガラはスープをとるべく寸胴鍋へ。翌日の『カモうどん』の下準備です。
番犬福助にもスープのお裾分け。大層ご満悦。


ジビエ解禁前に、ニワトリで予習していたので実に効率的な作業となりました。

という事で、リストラ鶏に続き、カモ、その他ジビエも絶賛お待ち申し上げます。


そういえば、「裏山であんなに啼いていたコジュケイご夫妻は如何お過ごしなのだろうか?」 
骨を齧りながら、ふと。


美味しい季節到来。

新酒も楽しみだ。こちらは日本酒の方にて。


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さてさて、明日は『うつわバー』というイベントをします。

『イタリアン×日本酒×コーヒー×備前焼』です。

さてさて……、さてさて……。































ニワトリは、いつからチキンとなりたるや?

2017-11-17 11:48:57 | 料理・食材


先日の事。

ヤキモノ屋の先輩宅で「やかましい!」という理由でリストラされたニワトリ。
拙宅に来た当初はタマゴを産んでいたが、ストレスかエサの具合か産卵しなくなった。
「環境に馴れれば、また産卵するかな?」とも思っていたが「渡り鳥の頃には……(美味しく頂こう)」と思っていたのも事実。

さて、そういう『有効期限付き』で仮住まい。
仮住まいなので、専用の鶏舎は無い。夜行性動物に狙われないよう日が暮れると玄関に入れ、朝になると外へ放すという厚待遇なルーティンが確立する。
この一連の作業中は、番犬福助が「他の動物と遊んで!」と思っているのか嫉妬する。やかましい!
結果、いつもより多目に遊ぶ羽目に。ニワトリ飼って犬の世話が増える……メンドウなヤツ。

ニワトリは、思いのほか何でも食べる。麺の切れ端、戻さない高野豆腐、野菜の皮、使わない葉っぱなど。
そして、思いのほか雑草には偏食。スイバは大好物、クローバーは食べない。
面白がって色々実験していました。(←これがストレスだった?)


某日、家族全員が在宅。
「ニワトリ・ワークショップ開催~~」となりました。

家族にテーマを出しておく。
「ニワトリは、いつからチキンとなりたるや?」というお題。要は「どの段階から肉と思う?」である。
子供たちは幼少期から、生きたものを締める現場を見せているので、事に関してキャアキャアは無い。淡々と。

自分のテーマは『綺麗に精肉』。
生きたニワトリを締めるのは2回目で3羽目である。


以下は、ご想像通りです。(画像はソフトですが、感想には個人差があります)


じゃ、締めますよん。


「バラス前に、逆さ吊りしたら気絶するよ」と聞いていたので、30分ほど吊る。その間に包丁を研ぐ。

「気絶しないね」

「うん」

日暮れが近かったので、スタート。


紙袋を広げて、中にニワトリを入れる。

絶命作業は地面で。
前回は吊ったまま首を包丁一閃「えぃ!」としましたが、これは上手くいかないのは学習済み。
包丁をあてがって刃全体を静かに一気にひいた方が良い。

自分の姿勢は、立てひざ。
ニワトリを地面に寝かせる。
左ヒザで羽を広げて固定、右足で鶏の両足を固定。左手は頭を持って顔を隠して首を伸ばす。右手は包丁。
「南無」
しっかりと固定されたニワトリは、暴れる事なくご本人も気付かないうちに西方へと旅立ちました。(と、思います。この時点で小生はチキン認定)

大鍋にお湯を沸かして全体を浸ける。既にチキンの匂いが漂う。(細君は匂いでチキン認定)
羽の毛穴を開かせて羽を除去する。濡れているので飛び散らないのも利点。
これは家族で。

最後に表面をガストーチで炙る。「いやぁ、鳥肌やねぇ」とか。(子供達は、羽がなくなった時点でチキン認定)


さて、あとは『綺麗に精肉』です。YOUTUBEで予習済み。便利な世の中だわ。
バラしながら内臓処理する方法です。(中身を抜いて丸鳥にするのは別の機会に)

筋肉のつき方と骨の構造が判っていると簡単。


モモ肉は「切り込みを入れて、背中側に回してバキッ。関節を外して、背中に十文字に切れ込みを入れると……ハイ!」というぐらい。


「食材として進化したのか?」と思うほど。手順さえ判っていれば魚を卸すのと変わらない。

次回は丸鶏の技術を習得せねばな。

心臓、レバー、砂ズリも確保。
タマゴのもとは小さくなっていました。「こりゃ、産まんわな」と納得。


鳥ガラでスープを取って水焚き。

旨し。

モモ肉は焼く。出てきた脂でジャガイモも焼く。

美味し。


久し振りにしっかりと『カシワ』を堪能しました。

平飼いの親鶏を新鮮に頂く。
考えようによっちゃぁ、贅沢な事ですな。


さて、次のリストラ鶏はいつご来宅でしょうか?
















備前擂鉢ワークショップ

2017-11-07 21:37:40 | 陶芸


昨日で展覧会は終了。
今回の展覧会ではワークショップを色々と実施しました。
来年の干支である『戌(仔犬)の型起し製作』『擂鉢ワークショップ』、そして『お茶会』。

小生は『擂鉢ワークショップ』を担当致しました。

DMの原稿段階では『所要時間2時間』となっておりましたが、「いやぁ、そんなに出来ないですよ」と「1時間程度かな?」と思っておりました。

それから後日、資料作りを。
昔の資料から抜粋したり、実演レシピも作りました。レシピの分量の検証が大変。(割りとマジメにやったしね)

事前には、実際に擂鉢で料理をして検証しておく。

ニンニクも擂れるし、(知ってた!)


紫蘇も擂れる。(知ってた!!)


諸々と確認しておく。(知ってた!!!)


さて、当日。
ワークショップの構成は、お話とクッキング。

お話のパート。
皆さんの興味次第で端折ろうと思いつつ喋る。しかし、喋るパートだけでも1時間越え。

擂鉢の形の歴史的変遷などマニアックな部分もがっつりと。有難い事です。

クッキングのパート。

4種類のレシピを実際に作る。
『玉子サンド』は好評だった気が……。お持ち帰りもあったので、恐らく好評と思っていますが、自分では実食せず。
擂鉢でフワフワを作るのがポイント。(ここが大事!)



最後は皆さんで五平餅(クルミ味噌)を作って、チャイの講座も。
お菓子とお茶を頂きました。


でっ、結局のところ裕に2時間ちょっとのワークショップ。

初めてでしたが、うん、なんだか今後も出来そうな気がするなぁ。まぁ、予定はないけれど。
また、いつか出来れば楽しいかもね。(←自分が)


皆様、諸々、有難う御座居ました。m(_ _)m



















鳥モツ煮(酢仕立て)

2017-11-04 19:43:26 | 料理・食材


先日、フランスからのお客様があっての宴がありました。
そこで普段は家でする『酒器の勉強』を外で。もっともノンアルで参加では御座いますが……。

で、何か一品持って行こうと買出しに。
店内をブラブラと。宴会場では魚が出てくる可能性が高いので、さてさて……思案。

ふと、綺麗な鶏のレバーが目に入りました。
その横には、心臓、砂ズリ、玉ヒモ(卵巣、卵管)もズラリ。

ふむ。

暫し考慮し、『鳥モツ煮(酢仕立て)』に。
先の東京出張の時に渋谷のお店で頂いて、印象的であったのを思い出したので。


ジャ~~~ン。

レバーのエッジがパシッと立っています。

砂ズリはスライス。


心臓は半分にして凝固した血を洗い出します。(←コレ、大事)


レバーは軽く下茹でしてから……

断面から味が沁み込むようにカット。


硬いものから順次煮ていく。砂ズリから始める。ショウガは忘れずに。
味付けは、醤油、味醂、酒。スパイスは山椒、唐辛子。

ここでタマネギを入れても良かったけれど、量が増えすぎるので割愛。
人数が多い宴席では入れるべし。まっ、有体に言えば増量材ではあるけれど美味しいよ。

落し蓋をする。


全体が煮えたところで、『きんかん(黄身のもと)』を。

これは冷やしても美味しいので、冷蔵庫に入れるべく別容器に移す。(移動で冷める為に冷製にしたのと、アルミ鍋に酢を入れたくなかったのが本音)
上から米酢をドバドバっと。レモン果汁も入れる。ケッパーが小瓶に半分ほどあったので、これも投入。

ぎゅ~~んと冷して、いざ宴会へGO~~~!


皆様、懐かしがってくれました。そういえば、弟子の頃によく頂いてましたか。


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さてさて、明日は、現在開催中の展覧会で擂鉢を使ったワークショップをします。

『擂鉢ワークショップ【お土産付き!】』であります。

当日参加も可能です。是非~~~~~~~~~。

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◆タイトル : Allegro con brio ~次代へ~

◆会 期 : 2017.11.3(金・祝)~6(月) 
         10:00~17:00(最終日16:00)

◆会 場 : 常光庵 (岡山市北区足守795)
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●ワークショップ、お茶会等の情報はこちらから。
http://www.nanacafe.jp/tenaraigoto/2017.html


やきもん屋による料理のワークショップ。
かつ、個人的には初めてのワークショップです。


如何なりますやら。皆様、お手柔らかに……。