巣窟日誌

お仕事と研究と私的出来事

廃品回収車

2005-11-21 23:40:35 | 日記・エッセイ・コラム
かなり前の話である。自宅にて作業をしていたところ、廃品回収車からのアナウンスが聞こえてきた。

「…パソコン、ミシン、鳴らなくなったCDラジカセ、ステレオアンプ等、多少にかかわらず無料にて引き取ります。お気軽にお声をおかけください…」

壊れたラジカセ(CDラジカセを含む)なら3台もある。だから「鳴らなくなったCDラジカセを無料で引き取ってくれる」というのは、魅力的な話ではある。なにしろ最近は、CDラジカセを捨てるためには、お金を支払わなければならないのだから。

しかし、この廃品回収車を止めようかどうか迷う。本当に無料なのだろうか? 「無料」といいつつ本当はお金を取るのでは? なにか変なカラクリがあるのでは? そう考えているうちに、廃品回収車が近づいてきた。

ついに声をかけようと決心した瞬間、車がわが家の近くの路上で突然止った。そして車のドアの開く大きな音がした。

嫌な予感がした。近所の人が誰も車に呼びかけた様子はないのに、なぜ突然車が止ったのか? そして、ドアの開く音がなぜこうも荒々しいのか? わたしは窓を少しだけ開けて外を見た。こちらからは庭の木がジャマになり、廃品回収車は半分ぐらいしか見えなかった。

しかし、わたしは見てしまった。その廃品回収業車の運転手が、荷台から何かをおろし、それを向かいの家の私道に置いていくのを。

一瞬の出来事だった。運転手はすぐに運転席に戻りあわただしくドアを閉め、この廃品回収車はかなりのスピードで走り去っていった。

車が走り去ったあと、わたしは外に出てみた。あの車が何を置いていったのか、確かめたかった。

私道のU字溝の中に、古いラジカセが捨てられていた。

やはりカラクリがあったらしい。それにしてもその車のナンバーを確認できなかったのは、返す返すも残念だ。

この話を今頃書いたのは、その私道にこんどはCRTが捨てられているのを発見したためだ。以前よりこの私道の隅には石版が50cmぐらいの高さに積まれていたのだが、その影に目立たぬようにコソっと捨てられていた。