映画的・絵画的・音楽的

映画を見た後にネタバレOKで映画を、展覧会を見たら絵画を、など様々のことについて気楽に話しましょう。

処刑山 デッド・スノウ

2012年04月08日 | DVD
 ノルウェー映画をもう少し見ようと、TSUTAYAで『処刑山 デッド・スノウ』のDVDを借りてきました。
 前回取り上げた『トロール・ハンター』は103分の怪獣物でしたが、本作は90分弱のゾンビ映画(2010年に公開)です。

(1)物語は、医大の学生4人とそれぞれのガールフレンドが、真冬の山小屋で楽しく過ごしているところをナチスゾンビに襲撃されるというものです。

 冒頭は、山小屋でその他の仲間と落ち合うべく、先行して独りで山歩きをしていたサラが何者かに襲われるシーンです。
 ですが、何に襲われたのか判然としないうちに、画面は、車2台で山小屋に向かう残りの7人達の楽しい様子や、到着した山小屋の内や外で彼らがゲームにうち興じたりするシーンに切り替わります。
 そのうちに外が暗くなってきます。と外に誰かがいる模様。早速ゾンビの登場かと思いきや、中年過ぎの男がドアのところに立っています。
 若者達が彼を中に招じ入れてコーヒーを振る舞うと、このあたりのことについて話し出します。
 彼によれば、「近くのオクスフィヨルドは、ナチス艦隊の重要な軍港。だが、ハルツォク大佐が率いるアインザッツという部隊は、そこで悪の限りを尽くした。ドイツの敗色が濃くなると、彼らは付近の民家に侵入し、財産を奪ったり、抵抗する住民を射殺したりした。そこで、住民3,000人は武器を集めて決起して奇襲を掛けた。ただ、ハルツォク大佐以下300人がこの山に逃げ込み行方が分からなくなってしまった。このあたりで凍死したとされていて、注意しなくてはならない。彼らを起こしてはならない」とのこと。

 これを聞いて、サラの恋人のベガードは、未だ到着しないサラのことが気になって、翌朝スノーモービルで探しに出ます。途中、昨夜山小屋に現れた男が、簡易テントの中で首を切られて死んでいるのを発見し(注1)、そればかりか、雪で隠れていた洞窟に墜落してしまったところ、そこで彼が見たものは、……(注2)?

 他方、山小屋では、沢山の金貨などが入った小箱が見つけ出され、中の物から1942年製(ナチス時代!)だとわかります。
 すると、まずトイレに行ったクリスがやられ、また窓からは手が差し伸べられ女の子の髪の毛を摑んだりした挙げ句、医学生アーランドが外に引き摺り出されてしまいます。
 こうなると、山小屋に残るのは4人だけ。



 なんとか車の置いてあるところに戻って応援を頼まなければと、山小屋に残る組(マルティンロイ)と車を探しに出る組(ハナリブ)に分かれますが、サアどの後の展開はどうなることでしょう、……(注3)?

(2)こうした映画に一々突っ込みを入れても何の意味もありませんが、少々触れておきましょう。

イ)ホラー映画と銘打っていますが、ナチスゾンビの親玉のハルツォク大佐がゴム製仮面を被っている感じがするなど、総じてあまり怖さを感じません(元々、ナチス自体が怖い存在なのですし!)。

ロ)ゾンビ映画とされていますが、彼らがはっきりと画面に登場するのは、映画の3分の2が経過した辺りなのです(3分の1辺りのところでも現れますが、ごく一部にすぎません)。

ハ)主人公は、当初は、医学生のリーダー格のベガードではないかと思われるところ〔独りでスノーモービルを操作して、早めに山小屋に辿り着いたり(他の6人は徒歩で山を登ります)、サラを探しに行ったりします〕、どうやらそうでもなさそうなのです(注4)。

 なお、ベガードは、その前にゾンビに首を噛まれるものの、医学生だからでしょうか、自分で針を使いつつ縫って治してしまいます。
 他方、医学生のマルティンは、ゾンビに腕を噛まれると、「ゾンビに噛みつかれるとゾンビになる」といって、斧を使って自分の腕を切り落としてしまうのです。
 噛まれても、ゾンビになったりならなかったりするのかもしれませんが。

ニ)夜間山小屋にやってきた男は、ゾンビにナイフで首を切られて殺されますが、そんな武器をいくらでもゾンビは持っていながらも、山小屋の外で戦うマルティンとロイは、チェーンソーやハンマーなどといった武器しか手元にないにもかかわらず、かなりの数のゾンビをいとも簡単に倒してしまうのです。



 それより、バガードは、ゾンビに殺される前に、ナチス時代の機関銃を使ってゾンビをなぎ倒しもするのです!

ホ)始めの方では、ここら辺りは携帯の圏外だと言っていながら(車中で「30分前から圏外だ」などと話しています)、最後の方で、残ったマルティンが、携帯を取り出して誰かと連絡をとるも、電池切れで投げ出してしまうというシーンが設けられています(注5)。

(3)とはいえ、そんなくだくだしいことは考えたりせずに、この映画も頭から楽しめばいいのだと思います。ホラー映画としては秀逸のラストが設けられていることでもありますし(注5)。




(注1)この男は、山小屋にいる医学生達に注意を促しますが、自分は、極寒の中をなぜか簡易テントにいるのです。何故彼がそんなことをしているのか、そして下記「注6」に記す点も見当たらないのにどうして殺されてしまうのか、この映画の最大の謎ではないでしょうか?

(注2)ベガードは、墜落した洞窟の奥を探検するのですが、そこにはナチス時代の銃器が置かれていたり、最後にはサラの首まで並べられていたのです。

(注3)ハナは、ナチスゾンビに追いかけられ組み敷かれますが、そのゾンビが持っていた手榴弾で自爆したようです。その立ち上る煙を見ていたリブは更に走りますが、……。

(注4)というのも、ベガードは、途中の段階でナチスゾンビに手足をもぎ取られてしまい、画面から退場してしまいますから。
 最後まで残るのは、血を見るのが嫌いな医学生マルティンですから、やはり彼が主人公なのでしょう。

(注5)電話は通じたものの、状況を伝えてもいたずらと思われて、さらに説明しようとすると相手から切れれてしまい、もう一度かけ直そうとしたら電池切れになってしまいます。

(注6)どうやら、ナチスゾンビは、地元民から強奪した財宝に酷く執着しているようで、学生達が、それが入った小箱を床下の格納庫から取り出して、中の金貨などを掠め取ろうとしたがために、彼らを襲ったのだと考えられます。
 それに気づいたマルティネスは、焼けてしまった山小屋の残骸の中からその小箱を探し出してハルツォク大佐に返します。するとゾンビは姿を消してしまいます。
 そこでマルティネスは、ようやっとのことで車を探し当て、嬉しやと車のキーを回そうとしたところ、思いがけず、隠し持っていた金貨がこぼれ落ちてしまいます。マルティネスは「しまった!」と叫びますが、そこにはハルツォク大佐の姿が。



★★★☆☆