孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

中国  新型コロナの感染爆発  政府からは「自己責任論」も 一方で、“ゆるい”国民の対応も

2022-12-24 23:30:53 | 中国
(中国 コロナ感染で点滴をしながら、麻雀卓を囲む人【12月23日 FNNプライムオンライン】)

【加速する感染爆発 感染者推計2.4億人 今後更に拡大】
事実上「ゼロコロナ」を放棄した中国で、火葬場に長蛇の列ができるような猛烈な感染爆発が起きているのは周知のとおり。

「ゼロコロナ」を放棄したので感染爆発したというより、オミクロン株による感染爆発が起きたので「ゼロコロナ」を維持できなくなり、住民不満の爆発もあって放棄した、その結果、状況は一気に加速していると言うべきでしょう。

中国政府が詳しい感染情報の把握もあきらめてしまったので、推測に頼るしかありませんが、12月だけで感染者は2億4800万人になっていると言う情報も。

*****中国コロナ感染者推計2・4億人…内部資料流出か、公式発表は28万人****
香港紙・明報は23日、新型コロナウイルスの感染拡大を抑え込む「ゼロコロナ」政策の大幅緩和に踏み切った中国本土で、今月の累計感染者数が2億4800万人に上った可能性があるとの推計を報じた。国家衛生健康委員会の21日の内部資料が流出したとしている。

同委員会の公式発表では1〜22日の感染者数を計約28万4700人としており、大幅な食い違いが生じている。

中国では、厳しい移動制限や感染者を洗い出して隔離する大規模PCR検査を7日に取りやめて以降、感染が急拡大している。中国の人口は約14億人で、報道が引用した内部資料によると、累計感染率は17・56%に達した。特に感染が広がっているのが、北京市と四川省で、累計感染率が50%を超えたとしている。

英医療調査会社エアフィニティは21日、中国で1日あたり5000人超の死者が出ているとの推計を公表した。同委員会は1日あたりの死者数を0〜5人と発表しており、隔たりがある。

中国のSNSでは、火葬場に長蛇の列ができ、手が回らない多数の遺体が葬儀場の駐車場に置かれている様子を撮影した写真が拡散している。

松野官房長官は23日の記者会見で、中国で新型コロナの陽性が確認された邦人1人が死亡したと明らかにした。政府関係者によると重慶市の40歳代男性という。重慶市の日本総領事館が19日に確認した。【12月24日 読売】
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国家衛生健康委員会議事録では、“最新の1日あたり新規感染者が約3700万人に及ぶと推計。感染ペースはさらに加速しているとした上で、「中小都市や農村への感染拡大はこれからで、ピークに対応する医療対応の強化を急がなければならない」との認識を示した”とも。【12月24日 日系メディアより】

素人的には疑問も。“1日あたり新規感染者が約3700万人”となると、3日で1億人、1か月ほどで中国全人口14億人すべてが感染する(もちろん、実際には何らかの理由で感染しない者もいるでしょうし、増加は直線的に推移する訳でもありませんが)という話にもなりますが、本当でしょうか?

英医療調査会社エアフィニティの推計は“1日当たりの感染者数は100万人以上”と、もう少し控え目です。

****中国の新型コロナ死者1日当たり5000人以上、英調査会社が試算****
英国の医療関連調査会社エアフィニティーは、中国での新型コロナウイルスによる死者が1日当たり5000人以上との試算を示した。中国当局が公表しているデータをはるかに上回る。

中国の地域データに基づくモデリングを用いて試算した。その結果、1日当たりの感染者数は100万人以上となったという。

同社はこの推定値が、過去1週間の死亡者が7人という公式データと大きく異なると述べた。

中国国家衛生健康委員会は、ロイターのコメント要請に応じていない。22日発表した21日の新規有症状感染者は2966人、死者はゼロだった。無症状感染者数の公表はすでにやめている。

エアフィニティーの死亡リスク分析によると、現在の流行局面で130万─210万人が死亡する可能性がある。他のモデルグループの分析でも210万人の死亡が予測されている。

エアフィニティーは、感染のピークは2回あると予想。現在感染者が増加している地域では1月中旬に370万人(1日当たり)、その他の地域で3月に同420万人がピークとの見方を示した。【12月22日 ロイター】
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日本でも1日の新規感染者は177662人、死者は339人(12月24日)ですから、人口が10倍以上の中国で、“1日当たりの感染者数は100万人以上”“1日あたり5000人超の死者”というのは“まだまだ爆発の入口”でこれから格段に増加すると推測されます。

【「自己責任論」を説き始めた中国政府】
中国政府はこれまでと打って変わって「自己責任論」に言及しており、基本的に感染抑止はあきらめてしまったようです。

****広がる感染拡大、中国政府は「体調不良でも仕事に行け…****
<ゼロコロナ政策を廃止し、今度は「自己責任論」を説き始めた中国政府。デモと感染の拡大に習近平は動揺している可能性が高く、今のところ打つ手はない>

中国が「ゼロコロナ政策」を事実上廃止してからまだ間がないというのに、北京などの主要都市では新型コロナウイルスの感染が急拡大している。SNSには感染の報告が次々と投稿され、従業員の9割が感染しているという企業もある。

それでも中国のメディアは、感染拡大をほとんど報じていない。夜のテレビニュース番組でも、新型コロナについては「全て適切に対処されている」と短く扱われる程度だ。

政府は「自己責任論」も説き始めた。最近のスローガンは「健康は自分で管理」。これまでゼロコロナは自分たちの功績だと吹聴してきたのに、今はその失敗の責任を負いたくないと考えている。

皮肉な話だが、政府が各種規制を緩和している今も、北京市民は以前からの厳しい制限を守っている。
人々が感染を恐れて自宅に引き籠もっているために街は閑散としており、食料品店の棚は買いだめのせいで空っぽだ。

公式発表の感染者数は、もはや現実を反映していない。制限緩和後の1週間、政府発表の数字は減少の一途をたどった。

これについて政府は、一斉検査を廃止したために無症状の感染者数が報告されなくなったことを、減少の要因として認めている(中国の定義では入院に至らない軽症者も無症状者に含まれる)。(中略)

政府の発表によれば制限緩和以降、新型コロナによる死者は1人も出ていないという。政府の公衆衛生専門家は、新型コロナが深刻なウイルスではないことを強調している。(後略)【12月19日 Newsweek】
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政府発表の死者数については、「私の周りでも5人を超えている」「政府が発表した5人、全員知っています」と政府発表を揶揄するSNS書き込みも。

政府発表の死者数は「陽性を理由に、他の病気で亡くなった人すべてをコロナ死として申告することはできない」と、基礎疾患の悪化を含んでいません。

【首都の医療崩壊阻止に地方から動員 懸念される地方への拡散】
“感染抑止を諦めた”とは言え、“「この点滴、役に立つのか」病院入れず“路上”で点滴…中国で2億4800万人感染のデータも”【12月23日 TBS NEWS DIG】といった状況で医療崩壊瀬戸際にあり、医療崩壊すると社会不安が急拡大しますので、中国政府としてはなんとかそこは避けたいところ。

****中国、首都へ医師ら数百人 コロナ対応、地方から動員****
中国当局が数百人の医師や看護婦を地方都市から動員し、新型コロナウイルスの感染が急拡大している北京に派遣したと香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストが23日伝えた。地方も感染拡大で医療従事者が不足しているが、当局は共産党・政府の機能が集中する首都の防衛を優先したようだ。

中国政府は各地の病院に対して重症者の集中治療ができる医師や看護師、PCR検査の従事者らを北京に派遣するよう文書で要請。山東省から医師や看護師ら少なくとも500人、江蘇省から数十人が北京に送り込まれたという。【12月23日 共同】
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しかし、今後、中央政府がブレーキをかけるか移動禁止令を出さない限り「春節」の民族大移動で感染は地方に拡散すると思われますので、“首都防衛”策は地方の状況を更に悪化させる懸念もあります。

【政府の理不尽な“手のひら返し”を受け入れるしかない中国人民 “ゆるい”様相も】
そうした感染爆発の状況で必至に病院・薬剤を求めている人、不安から自宅にこもっている人も多いのでしょうが、一方で“ゆるい”と思われるような様相もあるようです。生真面目な日本とは異なる「中国流」でしょうか。

****【陽性4人で“点滴マージャン”】コロナ拡大の中国で40代日本人死亡…薬不足で工場に大行列 “中国流”ウィズコロナの現状****
新型コロナの感染拡大が続く中国で、SNSに最近投稿された動画。大きな建物を取り囲むように長蛇の列ができている。

動画の音声:みな“薬工場”に鎮痛剤を買いに来ている!これはものすごく異常だ!

動画に映っている建物は、薬の製造工場。薬不足の深刻化を受け、人々は薬局だけでなく、薬の製造工場にまで直接並ぶようになったのだという。(中略)

感染者は100万人以上?表面上は戻った日常生活
コロナ政策の大転換から約半月。
(中略)23日に向かったのは、北京にあるフードコート。14日に同じ場所で撮影した時の様子と比べてみると、人出は戻っているように見える。

北京市民:もう「陽性を経て健康」です。以後はもう大丈夫だと。回りの友達もほとんど「陽性を経て健康」か、「陽性中」でも症状はみんな重くないです。

表面上は元に戻りつつある日常生活。
さらにSNSには、中国流の“ウィズコロナ術”ともいうべき変わった光景が投稿されていた。
ぶら下げられた4つの点滴。見れば、その点滴をした4人が麻雀卓を囲んでいる。別の動画でも点滴をしながら、麻雀卓を囲む人の姿が。この動画のタイトルはずばり「陽性が4人 ちょうどマージャンができる!」。(中略)

明治大学 齋藤孝教授:
政府の発表に対する不信感は増しているような感じがしますね。実態とかけ離れた発表をしている、そのことに国民が気付き始めている。政府の発表自体がもう信頼できないんじゃないかって流れですよね。

集団心理でいうと、やっぱり正しい情報が与えられないと混乱していく。疑心暗鬼を生ずるってことが起きてるんじゃないかと思いますね。(後略)【12月23日 FNNプライムオンライン】
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“点滴マージャン”・・・・個人的には、そのくらいの“ゆるさ”が好きです。「ウィズコロナ」の世界では“生真面目さ”だけでなく、そんな“ゆるさ”も必要なように思うのですが・・・。

****2億4800万人コロナ感染?それでも中国人が“ゆるい”わけ****
(中略)
さらに、中国人の〝ゆるさ〟も感染超爆発を信じる要因になっているという。

「在宅勤務OKと言われたけど、どうせいつかは感染するのだから気にせず出社している」「コロナに感染したっぽいけど、仕事がたまっているので出勤してくるわ」「熱が引いたので予定通り旅行に行きます。一回かかったから安心して旅行できる」

中国の知人から届くメッセージやソーシャルメディアの書き込みを見ていると、こうしたノーガード戦法を貫く人も少なくない。もちろんすべての人が〝ゆるい〟わけではないが、そこら中に感染者が歩き回っているかと思えば、もはや予防しようがないとあきらめている人も多いようだ。

中国政府も〝ゆるさ〟を推奨しているようだ。専門家からは「毒性はインフルエンザ以下。後遺症? 今のところ確認されていない」といったメッセージが出ているほか、重慶市など一部の地方政府は「感染しても軽症ならば出勤してよし」という通達も出している。

1年前の東京五輪では、中国選手団は防護服を着込んで日本に来ていたほどウイルスを恐れていたのに、その変わりっぷりには驚くしかない。

一気に変わった人民日報でのメッセージ
中国はこの3年間、いわゆるゼロコロナ対策を採り続けてきた。中国全土で感染者が拡大し、すでにゼロコロナ破綻が明らかになっていた時点でも、中国共産党の機関紙「人民日報」には「ゼロコロナ対策は堅持する」の文言がほぼ毎日掲載されていた。(中略)

連日発表される評論の内容は似たり寄ったりで読むのも億劫になるほどだが、「感染拡大が続いてもゼロコロナは堅持する、勘違いするな」と日々釘を刺していたわけだ。

大見得切っている以上、しばらくゼロコロナは続くのではないか。対策の中身は骨抜きにして実質的なウィズコロナに転換するにしても、ゼロコロナ堅持の看板は下げないのではないか。これが筆者を含めて、衆目の一致するところであった。

ところが、11月30日を転換点としてすべてが変わる。

この日に掲載された仲音の評論「コロナ対策ガイドライン第9版を堅持し、20カ条の新規定を着実に実行せよ」を最後に、仲音の評論から「ゼロコロナ」の文字が消える。代わりに「誰もが自分の健康の責任者」という、自己責任を強調するフレーズが登場するようになる。11月30日にはコロナ対策の前線指揮を執る孫春蘭副首相が専門家との座談会に出席し、「中国のコロナ対策は新情勢新任務に直面した」と発言したことが伝えられた。

つまりは11月末時点で決断したということなのだろう。こうして12月7日にゼロコロナ対策を実質的に放棄する「10カ条の措置」が発表される。

中国は「コロナに勝った」と強調
それにしても、あんなにゼロコロナを堅持すると連呼していたのに、急になかったことにするのはアリなのか? 習近平総書記と中国共産党の権威を傷つけることにならないのかが気になっていたのだが、どうやらそのあたりの理論武装もバッチリらしい。(中略)

感染爆発によって企業活動がままならない状況が広がるなか、なんとわれわれはコロナに打ち勝ったという勝利宣言をしている。そのロジックはこうだ。これまでのゼロコロナ対策は人々の命を守るために必要なものであり、ウイルスが弱毒化するまでの時間を稼いだのだ、と。(中略)

ちなみにもはやどうでもいいような話ではあるが、中国のゼロコロナ対策はいまだに撤回されたわけではない。というのも、現行のコロナ対策は「コロナ対策ガイドライン第9版」に準拠しており、そのガイドラインには「動態的ゼロコロナを全面的かつ着実に実施する」との文言があるからだ。20日間で2億4800万人が感染するゼロコロナ、というなんとも不可思議な状況に陥っている。

もっとも、これを不可思議と思うのはごくごく少数で、中国人民の多くは手のひら返しをすんなりと受け止めている。長年にわたり一党独裁が続く国で生きる知恵というべきか。この理不尽な転換も仕方がないと受け止める力が備わっているようだ。

不透明となるコロナ情報
このまま感染が拡大し集団免疫獲得でコロナ終了、が中国共産党の新たなシナリオだろうが、果たして順調に進むかは疑問がある。

感染者のほとんどが軽症、または無症状とはいえ、数億人の感染が社会経済に与えるダメージがどの程度のレベルになるかは不透明だ。いわゆるコロナ後遺症の多発など、想定外の問題が起きる可能性は否めない。

また、数十万から100万人を超える数の死者が出ることは免れられないだろう。死者の多くは基礎疾患を持つ高齢者とはいえ、多くの人が身近な人間の死を経験することで、政府批判に矛先が向かう可能性はある。

政府発表では現在の死者は1日数人、時にはゼロという低レベルだが、実態から乖離していることは間違いない。情報は以前にもまして不透明となった。

ほんの1カ月前には今の中国の状況はまったく予測できなかったわけだが、1カ月後の中国がどうなっているのかも予測しがたい。2023年に入っても不安定な状況が続くだろう。【12月24日 高口康太氏 WEDGE】
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予測しがたい状況ですが、今後について「1つの可能性としては、またゼロコロナ政策に逆戻りすることも考えられる。逆に言えば、今の感染拡大はこれまでのゼロコロナ政策の正しさを証明しているからだ。ただ、ジレンマもあって、11月の輸出、消費の数字がマイナス成長になった。経済沈没に拍車をかけてきたのがゼロコロナ政策であって、逆戻りすればさらなる経済の悪化は避けられない。人の命をとるか、経済をとるのか、決心がついていない状況だ」(評論家の石平氏)【12月24日 ABEMA TIMES】といった声も。

中国経済が混乱すれば、その影響は日本にも及びます。
感染爆発がどこまで進むのか、医療崩壊がどのように起こるのか、地方の状況がそうなるのか・・・今後の展開から目が離せません。
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