孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

イスラエル・イランの「秘密の戦争」 対立先鋭化に苦慮するインド

2012-02-16 21:59:40 | イラン

(2月13日 インド・ニューデリー 爆破され炎上するイスラエル大使館の車 “flickr”より DTN News  http://www.flickr.com/photos/dtnnews/6871990897/in/photostream )

インド・グルジア・タイで対イスラエルテロ
インドの首都ニューデリーとグルジアの首都トビリシで13日、イスラエル大使館に関係する車両に爆発物が仕掛けられる事件が2件起き、更に、タイ・バンコク中心部の住宅街で14日、イラン人グループが手投げ弾などを爆発させる事件が起きており、イスラエルはイランによるテロ攻撃として非難を強めています。

****イスラエル:インドとグルジアの大使館に爆発物 4人負傷****
インドの首都ニューデリーとグルジアの首都トビリシで13日、イスラエル大使館に関係する車両に爆発物が仕掛けられる事件が2件起きた。ニューデリーでは車が爆発し、4人が負傷した。

イスラエルのネタニヤフ首相は両事件を「イランとその代理である(レバノンのイスラム教シーア派民兵組織)ヒズボラの仕業だ」と指弾したが、イラン政府報道官は関与を否定。イランの核兵器開発疑惑を巡る両者の緊張関係がさらに高まりそうだ。

AP通信などによるとニューデリーでは、何者かがイスラエル外交官の車にオートバイで近づき、爆発物を張り付け、爆発させた。外交官の妻らが負傷した。トビリシでは、大使館の現地職員の車に仕掛けられた爆発物が、爆発前に処理された。

イスラエル・メディアによると、事件前日の12日は、ヒズボラのムグニエ司令官が4年前の08年に暗殺された日。またイランでは10年以降、核科学者ばかりを狙った5件の爆弾事件などが相次ぎ、4人が死亡している。イラン政府はいずれの事件にもイスラエルが関与したと批判していることから、イスラエル政府は、在外公館などに報復への警戒を呼びかけていた。【2月14日 毎日】
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****イラン身分証の男 車に手榴弾投げる バンコク****
タイのバンコク東部のスクンビット界隈(かいわい)で14日午後、イラン国籍の身分証明書を所持した男が、タクシーなどに向かって手榴(しゅりゅう)弾を投げつけ爆発し、タイ人の通行人らとこの男の5人が負傷した。

タイ紙ネーション(電子版)などによると、男が他の中東系とみられる2人と暮らしている借家でまず、爆発があった。男は逃走中、乗車を拒否されたタクシーに手榴弾を投げつけた上に、駆けつけた警察官に手榴弾を投げつけようとし、爆発で自身の足が吹き飛ばされ、重傷を負った。

バンコクでは先月、イスラエル人観光客などを狙ったテロ情報があり、レバノン系の男がテロを企てた疑いで逮捕された。13日にはインドとグルジアでイスラエル外交官を狙ったとみられる爆破事件が相次いだ。
イスラエルのバラク国防相は14日、バンコクの爆発事件について「イランとその手先がテロを継続していることが証明された」とイランを強く非難した。【2月15日 産経】
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タイの事件は無茶苦茶な展開ですが、犯人グループの3人目も15日にマレーシアの首都クアラルンプールで現地警察に逮捕されています。
タイ当局者はフランス通信(AFP)に「3人は暗殺チームで、標的は大使を含むイスラエル外交官だった。車に爆弾を仕掛ける計画だった」と指摘しています。

【「イランと国際社会の間で秘密の戦争が続いている」】
一方、“イランでは10年以降、核科学者ばかりを狙った5件の爆弾事件などが相次ぎ、4人が死亡している”ことについては、イラン側はイスラエル情報機関モサドの犯行と非難しており、今回の一連のイスラエルを標的にした事件によって、もとより険悪なイスラエルとイランの関係が一段と厳しくなっています。

****イスラエル・イラン対立深刻化=核開発阻止で「秘密の戦争****
インド、グルジア、タイの3カ国で立て続けに起きたイスラエル大使館員を狙ったとみられる爆弾事件をめぐり、イスラエルとイランの緊張関係が強まっている。イランの核計画に関わった核科学者が次々と暗殺された事件を「イスラエルの仕業」とみるイランが報復したとの観測が浮上しているためだ。

イスラエルの対外情報機関モサドのハレビ元長官は、イランの核開発阻止のために「イランと国際社会の間で秘密の戦争が続いている」と認めている。
「秘密の戦争」の一部とみられているのが、イランの首都テヘランで1月11日に発生した核科学者爆殺で、核計画に関わったとみられる同国の科学者4人がこれまでに暗殺されている。【2月15日 時事】
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イランの核開発の成果アピールで、対立激化の懸念
核兵器開発疑惑で経済制裁を受けるイランは、15日、新型遠心分離機を開発し、核燃料の国産化を成し遂げたことを発表しています。
“核開発の成果アピールには米欧を揺さぶる狙いと、制裁下で不満を強める国民に「強いイラン」を演出する思惑があるとみられる”とのことですが、かねてよりイラン核施設攻撃を噂されているイスラエルが更に態度を硬化させることが予想されます。

****イラン:核開発分野で進展 新型遠心分離機を開発****
イランのアフマディネジャド大統領は15日、核開発分野で進展があったと発表した。ウラン濃縮の時間を短縮できる新型遠心分離機を開発し、国産の核燃料棒を初めて研究炉に装塡(そうてん)したと強調した。イランは米欧の新経済制裁で国際的な孤立を深めており、核開発の成果アピールには米欧を揺さぶる狙いと、制裁下で不満を強める国民に「強いイラン」を演出する思惑があるとみられる。

イラン国営テレビによると、「第4世代」とされる新型遠心分離機は炭素繊維製で、ウラン濃縮能力が従来型よりも3倍高いとされる。濃縮技術が核兵器開発へ応用されることを懸念する米欧やイスラエルが反発を強める可能性がある。
また、国営テレビによると、イラン政府は中部ナタンツの核施設で20%に濃縮したウランを使って核燃料棒を製造。大統領立ち会いの下、燃料棒をテヘランの研究炉に初めて装塡した。研究炉稼働は「医療用アイソトープ(放射性同位体)の生産が目的」(イラン原子力庁)としている。

一方、イランメディアによると、イラン政府は15日、欧州連合(EU)のアシュトン外務・安全保障政策上級代表に書簡を送り、核協議再開の意向を伝えた。具体的な協議内容や日程も記されているという。ただし、核開発を進める一方で協議再開を呼びかけるイランのメッセージを米欧が前向きに受け取る可能性は低い。

イランが核開発の進展を強調する背景には国内事情もある。相次ぐ制裁で経済が疲弊し、国民の不満が高まる中、政府は強力な国家像を示す必要がある。また、反大統領派との権力闘争の渦中にある大統領は「力強い指導者」を印象づけ、3月の国会議員選挙での大統領派の勢力回復や、来年6月の大統領選での側近への権力継承を有利に進めたい考えとみられる。【2月16日 毎日】
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イランの核技術が実際問題としてどの程度のレベルかはよくわかりませんが、アフマディネジャド大統領の発表がなくても、イスラエルの対外情報機関モサドであれば、ある程度はすでに把握しているところではないでしょうか。
ただ、これを機会にイラン攻撃論を更に強めるということは、ありえる展開でしょう。

****対イラン、欧米の反発必至 核開発推進で圧力強化か****
イランが15日、核燃料の自力生産など核開発技術の進展を発表したことで、イランの核兵器開発への疑念を強めてきた欧米やイスラエルの反発は必至だ。米オバマ政権は核開発阻止に向けて制裁強化を打ち出しており、圧力を一層強めると見られる。
パネッタ米国防長官は発表に先立つ14日、米議会上院軍事委員会で、イランの核開発について「重大な懸念だ」と指摘。「あらゆる選択肢も排除しない」とするオバマ大統領の言葉を引用し、軍事的手段も辞さない構えを改めて示した。

イランは米国などの圧力にかかわらず核開発を続けており、大統領選の指名争いをする野党共和党の政治家や米議会から、核施設の攻撃などより強い対応を求める声が高まっている。
ただ、米政府は実際には、イランを「最大の脅威」とするイスラエルがイランへの武力行使に走る事態を強く警戒している。

イスラエルではこのところイラン攻撃説が再燃。今回の発表で政府内の主戦論が強まる可能性も出ているが、武力行使に反発する国も多いとみられ、実際に踏み切れば核開発阻止に向けた国際的な包囲網も崩れる。
イスラエルもこれまでは、国際社会による制裁の強化に主眼を置き、武力行使は「最終手段」とみなしてきた。ただ、インドなどでイランの関与が疑われるイスラエル外交官を標的にした爆破事件が相次ぎ、イランによる挑発が今後も続けばイラン攻撃を支持する世論が高まりそうだ。

国際原子力機関(IAEA)はイランに対し、今月20~21日の日程で2回目の調査団派遣を計画している。だが、1月末に派遣した高官級調査団は核関連施設に立ち入りできず、「疑惑解明に結びつく成果は得られなかった」(外交筋)という。【2月16日 朝日】
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イランとの関係を捨てきれないインド、対応に苦慮
イスラエルとイランの対立先鋭化で、困った立場にたたされているのがインドのようです。
****イランとイスラエル、対立が先鋭化 インド、実利重視外交に難問****
インドの首都ニューデリーで13日、イスラエル大使館員の妻が乗った車が爆発した事件は、イランの関与が指摘され、イラン、イスラエル両国と友好関係を持つインドを困惑させている。仮にイランの関与が立証されれば、同国との関係見直しを求める声がインド内外から強まりそうだ。

事件について、イスラエルのネタニヤフ首相は、「イランが背後にいる」と断言しているが、インド政府は総じてイランを名指しすることを避けている。インドはイランと関係拡大をさらに図ろうとしているだけに、関係発展の障害としたくない思惑がうかがえる。
インドにとってパキスタンとアフガニスタンに隣接するイランは戦略的な重要性を持つほか、莫大(ばくだい)なエネルギー需要を支える第2位の原油輸入先である。

欧米諸国は核開発疑惑でイランへの制裁強化を進めているが、インド政府は近日中に大規模ビジネス訪問団をイランに派遣する方針。また、原油についても、インドはすでに削減した以上の輸入削減はしないと最近米国に伝えた。

今回の事件でイランの関与が立証されれば、イスラエルがインドにイランとの関係見直しを迫る可能性が出てくる。インドがイスラエルの要求に簡単に応じることはないとみられるが、イスラエルもインドに圧力をかけるテコを持つ。
1992年の国交樹立以来、インドにとってイスラエルは主要な武器供給国だ。近年は両国が最も警戒するイスラム過激派に関するテロ情報の共有などで関係強化を図っているほか、貿易も拡大傾向にある。

しかし、イスラエルとイランの対立が深まる中、実利重視のインド外交は、「利害衝突は避けられない状況だった」との声もある。元インド軍情報機関トップのラビ・サハニ氏は、「インドにとってイランとイスラエルとの関係のあり方が難しくなることは明らか」と語る。軍事アナリストのラフル・ボンスレ氏も「両国の代理戦争の犠牲にならないように関係を修正する必要がある」と指摘している。【2月16日 産経】
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インドにとってはイランに関して問題となるのは、イスラエルというより、アメリカでしょう。
****核疑惑」イランが突くインドの急所****
核開発をめぐる経済制裁が続くなか、イラン政府が天然資源を人質に包囲網の一角を突き崩そうとしている。ペルシヤ湾の天然ガス田の共同開発契約に「1カ月以内に」サインするようインド政府に通告したのだ。

イランの核開発には反対しているインドだが、イラン産原油の輸入を禁止する欧米の制裁の輸からは逃れたがっている。最近、原油輸入代金の45%を自国通貨ルピーで支払えるようイランと交渉したのも、イラン中央銀行とのドル決済を規制する制裁を回避するためだ。

急成長するインドは、原油供給の12~15%をイランに依存している。
だが理由はそれだけではない。将来起こり得る中国、パキスタンとの衝突に備え、インド政府はイランとの関係を重視している。

原油の共同開発権を持つインドの共同企業体は、イラン政府に対し50億ドルを投じて今後7年から8年で開発する計画を伝えていた。しかしアメリカのブラックリストに載ることを恐れて、正式契約は結んでいなかった。
イランを捨て天然資源を失うか、アメリカを怒らせるか。インドに残された時間は長くない。【2月22日号 Newsweek日本版】
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イランとアメリカの間での板挟みは、日本も同様です。



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