
(ホワイトハウス近くの「ブラック・ライブズ・マター」の文字を消す作業が始まった(10日、首都ワシントン)【3月11日 日経】)
【「アフリカは未開の地で、新たな危機への対応はできない」というイメージ・思い込み】
新型コロナのパンデミックが広がった当時、医療体制が未発達で衛生環境も良くないアフリカは街中に遺体が溢れるような惨状になるのでは・・・との想像・予測もされましたが、実際にはアフリカで記録された新型コロナによる死者は17万5500人超にとどまり、世界全体の死亡者数700万人の2.5%にすぎませんでした。
(一部、死者数に関する過小報告の側面もあるとしても)このギャップの背景には「アフリカは未開の地で、新たな危機への対応はできない」というイメージ・思い込みがあったように思われます。
****アフリカのコロナ犠牲者17万人超、予想を大幅に下回った理由*****
2020年3月、新型コロナウイルス感染症(COVID−19)が「パンデミック」(世界的な大流行)であると宣言された際、国際社会はアフリカに関して悲観的な予測を立てていた。財源不足で設備の整わない医療体制が崩壊し、数百万人が死亡するだろうと。
同年4月、国連アフリカ経済委員会は、パンデミックの直接的な結果としてアフリカでは最大330万人が命を落とす可能性があると発表した。
5年たった今、世界保健機構(WHO)のデータによれば、アフリカで記録された新型コロナによる死者は17万5500人超にとどまった。世界全体の死亡者数700万人の2.5%にすぎない。
ナイジェリアのパンデミック対策の諮問委員会で委員長を務めたオイェワレ・トモリ氏は「初期の予測はいずれも、アフリカに関する深い科学的知見や研究に基づいたものではなかった」と振り返る。
「ケニアにおける炭疽(たんそ)病、ナイジェリアでのエボラ出血熱、ルワンダでのマールブルグ病やエムポックス(サル痘)に、アフリカの科学者がどのように対処してきたかを忘れていた。コロナ禍では国際的な支援もあったとはいえ、こうした疾病の感染拡大を抑制してきたのは、これら各国の専門知識だった」
アフリカ諸国で報告された感染者数や死者数については、正確性を巡って多少の懸念もある。
WHOは、アフリカ諸国ではリソース不足により欧州や米国に比べ検査件数が少ないと指摘しており、2022年の世界銀行による調査で、ケニアではコロナ禍による死者数が過小報告されていることが判明した。
だが複数の専門家は、アフリカは予想よりも、また他地域と比べてもコロナ禍にうまく対応したとみている。悲観的な予測がされていたのは、疾病感染拡大に関するアフリカの過去の経験、コロナ禍の際の厳格なロックダウン、人口構成の若さといった要素が見過ごされていたためだとの見方もある。
アフリカの公衆衛生専門家は、コロナ禍以前から、国境監視や接触追跡、ソーシャルディスタンス、患者隔離、さらには安全な葬儀の方法に至るまで経験を重ねていたとトモリ氏は言う。
<大陸規模の戦略>
アフリカ疾病管理予防センター(アフリカCDC)で科学・イノベーション総局の責任者を務めるモソカ・ファラー氏は、感染拡大に対処する鍵は、準備と迅速な診断能力だと語る。
2020年2月にアフリカ最初の感染者が確認される前から、アフリカCDCは域内諸国すべての保健担当大臣を招集して、大陸規模の戦略の策定を進めていた。
新型コロナウイルスを検査できる研究所がアフリカに2カ所しかないことが判明すると、ファラー氏は検体を海外に送付するのではなく、研究者らを南アフリカとセネガルに派遣して研修を受けさせた。
「西側諸国の人々は、アフリカには新型コロナを診断する技術がないため、検体を欧州に送るべきだと言っていた。だが私たちは拒否し、自分たちの検査能力を向上させようと決意した」とファラー氏は言う。
アフリカ行きの航空便が運行休止となり、海外で生産される医療用品を確保することが困難になったため、アフリカCDCでは検査キットと個人防護具(PPE)を大陸内で流通させるため、エチオピア航空、世界食糧計画(WFP)と協力したとファラー氏は語る。
さらに、稀少なワクチンやPPEの調達・購入に向けて、WHOやジャック・マー財団など慈善団体、さらにはアフリカ企業の連合組織からの支援を求めた。
ファラー氏によれば、ガーナでは深刻なPPE不足に対処するため、国内生産を開始した。
「埋葬もできないまま街中に多くの遺体が放置されるだろうなどという悲観的な予想を覆したのは、アフリカの人々が自らの状況をしっかり見据え、政府が協調的なアプローチをとったからだ」とファラー氏は言う。
<人口構成の有利さ>
コロナ禍の中、ケニアでカトリック救援事業会(CRS)の医療プログラムを率いたモーゼス・オリンダ氏は、他の要因も影響していると述べた。
「西側諸国に比べて、アフリカ諸国の多くでは、感染封じ込めの措置が厳格だった。若年人口も多く、地域社会への支援も充実している」とオリンダ氏は言う。
アフリカ諸国におけるロックダウン措置は世界でも指折りの厳しさで、住民を外出させまいとして警察が実力行使に及び、議論を招いたこともあった。
ケニアでの葬儀には数百人もの参列者が集まるのが普通だが、15人以上出席させないために警察が動員され、埋葬の儀式も簡略化された。
南アフリカでは兵士や警察官が街路や住宅を巡回し、パーティーや飲酒、あるいはタバコの販売まで取り締まった。いずれも、違反者は収監される可能性さえあった。
オリンダ氏によれば、村落地域であってもウイルスに関する住民の意識は高く、村民から保健当局に対して感染疑い症例の通報もあった。
オリンダ氏は、国際空港における監視は効果的だったが、疑いのある症例を追跡するため地域レベルで、より多くの資源を投入すべきだったと述べた。
さらに公衆衛生専門家は、サハラ砂漠以南のアフリカでは人口の70%が30歳未満であり、新型コロナウイルスに感染しにくかった点を指摘している。
ナイジェリアにおける新型コロナ抗体研究の第一人者でもあるトモリ氏は、ウイルスの感染は広がっていたが、発症する人はそこまで多くなかったことが研究で明らかになったと述べた。高齢者に比べて若者は免疫力が高いためだという。
米国立医学図書館の論文で発表された研究では、アフリカの人口の3分の2はほぼ無症状だったとしており、既知の症例数は少ないものの、複数の調査により免疫レベルの高さが判明しているという。
ファラー氏は、コロナ禍に際して最悪のシナリオには至らなかったとはいえ、医療体制の強化に向けて、特に村落地域におけるコミュニティーレベルでの疾病感染拡大の発見・対応という点で、アフリカ諸国の指導者にはまだやるべきことが残されていると話す。
これによって、局地的な疾病がエピデミック(流行病)へと拡大することを予防できるとファラー氏は言う。
ファラー氏は「医薬品と水、診断機器を備えた、もっと強力で利用しやすい一次医療センターを構築できるようになる必要がある。そうすれば、都市圏の病院に負担をかけることなく、住民が自分の村で治療を受けられるようになる」と話した。【3月15日 ロイター】
同年4月、国連アフリカ経済委員会は、パンデミックの直接的な結果としてアフリカでは最大330万人が命を落とす可能性があると発表した。
5年たった今、世界保健機構(WHO)のデータによれば、アフリカで記録された新型コロナによる死者は17万5500人超にとどまった。世界全体の死亡者数700万人の2.5%にすぎない。
ナイジェリアのパンデミック対策の諮問委員会で委員長を務めたオイェワレ・トモリ氏は「初期の予測はいずれも、アフリカに関する深い科学的知見や研究に基づいたものではなかった」と振り返る。
「ケニアにおける炭疽(たんそ)病、ナイジェリアでのエボラ出血熱、ルワンダでのマールブルグ病やエムポックス(サル痘)に、アフリカの科学者がどのように対処してきたかを忘れていた。コロナ禍では国際的な支援もあったとはいえ、こうした疾病の感染拡大を抑制してきたのは、これら各国の専門知識だった」
アフリカ諸国で報告された感染者数や死者数については、正確性を巡って多少の懸念もある。
WHOは、アフリカ諸国ではリソース不足により欧州や米国に比べ検査件数が少ないと指摘しており、2022年の世界銀行による調査で、ケニアではコロナ禍による死者数が過小報告されていることが判明した。
だが複数の専門家は、アフリカは予想よりも、また他地域と比べてもコロナ禍にうまく対応したとみている。悲観的な予測がされていたのは、疾病感染拡大に関するアフリカの過去の経験、コロナ禍の際の厳格なロックダウン、人口構成の若さといった要素が見過ごされていたためだとの見方もある。
アフリカの公衆衛生専門家は、コロナ禍以前から、国境監視や接触追跡、ソーシャルディスタンス、患者隔離、さらには安全な葬儀の方法に至るまで経験を重ねていたとトモリ氏は言う。
<大陸規模の戦略>
アフリカ疾病管理予防センター(アフリカCDC)で科学・イノベーション総局の責任者を務めるモソカ・ファラー氏は、感染拡大に対処する鍵は、準備と迅速な診断能力だと語る。
2020年2月にアフリカ最初の感染者が確認される前から、アフリカCDCは域内諸国すべての保健担当大臣を招集して、大陸規模の戦略の策定を進めていた。
新型コロナウイルスを検査できる研究所がアフリカに2カ所しかないことが判明すると、ファラー氏は検体を海外に送付するのではなく、研究者らを南アフリカとセネガルに派遣して研修を受けさせた。
「西側諸国の人々は、アフリカには新型コロナを診断する技術がないため、検体を欧州に送るべきだと言っていた。だが私たちは拒否し、自分たちの検査能力を向上させようと決意した」とファラー氏は言う。
アフリカ行きの航空便が運行休止となり、海外で生産される医療用品を確保することが困難になったため、アフリカCDCでは検査キットと個人防護具(PPE)を大陸内で流通させるため、エチオピア航空、世界食糧計画(WFP)と協力したとファラー氏は語る。
さらに、稀少なワクチンやPPEの調達・購入に向けて、WHOやジャック・マー財団など慈善団体、さらにはアフリカ企業の連合組織からの支援を求めた。
ファラー氏によれば、ガーナでは深刻なPPE不足に対処するため、国内生産を開始した。
「埋葬もできないまま街中に多くの遺体が放置されるだろうなどという悲観的な予想を覆したのは、アフリカの人々が自らの状況をしっかり見据え、政府が協調的なアプローチをとったからだ」とファラー氏は言う。
<人口構成の有利さ>
コロナ禍の中、ケニアでカトリック救援事業会(CRS)の医療プログラムを率いたモーゼス・オリンダ氏は、他の要因も影響していると述べた。
「西側諸国に比べて、アフリカ諸国の多くでは、感染封じ込めの措置が厳格だった。若年人口も多く、地域社会への支援も充実している」とオリンダ氏は言う。
アフリカ諸国におけるロックダウン措置は世界でも指折りの厳しさで、住民を外出させまいとして警察が実力行使に及び、議論を招いたこともあった。
ケニアでの葬儀には数百人もの参列者が集まるのが普通だが、15人以上出席させないために警察が動員され、埋葬の儀式も簡略化された。
南アフリカでは兵士や警察官が街路や住宅を巡回し、パーティーや飲酒、あるいはタバコの販売まで取り締まった。いずれも、違反者は収監される可能性さえあった。
オリンダ氏によれば、村落地域であってもウイルスに関する住民の意識は高く、村民から保健当局に対して感染疑い症例の通報もあった。
オリンダ氏は、国際空港における監視は効果的だったが、疑いのある症例を追跡するため地域レベルで、より多くの資源を投入すべきだったと述べた。
さらに公衆衛生専門家は、サハラ砂漠以南のアフリカでは人口の70%が30歳未満であり、新型コロナウイルスに感染しにくかった点を指摘している。
ナイジェリアにおける新型コロナ抗体研究の第一人者でもあるトモリ氏は、ウイルスの感染は広がっていたが、発症する人はそこまで多くなかったことが研究で明らかになったと述べた。高齢者に比べて若者は免疫力が高いためだという。
米国立医学図書館の論文で発表された研究では、アフリカの人口の3分の2はほぼ無症状だったとしており、既知の症例数は少ないものの、複数の調査により免疫レベルの高さが判明しているという。
ファラー氏は、コロナ禍に際して最悪のシナリオには至らなかったとはいえ、医療体制の強化に向けて、特に村落地域におけるコミュニティーレベルでの疾病感染拡大の発見・対応という点で、アフリカ諸国の指導者にはまだやるべきことが残されていると話す。
これによって、局地的な疾病がエピデミック(流行病)へと拡大することを予防できるとファラー氏は言う。
ファラー氏は「医薬品と水、診断機器を備えた、もっと強力で利用しやすい一次医療センターを構築できるようになる必要がある。そうすれば、都市圏の病院に負担をかけることなく、住民が自分の村で治療を受けられるようになる」と話した。【3月15日 ロイター】
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もちろん、議論すべき点はあります。
アフリカ諸国で“感染封じ込めの措置が厳格”だった・・・ということも、裏を返せば、(中国でも話題になったように)封鎖された地域に取り残された人はどうなったのか? という話にもあります。
かつてエボラ出血熱が猛威をふるった際の封じ込め策も熾烈でした。そこには日本や欧州のような人権云々が入り込む余地はありませんでした。
そういうことがあるにしても、アフリカが特有の疫病多発の経験から、そうした事態への経験と知識を備えており、アフリカ諸国が効果的にパンデミックに対応できるスキル・能力を有しているという点で、国際社会は従来のイメージにとらわれていたと言えるようです。
蛇足ながら、このことはアフリカへの医療的国際支援が必要ない・・・ということではありません。
****米のWHO脱退、アフリカで反発 感染症対策に悪影響「落胆した」****
トランプ米大統領による米国の世界保健機関(WHO)脱退表明を受け、エムポックス(サル痘)など感染症への対応が課題のアフリカで反発が相次いでいる。最大の資金拠出国である米国が離脱すれば対策に悪影響が出かねず、アフリカ連合(AU)高官は「落胆した」として再考を促した。
マラリアやエボラ出血熱といった感染症に悩まされてきたアフリカには財政的に脆弱な国が多く、ワクチン不足や検査体制の不備を改善するためにWHOや先進諸国の支援を受けてきた。
昨年以降コンゴ(旧ザイール)を中心に拡大したエムポックスを巡っては、日本などからのワクチン供与に向けてWHOが奔走。ロイター通信によると、エイズ対策で米国の支援を受けてきた南部ジンバブエのヌーベ財務相は、WHO離脱が米国による他の支援枠組みにも影響を与えかねないとして「恐怖を感じている」と訴えた。
エムポックスは昨年、アフリカ21カ国で疑い例を含む7万7千件以上が確認され、収束の見通しは立っていない。【1月25日 共同】
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【土地収用新法をめぐる南アフリカと米トランプ政権の対立】
アフリカは多くの疫病、貧困、紛争に昔も今も苦しんでいますが(単にそうしたネガティブな側面だけでは見る野は前述のような誤りにつながるもので、実際には、その一方で急速な経済成長をとげている地域でもあります)、そうした問題の多くがかつての植民地支配の負の遺産でもあります。
単に資源の収奪といったことにとどまらず、差別的な社会体制につながったのが南アフリカにおける人種隔離政策アパルトヘイトでした。
南アフリカはそのアパルヘイトとの戦いの過程で現在の国家を築いてきましたが、今なお制度的差別はなくなっても資産面で人種間の経済格差は大きく、この格差にどう対応するかは大きな問題です。
穏健なアプローチで時間をかけて・・・という考えもある一方で、「これ以上は待てない」と急速な方法、例えば白人所有地の収用・配分といった方法を主張する考え方もあります。
そうしたなかで南アフリカの土地収用新法をめぐって、南ア出身白人のマスク氏の影響もあって、白人に差別的な政策を行っているとしてトランプ政権が南ア政府と対立、南アで開催されたG20外相会議にルビオ米国務長官が欠席するなど混乱していることは、2月6日ブログ“南アフリカの土地収用新法を白人差別と批判するトランプ大統領 “負の歴史の清算”を求める南ア黒人層”でも取り上げました。
トランプ大統領は2月7日に南アフリカへの経済援助や支援を停止する大統領令に署名し、人種差別で財産を奪われるヨーロッパ系難民のアメリカへの受け入れを進めるとしています。
南アの白人団体は「私たちはここで未来を築くことを誓っている。どこにも行かない」とトランプ大統領が提案する移住は拒否する方針です。
この問題は南アの駐米大使をトランプ政権が国外追放する事態にまでこじれています。
****米、南ア大使に国外退去要請 「トランプ氏を憎悪」****
マルコ・ルビオ米国務長官は14日、南アフリカのエブラヒム・ラスール駐米大使が米国とドナルド・トランプ大統領を憎悪しているとして、「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」に指定して国外退去を求めたと明らかにした。
ルビオ氏はX(旧ツイッター)でラスール氏について、「わが国ではもはや歓迎されない」「米国と米大統領を憎悪する人種差別的な政治家だ」と批判。「彼と話し合うことは何もないので、ペルソナ・ノン・グラータと見なしている」と続けた。
米国が外国大使を国外退去させるのは極めて異例。
トランプ政権と南ア政府は、南アの土地収用法をめぐって対立している。
トランプ氏は2月、1月に署名された法律により南ア政府は白人農場主の農地を補償なしで押収できるようになると批判し、対南ア支援を停止した。
先週には、南ア政府が白人農場主から土地を「没収」していると非難し、土地を奪われた農場主が米国に移住することを歓迎すると表明。
自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に「安全上の理由で南アを逃れようとしている農場主は誰でも(その家族も!)米国に招待する。市民権も迅速に取得できる」と投稿した。
トランプ氏の側近の一人、イーロン・マスク氏も、自らの出身国である南アのシリル・ラマポーザ政権が「あからさまに人種差別的な土地収用法」を施行していると批判している。
南アで土地所有権は論争の的になっている。同国はかつて、多数派の黒人から政治的・経済的権利を剥奪する残忍な人種隔離政策「アパルトヘイト」の下で、英国系とオランダ系の白人入植者に支配されていた。アパルトヘイトは1994年に撤廃されたが、それから30年以上が経過した今も、少数派の白人が農地の大半を所有しており、政府は改革を迫られている。
ルビオ氏がXへの投稿に記事のリンクを貼った保守系ニュースサイト「ブライトバート・ニュース」は、ラスール氏が14日にライブ配信型の外交政策セミナーで発言した内容を取り上げている。
ブライトバートによれば、ラスール氏は、「トランプ氏は白人至上主義に突き動かされ、『現在の世界の覇権秩序』を『軽んじている』」と主張し、トランプ氏の「MAGA(米国を再び偉大に)」運動についても、「米国の人口統計上、多様性が増大している現状への白人至上主義の反発」との見方を示している。
若い頃に反アパルトヘイト運動に参加していたラスール氏は、パレスチナ自治区ガザ地区の紛争をめぐってもイスラエル政府に怒りを表明している。
2月にはニュースサイト「ゼテオ」のインタビューで、南ア人がアパルトヘイト下で経験したことが「パレスチナでさらにひどい形で行われている」と語っていた。 【3月15日 AFP】
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南アフリカ大統領府は15日、アメリカのこの決定に「遺憾」の意を表し、外交儀礼を順守するよう促していますが、同時に「南アは、米国との互恵関係を築くことに引き続き尽力していく」とも。
【トランプ政権のDEI推進撤回】
南アの土地政策、追放になった南ア駐米大使が白人へ差別的なのか、それとも、トランプ政権が白人至上主義に染まっているのか・・・・
****米教育省、「人種排斥行為」の疑いで45大学を調査 DEIプログラムめぐり****
米教育省は14日、ドナルド・トランプ大統領が白人学生への差別だと主張する「多様性・公平性・包括性」プログラムをめぐり、45大学の調査を開始した。
リンダ・マクマホン教育長官は声明で、「すべての学生を違法な差別から守るため、教育省は公民権の執行の方向転換に取り組んでいる」「学生は肌の色で先入観を持たれることなく、能力と成績によって評価されなければならない」と述べた。
「人種排斥行為に関与した疑い」で調査対象となっている45大学には、名門8大学から成るアイビーリーグのコーネル大学とエール大学の他、マサチューセッツ工科大学やシカゴ大学、カリフォルニア大学バークレー校などの主要大学が含まれている。
教育省は45大学について、少数派グループのメンバーが博士号を取得するのを支援する非営利団体「博士号プロジェクト」と提携したことで、1964年公民権法に違反した可能性があると指摘。
博士号プロジェクトについて、「博士課程の学生に対し、博士号取得やネットワーク構築の機会に関する見識を提供するのを目的としているが、人種に基づいて参加資格を制限している」と続けている。
教育省は上記45大学に加えて、「人種に基づく奨学金が導入されるか、差別待遇が行われている疑い」で、7大学の調査を開始したとも明らかにした。
教育省は先月、全米の学校に書簡を送り、「この国の教育機関で広まっている人種差別は、公然のものであれ非公然のものであれ、容認しない」と明言。
「法律は明確だ。多様性、人種の均衡、社会正義、公平性などの漠然とした目標を達成するために、学生の人種に基づいて異なる扱いをすることは、最高裁判所の判例によると違法だ」と主張した。
トランプ氏は就任後間もなく、連邦政府のDEIプログラムを廃止した。同プログラムは歴史的な不平等の是正を目的としているが、トランプ氏は特に白人男性に不利益をもたらすと主張している。 【3月15日 AFP】
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上記の問題では、日本人などアジア人は不利益を被ってきた側になりますので、喜ばしいことに思えるかも。
ただ、多くの問題での単なる形式的平等性の主張は、社会に現に存在する不平等を是認する結果にもなりがちです。
トランプ大統領は「多様性・平等性・包摂性(Diversity, Equity, and Inclusion、DEI)」推進の方針を撤回する大統領令に署名していますが、一連の動きは行き過ぎたDEIの是正なのか、あるいは白人至上主義的なものなのか・・・議論はあるところで、両方の側面があるようにもおもえますが、個人的にはトランプ氏の考えには「アメリカは白人の国」みたいな白人至上主義的色合いが強く、それを歓迎する支持層と強く共鳴しているように危惧しています。
白人警官による黒人男性の暴行死事件をきっかけに全米で抗議運動が起きた2020年に米首都ワシントンのホワイトハウスに近い道路上に描かれた「ブラック・ライブズ・マター(BLM=黒人の命は大切だ)」の文字を消す作業が、共和党の圧力で3月10日に始まりました。