孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

ウズベキスタン  前独裁政権と決別し、「改革」を進める現政権

2019-11-11 10:02:06 | 中央アジア

(ティムールの故郷にたつ銅像)

ここ数年のウズベキスタンの政治・社会を表すキーワードは「改革」でしょう。

その「改革」の出発点となったのが、独裁者カリモフ大統領の死亡でした。

 

****<ウズベキスタン>内政の不安定化懸念 カリモフ大統領死去****

ウズベキスタンで2日死去が発表されたイスラム・カリモフ大統領(78)の葬儀が3日、故郷の中部サマルカンドで営まれた。独裁体制を敷いた初代大統領の死去が内政の不安定化につながらないか懸念される。

 

国外の専門家らは、葬儀委員長に選ばれたミルジヨエフ首相(59)が最有力の後継者候補との見方を示している。(中略)

 

ロシアの中央アジア専門家、グロジン氏は「ウズベキスタンのエリートたちは体制維持を望んでおり、後継者問題を円満に解決できるだろう」とタス通信に語った。

 

カリモフ氏は技師出身で旧ソ連共産党員として出世し、ソ連ウズベク共和国党第1書記を経て1990年に共和国大統領になった。91年の直接選挙で独立後の初代大統領に選ばれ、昨年3月の選挙まで連続4選を重ねた。【2016年9月3日 毎日】

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“同国がソ連から独立した1991年をまたいで政権を握り続けたカリモフ氏の支配は拷問と強制労働に支えられていたと人権団体は主張している。カリモフ氏は国外から、一切の批判を容赦なく弾圧する「最も残酷な独裁者の一人」と呼ばれていた。”【2016年9月4日 AFP】

 

2016年12月4日に実施された大統領選で、首相のシャフカト・ミルジヨエフ大統領代行(59)が得票率88・61%で圧勝し、次期大統領に。

 

「ウズベキスタンのエリートたちは体制維持を望んでおり・・・」とのことですが、ミルジヨエフ大統領は政治・経済・社会の改革を急速に展開しています。

 

****シルク大国の夢再び 「インスタ映え」ウズベキスタン、ビザ免除で開放路線走る****

中央アジアに一体化の機運

グローバル化が進み、大陸内奥で山々に囲まれた中央アジア諸国もつながり、開いていく。ウズベキスタンでは養蚕・絹産業が復活、さらに地域大国として改革が進むことが期待され、中央アジアとしての一体感が出始めている。

 

■「新しいシルク時代の到来」

繭をゆでる生臭い湯気と、糸を紡ぐ機械音のなかで、女性たちは慣れた手つきで仕事をしていた。かつてシルクロードの要衝として栄えたウズベキスタンの古都ブハラにある製糸工場。社長のバフティヨル・ジュラエフ(39)は「忙しくて休みもなくなったが、新しいシルクの時代の到来だ」と笑顔で語った。

 

実は、ウズベキスタンは1000年を超える養蚕の歴史を持つ。ソ連時代は周辺国に繭や生糸を輸出していた。しかしソ連が崩壊し、独立すると政府の買い上げがなくなった。経済も停滞、中国産が台頭して養蚕業は衰退した。

 

約90年前に創業したジュラエフの会社も、この20年間に2度の倒産を経験した。

 

養蚕・絹産業の復活を試みた政府は、2009年から本格的に日本の技術的支援を受け始めた。さらに、経済改革を掲げて16年に就任した大統領ミルジヨエフ(61)が絹産業の振興方針を示したことが追い風になった。(中略)

 

従業員女性(39)は「給料が増え、夫は出稼ぎに行かなくても済むようになった」と話した。

 

■新大統領が走る開放路線 観光も活性化

1991年の独立以来、大統領職にあったカリモフが2016年に78歳で死去。後継のミルジヨエフは孤立主義的な外交、経済政策の転換に着手した。

 

ウズベキスタン出身で中央アジアの政治に詳しい筑波大大学院准教授のティムール・ダダバエフ(43)は「ミルジヨエフは改革を進めて、ウズベキスタンを国際物流における中央アジアの中心に位置づけたい考えだ。経済が活性化すれば、ウズベキスタンの地域大国としての地位も高まる」との見方を示した。

 

開放で観光も活性化している。昨年2月、日本や韓国など7カ国の観光客について30日以内の滞在であればビザ不要にした。7月には101カ国に対し、5日間のビザなし滞在を認める大統領令を出した。中央アジアの中でも世界遺産をはじめ見どころが多く、「インスタ映えする」と日本からの若い観光客も急増、前年比50%近い伸びだという。(中略)

 

■「ロシアは警察官、中国は銀行員」

隣国カザフスタンの政治評論家、ドスム・サトパエフ(44)は「中央アジアは地域としてまとまる意識が希薄だったが、最大の人口を擁するウズベキスタンの改革で一体感が芽生え始めている」と話す。

 

とはいえ、旧ソ連時代から強固な関係を持つロシアの中央アジアに対する軍事的・戦略的な「既得権益」への関心は高い。一方、経済的な中国のプレゼンスは日に日に高まっている。

 

カザフスタン戦略研究所の元所長で現在は国営放送局理事長のエルラン・カリン(42)は両国を「中央アジアにとってロシアは警察官、中国は銀行員」と表現した。【2月5日 GLOBE+】

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特に、カリモフ前大統領との決別を明確に示したのが、同氏親族の不正を追及し、逮捕した件でした。

 

“(カリモフ前大統領の娘で元歌手の)カリモワ被告は2017年、ウズベキスタンで詐欺と資金洗浄の罪で禁錮5年の有罪判決を受けて自宅軟禁下にあったが、ウズベキスタン当局は今週、軟禁条件に違反したとして同被告を収監したと明らかにしていた。”【3月8日 AFP】

 

カリモワ被告に関しては、アメリカ検察当局は3月7日、ロシア通信大手と共謀して総額8億6500万ドル(約960億円)を超える賄賂を受け取り、約10年にわたってマネーロンダリング(資金洗浄)を行っていたとして、「海外腐敗行為防止法」違反で起訴しています。

 

こうしたウズベキスタンの前大統領との決別は、中央アジアの他の独裁国にも影響を与えており、隣国カザフスタンで長期政権を維持してきたナザルバエフ大統領は3月19日、辞職を表明しています。

 

自身の政治力があるうちに「院政」を敷く形で、長女など親族への権力移譲を可能にする道筋をつけようとする目的に沿ったものと見られています。

 

ウズベキスタンで進む改革に、下記のような”熱い“期待も。

 

***** 中央アジアの隆盛が再び*****

中央アジアは、現在先進国に遅れ地政学的にも孤立気味なので世界から忘れられそうな存在になっている。

 

しかし、紀元前1000〜2000年前は、東西を結ぶシルクロードの中心のオアシス都市として栄え、東西の文物が行き交った文化・文明の中心地だった。青いモスクや美しい建物にその面影をはっきりと残している。

 

時代はいま日本や欧米の先進諸国に元気がなく、中国や東南アジア諸国などが成長を遂げて投資を集めている。

 

中央アジア地域も平均年齢が20〜30代で人口が急増し(20年前のウズベキスタンの人口は2200万人だったが、現在は3200万人)、2025年には1億人に達するとの予測もある。人口増大は成長の柱であることを考えると、21世紀半ばには再びウズベキスタンを中心とする中央アジアの時代がやってきそうな予感がする。【9月20日 嶌信彦氏 JAPAN In-depth】

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ほんの数日の観光旅行でも、ホテル・レストランの対応など、多くの課題が存在していることはすぐにわかりますが・・・・

 

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