孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

中国 桂林・張家界観光 ロープーウェイ乗り場で従順に待つ人々を見て思うこと

2019-07-27 21:43:55 | 中国

(張家界のロープーウェイ乗り場で順番を待つ人々 写真に写っているのは、長蛇の列のほんの一部です。)

 

【中国ショーにおける伝統文化】

現在、中国南部を旅行中です。

一昨日の寝台列車で桂林から移動し、昨日・今日は映画「アバター」の舞台とされる張家界を観光しています。

 

昨日、例によって夜に少数民族文化をモチーフにしたショーが開催されているということで、「まあ、せっかくここまで来たのだから、ホテルの部屋でパソコンをいじっているよりよかろう」と思って、鑑賞してきました。

 

結果は、“銭失い”でした。

東南アジア各地に伝統芸能を外国観光客に見せるエンタテイメントはあります。カンボジアのアプサラダンスや、インドネシア・バリ島のガムラン演奏やバロンダンス等々。

 

それらはもちろん、観光客用にアレンジさえていますが、程度の差はあれ、一応、伝統文化のスタイルは維持されています。

 

しかし、中国で「少数民族のショー」と言うと、要するに少数民族風の衣装を着用した出演者が繰り広げる、創作ダンス、雑技、コント、ファッションショーの類です。

 

そこには、微塵も少数民族固有の文化は存在しません。

 

改めてそのことを確認したショーでした。

漢族から見た少数民族世界・・・という問題は、陽朔の超大型ショー見学の際にも書きましたので、今回はパス。

 

それ以外に、今回目に付いたのは、外国人用にスクリーンに解説が表示もされるのですが、それが英語・ハングル・ベトナム語で、日本語はないという点。

 

数年前に見たショーでも同様でした。

これは単に、日本人観光客の数が少ないということの現れなのか、それとも、日本語を表示することに躊躇するものが中国側にあるのか・・・・そのあたりはわかりません。

 

【良い席目指して我先にと殺到する人々】

ショーは最初屋内で1時間ほど行われ、その後に劇場前の屋外にステージを移動して行われる形。

屋内は指定席ですが、屋外は自由席。

 

そうなると、屋内ショー終了時点で、屋外ステージのいい席を確保したいという観客が殺到するだろう・・・・ということは容易に想定できます。

 

実際、そのような展開になりましたが、別にこれを嗤うつもりもありません。

私も、本音ではいい席が欲しいとは思っていますが、ただ、我先にと殺到するのは見苦しいという意識で抑制しているだけです。

 

よく中国人はメンツを重視すると言われますが、いい席を求めて殺到するような見苦しいまねはしたくないというのは、一種の日本人のメンツでしょう。

 

何に対してメンツを考えるかの違いです。

 

【ロープーウェイ乗り場の順番待ちで異様に従順な人々】

いずれにしても、我先にいい席に殺到するように、中国の人は自分の利益を確保することに躊躇がありませんが、その一方で、日本人からすると異様に従順というか、長いものに巻かれるようなところも。

 

今日、観光中にロープーウェイの順番待ちで長蛇の列ができていました。

 

中国の観光地は、今や大勢の中国人民が押し寄せていますので、バス乗り場等でこうした長蛇の列ができることは、ごく普通のことです。

 

そうした状況に対応して、文字通りのピストン輸送が行われますので、長蛇の列とは言いつつも、10分、15分待てば乗り込むことも可能です。

(もっとも、一昨日は気温37℃ そんな状況で大勢の人ごみのなかで順番を待つのはとても大変。そのせいもあって昨夜から風邪気味で体調を崩しています)

 

でもって、今日のロープーウェイ順番待ちの列ですが、これがまったく動きません。

20分ほども止まったまま。

 

先頭で様子を見ているガイド氏に電話して確認したところ、「点検作業が実施されている」とのこと。

 

どういう理由で点検作業が行われたのか知りませんし、安全のために必要なことであればやむを得ないことです。

 

でも、暑い中を並んでいる者の本音としては「こんなときに点検なんかするなよ!やるなら営業時間外にやれよ!」というのが本音。

 

この間、どういう理由でストップしているのかの説明もありません。

 

でも不思議なぐらい中国人民は文句も言わず、並び続けています。

日本なら「どうなっているの? あとどのくらいかかるの? 早くしてよ!」といった苛立ちの声が上がるところです。

 

あとで、そのあたりをガイド氏に聞くと、「中国ではこういうことはよくあることなので、誰も文句を言いません」とのこと。

 

大げさに言えば、中国4千年の歴史のなかで培われた、権力に逆らわずに暮らすことが生き延びるために不可欠であるという、長いものに巻かれやすい意識でしょうか。

 

歴代王朝を引き継ぐ中国共産党支配に対しても、政府や当局・金持ちのやることに文句を言っても自分が損するだけだ・・・という意識でしょうか。

 

人民レベルで他人の足を引っぱってでも自分の利益を目指すという風潮と、「お上」のやることに従順な風潮が対照的ということで興味深い光景でした。(結局、ロープーウェイに乗るまでに50分かかりました)

 

もっとも、中国では土地強制収用などを巡って、超頻繁に住民抗議が起きており、ときに暴力沙汰になることも珍しくありません。

 

おとなしく文句も言わず順番を待つ人民と、頻発する過激な抗議行動・・・・これがどう関係するのかは知りません。

従順に従っているように見えても不満が鬱積しており、抗議行動を主導するような核になる存在があれば、その不満が一気に噴出するということでしょうか。

 

*****共産党の会議会場で爆発、幹部ら20人けが 中国・四川*****

中国内陸部・四川省綿陽市石馬鎮で26日、住宅地にあるビル1階で爆発が起きた。中国メディアによると、現場のビルでは当時、地元の共産党幹部が会議を開いており、20人が重軽傷を負った。警察は容疑者の男を拘束したという。

 

共産党四川省委員会の機関紙、四川日報などによると、爆発は26日午前11時50分(日本時間同日午後0時50分)ごろに発生した。

 

この地区では再開発事業に関連した住民の強制立ち退きが進められており、爆発があったビルには事業の拠点事務所が入居。党幹部らは立ち退き絡みの会議を開いていたとみられる。

 

これまでも、立ち退きに反対する住民らによる暴力事件が起きていたという。【727日 朝日】

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そういうことであれば、習近平国家主席もおちおち枕を高くして寝ることはできないかも。

そのあたりが、共産党が体制維持のための取り組みに躍起になる所以かも。

コメント
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