孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

イラン  ウラン濃縮施設への「サイバー攻撃」?

2010-11-24 19:57:01 | 国際情勢

(猫も杓子もサイバー攻撃 “flickr”より By Glo Stick
http://www.flickr.com/photos/glo_stick/3885104679/ )

【「スタックスネット」】
「サイバー攻撃」「サイバーテロ」という言葉は最近よく目にしますが、素人にはその実態はよくわかりません。
今日の「イランのウラン濃縮施設のすべての遠心分離機がコンピュータウイルスによって停止した可能性も」という話題も、恐るべき真実なのか、それとも眉唾ものの話なのか・・・?

****イラン:遠心分離機が一時停止…IAEA報告書****
核兵器開発の疑いが持たれているイランで今月中旬、ウラン濃縮施設のすべての遠心分離機が一時的に停止していたことが23日、国際原子力機関(IAEA)の報告書で明らかになった。原因などは明らかにされていないが、専門家の間では、新種のコンピュータウイルスによる「サイバー攻撃」説も浮上している。
 ◇「サイバー攻撃」説も
毎日新聞が入手したイラン核問題に関する天野之弥IAEA事務局長の報告書によると、イラン中部ナタンツのウラン濃縮施設で今月16日、約8400台の遠心分離機がすべて停止していることが確認された。イランは22日、同日までに約4600台が再稼働したとIAEAに報告した。報告書は停止期間や原因には触れていない。
同施設では近年、遠心分離機の稼働率の低下が目立っていた。09年2月は約7割だったが、今年8月末までに約4割に低迷。今月5日に6割弱の稼働が確認された後、一時停止し、再稼働した模様だ。
イランの遠心分離機の主力は「P1(IR1)型」と呼ばれる旧型機。超高速の回転軸はわずかなズレなどで故障しやすく、国連安保理制裁下の同国にとって必要部品の調達や開発は困難だ。

だが、こうした技術的な問題だけでなく、「スタックスネット」と呼ばれるウイルスの標的になっている疑いが浮上。特定の産業制御システムに狙いを定めることができるウイルスにより、遠心分離機の回転速度が操られ、故障に追い込まれているとの見方だ。極めて高度なプログラムや標的を限定した特殊性から、国家レベルの関与も疑われる。
しかし、イランのサレヒ原子力庁長官は23日、ウイルス被害で濃縮施設が停止したとの報道を全面否定。今年9月にも、イラン南部のブシェール原発にウイルス被害が出たとの報道があったが、この際も否定している。(後略)【11月24日 毎日】
*******************************

【イスラエル当局者は最近、関与などについて尋ねられると、笑顔を見せているという】
イランの原子力施設と言えば、イスラエルが空爆・破壊したがっていますが、今回「サイバー攻撃?」にもイスラエルの関与を疑う向きもあるとか。

****ウイルス、イラン核施設標的説に現実味 米社明らかに*****
産業制御システムを乗っ取るウイルス「スタクスネット」が、ウラン濃縮などに使われる遠心分離器を誤作動させるのに最適な設計になっていることがわかった。スタクスネットの感染は、イランに集中しており、同国内の核施設が標的との説が現実味を帯びることになる。
米セキュリティーソフト大手シマンテックが公式ブログで明らかにした。同社によると、スタクスネットは、超高速回転するモーターの回転数を制御する装置の回転数を急に変動させることで、遠心分離器を誤作動させる設計になっていた。
この種の制御装置の用途は、核燃料や核兵器の製造のためのウラン濃縮装置などに限られる。また、スタクスネットは、フィンランドまたはイランに本社があるメーカー2社の製品だけに影響することもわかった。

スタクスネットの感染はイランなどに集中しており、プログラムにはイランへの警告とも受け取れる旧約聖書の登場人物を暗示する単語が書き込まれていることも判明。イランの核開発を恐れるイスラエルの関与を疑う見方があるが、19日付米紙ニューヨーク・タイムズによると、イスラエル当局者は最近、関与などについて尋ねられると、笑顔を見せているという。【11月20日 朝日】
******************************

【少なくとも5か国が「サイバー兵器」を所持】
まあ、本当のところはよくわからない話です。
今回は北朝鮮はオーソドックスに砲弾を撃ち込んでいますが、今や世界では「サイバー軍拡競争」が進行しているそうです。

****「サイバー軍拡競争」が加熱、米マカフィーCEOが警告****
世界20か国余りが「サイバー軍拡競争」に参加していて、インターネット上での「戦闘」ぼっ発の懸念が高まりつつある――。
米コンピューター・セキュリティ企業マカフィーのデイブ・デウォルト最高経営責任者(CEO)兼社長が、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)出席のため訪れているスイス・ダボスで、AFPの取材に応じた。

■5か国が「サイバー兵器」装備か
デウォルトCEOによると、各国政府はコンピューター・システム上では伝統的に守備的な立場を取りがちだったが、最近は姿勢を転換しているという。「より攻撃的な態度に移行しつつあることは明らかだ」
サイバースペースで展開されている「サイバー軍拡競争」の参加国のうち、マカフィーの調査で少なくとも5か国が「サイバー兵器」を所持していることが確認された。米国、中国、ロシア、イスラエル、フランスだとしている。
「現在、20か国以上の政府がサイバー戦争やサイバー諜報などに備え、武装している。サイバースペースで軍拡競争が起きている」

■急増する攻撃、損失は1日5億円超
マカフィーが過去1年で新たに発見したスパイウエア、ウイルスソフトといった悪意のあるソフトウエアは、前年に比べ5倍も増えたという。これは、過去5年間に発見された数より多いとデウォルトCEOは話す。
マカフィーが企業のIT・セキュリティー責任者約600人を対象に行った最新調査では、自社のネットインフラが受けたサイバー攻撃に他国政府が関与していると考えているとの回答は60%に上った。最も大きな脅威としては36%が米国、33%が中国を挙げた。
また、世界中でサイバー攻撃による損失は日額630万ドル(約5億7000万円)、年にして17億5000万ドル(約1573億円)に上るとの試算も明らかになった。
サイバースパイの攻撃先としては、コンピューター管理が進んでいる発電所や石油精製所などが上位に入ったという。

サイバー戦争について警鐘を鳴らすのは、デウォルトCEOが初めてではない。前年10月には、国連の専門機関、国際電気通信連合(ITU)のハマドゥーン・トゥレ事務総局長が、次の世界大戦はサイバースペースで起きるかもしれないと警告している。【1月29日 AFP】
****************************

【米中:サイバー司令部創設】
アメリカ、中国などはサイバー司令部を立ち上げて「サイバー攻撃」に対する防衛(あるいは、「サイバー攻撃」能力の拡充)に努めています。

****米国:サイバー司令部が始動 政府機関のネット空間守る*****
米国防総省は5月21日、敵国やハッカーのコンピューター侵入に対抗する「サイバー司令部」を同日から始動すると発表した。司令部は東部メリーランド州のフォートミード陸軍基地に置かれ、各軍を束ねて米政府機関のネット空間を守るのが主任務となる。
米戦略軍(ネブラスカ州)の傘下に置かれ、約1000人が所属。これまで各軍がばらばらに実施してきたサイバー対策を統合して対策強化を図る。米政府はサイバー攻撃対策を安全保障上の課題と位置付けている。
ゲーツ国防長官は「サイバー空間への依存が高まる中、この新しい司令部はサイバー攻撃に対する脆弱(ぜいじゃく)さを改善し、拡大する脅威に対応するのが狙いだ」と強調した。【5月23日 毎日】
**************************

****中国もサイバー司令部 総参謀部直属、ネット対応強化*****
政府や軍事機関へのサイバーテロ攻撃などに備えるため、中国人民解放軍が7月中旬に発足させた「情報保障基地」が国内外で話題になっている。軍全体の作戦を担当する総参謀部に直属するこの特殊部隊は、軍内のインターネット戦略を統一して管理、指揮する中国版サイバー司令部的な存在といえる。軍のネット対応強化は国内世論から根強い支持を受けているが「産業秘密がこれまで以上に狙われるのでは」と心配する外国企業も出てきそうだ。

中国軍の機関紙、「解放軍報」によると、「軍の情報管理を強化し、国防建設の近代化に寄与する」ことを目的とする「情報保障基地」の創設式が7月19日に北京で行われ、陳炳徳総参謀長ら軍首脳が出席した。中国の官製メディアが軍の特殊部隊の設立を公表することは珍しく、米国が昨年6月に創設したサイバー司令部を意識し、ネット強化の方針を国内外にアピールする狙いがあるとみられる。米国のサイバー司令部が発足した際、米軍高官が「中国のハッカーの脅威が理由」と明言したため、中国のネットユーザーが猛反発。国際情報紙「環球時報」がその直後に行った世論調査では、「中国軍も対抗するネット部門を作るべきだ」と主張した人は約94%にも達した。

また、香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」によると、同基地の発足に先立ち、中国軍は6月中旬からネットにおける情報発信を全面禁止する新たな規則を導入した。軍事情報の漏洩(ろうえい)を防ぐため、230万の全軍人を対象に、休日や一時帰省中を含め、ホームページの開設や、ブログ、チャットの使用を禁止し、海外サイトへのアクセスも原則的に認めないという厳しい内容だ。中国軍の初の空母建設に関する情報が数年前からネットに流出し、複数の現役軍幹部がネットでの空母建設に関する討論に参加したことなどが問題視されたとみられる。
しかし、今回のサイバー司令部の設立で、「外国へのサイバー攻撃の手口がますます巧妙になるのでは」と心配する声も外国企業などからあがる可能性が出ている。【7月31日 産経】
******************************

非公開ビデオが簡単に流失してしまう日本とは、情報管理に対する認識に大分差があるようです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする