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「ここの制服、見るたびに微妙にデザイン違ってるような気するねんけど」
「そういうことは、黙っててあげようヨ
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「何だって?」
ダニイの言葉に、ロンはぎょっとしたように言った。
「ど、どうすればいいんだよ」
ダニイは受話器を握って、おろおろと言った。要求に対する回答は、店の電話にしろと言ってあったのだ。
「10分後、いや、20分後に連絡すると言え」
ダニイがそう言って電話を切ると、ロンはこういう時の癖で、爪を噛みながら呟いた。
「どういうことだ。警察は拒否するはずじゃなかったのか」
「セスはそう言ってた。あの長官が、こんな貧民街の人間のためにおれ達の要求をのむはずがないって―」
「だが、現に向こうはのむって言ってるんだろう? だったら、こっちも引き渡し方法を考えようぜ」
レイオットが言うと、ロンがぎろりと目を剥いた。
「てめえ、命が惜しくなったのか?」
「じゃあ、どうするんだ? やっぱりいいですって言うのか?」
エリオットはクックッと笑った。ロンは唇を噛んだ。
「逃走用の機体はシルフィードを要求したんだよな? なら、第16スポークを通行止めにして、滑走路にすりゃあいい」
シティの道路網は、市内を循環する往復16車線の環状道路と、その中心から放射状に伸びる幹線道路(スポーク)からなっている。環状道路とスポークに区切られた扇形の地区が、海側北から時計回りに1区、2区…16区である。
「離陸したら、低空でシティの上空をパスして海上へ出る」
「海へ出た途端に、空軍に撃墜されるぞ」
ロンが言った。
「命が惜しくないんじゃなかったのかい?」
ユージェニーがからかうように口をはさんだ。ロンがそちらを睨みつける。彼がのみこんだ言葉を、レイオットは容易に想像できた。
―この作戦は、人質が犠牲にならなきゃ意味がないんだ。
「シルフィードなら、何とか逃げ切れるかもしれん。どうせここで死ぬつもりだったんだ。その可能性に賭けてみてもいいじゃねえか。セスも、警察が要求をのんだと知りゃあ、考えが変わるかもしれないぜ」
「てめえ、まさか警察の手先なんじゃねえだろうな」
ロンが言った。
「長官を襲撃した時もそうだった。あんなにさっさと上昇しやがって、ほとんど撃つ暇がありゃしねえ」
「あれは最初から未遂に終わらせる予定だっただろう」
「それは長官だけだ。側近は血祭りにあげてもよかったんだ」
「あのなあ。あんな低高度を低速でいつまでも飛んでたら墜落しちまうんだよ。発砲できるのはほんの数秒間だって、最初に言ってあっただろう」
「クソ、どうもてめえは信用できねえ」
ロンは歯ぎしりするように言って、店内を見渡した。
「よし。人質を一人同乗させよう。そうすりゃ、撃墜されても最初の予定通りだ」
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「ヒュー、ウルフが乗ってた伝説の機体じゃねえか。こいつを操縦できるとは、思いがけない役得だな」
「無駄口叩いてねえで、さっさと離陸の準備をしろ」
ロンに小突かれて、レイオットはコックピットに座った。計器類を手早くチェックしてゆく。
続いて、アレックスがラダーを上がってきた。操縦はできないが、手が忙しい時には、「ちょっとそのスイッチをオンにしてくれ」などと頼むことができる。機転が利くので、レイオットは重宝していた。
「レックス、発信器が仕掛けられてないか調べてくれ」
「オーケー、レイ」
ロンとダニイは、エディを連れて後部キャビンに乗り込んだ。シルフィードのキャビンは最大6人を収容することができる。救出した被災者をここに乗せて搬送するのだ。
「あの人、体が悪いみたいだけど、大丈夫かな」
アレックスが言った。
「人質か?」
「うん」
「あのダニイってのが頼りなさそうだからな。抵抗された時のことを考えて、頑健な奴は避けたんだろう」
―あなた達は、世界が変わるための礎になる。
と、セスは言っていたが、死ぬのが目的の任務に有用な人材は使わないだろう。ロンもダニイも、失っても惜しくない人間ということだ。レイオットはもともと外部の人間だ。アレックスがついてきたことだけが計算外だった。
アレックスは、出発直前にいま一人のメンバーと入れ替わって機に乗り込んだ。体重がそのメンバーとほぼ同じだったので、離陸重量にも影響がなく、そのため、レイオットも気づかなかったのだ。上空でアレックスが顔を出した時には仰天した。
―何で、こんなことをしたんだ。
―だって、レイ、ちょっと手伝ってくれる人がいるとありがたいって言ってたじゃない。
アレックスは、セスに拾われて身の回りの世話をしているようだった。レイオットを車で迎えに来て、アジトへ連れて行ったのはアレックスだった。道中、妙に波長が合って、話がはずんだ。
(こいつを一緒に死なせるわけにはいかない)
エディという人質も殺すつもりはなかった。二人をどうやって逃がそうか、彼は秘かに思案した。
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対テロセクションのコマンダー代行、ラファエルは、現場検証から戻った隊員の報告を聴いていた。コマンダー・ユージィンの療養が長引いているので、現在は彼女が正式にコマンダー代行に任命されていた。
「はい。彼らが長官襲撃に使用した機体を乗り捨てた付近に、燃料を噴出したと見られる痕跡が発見されました」
「それは、燃料洩れとは違うの?」
「燃料洩れなら、もっとまとまって落ちてます。あれは、最大着陸重量を上回った時に、翼端から燃料を放出したのと同様の痕跡でした。着陸に使用した旧道はせいぜい1000mほどしかないので、オーバーランしないように燃料を捨てたのかもしれませんが、それなら、あんなにすっからかんになるまで放出しないと思います」
「つまり、それは…どういうこと?」
「燃料切れは偽装だったってことかな」
ノックもせずにドアを開けた隊員のダリウスが言った。彼は解放された人質の事情聴取を担当していたので、
「人質から何か情報を得られたの?」
と、ラファエルは訊いた。
「ああ。おれが担当したばあさんは、取調室でわけのわからん占いを始めちまって話にならねえんだが、他は面白いことを聴いてるぜ。奴らは長官襲撃は最初から未遂に終えるつもりだったと言ってやがったそうだ」
既に上がっている報告によると、一味は四人組で、互いに、ロン、ダニイ、レックス、レイと呼び合っていたそうだ。リーダー格はロンで、レイという男は雇われパイロットのようだという。
「長官襲撃は狂言だったってわけ?」
長官車を護衛していたシークレットサービスからも、襲撃はお粗末なものだったと聞いていた。航空機から車で移動中のターゲットを正確に狙うのは、非常に難しいことだ。
―映画なんかを見て、簡単に考えてたんでしょうかね。犯罪者というのは、案外いきあたりばったりなところがありますから。
と、護衛長は言っていた。
「それだけじゃねえ。どうも、奴らはこっちが要求をのむとは考えていなかったようなんだ」
ダリウスは、聴取の結果を集約したメモに目を遣って、続けた。
「引き渡しの方法なんざ、あらかじめ考え抜いていそうなもんなのに、こっちの電話の後で慌てて考えていたそうだ。あの長官が要求をのむわけがないとか、どうせここで死ぬつもりだったとか、そんなことも言ってたらしい」
「よくわからないわね。それじゃ、彼らの行為には何の意味があるの? 本気で長官の命を狙ったわけでも、逃走するつもりもなかったっていうなら」
ダリウスも訝しげに首を振った。
「あと、病院からも報告が来てる。撃たれた交渉人は命に別状無し。弾丸は、骨も太い血管も傷めずに、きれいに貫通してたそうだ。人質の話によると、交渉人を撃ったのはレイって奴らしい」
「レイは組織の人間じゃないのよね? その彼が撃ったの?」
「ああ。ロンて奴は、『何で心臓を撃ち抜かねえんだ、下手くそ』なんて怒ってたらしいがな。ロンはレイをあまり信用していないようだ」
「もしかしたら、心臓を狙って外したんじゃなくて、致命傷にならない場所を狙ったのかもしれないわね」
ラファエルは呟いた。
「ダリウス。手の空いている人員を全て市内の警戒にあたらせて。彼らの行動は、もしかしたら陽動かもしれない。だとしたら、その隙に別の場所が狙われる可能性があるわ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/girl_necklace.gif)
取調室の机に並べたカードをめくりながら、ユージェニーはひとりごちた。
「ま、テロってのは、そういうものだけどね。わからないのは、これだよ。天使のカードの左右に、ハートのジャックとジョーカー。ハートのジャックは、天使をアシストする者。でも、このジョーカーは…切り札というよりは、死神を意味しているように見えるけど…」
(続く)
偽装襲撃!
どうもまだ
なにかある!!
絶対ある!
無ければ
アンジーさんの
頭の中にある!
必ずある!
待とう!続編!
署長なんてどうでもいい!
最近洋ドラマ「24」観たので
事件が起きると気になります!!笑
各々のキャラの心情が奥深いです~!!
でも、チョロ吉=今回4人組&ラファエル=アレックス%で、湯-でタジ-ちゃう御免。ユ-ジェニ-の50&50%どぅ~もカラマンボウ・・・絡んでぇ~ネッ!?離れんのょっ!!後=ラリウスってライウッス
・・・。(又もやらかしました。)この人は、全日本でのコ-チ(JTサンダ-杉山・・・居たねっ。/JTサンダ-スの元選手&元全日本男子。番平コ-チのような役どころ何でしょかっ??!!(笑)ホンマ皆の個性が有るキャラが・・・凄い2.ですゅ~!!
アッそぅ2・・・良い休みと云うか骨休めになった!
!溜まってたDVDetc...観賞したり(etc...。)では
・・・なが2.と。寒さキツくなる見たいな事云うテルシ~ぃ体調&風邪に気を付けてなっ!!ほなねっ。
う~ん、今度は、何がテーマでしょう?
アンジーさんの狙いは何でしょう?
それを読み解くのが楽しみ。
まだわからないわ~。
テロとは、また奥の深い題材ですね!
これに、占いはどう絡んでくるのでしょうか??
死神を意味していると思われるジョーカー、誰のことなのでしょうか??
続きが楽しみです~♪
またも一番コメありがとうございます。
どこも「長」のつく人は大体こんな感じ?
ご期待に添えるよう頑張ります。
私も「24」見ましたよ~
深夜にまとめてやるので、フラフラです(笑)
あのストーリーを考えている人は本当にすごいですね。
見えては消えますか。
男子バレーもいきなり波乱でしたね。
あの結末は読めませんでした。
やっぱり寒くなってきましたね。もうこたつ出しちゃいましたよ(笑)
思いつくままに書いていってるんで、あまり自分では「これがテーマ」とか考えていないんですよ。
自分が楽しんで書いたものを、読んで下さった方に面白いと思って頂ければ、とても嬉しいです。
ダブルコメありがとうございます。
久々なのでエンジェルとナイトを出してあげたかったんですが、またまた対テロセクションの話になってしまいました。
いつも読んで下さってありがとうございます。