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米中冷戦、ある「日本の選択?」論   文科系

2019年08月13日 12時08分33秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 ニューズウイーク最新号にこんな論文が載っていることは、8日の「米中衝突諸様相・・・」に書いた。論文名は『急速発展の中国かアメリカか 日本が迫られる究極の選択』、書き手は『元外交官、外交アナリスト 本誌コラムニスト』と肩書きが付いた河東哲夫氏。

 これがまた抽象的な言葉を羅列しただけの、実に稚拙な「論文」なのである。抽象的な言葉ほど厳密な定義と、その語を当てはめてもよいという実証とかが必要なのに、それが全くないから、自分で語っていること、語ろうとしていることが分かっているのかというような。日本外務省というのは、こんな拙劣な議論を操るだけの、幼稚な連中ばかりなのだろう。ここで何度も元次官にして現在の初代国家安全保障局長・谷内正太郎氏の人格下劣を証明し、笑ってやったように。なお、この論文は、上の検索に彼の名前を入れて「このブログ内で」を検索すれば出て来る。

 さて、河東氏はここで、アメリカをこう語り、中国をこう語って、そこからもちろんアメリカに軍配を上げるのである。

 まずアメリカ
『アメリカと中国とどちらのほうが、日本の人権と民主主義維持に有利かと言ったら、それは断然アメリカだろう』
 このようにただ、基本的人権と民主主義という抽象言葉をただ振り回す擁護、議論だけなのである。

 対する中国には、この人権と民主主義が無いと言ってみせるだけではなく、もう一歩突っ込んで非難の度を高めていく。まー、日本マスコミお馴染みの議論なのである。
『だがもし中国が勝利すれば、今の日本人が空気のように無意識に享受している人間としての権利、そして民主主義が奪われ、我々は窒息するだろう』
 さらに、こんな中国非難も続く。
『強すぎる国家は、人間の権利と民主主義を踏みにじる。ナチスドイツ、そして戦前の日本がいい例だ』
『中国は増えた国家歳入を軍備につぎ込み、世界に「中国流秩序」──を主権国家を構成員とする国際法ではなく、中国を頂点とする長幼の関係に基づく──を構築しようとする。200年遅れでやってきた帝国主義だ』 

 さて、こんな論法で対立する2国家を論じたら、どんな論議だって出来る。敢えて一つの実例をお目にかけよう。
『日本人に空気のようになっている平和を、アメリカは世界中で散々乱し、破っている。しかも、二つの世界総力戦の反省から生まれた世界平和組織・国連が存在するこの21世紀において。アフガニスタン、イラク、シリア、そして今はベネズエラとイラン。まるで、国連もあってなきがごとくに無視しつつ150万人だかの人を殺し、難民で世界中を乱すとは、200年遅れの帝国主義そのものである。対するに中国は、こんな戦争はずっとやっていない。平和になれた日本国民は断然中国に着くべきである』

 さらに一言。この文章は、何の現状分析も、それに基づく将来予測もないから、論者の願望だけの言わば子どものような内容とも言える。「人権と民主主義が欲しい」と語っているだけなのだ。この定義も、これをめぐる米中の現在と未来、特にどちらかの国が世界制覇を遂げた時にこの人権と民主主義がどうなるかなどには、何も触れていないのである。暴力でもって国連規則も無視する国は、世界の人権と民主主義を守る意志もない国なのに。覇権国を巡る対立を論ずるなら、どちらが勝ちそうで、国連規則を守りそうかという現実論は特に欠かせないはずだが、その見通し論議がまた、全く欠落している。だから、ここでもまた、子どもの文章。


 河東氏が、人権と民主主義の一言で全てを美化しているアメリカについて、僕の疑問をほんの少々。
 人権と民主主義の国が、あれだけの軍事を持って、かわりに、相対的貧困世帯が日本と並んでなぜこれだけ多いのか。その秘密も、冷戦が終わった後でよく分かった。自己の要求を通すために世界各国に暴力をちらつかせるためなのだ。そんな国だからこそ貧困世帯が多く、あれだけ人を殺している銃の規制も出来ないのだろう。さらに、そもそも、アメリカが勝ったら米金融の世界制覇になるが、この大きすぎる世界的将来弊害をどう考えているのか、これが僕の最大関心事である。それこそ、世界の人権と民主主義のために。 
コメント (5)
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