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低調南ア戦、そのわけは?   文科系

2009年11月16日 15時49分43秒 | スポーツ
南ア戦には、実に失望した。期待が大きかっただけに、この失望は大きい。何がいけなかったのか。
ところで、最初にお断りしておくことが一つある。日本代表を褒めている人もいたことだ。相手監督、ブラジル人名将・パレイラである。「組織だった良いチームとやれて良かった」と講評している。が、この言葉、世界80位台チームの監督が発したものなのだから、我々が喜ぶわけにはいかない。

僕が常々思う戦評の名手、相馬直樹が毎日新聞でこう語っているが、僕も同じ見解である。最も聞くべき言葉と言えよう。
「この日の前半は悪いサッカーではなかったが、ゴールに向かってはいなかった。良い攻撃は良い守備から生まれる。ボールを失った時、前に出て相手を追う守りができるようになったのは、後半14分に松井と中村俊が入ってからだった。(中略)後ろに下がって追いかけるのではなく、前に出て圧力をかけることで、相手から余裕を奪い、自分たちのリズムで戦えたのも確かだ」
ゲーム自身の表現としてはこれで十分であろう。ただし、85位の相手に56%のボール保持率とは、日本としては相馬が語るよりも遙かに不出来だったと、僕は主張したい。なんせ、本大会ベスト4を目指しているのだから。そして、キープ率はこのチームの最も得意なお家芸であり、世界10位台のチーム相手でもこれくらいのキープ率は優に取れるチームであるから。つまり、集団的シュート体制もあまり作れなかったのだし、得点チャンスは1~2回だった。それはなぜか。

さて、このゲームについて、別の視点から一言。
岡田監督自身が「ワンボランチ、スリートップの実験」を試みたらしいが、これをどう見るかである。「日本の理想的組織を語れと言われるならばワンボランチだ」とは、代表監督時代のオシムの言葉である。多分、同じように背が低くて俊敏なスペインの、例えばバルセロナを念頭に置いて語っていたのだと思う。オシムはその時、お気に入りの鈴木啓太を真っ先に念頭に置いていたに違いない。が、今回は稲本である。ところが、これを59分に松井に替え、同時に中村俊輔を入れて、遠藤・長谷部の二人ボランチ、および2トップに戻したところを見ると、失敗だったということだろう。この失敗、どうしても得点がほしい時など局面においては長谷部辺りで実際にやらねばならないときもあるかも知れないから、一つの勉強にはなったと思う。ただこのでき、内容については、中村俊輔がこう語っていた。
「初めの3トップでは、本田も大久保も主として中にいた。外にいるときでも、中から外へ出て行っただけだ。その逆で、外から中へ入ることによって、サイドバックが上がれる。こうして、練習してきたクロス、速く低いクロスが生きてくる」
トップの両サイド2人が攻撃に性急な余りに、サイドバックが使えず、自らのプレスもおろそかになって、自チームの最大長所「攻撃的な守備」ができなかった。だから得点できなかった。そう見るべきゲームであったと思う。

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「不確かな(野)党」と「後方支援」と  文科系

2009年11月16日 14時33分06秒 | 国内政治・経済・社会問題
僕が思う近ごろ不思議なことが一つ。このブログに多い日本共産党支持者とおぼしき人々がなぜもっと鳩山新政権を褒めないのだろうかということだ。
新政権が行っていることは、日本共産党が長年言い続けても自らはとうてい手も付けられなかったことも多いように思われる。ちょっと上げてみるだけでも、ダム、道路、ガソリン暫定税、郵政、子ども手当、授業料補助、母子・父子家庭支援、ワンストップサービスなど雇用対策、貧困率の発表、地球環境問題、インド洋給油、「東アジア共同体」などなど。他方、新政権誕生がもたらした間接的な民主主義的成果も多い。NHKなどの放送内容の改善。記者クラブの開放。経団連、医師会、農協、各種政府審議会などで現在進んでおり、更に進むであろう自民党離れ、各種自民党牙城の崩壊も国民にとって非常に良いことだろう。自民党内においても例えば、道路調査会の消滅、道路族巣窟の崩壊!
新政権のこの4年で、自民党時代にはもう後戻りできない橋頭堡が我が国に築かれるものと、僕は確信している。

これらを抽象的にまとめ上げれば、曰く「内需拡大。それも、土建国家から社会的弱者・子どもなどへの内需拡大方向の転換」、曰く「『米国依存しすぎ』(鳩山発言「これまでの日本は米国に依存しすぎていた」)からの脱却、対アジア友好」。これらの表現で括られているような新政権の諸施策にもそろそろ信じられる点も多くなり始めて、「少なくとも当面は、かなりが本物らしい」と見えてきたはずだとも、僕は思う。
本日の朝刊に載った「APEC関連、鳩山講演」にもこんな立派な下りがあったので、ご紹介したい。
【 「日本と他のアジア諸国、アジア・太平洋諸国の間に、友愛のきずなを作り上げることはできないものか」と考えてきた。日本が多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に多大な損害と苦痛を与えた後、60年以上がたった今もなお、真の和解が達成されたとは必ずしも考えられていないからだ。
欧州では悲惨な2度の大戦を経て、憎みあっていた独仏両国は協力を積み重ね、国民相互間の交流を深めた結果、事実上の不戦共同体が成立した。独仏を中心にした動きは紆余曲折を経ながら今日のEUへと連なった。
欧州での和解と協力の経験こそが、私の東アジア共同体構想の原型になっている 】

さて、現に志位委員長が国会質問で「新政権後方支援もしたい」などと語り始めたのは、こういう新政権への一定の支持なのだろうし、不破哲三氏でさえこう語っているらしい。「我々も政治を変えたいのでシミュレーションとして注目していますが、難点がちょっと早く出過ぎている」(16日毎日新聞2面「風知草」より) この文章の後半はともかく、前半に力点を置いて読めば「注目すべき変化もある(もしくは、多い)」ということにもなる。

もちろん共産党が、「建設的野党」「是々非々」の立場から普天間基地問題、後期高齢者医療制度廃止の問題などでは新政権を批判していることは、僕も知っている。そして、事実としては多分、個々の党員においてはこういう新政権への態度も多いことなのだろう。「口だけだ。策略かも知れない。今に化けの皮がいろいろとはがれてくるだろう」。なんせこの政権の中核、民主党をつい最近までは、「不確かな野党」「自民党と同じ穴の狢」と見てきたはずなのである。「大企業本位と対米従属では同根、同本質」と、定式的・硬直的に見てのことなのであろう。この態度は、つい最近、東京都議選で民主大躍進、共産大敗北を喫するまでのことだった。因みに、「建設的野党」と呼び替えたのは、この大敗北を経たその後、総選挙直前のことである。よってこの呼び換えは、本心からのものとさえ思えず、世に迎合しただけのポーズとも見えるのである。

こうして見れば新政権に対する日本共産党の姿勢はどこまで行っても「不確かな野党」「自民党と同じ穴の狢」が本心であって、「建設的野党」「後方支援」こそ一時のこと、ポーズなのかも知れない。新政権に今国民の大きな支持があり、これが国民寄りのことを予想外に多く行い始めているように見え、他方では日本共産党は近年希な停滞を見せているのだから、現在は戸惑っているというか、途方に暮れているというか、そんな面も多いのかも知れない。
この停滞に至った今までの自らの方針、理論の根本的な反省こそ、現在もっとも重要であると僕は思うのだが。それが実は、本当に国民のためなのだとも思うのだが。はて。
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