南ア戦には、実に失望した。期待が大きかっただけに、この失望は大きい。何がいけなかったのか。
ところで、最初にお断りしておくことが一つある。日本代表を褒めている人もいたことだ。相手監督、ブラジル人名将・パレイラである。「組織だった良いチームとやれて良かった」と講評している。が、この言葉、世界80位台チームの監督が発したものなのだから、我々が喜ぶわけにはいかない。
僕が常々思う戦評の名手、相馬直樹が毎日新聞でこう語っているが、僕も同じ見解である。最も聞くべき言葉と言えよう。
「この日の前半は悪いサッカーではなかったが、ゴールに向かってはいなかった。良い攻撃は良い守備から生まれる。ボールを失った時、前に出て相手を追う守りができるようになったのは、後半14分に松井と中村俊が入ってからだった。(中略)後ろに下がって追いかけるのではなく、前に出て圧力をかけることで、相手から余裕を奪い、自分たちのリズムで戦えたのも確かだ」
ゲーム自身の表現としてはこれで十分であろう。ただし、85位の相手に56%のボール保持率とは、日本としては相馬が語るよりも遙かに不出来だったと、僕は主張したい。なんせ、本大会ベスト4を目指しているのだから。そして、キープ率はこのチームの最も得意なお家芸であり、世界10位台のチーム相手でもこれくらいのキープ率は優に取れるチームであるから。つまり、集団的シュート体制もあまり作れなかったのだし、得点チャンスは1~2回だった。それはなぜか。
さて、このゲームについて、別の視点から一言。
岡田監督自身が「ワンボランチ、スリートップの実験」を試みたらしいが、これをどう見るかである。「日本の理想的組織を語れと言われるならばワンボランチだ」とは、代表監督時代のオシムの言葉である。多分、同じように背が低くて俊敏なスペインの、例えばバルセロナを念頭に置いて語っていたのだと思う。オシムはその時、お気に入りの鈴木啓太を真っ先に念頭に置いていたに違いない。が、今回は稲本である。ところが、これを59分に松井に替え、同時に中村俊輔を入れて、遠藤・長谷部の二人ボランチ、および2トップに戻したところを見ると、失敗だったということだろう。この失敗、どうしても得点がほしい時など局面においては長谷部辺りで実際にやらねばならないときもあるかも知れないから、一つの勉強にはなったと思う。ただこのでき、内容については、中村俊輔がこう語っていた。
「初めの3トップでは、本田も大久保も主として中にいた。外にいるときでも、中から外へ出て行っただけだ。その逆で、外から中へ入ることによって、サイドバックが上がれる。こうして、練習してきたクロス、速く低いクロスが生きてくる」
トップの両サイド2人が攻撃に性急な余りに、サイドバックが使えず、自らのプレスもおろそかになって、自チームの最大長所「攻撃的な守備」ができなかった。だから得点できなかった。そう見るべきゲームであったと思う。
ところで、最初にお断りしておくことが一つある。日本代表を褒めている人もいたことだ。相手監督、ブラジル人名将・パレイラである。「組織だった良いチームとやれて良かった」と講評している。が、この言葉、世界80位台チームの監督が発したものなのだから、我々が喜ぶわけにはいかない。
僕が常々思う戦評の名手、相馬直樹が毎日新聞でこう語っているが、僕も同じ見解である。最も聞くべき言葉と言えよう。
「この日の前半は悪いサッカーではなかったが、ゴールに向かってはいなかった。良い攻撃は良い守備から生まれる。ボールを失った時、前に出て相手を追う守りができるようになったのは、後半14分に松井と中村俊が入ってからだった。(中略)後ろに下がって追いかけるのではなく、前に出て圧力をかけることで、相手から余裕を奪い、自分たちのリズムで戦えたのも確かだ」
ゲーム自身の表現としてはこれで十分であろう。ただし、85位の相手に56%のボール保持率とは、日本としては相馬が語るよりも遙かに不出来だったと、僕は主張したい。なんせ、本大会ベスト4を目指しているのだから。そして、キープ率はこのチームの最も得意なお家芸であり、世界10位台のチーム相手でもこれくらいのキープ率は優に取れるチームであるから。つまり、集団的シュート体制もあまり作れなかったのだし、得点チャンスは1~2回だった。それはなぜか。
さて、このゲームについて、別の視点から一言。
岡田監督自身が「ワンボランチ、スリートップの実験」を試みたらしいが、これをどう見るかである。「日本の理想的組織を語れと言われるならばワンボランチだ」とは、代表監督時代のオシムの言葉である。多分、同じように背が低くて俊敏なスペインの、例えばバルセロナを念頭に置いて語っていたのだと思う。オシムはその時、お気に入りの鈴木啓太を真っ先に念頭に置いていたに違いない。が、今回は稲本である。ところが、これを59分に松井に替え、同時に中村俊輔を入れて、遠藤・長谷部の二人ボランチ、および2トップに戻したところを見ると、失敗だったということだろう。この失敗、どうしても得点がほしい時など局面においては長谷部辺りで実際にやらねばならないときもあるかも知れないから、一つの勉強にはなったと思う。ただこのでき、内容については、中村俊輔がこう語っていた。
「初めの3トップでは、本田も大久保も主として中にいた。外にいるときでも、中から外へ出て行っただけだ。その逆で、外から中へ入ることによって、サイドバックが上がれる。こうして、練習してきたクロス、速く低いクロスが生きてくる」
トップの両サイド2人が攻撃に性急な余りに、サイドバックが使えず、自らのプレスもおろそかになって、自チームの最大長所「攻撃的な守備」ができなかった。だから得点できなかった。そう見るべきゲームであったと思う。