棚からぼた餅--岩淵龍王丸

信州の山郷での暮らしと、絵本と無縁になってしまった大人に向けた創作絵本や、芸術活動をお話します。

105-珍訳源氏-玉かずらの成人式

2009-10-07 07:27:43 | 物語・絵本・童話
玉かずらは源氏殿に引き取られ、申し分のない日々をすごしながら、父である私がなぜ迎えに来ないのか、ぐっと涙をこらえていたという。
 源氏殿は玉かずらの裳着の式(もぎの式・女子の成人式)に、腰結(こしゆい)の大役を私にやらせ、そこで、一切を明かすつもりだったらしい。
何も知らない私は招待をうけても、娘の雲居の雁と源氏殿の息子・夕霧とのきにいらぬ縁談話かとおもい、面会に応じていなかった。
しかし、源氏殿は我が母上に全てを打ち明けてくれてから、全てがよい方に展開しだした。
その頃は、私と源氏殿は、恋しあう子供たちの思いをかなえてやるような配慮もなく、己の権勢の張り合いに、彼らを巻き込んでいたのだった。
私は亡き父・左大臣の遺言の通り、我が一族の繁栄かばかりでなく、貴族社会全体の繁栄が善政であると勤めてきたが、やはり、光源氏を頂点とする源氏家の力は、つねに気になってきた。
正直、私は源氏殿にはどうしても勝てなかった。太政大臣という帝の臣下として最高位についた今だこそいえるが、長い長いコンプレッスクだったかもしれない。マーそれが私のバネになったことは確かだ。
 しかし、本来は子供の頃からの親友。互いの自尊心など、将来ある若者たちに差し障りこそあれ、何のいいこともないことを十二分に承知fはしていたのですが・・・。
ひとまず、・玉かずらの成人式は盛大におこなわれ、流転と苦難に満ちたつぐないをしたのです。

ryusun

つぶやき

絵本と無縁になった大人に

子供たちに向けたというより、内なるものを呼び覚ます大人への絵本