足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

グリーンスパン前々議長の新著

2014-07-25 06:40:25 | 株式

 久しぶりに米連銀の前々議長のグリーンスパンがメディアの前に顔を出した。

 今秋には新著「The Map and the Territory」が出版される。 

 1987~2006年の19年間にわたる長期の中央銀行総裁として世界の金融市場の方向性の手綱を握ってきた実績を持つだけに内容については関心がもたれる。

 「連銀の目下の最大の仕事は市場に滞留する膨大な資金をどう吸収していくかにある」と語っている。自分が播いた種が大きく膨れ上がり世紀の金融危機の原因をつくっただけに、その処方箋をどのように提案しているかに注目が集まる。

 重要なのは第一回目の政策転換の時期と手段で、市場のおきな影響を与えずに実行することが最大の関心を示す。当然、現連銀のイェーレン議長の頭にはその時期と方法については様々な視点からの検討が進んでいるはずだが、グリーンスパン前議長は市場に悪影響(相場の下落)を与えることなく収拾するのは至難の技であることを強調する。だれもが承知の点である。向こう1年間の株式市場はこの問題をめぐって動くことになりそうである。

 

昨日のNY株は小幅安。相場の方向性についてはなかなかコンセンサスがまとまらず、様子見を決め込む投資家が多い。

 

東京市場は決算発表のシーズンに突入する。関心は消費税の引き上げ後の経営者の見通しにある。

 

カシオ計算機(6952)に注目したい。転換社債を発行して資金調達を行い自社株買いに充当する。昨日はブラザー工業(6448)に注目したが、米国式の市場を向いた経営が今後は拡大していくだろう。経営者が自分の手で株価の方向を決める努力をする流れが強まりそうである。

 

 

 


日米ともモメンタム銘柄に人気

2014-07-24 06:20:18 | 株式

 NY株はハイテク、ヘルスケア関連が牽引してS&P50026回目の高値更新、ダウ平均は小幅安だがナスダックは上昇した。決算発表ではフェイスブック(FB)が売上+61%、利益が2倍と好調。特にモバイル向け広告が牽引役で比率が62%(第1四半期52%)と大きく伸びた。公開時にはモバイル市場の拡大に後手に回り業績が伸び悩んだが、ここへきて軌道に乗り広告市場ではグーグルのシエアを侵食しはじめた。

ナスダック指数のいまひとつの牽引役はヘルケアだ。医薬品のほか医療機器関連にも人気が波及しロボット手術のインテュイティブ・サージカル・バイオジェン(ISRC)は18%高と急騰した。市場ではロボットの医療分野への進出に関心が広がる。

 

昨日の東京市場でもモメンタム銘柄の活躍が目立った。

 売買代金のビッグ10にはCYBERDYNE(7779),ミクシィ(2121)がソフトバンク、トヨタ自を抑えて1~2位を占めた。異常な現象ともいえるが、市場ではこの種の銘柄に投機資金が集中する。CYBERDYNEは月末の15の株式分割、ミクシィは人気ソフトの「モンスト」がアップルストアでガンホー・エンターテイメント(3765)を抜いて第1位に踊り出た。累計の利用者数が1000万人を超えたことも支援材料。SNSゲームは下剋上の時代が続く。「異常」と片づけることができない現象である。

ミクシィ(2121)がアップルストアのランキングのトップに躍り出た。常連のガンホー・オンライン・エンターテイメント(3765)にとって代わった。SNSゲームの世界でも人気の勢いが成長のエネルギーである。ミクシィの反撃が始まったことに注目。

 

ウォール街では今春にモメンタム銘柄の人気がピークを打ったが、ここへきて復調し相場の人気を盛り上げる。モメンタム銘柄特化型ETFが誕生しヘッジファンド、大口投資家の関心を集め始めた。

(以下は寄り後に寄稿)

ブラザー工業(6448)に注目。自社株買い、増配と株主にフレンドリーな政策を打ち出す。

好業績が背景にある。

 


米決算が好調で地固め・・史上最大の仕手戦

2014-07-23 06:32:51 | 株式

 ウォール街の関心事は第2四半期の決算発表に集中した。時価総額が米国で最大のアップル(AAPL)の決算は、ほぼ予想通り。引け後の株価は小幅安。マイクロソフト(MSFT)の決算も事前の予想通りで株価には大きな反応がなかった。

 好決算発表の出しは好調だが相場全体には大きなインパクトを与えることもなく、NYダウ平均の17000ドルの台固めが続く。

 

ヘッジファンドの活動が目立つ。新進ヘッジファンドのビル・アックマン(パーシング・スクェア)が健康食品ハーバー・ライフに大量の空売りポジションをとり株価の下落に挑戦しているが、この日はメデァを集め販売のスキームが一種の“ねずみ講”であることを3時間にわたって訴えた。2012年末から1年半以上にわたって続く仕手合戦で、攻撃の根拠である企業の販売システムの調査にはこれまで5000万ドル(51億ドル)を投じた。空売りの総額10億ドル(5100億ドル)の5%に当たる大きな金額である。プレゼンテーションでは「大きな調査を投じている」と胸を張った。東京市場ではちょっと考えられないが、ウォールストリー・ジャーナル紙の金融・証券のウェブ版はブログを通じてライブでプレゼンテーションの模様を伝えた。株式市場にとっては大きなイベントである。

 

皮肉なことにアクマンの熱弁にもかかわらず株価は13.75急騰した。これまでソロス、アイカーン、ローブ・ローズなどの大手ヘッジファンドが買い手に登場したが、多くの買い方はすでに利食いして仕手戦から降りた。東京市場では考えられないが、買い方、売り方とも自分の判断には信念をもつ。ウォール街の株価形成の奥の深さには引き付けられる。攻撃側のアックマンの空売りコストは時価を下回り苦境に立つが、彼のヘッジファンドの上半期の成果は+25%と好調であり運用面では余裕がある。

東京市場では引きお続きSNSゲーム関連に人気が集まる。オルトプラス(3672)に見直し人気が出始めた。

 


長老ジェレミー・グラハムが金融政策に批判

2014-07-22 06:37:33 | 株式

 週明けのNY市場は下落した。一時、ダウ平均は125ドル安になったが、引けに48ドル安まで下げ幅を縮めた。

 この日は2つの地政学リスクが相場に影響した。ガザでの紛争、ウクライナで墜落問題が尾をひいた。一方、市場ではモメンタム(材料株)の代表挌の映画などビデオ配信のネットフレック(NFLX)、メキシコ料理チェーンのチボトル(CMG)が業績好調で人気を集めた。

 NYダウ平均は17000ドル台固めの感じが強い。

 大手運用会社GMOの創始者ジェレミー・グランサムが米連銀イェーレン議長の政策に痛烈な批判のコメントを発表し市場では注目を集めた。

 「歴史をみれば極端な低金利はバブルを生んできた。グリーンスパンとバーナンキ両議長と同じようにイェーレン議長もバブル崩壊の傷跡を最小にすることだけに専念している」と強調した。40年にわたる運用の世界での成功者だけに、市場でも注目する向きは多い。特に1980年代の日本の資産バブルを適確に予見したことで有名。

 


NY株は中小型株が調整の先導・・・深い押しはない

2014-07-21 09:30:30 | 株式

 今週のNY株は企業の決算発表が市場の関心事。

 これまで発表された企業の数字は好調であった。そのような材料を打ち消したのはウクライナでの航空機の撃墜、イスラエルのガザ地区の攻撃で地政学リスクの方に市場の関心が移った。これまで低位で安定していたVIX(恐怖)指数が1日で32%も急騰した。20134月以来のことだが、その後は下落し12.06とほぼ元に戻った。20134月の時はバーナンキ前連議長が金融引き締めの出口論を口にしたときだ。

 ウォール街でも今年は中小型株指数のラッセル2000指数の活発な動きに注目が集まる。3月にピークを打ったあと、5月にかけて調整したが、7月初めには新高値をつけた。しかし最近は下落トレンドをたどり50日線、200線を下回りデッドクロスした。この現象をみて相場の調整局面いりを予想する向きも増えてきたが、一方では足元の企業業績の好調が下支えになり、大きな調整局面はないという人気も強い。先週の議会証言ではイエーレン連銀議長が「バイオ、SNS関連は行き過ぎ」と個別の業種に言及して市場についてのコメントをしたが、「連銀議長が具体的な銘柄の水準に言及すべきでない」と早速に反論が出た。かつてのグリーンスパン議長の「非合理な相場の行過ぎ」、バーナンキ議長の「出口論」といずれも相場には短期的に衝撃を与えたが、イエーレン議長も相場のコメントは影響を承知にうえで口にしたのかも知れない。初めに書いたラッセル指数は今月上旬からの下落に拍車をかけた。発言はむしろ相場には適当な「お湿り」を与えたともとれる。

 

東京市場も決算発表シーズンにはいる。

 これまで相場の牽引役であった新興市場株も人気の広がりは一服した。しかし一旦、市場に流入した個人資金は次の人気株の候補探しをして次のスター探しを始めるだろう。

 

話は変わるが昨日のウォールストリート・ジャーナル紙は中国株アリババのIPO(新規公開)は91日のレバーディ(休日)以降になるという観測を伝えた。