久しぶりに米連銀の前々議長のグリーンスパンがメディアの前に顔を出した。
今秋には新著「The Map and the Territory」が出版される。
1987年~2006年の19年間にわたる長期の中央銀行総裁として世界の金融市場の方向性の手綱を握ってきた実績を持つだけに内容については関心がもたれる。
「連銀の目下の最大の仕事は市場に滞留する膨大な資金をどう吸収していくかにある」と語っている。自分が播いた種が大きく膨れ上がり世紀の金融危機の原因をつくっただけに、その処方箋をどのように提案しているかに注目が集まる。
重要なのは第一回目の政策転換の時期と手段で、市場のおきな影響を与えずに実行することが最大の関心を示す。当然、現連銀のイェーレン議長の頭にはその時期と方法については様々な視点からの検討が進んでいるはずだが、グリーンスパン前議長は市場に悪影響(相場の下落)を与えることなく収拾するのは至難の技であることを強調する。だれもが承知の点である。向こう1年間の株式市場はこの問題をめぐって動くことになりそうである。
昨日のNY株は小幅安。相場の方向性についてはなかなかコンセンサスがまとまらず、様子見を決め込む投資家が多い。
東京市場は決算発表のシーズンに突入する。関心は消費税の引き上げ後の経営者の見通しにある。
カシオ計算機(6952)に注目したい。転換社債を発行して資金調達を行い自社株買いに充当する。昨日はブラザー工業(6448)に注目したが、米国式の市場を向いた経営が今後は拡大していくだろう。経営者が自分の手で株価の方向を決める努力をする流れが強まりそうである。