足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

世界の株価は落ち着く・・・東京市場では再びハンドレッド・バーガー株

2014-07-19 08:53:06 | 株式

 ウクライナでの墜落事故がきっかけになって世界の株価は大幅に下落したが、昨日のウォール街では再びNYダウ平均が17000ドルに回復し地政学リスクを一蹴した。グーグル(GOOG,フェイスブック(FB)などインターネット株の好調な決算が相場の地合いを変えた。先週のハイテク株の下落は米連銀イエーレン議長の「バイオ、SNSは過熱している」という発言が影響した。「連銀議長が個々の株価水準に言及すべきでない」とヘッジファンドからは痛烈な批判を浴びた。

 悪気流のなかでの東京市場ではモメンタム銘柄が一時、大きく売られたが後半にかけて戻した。強かったのはミクシィ(2121)、CYBRDYNE(7779),日本通信(9424)でいずれも最近の反騰相場の節目でリード役を担ってきた株だ。時価総額はミクシィが3200億円、CYBERDYNE2170億円、日本通信が1930億円、そして人気に続くフィクスターズ(3687)が3900億円と時総額が5000億円までの中小型株である。

 モメンタム銘柄群ともいわれる材料株で、共通点は東京市場での売買代金ビッグ10いりするぐらい元気な中堅株である。

 いずれも個々の材料が原動力になって業績の成長が期待できる顔ぶれである。個人投資家は全体の相場人気が停滞する中でも「わが道を往く」とばかり株価の元気のよいこれらの株に惹きつけられてきた。変動率は大きく高値買いをしても報われた。

 株価の変動パターンは反騰→上昇→天井→反落というお決まりのコースを進んでいる。

 参加者に株価の動きを判断する指標には乏しいが、人気の度合いをみる端的なレシオは日々の株価と25日移動平均の乖離率である。最近のフィックスターのように乖離率+55%超と、経験則である+7.0%以上を大きく上回る。しかし相場のトレンドの反落局面で乖離率が縮小してテクニカル面では買いの場面になる。このパターンは日本通信にも当てはまった。

 投資家が参考にするのは、ここ5年間のガンホー・オンライン・エンタテイメント(3765)の株価である。安値(200810月)から233倍になった。この株の人気が新成長株のモデルをつくった。

 

来週も再びこのパターンの循環が始まるだろう。

 


ヘッジファンド運用者が集まる

2014-07-18 06:45:13 | 株式

 NY株は大幅安になり17000ドルの大台をあっさりと割った。

 これまで硬直して変動のなかったVIX(恐怖)指数が15ポイント(前日11.00ポイン台)と急騰した。

 先のイエーレン連銀議長の「バイオ、SNS人気のバブル」発言が尾を引いたほか、ウクライナでのマレーシアの航空機の撃墜が相場に大きなショックを与えた。

 恒例のヘッジファンドの首脳を集めてた「Delievering AlphaConference」が開催されソロスの片腕として活躍したドラッケン・ミラー、ほかにはジョン・ポールソン、レオン・クーパマン、カール・アイカーン、デヴィッド・アイホーンなどが出席した。米国のヘッジファンドの運用者のカンファレンスとしては最高の会合である。

 ドラッケン・ミラーが現在の金融政策を痛烈に批判し帰結は現在の株高のバブル崩壊で終わると強調した。ただ彼のような悲観的な見方だけでなく、先の住宅ブーム崩壊時に空売りで活躍したジョン・ポールソンは住宅関連商品への投資を奨めたほか、マイク・ノボグラッツのように「日本訪問から帰ったところだが、アベノミクス効果が顕在化して日本株は買い」と強調した。

 昨日のウクライナでの航空機事故が国際緊張を表面化させたが、株価の行き過ぎを抑える結果になった。

 

東京市場は第1四半期の決算発表を前にして一進一退の相場展開で、海外の材料が行き過ぎを抑える役目を果たしている。

 


ハンドレッド・バーガー(100倍)株

2014-07-17 07:04:59 | 株式

 NY株は上伸した。背景には好調な第2四半期の好業績、中国経済の成長の再加速化、M&Aがある。

 M&Aで注目されたのはメデイア王のルバート・マードック(ニュース・コーポレーション)によるタイムワーナーの買収。先のITバブルの時は花形企業であった。買収金額は800億ドル(81600億円)だが、タイムワーナーは拒絶した。最近、メデイア業界は技術革新の進展を背景に再編成の波にのまれている。ヘッジファンドを始め機関投資家のなかにはこの動きに注力してメデイア関連への投資を増やしていた。ウォーレン・バフェットも関心を示しメデイア株に投資をしている。

 昨日のタイムワーナー株は18%急騰した。

 東京市場では引き続き新規公開銘柄に人気が集まる。

 伝説的な運用者であるピーター・リンチ(フィディリティ)はマジェランファンドを13年間で1800万ドル(18億円)から140億ドル(1兆4200万円)と世界最大の投信に育てた。年率30%近い成果をという実績を残したが、その好成績をみて資金が流入を続けた。彼が好んで口にしたのが「テン・バーガー」(ten bagger/0倍になる株)を見つけることだ。口にするのは易しいが、いざ実践となると簡単にはいかない。ところが最近の東京市場では「テン・バーガー」どころか、「ハンドレッド・バーガー」(100倍になる株)の夢が実現し始めた。

 

ガンホー・オンライン・エンタテイメント」(3765)は2008年から2013年までの4年半で233倍になった。いままでに見られなかった現象である。

 最近の東京市場では売買代金のビッグ10のうち34銘柄も新興市場の株が顔を出すようになった。第2のガンホー人気を求める動きである。

 ミクシィ(2121)はその常連だが安値から19.8倍、売買代金が大きく膨れ上っているCYBERDYNE(7779)は安値から2.5倍。地味な存在だがMonotaRO(3064)はここ6年で55倍になり、ハンドレッド・バーガーの候補のトップを走る。

 この現象をみていると、これまで歴史上あまり見られなかった動きを投資家が体験し始めたのではないか。

 

昨日のフィックスターズ(3687)の動きをみると、その仲間入りの人気の気配が感じ取れる。

 

 

 

 

 


モメンタム銘柄で運用する上場投信

2014-07-16 06:21:57 | 株式

 この日のNY株はイエーレン連銀議長の上院での証言に関心が集まった。

 引き続きハト派的な内容で「雇用は改善しているが失業率の高止まりと、低賃金水準に問題が残る」とこれまでの発言を繰り返した。ただめずらしく「株式市場では小型株、SNS関連、バイオなどの人気には行き過ぎが目立つ」と警鐘を発した。中央銀行総裁が個々のセクターの株価水準に言及するのは珍しい。

 また大手金融機関のJPモルガン(JPM,ゴールドマン(GM,インテル(INTC)の好決算が注目された。またヤフーの決算も事前の予想通りであったがアリババの公開の接近を期待して株価は堅調。

 反騰を始めた相場のトレンドには変化はない。

 東京市場では昨日、公開されたモバイル向けアプリ開発のイグニス(3689)に買い物が殺到しIPO価格の1,900円を大きく上回る4,370円買い気配で終わり、初値形成は持ち越された。最近の人気株は公開後も初値を上回って推移し、時間を置かず大幅な株式分割を行うのがコースになってきた。分割の権利落ちまでは上昇トレンドが継続するというのが通例。イグニスもこの人気コースに乗る可能性が高い。

 ウォール街ではこの種の銘柄はモメンタム銘柄といわれ、機関投資家は避けて通るというのがこれまでの常識であった。しかし最近はこの常識にも変化の兆しがみえ、モメンタム銘柄に集中して投資するETF(上場投信)が出現した。

 最大手の運用会社ブラックロックはiShare MSCI USA Momentum Factor ETF(MTUM)を設定している。ヘッジファンド、富裕層などの関心が集まる。

 昨今のようにボラティリティ(変動率)の低下する市場ではこの種の商品への関心が高まる。

 

モメンタム銘柄の指定席が用意された、ウォール街の動きには感心させられる。

 


世界の株価にブル(強気)が復帰

2014-07-15 06:10:21 | 株式

 “ブル(強気)が帰ってきた”とウォール街では歓声が上がる雰囲気だ。

 NYダウ平均は17000ドル台に乗せ(77日)てから、1週間ぶりに初めて大台を固めた。ここ1週間は様子見の気分であったが、この日は大台を固めたという感じ。

 市場の主役である金融株が一斉に反騰したことが先行きの空気を明るくした。

 2は期待されてきたハイテクも上昇した。牽引役はネットフレックス(NFLX,アマゾン(AMZON)のほか、ワールドカップで広告収入の増加の恩恵を受けたフェイス・ブックス(FB)、ツィツター(TWTR)が人気を集めた。

 3は医薬品業界ではアイルランドのシャイアーの買収が決まった。米アッヴィが買収金額を引き上げた。4兆円台の大型買収で日本式にいえば武田薬品の時価総額を上回る金額だ。このような大型合併が国際的な舞台では行われているが、日本の薬品業界もいずれは再びM&Aの波が訪れるような気がする。日本の医薬品株からこの種の候補株が出てくる時代がくるだろう。

 いま一つ海外での株価の回復がNY株の材料になった。先週はポルトガルの銀行の信用不安が出て世界市場から1兆ドル分(100兆円)の時価総額が消えたが、この日は逆に米国、欧州、日本と揃って株価が反騰した。先行きに安心感が戻ってきた。

 

NY市場で円相場が小幅安になった。海外では円安をみる向きも増えておりショートが積み上がっている。

 東京市場では本日、新興市場にイグニス(3689)が公開される。モバイル向けのネイティブ・アプリの関連企業で公開後にモメンタム銘柄の人気の仲間いりする可能性の高い銘柄である。