足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

大手銀行株が史上最安値・・・11月とは異なる現象も

2009-02-21 10:51:26 | 株式

NY株が下げ止まらない。銀行株に一時、国有化のウワサが飛び交い金融不安の再燃を危惧した。

元凶はシティ・グループだ。昨日も大幅な下落で新安値になった。政府は「国有化は考えていない」と打ち消したので後場には相場全体はが多少は戻りにはいったが、銀行株には落ち着きがみられるまでは投資家も先行きの相場には安心感は戻らない。シティ・グループの株価の動きをみていると昨年11月のセーリング・クライマックスを想起する。昨日は$1.95.

またダウ採用銘柄でシティとならんで相場の足を引っ張る常連はバンク・オブ・アメリカだ。株価は$3.79で終わって新安値だ。昨日は首脳陣が「当社の流動資産は十分ある」と社内向けにメモを流さなければならないほど、社内でも動揺が広がっている。

相場の環境は最悪であるが、ナスダック指数をみていると「あれっ」と思う。昨日もグーグルやアマゾン・コムなどのインターネットの人気株は強かった。11月の相場の安値時に比べてグーグルは+40%、アマゾン・コムは+84%も上昇している。

この事実をどう読んだらよいのか?

グーグルもアマゾンも金融危機や景気低迷の圏外にある。業績は第4四半期も増収、増益であった。

また昨日は金相場が急騰し昨年3月の史上最高値に接近した。金鉱株が強い。

このような現象は昨年11月の金融危機時には見られなかった。

金融危機に対しての政府の対応への期待感が残されている証明でもある。


相場の動向は金融対策がカギ・・・シティが新安値

2009-02-20 08:04:59 | 株式

NYダウ平均が昨年1120日の7552ドルを下回り7465ドルで引けた。20029月以来の安値である。2002年といえばITバブル崩壊相場が底入れしたときである。その後の不動産バブル相場のスタート台になった。

今回の相場の下げでNY株は完全に振り出しに戻った。

振り出しといえばオバマ大統領の出現で相場は11~1月と+20%反発したが、期待したオバマ人気も完全に帳消しになった。

住宅ローン借り入れの900万人の救済策を発表したが相場は反応しない。「全員が救済されるわけではない」という冷やかな見方がウォール街の反応だ。

先週のガイトナー財務長官のスピーチに金融市場対策に新しい政策が全くなかったのが尾を引く。

シテイ・グループが$2.51AIGが$0.59と新安値、バンク・オブ・アメリカ、アメリカン・エクスプレスも新安値に接近した。金融危機の再燃を予兆する株価だ。

フイデリティ投信が昨年第4四半期期にシティ・グループ、JPモルガン、ウェルズファゴーを大量投資したのが話題になっている。年初来、それぞれ‐35%、‐59%も下落した。

専門家がそれなりに分析して投資判断しての行動であるが、こんな大きな間違いを犯すほど難しい環境である。

相場の反転の大きな要件は金融株の落ち着きであることに絞られてきた。


金相場の史上最高値は時間の問題・・・金連動投信

2009-02-19 08:20:25 | 株式

金相場が昨年3月の市場最高値$1003に迫ってきた。

昨日の引け値は2月受け渡しの先物が$980.80

昨年の石油相場の投機人気のときとは異なり静かなる上昇だ。米国では金投資についての投資手段は多い。特に金上場投資信託(GLD)はもっとも市場性があり機関投資家も利用する。昨年3月のときは石油を初め商品相場の上昇のなかでの動きであったが、今回は商品相場をリードする。米国ではFTFの組み入れの金が1000トンを越えた。初めてのことである。年間の金の生産量の約31弱に当る。

それに金鉱株も元気づいてきた。金融危機に対してのヘッジとしての資金が流入している。1929年の恐慌のときは全体の相場のトレンドに逆行して上がった。ホームスティク・マイニングの株価は1929年に$65であったが、1935年には$500になった。増産で販売量が増加し、それに金相場の上昇という2つのメリットが企業業績を押し上げた。

ヘッジファンドの運用者フェリッス・ズーロッフは「米国の財政赤字を金で支払うなら、金相場$6000が必要」試算している。

東京市場でも金のETF(金連動投信・大証)という投資手段がある。ドル高が進めば2重のメリットが出る。


ポートフォリオの入れ替え進める・・・ウォーレン・バフェット

2009-02-18 12:17:50 | 株式

ウォーレン・バフェットが積極的にポートフォリオの内容の見直しを行っている。最近、これまで長い間、保有してきた薬品株のジョンソン&ジョンソンを半分に減らしたほか、プロクター&がギャンブルも9%減らした。

いずれも典型的なデフェンシブ・ストック(景気低迷に強い株)の代表的な銘柄である。

理由は最近、投資家としての保有から大株主になってグループ企業にする投資に戦略を切り替えているのと、低迷する信用市場で企業の発行する債券で運用するのに力をいれる。

その投資哲学の「株価を買うのではなく企業を買う」という行動に一段と深入りし始めた。

最近はティファニーが発行した25000万ドルの債券を購入した。

株価が長期的な視点から絶好のチャンスにきているとみて、大株主になりバークシェア・ハザウェイの傘下の企業を増やすとともに、高利回りの優良企業の債券から安定的なキャシュフローを稼ぐという2本立てにした。

短期的な成果を狙うヘッジファンドとは両極にある運用であるが,相場の波乱で単に安値を買うという戦略だけではなく、長期的な企業経営の基盤を構築する。

バークシア・ハザウェイの株価は高値$150,000から最近は$84,000と大きく下落した。本来の投資の発想では守りにはいるときであるが、リスクコントロールをしながら前向きの運用方針を実行する。


クラウド・コンピューティングの時代

2009-02-17 08:05:39 | 株式

フリービッド(3843・マ)がデータセンターのメディアエクスチェンジ(3746・マ)のTOBを発表したのは212日であった。

124219円で発行株式数の66.67%を公開買い付けする。メディアエクスチェンジは12日の株価が15510円であったが、昨日は19510円をつけたあと、再び買い気配になった。

普通、TOBを仕掛けた企業の株が一時は売られるが、今回はフリービッドも上昇を続けている。TOB発表前から堅調であった。121日に36万円であったが昨日は63万円をつけた。短期間に75%も上がった。

フリービッドは2007年に公開して以来、企業買収をテコにして成長してきた。新規公開によって資金調達力がつきそれをフルに利用した。ただこれまでの類似企業と異なるのは買収による規模の拡大を自社の既存のビジネスとのシナジー効果を短期間に実現してきたことで、新興市場の低迷のなかでも希有の存在であった。

今回も「なぜデータセンター?」と言う印象を受けるが、根底にはIT革命の行き先の読みがある。

「クラウド・コンピューテイングの時代の到来」を読んでのことだ。2006年にグーグルのシュミットCEOが提唱した言葉である。日本でも昨年からネット関連企業がビジネスチャンスを求めて参入し始めた。株式市場での新しいテーマの登場である。