NYダウ平均は1997年5月以来の安値になった。ITバブル後の安値であった2002年を下回り、次ぎの節目の1990年代半ばの相場の転換点の水準になった。
今回の相場の下落の理由は先週のオバマ政権の景気、金融安定に対しての不手際に帰する。
昨年の株価の暴落は9月のリーマンブラザーズ破綻にあり、ポールソン財務長官の判断ミスに始まった。
今回はサマーズ経済会議委員長、ガイトナー財務長官の「時間との勝負」という政策運営への市場の期待感が裏切られたことだ。
株価の下落→証券化商品の下落→銀行の資産の悪化というマイナスのスパイラル現象の再燃である。株式市場の考える時間と政策当局の時間の間のギャップが出た。
先週末にはシティ・グループとバンク・オブ・アメリカが「現在の資産内容は万全」という声明を出したが、株価の水準が変わると先週末の常識も通用しない。
“私の市場哲学というか、あるいは市場理論は、現在のパラダイムが不確実性を低評価しているか、無視しているということにある。
私自身は不安定性の分析家で、セキュリティ・アナリスト(証券分析)ではない”というジョージ・ソロスのことばが想い出される。
今回の市場の波乱を利用して運用成果を上げている。それだけにソロスのことばの意味は重い。