足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

任天堂の決算を読む

2009-02-02 21:02:57 | 株式

先週木曜日、任天堂(7974)が決算を発表した。翌日には岩田社長が出席して機関投資家・アナリスト向け説明会を開催した。

その模様は同社のウェブ・サイト上でも動画で公開された。

決算発表では久しぶりに通期の業績を売上2兆円→18200億円、営業利益6300億円→5300億円、経常利益5800億円→3700億円に減額した。

主な理由は円高であるが、これまで円高下でも増額修正してきただけに、今回の業績修正は株価に大きなインパクトを与えた。

3四半期の説明会には通常は岩田社長が出席しないが、今回はトップが直接に足元の状況、そして「なぜ減額した?」の説明を行った。

減額修正したとはいえ売上+8.8%、営業利益+8.8%と史上最高を更新する。

減額のおもな要因は為替が円高になったために売上がその分だけ減ったことと、為替差損が出たかことが大きな理由であった。

今回の決算発表後、株価が売られたのは、①これまでは増額修正されるのが通例であったが久しぶりに減額された②Wiiの販売計画が100万台減額されたーということである。

投資家の同社に対しての期待感の目線の高さが、株価の人気を支えてきたが、今回は失望感が大きかった。

現在の日本企業では任天堂のようにイノベーションで成長を続け、日本のハイテクの強さを世界に誇示できるところは知らない。しかし現在の市場の人気は中、長期の成長力よりも足元の動きを重視する。

アナリストは決算発表後も「買い」という評価を据え置くところが大半である。アナリストの視点と市場の視点の食い違いが出てきた代表的なケースである。株価は当面は波乱を繰り返しそうだ。